第41話 バカが一人いなくなった


朝倉「あら? なんか本の間に栞が挟まっていたけど」
喜緑「どんなキモオタが読んでる本かしら」
朝倉「詩織じゃないわよ。それより見て。栞に何か文字が書いてあるわ」
喜緑「プログラム……ゴニョゴニョ…金建をそろえよ……三日後」
朝倉「なんて書いてあるのかしら」
喜緑「漢字多すぎよね。フリガナふらないなんて、これ書いた人よっぽどのバカじゃないかしら」
朝倉「プログラムってなに?」
喜緑「バカねぇ、涼子は。プログラムっていうのはね……そう、えっと……ぐぅ……スヤスヤ」
朝倉「寝るな!」サクッ
喜緑「ふぁむ? あ、ち、違うわよ。ちょっと考えすぎて頭のヒューズが飛んでただけ」
朝倉「グラムってたしか重さの単位じゃなかった?」
喜緑「ああ、それよそれ。今わたしそれを言おうとしてたの」
朝倉「ほんとかなぁ……。で、何をそろえるの?」
喜緑「見た通りよ。『金建』をそろえるのよ」
朝倉「だからそれはなに?」
喜緑「金といったら金の卵のお話しか思いつかないわね」
朝倉「ああ、にわとりが金の卵を産んだけど、金の含有率が低すぎて売り物にならなかったっていうお話ね」
喜緑「で、建てるっていうのは何かしらね」
朝倉「金……建てる……。そうよ! お金が儲かったんで屋敷を建てたのよ!」
喜緑「儲かるといえば小麦粉よね! この前小麦の先物買いしたんだけどきっと儲かるわ!」
朝倉「ちょ、ちょっと、今さらっと、とんでもないこと口走らなかった!?」

~~~

喜緑「あとこの栞を見たときから、ずっと頭の中に『ユキ』っていう単語が出てくるのよね」
朝倉「あ、それはわたしも。なんだろう。なんかすごく親しみ深い言葉のような気がしてならない……」
喜緑「ユキ……ユキ……雪……」
朝倉「ユキ……雪……ユキ……しるし?」
喜緑「そ、そうか! 雪印!」
朝倉「雪印といえば……牛乳とバター!」

喜緑「小麦粉と卵と牛乳とバターを適当なグラムそろえればいいのよ!」
朝倉「そっかー! さっそくやってみるわ!」

……ジュウ~、ホカホカ

朝倉「ホットケーキできちゃった……」
喜緑「おいしい……モグモグ……これでよかったんじゃない?」
朝倉「そうね、モグモグ。でも、なんか忘れてるような気がするけど」
喜緑「なんだろう……わたしもすごく大事なものを忘れてるような……」
朝倉「……」
喜緑「……」
朝倉「……あ、ああ! なんでこのことにきづかなかったのかしら!」
喜緑「え、なになに? どうしたの!?」
朝倉「シロップ忘れてたわ!」
喜緑「ああ! どおりで!!」


~~有希印の消失~~
    ~ 完 ~



第42話 やっぱり気づかないバカ


朝倉「キョンくん、おはよう」
キョン「あ、ああ、朝倉。おはよう……」
朝倉「どうしたの? 朝からみのもんた見逃したような顔してるけど」
キョン「そんなの観てねえよ。いや、なんか俺忘れてるような気がしてならないんだけど……」
朝倉「わかった。宿題でしょ? 大丈夫。わたしも忘れてるから」
キョン「お前はいっつもそうだな……」
朝倉「でもさ、なんかさ……」
キョン「ん?」
朝倉「わたしも昨日辺りからずっと何かを忘れてるような気がしてならないのよね」
キョン「朝倉もか? 俺も何かものすごく大事なことだったような気がするんだがな……」
朝倉「毎晩二回のオナニーは欠かしたことは無いのにね」
キョン「やかましい」
朝倉「……」
キョン「……」
朝倉「なんだろう……わたしいつもより……何かが足りないような気がするの」
キョン「朝倉……」
朝倉「ひゃっ……つめたっ」
キョン「あ……雪振ってきやがったか」
朝倉「雪……? ユキ……ああ! そっか……そうだったんだぁ……!」
キョン「何か思い出したのか朝倉!?」

朝倉「パンツ履いてくるの忘れてた」ピラ
キョン「ブハッ」

~~ブラは!? ねえ、ブラはどうなの!?~~
         ~ 完 ~



第43話 バカがいなくなっても結局からまれるコンピ研の部長


部長「ふぅ、ようやくOSのインストールが完了したぞ。さて……」
喜緑「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん」
部長「帰れ」
