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『God knows』

~9章~

歩いて帰る俺。
家に着く頃には24時を回るだろうな。
言い訳を考えつつ歩く、歩く。
決めた、もうごり押しだ。
ヤケクソになって決めた俺の作戦を発表しよう。

帰宅→叱られる際に彼女の家に行っていたことカミングアウト→みくるさんの住む場所が無くなるとでっち上げる

完璧だろ?…………笑ってくれ。
家に…着いた。
正直、入りたくねぇ。
だがそういうわけにもいかず、心を決めて家に入る。
「ただい……「キョン!こっちに来なさい!!」
鬼の声が聞こえる……。
みくるさん、《あなたのキョン》は、生きて帰れないかもしれません……。

え~、ここからは母親とのやり取りをダイジェストでどうぞ。
……一人言増えたな、俺。

「キョン!あなたこんな時間まで何処に言ってたの!?」
「まぁ……、あれだ。俺の彼女の家だ。」
「あら、あんたいつの間に彼女なんて……なら、仕方無いわね。」
「それでいいのか?……まぁいいが、そこで相談があるんだが。」
「なに?はっきり言いなさい。」
「みくるさんと一緒に住んでいいか?」
パッシーン!

「いや、待った!言葉が足りてなかった!実は、かくかくしかじかで……。」
「あらぁ~、そうなの…。それならそうと早く言いなさいよ。」
「と、言うわけでこの通りだ、頼む。」
「うちなら別に全然構わないわよ?子どもが一人増えるみたいで嬉しいわぁ……。」

と、うちの親は凄まじくさばけているらしい。
まぁ、ビンタを食らう、土下座をするなどの虚しい犠牲はあったがな。


とりあえず、これで晴れてみくるさんはうちに来ることになるわけだ。
………ヤバい、意識したら胸がドキドキしてきた。
と、とりあえず電話で伝えなきゃな。
……1コール……2コー…
ピッ
「は、はいぃっ!キョ、キョンくん、ど、どうかしましたかぁ!?」
慌ただしい人だ。
「あの、え~……うちの親の許可……取れましたよ?」
「ふえっ!?ほ、ほんとですかぁ?」
「大マジです。…メチャクチャ喜んで受け入れてくれそうですよ。」
「そ、そっかぁ……。えへへ…。」
「……なにを笑ってるんですか?」
「…え!?や、や、な、なななんでもないですっ!!そ、それより、い、いつ……行きましょう…か?」
「そうですね、荷物も運ばなきゃいけないし……土曜にしましょうか。」

「は、はい……。キョ、キョン、くん?わ、わたし……ドキドキしてきちゃった、よぉ……。」
「………俺もですよ。とりあえず、明日またいろいろ話をしましょう?」
「はい……。そ、それじゃあ、また……今日に。」
ピッ。
………そうか、確かに『また、今日』だな。


ここから金曜まで、俺達は団活動が終わりを告げると、みくるさんの家に行き、荷物をまとめたりしていた。
「……よしっ!これで終わりですよ!」
「キョンくん……ほ、ほんとに、あ、ありがとうございましたぁ…。」
「いえいえ。あとは……明日、うちに来るだけ…ですね。へへへ、なんか、照れますね。」
「わ、わたし……こないだ、からず、ずっと、き、緊張……してます…。」
声が震えている。
俺は、みくるさんを後ろから抱きしめ、そのまま自分が椅子になるように座りこんだ。
「ふぇっ?キョ、キョンくん?は、恥ずかしいです…よぉ?」
「落ち着いてください。俺がついてますから、ね?」
……言ってて思った、クサいな、これ。

「うふふふ…、キョンくん、クサい…です。」
ほら、言われた。
「で、でも、……そ、そこがか、か、かっこ…よくて、や、優しいです……。」
「こんな場面でからかうもんじゃないですよ。……お仕置です!!」
俺は、後ろからみくるさんをくすぐりだした。
「わ、わひゃっ!?……あ、あはははっ!やだっ、く、くすぐったいっ……あひゃあっ!キ、キョンくん…や、やめてぇ~!!」
この後、5分に渡って俺はみくるさんをくすぐり続けた。
「はぁ…はぁ……、キョ、キョンくん…エロい、ですぅ…。」
「そうですかね?ま、《お仕置》だからしょうがないですよ。」
「む~…こ、今度はわ、わたしが……しますからねっ!」
「あはは、頑張ってください。……それじゃ、今日は帰ります。明日は朝一番で迎えに来ますから。」
みくるさんは少し悲しそうな顔をして、
「あ……うん。さ、寂しいですから……は、早く…来てください、ね?」
と言った。
俺は、みくるさんをギュッと抱きしめ、別れを告げて家に帰った。

さて、俺は今、みくるさんの家の前にいる。
時間は8時半。
下のオートロックは、たまたま通りがかった人が開けてくれた。
ピンポーン。
……合計12回目のチャイム、まだ出てこない。
俺が13回目を押そうとした時、中からドタバタと音が聞こえ、ドアが開いた。
「ふぁ、ふぁいっ!ご、ごめんなさいっ!……あれ?キョ、キョンくん?な、なんでここ…にぃ?」
ベチッ!
俺は、即時にデコピンを叩き込んだ。
「目、醒めましたか?」
「痛いよぉ~…あうぅ~。ね、寝坊しちゃいましたぁ……、ご、ごめんなさい、です…。」
「やれやれ。」俺はお決まりのセリフを言い、みくるさんに、
「早く着替えて、荷物を持って来てください。俺、ここで待ってますから。」
と伝えた。


