『God knows』

~1章~

要約するとこうらしい。
俺とハルヒが付き合い、結婚するという未来から来た朝比奈さん。
その可能性が限りなく0になった【長門談】らしく、
その未来がゴッソリ無くなったらしい。
「……どんな道を辿ってもあなた達は結婚する未来にあったんです。それが……」
「俺達の気持ちがパターンと完全に違うようになって、未来が全然見えなくなったわけですね。」
「はい……ここからは、何にも出来なくなりました。」


「「「……………」」」
沈黙。
朝比奈さんは泣きそうな顔、長門は何かを考えるような顔をしていた。
俺は明るい口調で話しだした。
「あははは!朝比奈さん、よかったですね!!」
2人ともポカンとしている。
「誰も未来がわからなくなった、『神のみぞ知る』ってやつですね。……でも、それが元々の生活じゃないですか。」
「それの……何がいいんですかぁ……わたし、何も出来なくなっちゃいました……。」
朝比奈さんの目から涙が溢れだした。
泣き顔もかわいい……なんて場合ではない。

「いいですか?未来が見えなくなったってことは朝比奈さんも俺達と一緒に未来を作れるんです。【規定事項】も【禁則事項】も関係なしに、縛られずに俺達と遊べるんですよ?なぁ、長門。」
俺は長門を見る。
「…………確かに、彼の言うとおり。連続した時間平面が消えたことで、ここから先は誰にもわからない。よってあなたは自由。」
朝比奈さんは涙を流しつつも驚いている。
「うぅ、でも…ヒック……わたしの記憶には……ヒック…未来の様子があるん…ヒック…ですよ?」

「………………」
俺が説明出来ないでいると、長門が喋りだした。

「それはなかったことになる。あなたの記憶だけに残る【パラレルワールド】。……もし、あなたがその記憶を必要としないなら、わたしが消去してあげる。」
長門なりのやさしさなのだろう。
今の説明には溢れだす優しさがあった。
朝比奈さんはしゃくり上げながら、ゆっくりと顔を上げた。
「そっか……。しょうがないですよね、自業自得です。」
と言って、ペロッと舌を出し、ウインクした。
クラッと来たね。と、朝比奈さんがさらに続けた。
「でも、記憶は消さないでくださいね?わたしが小説家になった時の題材にでもしちゃいます!」

気合いを入れるようなポーズを取り笑っていた。
その目にはいろいろな迷いや強い意志のような物が見えた。
「……その意気です!頑張って、【現代人】朝比奈みくるをいまから作って行きましょう!!」
と俺は励ました。
「はい!いまからは、何にも縛られずに、自由に生きちゃいます!」
うん、やっぱり朝比奈さんはこの笑顔が似合うな。


……まさかこんな展開になろうとはな。
これにて一件落着。と、思っていた。
俺がこの言葉を聞くまでは。
「じ、じゃあ、ま、まずは…キョンくん!」
「はい?」
「わ、わわわたしと!デ、デ、デートしてくださいぃっ!!」

~1章・終~



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