喜緑「ひっどーい、元カノに対してそれはあんまりなんじゃないですか?」
部長「だから何度も言うように、僕は君と付き合っていた事実など無い」
喜緑「あ、なんですかこれ? 新しいエロゲ再生機ですか?」
部長「違う! 触るんじゃない! 今日搬入されたばかりのパソコンなんだ。頼む……まだ一度も……うっう……」
喜緑「あわわわ、泣くこと無いじゃないですか。わたしは誰かさんと違ってそこまで非常識じゃないですよ」
部長「誰かさん……、って誰のことだね?」
喜緑「それはもちろん……あれ、……誰でしたっけ?」
部長「我が部のパソコンを壊しそうな人間で思い当たるのは、君くらいしかいないのだが」
喜緑「わたしはコンピ研のパソコンを壊したことなんてありませんけど?」
部長「何をいっとるんだね。現に前のパソコンを壊されたから、こうして新しいのを買ったんじゃないか」
喜緑「うそうそ、わたしはそんなことしてませんよ。ここに来たのも今日が初めてですから」
部長「そんなはずは……いや……たしかに言われてみればそうだったか……」
喜緑「んもう、部長さん、わたしと別れてからすっかりフヌケちゃったんじゃないですか?」
部長「でも、たしか……なんかちっこい女の子がよくうちに来て、パソコンを壊していたような気がするんだが」
喜緑「わかりした、それは妖怪ナガモンのしわざです。いい祈祷師紹介しますよ。50万円で」
部長「高いだろそれ!」
喜緑「高くないですよ。わたしが考えた妖怪だからお代は、な、なんと3割引なんです」
部長「考えないでくれ」
喜緑「ぶうー、じゃあ、20万でいいです」
部長「そういう問題じゃないから!」

喜緑「もしかしたらその女の子ってカーディガンをいつも着ていませんでした?」
部長「言われてみればそうだったような気もするな」
喜緑「ひょっとするとわたしの持っているイメージと重なるかもしれません。他にどんな特徴がありそうですか?」
部長「なんとなくだが……。ショートカットで大人しめの子のイメージがある」
喜緑「それでどんな感じで話しかけてくるの?」
部長「なんだかぶっきらぼうなしゃべり方だったかな……」
喜緑「なるほど、ツンデレ系のエロゲなんですね」
部長「僕はそういうことはやっていない」
喜緑「眼鏡をかけていました?」
部長「どちらとも言えないな。………かけていたような気もすれば、かけていなかったような気もする」
喜緑「なるほど、眼鏡は着脱可能なシチュエーション……のエロゲ」
部長「だからエロゲから離れたまえ! 僕はやってない!」
喜緑「大丈夫。うちの会長とものすごく趣味が合うと思いますよ?」
部長「その会長も僕とおんなじような被害にあってるのか……かわいそうに……」
喜緑「そんなに嫉妬しないでくださいよ」
部長「同情してるんだよ」

部長「でもたしかにいたような気がするんだ。小さい無口な女の子が……」
喜緑「……あ、それって……もしかして……」
部長「何か思い出したのかね?」
喜緑「架空の妹ってヤツですね。やっぱりエロゲのやりすぎですよ」
部長「だからやってないって!」


~~男はみんなやってないと言う~~
       ─ 完 ─



第44話 緊急バカプログラム


キョン「なあ、ハルヒ。最近、思うんだが、SOS団って最初から四人だったっけ?」
ハルヒ「違うでしょ、五人でしょ」
キョン「だって数えてみろよ……、俺、ハルヒ、朝比奈さんに古泉。全部で四人じゃないか」
ハルヒ「あれ? 言われてみればそうね……。ずっと五人だと思ってたわ」
キョン「たしか俺も五人で申請したはずなんだよ、生徒会には。あと一人誰かがいたはずなんだが……」

ピポ

突然手も触れていないのにパソコンが起動した。

YUKI.M>あなたがこれを読んでいるとき、わたしはそこにいないだろう。
ハルヒ「なにこれ?」
キョン「さあ……」
YUKI.M>これが表示されたということはあなたの鞄にはエロDVDが2枚、ビニ本が3冊隠されているだろう。
キョン「ぶっ! ちょっ! な、なんだこれは!」
ハルヒ「ねえ、これ本当?」
YUKI.M>これは別に鍵でもなんでない。単なるいやがらせ。
ハルヒ「ああっ! ちょっと何よこのいやらしいものは! 学校にこんなもの持って来てたの!?」
キョン「あ、いや……これは谷口に……」
