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ナガトユキ   ナガトユキ   ナガトユキ・・・・

普段聞こえないはずの声に驚かされ深夜私は目が覚めた。

ヒューマノイドインターフェースである私は夢を見ない。
そのため夢にうなされる事やましてや幻聴に悩まされるハズなんて無かった。

しかし、今でも耳に残る低く、そして響く不快な声。

小さなため息を漏らして私はまた眠りの世界に入った。

朝学校に着くと私は一人の人物とコンタクトをとった。

私の同じヒューマノイドインターフェースである喜緑江美里である。

「喜緑江美里あなたに質問がある」

「あなたから話をしてくるなんて珍しいわね、長門さん?今日は日直で職員室に行く用事があるから手短にね」

「・・・あなたは夢を見たことがある?」

「夢・・・?夢って言うと有機生命体が睡眠中に見る夢のこと?それとも未来への願望の事かしら?」

「・・・前者」

「私は見たことが無いわね。それに人間と似て非なる私たちには夢という概念は無いと思うのだけれど・・・」

「・・・そう」

「長門さん、夢をみたの?」
彼女は驚いた様子で質問してくる。
「・・・」
「そう。それは良い事なのかも知れないわね。本来夢を見ないはずの私たちが夢を見る。素敵な話ね」

「・・・」

「あなたが涼宮ハルヒと行動を共にしている影響かしら?」

「・・・わからない。しかし三年前と考えが変わったのは確か。」

「そう。もしかしたら、長門さんは人間に近づいているのかもしれないわね。少しずつだけど・・・確実に・・・」

「じゃあ、日直だからそろそろ行くわね。学校が終わったらあなたの家にいってもいかしら?もう少しあなたと話したいわ」

「わかった。・・・まっている」

放課後、当然のようにSOS団の部室に行く。彼女も生徒会の役員として仕事がある。帰宅時間はほぼ同じのハズ。

いつのも席に座って、いつもの様に本を読む。

涼宮ハルヒはパソコン。朝比奈みくるはお茶お入れ。後の二人はボードゲームをしていた。
いつもと同じ部活の風景。ただ違うのは私の異常。

十二月十八日とは別種のエラー。幻聴。急進派によるウイルス?

「長門?大丈夫か?」
彼が私に声をかける。彼を見上げる。

「ボーッとしてたみたいだけど大丈夫か?」

「・・・大丈夫、心配ない。」
大丈夫ではない。体にエラーが蓄積されている。

「・・そうか」
彼はそういってボードゲームに戻っていった。

しばらくして私は本を閉じる。私が本を閉じるのがSOS団の部活終了の合図になっているらしい。
いつもより早い時間に本を閉じた私に彼が目を向ける。彼が何か言いかけたのを私は頷きで制する。

彼は何も言ってこない。ただ心配したような顔を私に向けた。

「心配ない。大丈夫」ただそれだけ言って私は部室を後にした。

帰宅。玄関に着くと喜緑江美里が既に待っていた。

「遅いよ?それと長門さんいつもインスタントのカレーばかり食べてるから、夕食の材料もかってきたわ」

「待たせた事に謝罪する。」と軽く頭を下げて私は彼女を部屋に上げた。

「とりあえず夕食の準備をするから、長門さんはリビングで待ってて。話は食べながらでもできるから」

彼女がエプロンをしてキッチンに行く所を私は呼びとめた。

「夕食の献立は何?」

「ふふっ、ピーマンが安かったから、たことピーマンの和風マリネと、ピーマンの肉詰め。後はお味噌汁でも作るわ 」

その時、

ナガトユキ   ナガトユキ   ナガトユキ・・・・

「うっ・・・」昨晩と同じ声。低く冷たい声が私の耳に聞こえてきた。
私は耳を押さえその場にしゃがみ込んだ・・・。

ナガトユキ   ナガトユキ   ナガトユキ・・・・

「長門さん?長門さん!!??」彼女が駆けつけてくる。
「大丈夫!!??どうしたの!!?」

ナガトユキ   ナガトユキ   ナガトユキ・・・・

「耳がっ・・・」
薄れ行く意識の中で彼女が左手にピーマンが握られているのが見えた。

目を覚ますと喜緑江美里が心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
時間を確認すると気絶してから五分しか経っていなかった。

「顔色も悪くないし大丈夫そうね。」
そういって私に水を渡してくれた。

「どうしたのかしら?またエラーが蓄積されているのかしら?それにしても・・・」
彼女は独り言のようにブツブツと喋っていた。

「と、とりあえず私は夕食を作るわね」
彼女が言う。
「いい。食べられる気分ではない」

「そんな時だからこそ食べるべきだと思うんだけど・・・」

「いい・・・」

「そう、でも困ったわね、一人でこんなにピーマン食べられないわ・・・」

「あなたの家に持ち帰ればいい。材料があっても私は料理することができない」

「そう、じゃあ今日は帰るわね。長門さんの体調も良くないみたいだし・・・。夢の話はまた今度ね!」

「今日はありがとう。心配をかけた」
お礼とお詫びを彼女に言う。

「そんなかしこまる事無いわ。私たちは兄弟みたいな仲じゃない!なにか力になれることがあったら、ちゃんとお姉ちゃんを頼ってね!」

「ありがとう。・・・お姉ちゃん」

「ふふっ、じゃあ、またね、有希!」

彼女は手を振り玄関を出た。

一人自室に残された私の心には暖かさが残った。


体調が悪いので今日の夕食は抜きにして、いつものように炬燵に入って本読む。

ナガトユキ   ナガトユキ   ナガトユキ・・・・

「ッッ!!!」
また同じ声・・・。



ナガトユキ   ナガトユキ   ナガトユキ・・・・
ナガトユキ   ナガトユキ   ナガトユキ・・・・
ナガトユキ   ナガトユキ   ナガトユキ・・・・
ナガトユキ   ナガトユキ   ナガトユキ・・・・
ナガトユキ   ナガトユキ   ナガトユキ・・・・
ナガトユキ   ナガトユキ   ナガトユキ・・・・
ナガトユキ   ナガトユキ   ナガトユキ・・・・

ナガトユキ ピーマンはちゃんと食べなさい。


           おわり
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