俺の家の前。
……もう10分も立ち尽くしている。
「そろそろ、入りましょうよ。」
「ふえっ!?も、もう少しっ!こ、心の準備を……「あっれ~!?みくるちゃんだ!いらっしゃ~い!!」
妹に引きずり込まれ、家の中に入って行った。
よくやった、妹よ。お前にはあとでお菓子をやろう。

え~そんなわけで、うちの親に挨拶したみくるさんと二人で、俺の部屋にいるわけだ。

「キョ、キョンくんのお部屋、キョンくんの……匂いがしますねぇ…。」
どっかで聞いたセリフだ。
「じゃあ、消臭でもしますか?」
俺は軽く笑い答えた。
みくるさんは顔を赤くして、
「もうっ!キョンくんのいじわるっ!!」
と答えた。
「ふわあぁ……、つ、疲れましたねぇ。」
「朝、早かったですからねぇ。」
「ふえっ!?……ご、ごめんなさい、です…。」
「冗談ですよ。……それより、しばらく寝ましょうか?昼飯までまだ時間ありますし。」
「あ、………は、はい。」
「じゃあ、俺は布団取って来ますから、ベッドで寝てていいですよ。」
と言うと、俺は立ち上がり、部屋を出ようとした。
…………シャツの裾を掴まれている。
後ろを見ると、みくるさんが上目遣いでこっちを見ているではないか。
このシチュエーション、男なら萌え死んでもおかしくない!!
と思う自分を、断腸の思いで抑え、口を開く。
「み、みくるさん?どうしたんですか?」
意外な言葉が帰って来る。
「わ、わたし~、あの、枕……変わっちゃうとね?ね、寝れないん…です。」
はい?
そんな訳ないでしょう。

あなたは夏休みの天体観測で、ハルヒに持たれかかって寝てましたよね?
自分の中の突っ込みキャラを必死で抑える。
我慢だ…我慢。
「そ、それで?」
俺はかなり不思議な顔で、口を開いていた。
みくるさんは一人で顔を真っ赤にして、答えた。
「で、ですから……あ、あのぅ…その、ほら…。ね?」
判るか。これで判った奴にはSOS団の1日雑用交代券をくれてやるぜ。
「いや、『ね?』とか言われても。」
「む~…、あの、だからぁ……う、う、腕枕……して、くださいぃ…。」
そういうことか。理解したらいきなり恥ずかしくなってきた。自分でもわかるくらい顔が赤くなってるぜ。
しかし、俺の心は既に決まっている。
「そう……ですか。わかりました。ほら、来てください。」
俺は、ベッドに寝転がり、腕を横に出した。
その腕に、頭を乗せ、俺の方を向いて寝転ぶみくるさん。
俺の理性は限界寸前だぜ、アッハハハー!!
「うふふふ、こ、これなら落ち着けそう…です。」
そうですか、俺は既に心拍数が正常でないのですが。
俺は、さっさと寝ることにしよう、じゃないと暴走してしまう。
「そ、それじゃおやすみなさい!」
「は、はい。おやすみなさい……です。」

目を覚ました。
みくるさんの方を伺ってみる……ん?今、キスされたか?
「今、唇触れましたよね?」
「っ!?あ、ご、ごめんなさいっ!!つ、つい……キョ、キョンくんの寝顔…かわいかったから……。」
「そうですか。…へへへ、今、キスしたんですよね?」
「……はいぃ、もう、恥ずかしい…です。言わないで……。」
俺は会話を楽しんだ後、時計に目をやった。
【15:03】
あれ?昼飯はどうした?
妹こなかったよな?
いろいろ考えつつ、俺はみくるさんと下に降りた。
妹は………いた。
「おい、なんで昼飯の時に起こさなかった?」
「え~?だってキョンくんとみくるちゃん、抱き合って気持ち良さそうに寝てたんだもん。お母さんに言ったらね、『疲れてるだろうからほっときなさい』って言ってたから。」
親に……バレたらしいな。
「あ!!そうそう!起きたら2人で何か食べてきなさいって!!」
妹が二千円を渡してくる。しかも、千円2枚ではなく、二千円札だ。

これは取っておこう。
などと考えていると、隣りでは今にも倒れるんじゃないかという程、真っ赤な顔をしている方がいらっしゃるので、俺は肩を抱いて家を出ることにした。

「………見られちゃいましたねぇ…。」
「ですね。今日は厄日かもしれないですね、あっはっは!」
「わ、笑えないですよぉ……もう…。」
話をしている俺達が向かった先は、SOS団の集合場所である喫茶店だった。
特に意味はないが、話しながら勝手に足が向いていたのである。

「いらっしゃいませぇ!」
の言葉で中に入り、奥の席に二人でついた。
「そういえば、今日って市内探索じゃなかったですかね?みんな歩いてんのかな?」
「で、でも……3人なら、中止に…なりませんかぁ?」
俺はピンときた。
マズい。
もしかして、今日行かないことをあの3人は知らないんじゃないか?
「み、みくるさん。あの……今日、俺達が休むって連絡…しました?」
「え、えぇっ!?キョ、キョンくんが……してくれたんじゃなかったんですかぁ!?」

この展開……ヤバい。
「み、みくるさん!場所変えましょ……」
………遅かった。
そこには、黙って俺達の会話を聞いている3人の姿があった。
「あんた達……あたしの電話を無視した挙句、二人でお食事かしら?団活動もさぼって……。」
「ち、ちち違うんです!!す、す、涼宮さん、これにはわけが……。」
「じゃあ、その《わけ》とやらをた~っぷりと聞かせてもらおうかしら。……有希、古泉くん、好きな物を好きなだけ頼んじゃいなさい!」

ああ、やはり今日は厄日か………。

~9章・終~


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