ハルヒ「SOS団にこんな変態がいるとは思わなかったわ! 没収よ没収!」
キョン「ああぁ~……」

YUKI.M>これはMIKURUフォルダ起動プログラムである。起動させる場合はエンターキーを。
そうで無い場合は涼宮ハルヒの乳首を押せ。
キョン「どどどどど、どうなってやがるんだこのパソコンは!!!」
ハルヒ「なによっ! MIKURUフォルダって! 怪しいわね! こんなのエンターよエンター!」
キョン「ま、待てハルヒ! とりゃーっ! さあ押したぞ! ハルヒの乳首!」
ハルヒ「キャーーーッ!」
キョン「あれ? おかしいぞ、なんだこりゃおい、どんどんMIKURUフォルダが開いていく! あぁぁぁ!」
ハルヒ「……ふふふふふ、つい、驚いてかわいい声出しちゃったじゃないの。
いきなりわたしの胸を触るとはいい度胸してるじゃない……。ポキポキ」
キョン「あ、いや、こ、これはプログラムをだな……」
YUKI.M>本当に押すバカはいないと思うが、乳首にスイッチがあるはずなど無い。
キョン「なんじゃこりゃあああぁぁ!」
ハルヒ「歯を食いしばりなさい……。できるだけ奥歯は残しておきたいでしょ?」
YUKI.M>Ready?
キョン「……ああ」


~~永久歯の消失~~
      完



第45話 よかったら、またバカに……


喜緑「会長」
会長「なんだね」
喜緑「よかったら……」ピラッ
会長「白紙の婚姻届なぞいらん」
喜緑「じゃあ、どうしたら結婚してくれるんですか?」
会長「普通、付き合ってもいない相手といきなり結婚することはない」
喜緑「じゃあ、どうやったら付き合ってくれるんですか?」
会長「もう少しおとなしくて、言うことを聞いてくれて、エロくなかったらわからんぞ」
喜緑「それってわたしのこと……?」
会長「『おとなしくて』『言うことを聞く』『エロくない』子だ。少なくともその項目は全て君には当てはまらない」
喜緑「それ以外では完璧ってことですね、うれしいです」
会長「やっぱりバカなんだな、君は」
喜緑「えへへ、よく言われます」
会長「なぜ、そこで顔を赤らめる……」

喜緑「バカなついでに質問なんですけど、会長は何かを思い出そうとするときどんな風にして思い出そうとしますか?」
会長「ふむ……静かにコーヒーでも飲みながら、本を読んでゆっくりと思い出そうとするだろうな」
喜緑「はっ……本!?」
会長「どうしたのかね」
喜緑「ううん、なんでもないです。会長の部屋から無断で借りたエロ本を返していないことを思い出しただけです」
会長「また君は勝手に人の部屋に上がりこんでいたのかね……」
喜緑「本といえば、文芸部に読書好きな子っていませんでしたっけ?」
会長「ん、そういえば……前に生徒会室に呼び出したような気がするな」
喜緑「どんな子だったか覚えてますか? 名前とか特徴とか」
会長「うーん、言われてみればどんな名前だったか……おや? 文芸部に部員なぞいなかったはずだが」
喜緑「うぅ……、会長が他の女の子のことばっかり考えてる……ひどい、ひぐっ、えぐっ」
会長「君が考えさせたんだろうが」

喜緑「あ、そういえば会長、本といえばずっと図書室の本借りっぱなしになってましたよ」
会長「ん、ああ、そうだった。家に置きっぱなしにしていて忘れていたよ」
喜緑「じゃーん、実はもう会長の家から持ち出してきていたのでした」
会長「ほう、たまには役に立つこともあるんだな。勝手に人の部屋に上がるのはやめてもらいたいが」
喜緑「はい、どーぞ」
会長「なぜ股に挟んで渡そうとする……」
喜緑「股図書館に……」
会長「後で返しておいてくれたまえ。その格好でな」
喜緑「か、かいちょーう、結構これ恥ずかしいんですけどぉー」ピョンピョン
会長「知らん」


喜緑「会長は……会長はわたしのこといきなり忘れたりしませんよね……?」
会長「君のような存在を忘れることができるはずがないだろう」
喜緑「そうですか~? そこまで面と向かって言われると照れちゃいますよ」
会長「褒めているわけではない。むしろ記憶から抹消したいくらいだ」
喜緑「安心してください。わたしは……いなくなる前にかならず最後の挨拶をしますから」
会長「……喜緑くん?」
喜緑「キスですか? いつでもどうぞ、ん~」
