その時、俺は見た。
能の面のような涼しいというより冷たい顔をしていた長門が
顔を大きく歪めて大粒の涙を流すとこを。
まるで遊園地で迷子になった子供が寂しさと不安を堪えきれず遂にないてしまうように、
長門は泣き始めた。

さっきまで怒っていた俺は突然の長門の異変に狼狽した。
あの長門が・・・まさか、泣くなんて。
俺は長門の肩から手をそっと放し、すまないと一言言った。

三週間前くらい前だろうか。長門のインチキ魔法の回数が急に多くなったのは。
度を越している、もうよせと長門に何度も言ったが、長門はやめなかった。
今日の昼休み、もしかしたらハルヒに危険が及ぶインチキを長門は行い、それで俺は腹を立ててしまったのだ。。

しきりに涙を手で拭いながら肩を小刻みに揺らしている長門を見て、俺は思った。
情報誌念体から作られたアンドロイドだとは言え、長門は感情を持っているのだ。
3年もの間―いやもっと長い間―ハルヒや俺たちを見守り続け
そんな生活に嫌気が差しやけくそになっていたのかもしれない。

もう一度謝ろうと声を掛けようとすると。
これは誤作動 気にしないで と長門は途切れ途切れ声を震わせながら言った。
今見る長門の姿は、とても小さく見えた

次の日、自己嫌悪になりながらも学校に登校するとハルヒが消失していた。ハルヒが座るべき席に朝倉が座る。
これで、この展開は2度目・・・。文芸部の部室には能面の冷たい長門ではなく、内向的なごく普通の
高校生長門がいるのだろう。
分かったよ、長門。きっと今の内向的なごく普通の高校生の長門が本来あるべき姿なんだ。
俺のせいだ。長門のどこにも逃がすことのできない傷がこの世界を作る。

放課後、文芸部の部室の長門に会いに行った。
「殴ってすまなかった」と俺は土下座をした。
長門は面食らった顔をしたが、顔を赤らめ少し微笑み、何か納得するように大きく頷いた。


俺はなぜか安心した。本人に、あの能面のように冷たい長門のほうに許してもらえたわけではないのに安心した。
彼女はぱたぱたと端に置いてある机に向かった。そして、遠慮がちに俺に紙を突き出す。そう入部届け



そこから、意識を失い気づいたときにはベットの上だった。この展開も2度目なんだが。
ただ前の展開と違ったのは長門が存在しないことになっていることだった。
ハルヒに聞いても「誰それ?あんた頭強く打ちすぎたんじゃないの?」返される。
朝比奈さん、古泉に聞いても、分からないという。

ただ俺は左手で強く握り締められていた入部届けを見るしかなかった。


そうして俺は古泉とこのような仲になった。
「でかい!でかい!!」
長門「撮影開始」

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