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もしもシリーズ
もしもハルヒと古泉の立場が逆だったら
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その横顔は、あらためて見るとムカつくくらいに整っている。いい男だ。
長門は言った、「進化の可能性」と。朝比奈さんによると「時間の歪み」で、
ハルヒに至っては「ホモ」扱いだ。
では俺にとってはどうなのか。古泉イツキの存在を、俺はどう認識しているのか。

~中略~

思い出せ、朝比奈さんはなんと言ったか。その予言を。
それから長門が最後に俺に伝えたメッセージ。ハルヒが渡してきた漫画本。
白雪姫、スリーピング・ビューティ、くそみそテクニック。
いくら俺でもsleeping beautyの邦訳を何というのかは知っている。
これらを統合して考えてみると…
なんてアブノーマルなんだ。アブノーマルすぎるぜ。
朝比奈さん、長門、そしてハルヒ。そんなウホッぽい展開を俺は認めたくない。
絶対にない。
俺の理性がそう主張する。しかし人間は理性のみによって生きる存在にあらず。
長門ならそれを「ノイズ」と言うかもしれない。
俺は古泉の手を振りほどいて、ブレザーの肩をつかんで振り向かせた。

「どうかしましたか?」
「俺、実は短髪萌えなんだ」
「え?」
「いつだったか見せてもらったお前の野球部時代の坊主頭は
そりゃもう反則なまでに似合ってたぞ」
「それは…光栄ですね。まさかあなたにお褒めの言葉を頂けるとは…」

ただでさえ細い目がさらに細くなった。言葉を続けようとした古泉に、
俺は強引に唇を重ねた。
こういう時は目を閉じるのが作法なので俺はそれに則った。
ゆえに、古泉がどんな顔をしているのかは知らない。
驚きに目を見開いているのか、俺に合わせて目を閉じているのか。
今にもぶん殴ろうと手を振りかざしているのか、俺に知るすべはない。
ただ一つ気になる点といえば、こいつ、やたらと舌を絡ませてきやがる。
俺の中で、少し前から感じていたこの奇妙な気持ち。
いままで感じたことのなかった、古泉に対しての感情。
そうか、そうだったんだ。
がちゃり―― 新世界のドアが開く音が確かに聞こえた。
俺は肩にかけた手に力をこめる。しばらく離したくないね。

~そして翌日~

窓際、一番後ろの席に、古泉はすでに座っていた。何だろうね、あれ。
頬杖をつき、外を見ている古泉の頭。
男にしては長髪気味だった古泉の頭は、まるで収穫後の麦畑のように
綺麗に刈り揃えられていた。

「よう、元気か」
俺は机に鞄を置いた。
「それはもう。昨日、素敵な夢を見ましてね。」
古泉は気持ち悪いほどの満面の笑みで答える。それは奇遇なことがあったもんだ。
「おかげで興奮して眠れませんでしたよ。今日ほどあなたに会うのが
楽しみだった日もないですね」
「そうかい」

硬い椅子にどっかと腰を下ろし、俺は古泉の顔をうかがった。
うっとうしそうだった前髪が消え去っていて、実にさっぱりしている。
こいつがうすら笑いを浮かべているのはいつものことだが、俺をじっと見つめる
その瞳からは、いつもよりずっと粘着質な視線が発射されている。

「古泉」
「なんでしょう?」
微笑みを絶やさないこの同級生に、俺は言ってやった。
「やらないか」

-fin-
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