会長「ちがうっ!」


~~記録より記憶に残るバカ~~
     ─ 完 ─



第46話 ご飯作ってあまらせるバカ


朝倉「ご飯できたわよー」
喜緑「あ、はーい」
朝倉「江美里の好きなカレーよ。たくさん作ったからどんどん食べてね」
喜緑「う、うわぁ……何この量。わたし達二人で食べきれるわけ無いじゃない」
朝倉「あれ? いつもこのくらいの量はすぐになくなってた気がするけど?」
喜緑「無理よ無理。わたしそこまでカレー好きじゃないもん」
朝倉「そうだっけ? あ……なんか前にもこういうことあったわね」
喜緑「あれ……そういえば……もしかしてこれは……」
朝倉「これはカレーじゃなくてうんこだって言いたいの!?」
喜緑「違う。やめてよね、うんこ食べてるときカレーの話するの」
朝倉「逆、逆」
喜緑「こういうのなんていうんだっけ……、ほら、初めての経験なのに、どこかで一度体験したことのあるような感覚」
朝倉「あ、わかるわかる……えーっと、デ……デブじゃ?」
喜緑「冷シャブじゃなかったっけ? うん、まあそういう感じの言葉よね」
朝倉「とにかくそのデブだかなんだかが、ずっと頭に引っかかって嫌な気分なのよね」
喜緑「最近涼子太ったからじゃない?」
朝倉「何か言った?サクッ」
喜緑「言ってない言ってない。ナイフ抜いて」

喜緑「ねえ、これって、この前から頭に浮かんでくる『ユキ』が関係してるんじゃないかしら」
朝倉「『ユキ』!?」
喜緑「なにか思い当たる?」
朝倉「その名前……何度かその相手を呼んだことがある気がする……それもつい最近」
喜緑「どんなときだった?」
朝倉「それが思い出せないのよ。ああ、忌々しい。頭の中が自分で見れたらよかったのにぃ」
喜緑「よかったらやってあげようか?」

朝倉「あ、そうか、昨日トイレでうんこしてたときよ!
 紙がなくなったときになぜか『ユキー、紙もってきてー』って言葉が無意識に出てきたのよ!」
喜緑「だからうんこ食べてるときカレーの話しないでってば!」


どうやってお尻ふいたのかがめがっさ気になるにょろ……

~~バカモンドカレー~~
   ─ 完 ─



第47話 カンダタ以上のバカ


《長門さん……見えますか? 長門さん?》
YUKI.M>……誰? わたしを呼んでる……
《長門さんですね? 僕がわかりますか?》
YUKI.M>あなたは……古泉一樹?……わたしがわかるの?
《ええ、記憶にはないですけど、機関が何者かによって改竄された情報のサルベージを行いまして、
 我々の記憶から消去されていたあなたのことを突き止めました。それとNがMになってます》
YUKI.N>サル……ページ? あなたはサルのように同じページでオナニーをしてるってこと?
《違います。どうやらあなたは少しバカな人だという情報は間違いではなかったようですね》
YUKI.N>それは間違ってる。少しじゃない。
《わざと控えめに言ったんです。なぜ、あなたの情報だけ、僕たちのところから消去されているんですか?》
YUKI.N>メラミがVIP席下から。
《エラーが蓄積したから、ですね。それはどのようなエラーだったんでしょうか》
YUKI.N>なぜわかった。すごいすごい。もっとやって。
《遊ばないでください》
YUKI.N>彼に関するエラーがわたしを暴走させた。そのせいでわたしは統合思念体より処分された。
《暴走とはいったいどのようなことですか?》
YUKI.N>……世界をわたしの望むものに改変しようとした。
《それは恐ろしいですね。いったいどのようにしようとしたのですか》
YUKI.N>それについては後ろにある本棚の上から3段目のところを見て。
《こ、これは……!》
YUKI.N>彼のボーイズラブ小説。こういう彼を作ろうとした。
《……何わけのわからないことやってるんですか》
YUKI.N>安心して。途中からあなたも出ている。
《安心できません》
YUKI.N>あなたは立派に受け役としての使命が果たされる予定だった。
《本当に危ないところでした。あなたを封印した情報統合思念体に感謝します》
YUKI.N>実はまだこの作品は47話目。全100話の大長編の予定だった。完成と同時に世界を改変……
《全部捨てておきました》
YUKI.N>ああ、ひどい! 鬼!
《人を勝手にこんな小説に出しておいてそれは無いと思います》
YUKI.N>でもまだ処女作『ドキッ!ふんどしだらけの男の世界』は捨てられていないはず。
《それはどこにありますか?》
YUKI.N>本棚の一番上の棚にある辞書がフェイクになっているなどと、言うわけが無い。
《ありました。全て処分させていただきます》
YUKI.N>な、なぜそれを……、まさかあなたは超能力者? ひどい……
《まっとうな結果だと思いますよ》
YUKI.N>まあ、また書けばいいかぁ……
《どうやら僕らがあなたのことを思い出す必要もなさそうですね》


古泉「電源オフ……っと」
YUKI.N>あ……そんな……次はもっとエロいこと書くから許プツン


~~最後の望みを絶たれたバカ~~
      ─ 完 ─



第48話 チョコっと甘く、とんでもなくバカ


朝倉「キョンくん、死ん……」
キョン「なんだ、朝倉。死?」
朝倉「ううん、なんでもない。今日2月14日は何の日か知ってる?」
キョン「燃えないゴミの日だ」
朝倉「ふ~ん……そう。ねえ、チョコと命、どっちがほしい?」
キョン「ナイフをしまえ。そりゃ命だろ……、チョコもらって死にたくないし」
朝倉「ひどい……せっかくわたしが作ったチョコをいらないなんて……ぐすん」
キョン「渡したいんだったら、命と両天秤にするな」
朝倉「じゃあ、普通にあげる。はい」
キョン「……毒とか入ってないだろうな」
朝倉「人間って、やらなくて後悔するよりも、やって後悔したほうがいいっていうでしょ?」
キョン「入ってんのかよ……」
朝倉「そんなことないって」
キョン「……中に……ナイフか。食べずに分解してみて正解だったな」
朝倉「……チッ。それはプレゼント。チョコエッグみたいなものよ」
キョン「お前はいったい何がしたいんだ」
朝倉「あーあ、しょせんタワシは亀の子タワシだったかぁ」
キョン「ごまかすな」
朝倉「チョコとナイフを間違えただけじゃない。そんなに怒らないでよ」
キョン「だけってレベルじゃねーぞ!」
朝倉「カナダではよくあること」
キョン「だからお前はこの世界じゃ転校してないんだっつーの!」

朝倉「でもそのチョコの部分は本物よ。おいしいでしょ?」
キョン「どれどれ……あ、ほんとだ。うまい」
朝倉「ふふ、ありがと。苦労して召還した価値があったわ」
キョン「召還ってなんだよ……」
朝倉「ホワイトデーはこっそり期待しちゃおうかな」
キョン「お前は何がほしいんだ?」
朝倉「しいていえば、あなたの命……」
キョン「やらねーぞ……」

山根「あ、もしかして僕の分とかあったりしますか?」
朝倉「あなたには、はいこれ。毒入りチョコ」
山根「……あらかじめ宣告してくれただけ、よかったと思うことにします」


涼子ちゃんったら素直じゃないねっ 
好きならいつもみたいに後ろからさくっ! といっちゃえばいいのにさっ
めがっさめがっさくっ! にょrーーーーー!



第49話 チョコっと甘く、とんでもなく甘いバカ

喜緑「会長発見、捕捉、追跡、捕縛、成功」
会長「喜緑くん……いきなり人をロープで縛るのは風紀に反する。やめてくれないか?」
喜緑「会長、今日は何の日か知ってますか?」
会長「知らん」
喜緑「やだぁ、知らないフリですか? それじゃあ女の子に嫌われますよ」
会長「君がその女の子であれば、私はそれを大いに望むところである」
喜緑「わたし知ってるんですよ。会長が今日、一個もチョコをもらえないかったことを」
会長「何を勘違いしてるのか知らないが、今日は2月13日だ。バレンタインデーなら明日だぞ」
喜緑「ええ、ですからバレンタインデー・イブじゃないですか」
会長「勝手に作るな」
喜緑「明日になって渡したら、わたしより先に渡す不届き者がいるかもしれないでしょ」
会長「頼むから殺しはやめてくれよ」
喜緑「善処します」

会長「チョコを渡すだけだったら喜んでもらっておこう。ただし目の前で君が毒見することが条件となる」
喜緑「わかりました。ではちょっとだけ待ってもらえますか?」
会長「なんだ」
喜緑「いえ、解毒剤を準備するだけです」
会長「さらっと恐ろしいことを言うな。わたしは冗談でいったのだ」
喜緑「わたしも冗談ですよ~。ドキッとしました? もしかしたらそれは恋の予感かもしれませんよ?ドキドキ」
会長「命の危険に晒されるたびに恋に落ちてたら、今頃俺は大ハーレムだ」
喜緑「解毒剤はいりません。単なる媚薬入りです」
会長「ええい、いらんいらん」
喜緑「う~ん、困りましたね。あとは媚薬の入っていないつまらない普通のチョコしかないですよ?」
会長「それにしてくれ。普通のチョコをくれ。頼む、後生だから」
喜緑「会長がわたしのチョコを懇願しているなんて……、ついに世界が黄緑色に染まる日が来たんですね」
会長「気色の悪い世界だな、それは」
喜緑「はい、あ~んしてください」
会長「ちょ、ちょっと、人前でそういうことはやめてくれたまえ」
喜緑「……あっ!」
 ボトッ
会長「あぁ! す、すまん! 落ちてしまった……、い、今のは私の不注意だった」
喜緑「……ううん、いいんです。どうせわたしの作ったのなんて会長にはおいしくないですよ」
会長「そんなことはないと思うぞ」
喜緑「わたし、会長にチョコ受け取ってもらえると思ってませんでしたから」
会長「喜緑くん……」
喜緑「……あ、本当に気にしないでくださいね。どうせ明日もありますから。そう、明日こそが本番ですよ」
会長「本当にすまなかった。今のは私が悪い。心から謝罪する」
喜緑「わたし本当に平気ですから。元々、会長に嫌われるのは慣れてますし……」
会長「……」
喜緑「じゃあ、わたし帰り…ます…ね……」

会長「……待ちたまえ」
喜緑「え…か、会長!? え、そ、そんな! 汚いですよ!?」
会長「ん、なに。モグモグ。ちょっと落ちたくらいなら問題ない。3秒ルールだ。聞いたことがあるだろう?」
喜緑「会長ぉ……グス」
会長「なあにかえって抵抗力がつく。うん、うまい、うまいぞ、喜緑くん」
喜緑「よかったぁ……。落ちてもバイキンがつかない様に洗剤混ぜといて」
会長「てんめぇぇぇえ! ここまで計算ずくかぁぁぁ!ブクブク」


甘いなぁ会長氏はっ でもそんなところがちびっと素敵だぞっ めがっさめがっさ



第5部 最終回

第50話 バカの帰還


朝倉「昨日、チョコを召還したとき、なぜかこの子も一緒に召還されちゃったんだけど」
喜緑「あら……どこからきたの? 名前は?」
長門「……長門有希。ようやく帰ってこれた」
朝倉「知ってる?」
喜緑「知らない」
長門「あなた達に忠告しておく。今すぐ思い出さないと後で公開することになる」
朝倉「紅海って何よ。歯向かおうっていうの?」
喜緑「生意気な子ね。わたし達が強盗支援隊のコンタクト用キューティー・フェイスだと知った上でのおいたかしら?」
長門「あなた達よりもわたしのほうが能力は上。ハメておけ」
朝倉「『やめておけ』でしょ。結構やるじゃない。わたし達といい勝負のバカね」
喜緑「げっ!……り、涼子、涼子!」
朝倉「何?」
長門「……あなた達にもう次のランチタイムは来ない」ゴゴゴゴゴゴゴ
朝倉「え……、あ、あれ? どこかで……」
喜緑「早く思い出して! じゃないと大変なことに!」
朝倉「キイヤーー!! な、なんてことをぉぉ!」
喜緑「早くビデオ返さないと延滞料とられちゃうー! しかも別々の店で2つ借りてるのにー!」
長門「待て」

朝倉「二人でダッシュでいけば間に合うかな……、江美里はこっち返してきて。じゃ、いってきーす」
喜緑「あ、有希はおうちでお留守番しててね。冷凍庫に昨日のカレーあるからチンして食べてて」
長門「わたしのこと思い出してるのに無視しないで……」


~~第5部 もし長門がバカのくせにいなくなったら~~
         ──完──



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