長門がいなくなって数日経ったが気になることがある。
手紙の最後の言葉・・・。”新しいインターフェースとコンタクトをとって”
 
結果から言えば呆気なくどういうことなのか判明した。
 
俺にとっていつも通りではない文芸部室で古泉とオセロでやっていた時。
いつも通りの勢いでドアが開いた。
 
「みんな~!まった~?」
「今日は紹介したい子がいるのよ~!その名は!」
「長門有希でーす!今日転校してきたばかりだけど面白そうだからこの部に入ろうと思ってまーす。」
「古泉君の次にまたもや謎の転校生よ!」
 
な、長門!?いや、どう考えても違うだろ。見た目はもしかしたら長門かもしれないが。中身がおかしいって。
 
「あっ、キョンくーん。会いたかった~!」
 
こ、こら。抱きつくな!
 
「キョンその娘と知り合いなの?」
「えっと・・・まぁ遠い親戚みたいなのかな・・・。」
「ふーん。」
 
どうなってんだながと!?それにそのテンションは・・・。
「細かいことはあとあと!終わってから帰る振りしたらまた文芸部室に戻ってきてね!」
 
その後の長門はハルヒと部活動終了までずっと話をしていた。


 
全員部室から出て行ったところを見計らって再度部室に入る。
長門は折畳式テーブルの前に立っている。
 
「で、お前は本当に長門有希なのか?」
「確かに長門有希だよ!でも正確には新しい長門有希だけどね。」
「それはどういうことなんだ?」
「以前の長門有希と同じところは外見と蓄積されたデータと能力そのたもろもろなんだけどぉ。
精神だけはまるっきり別ていうか、以前の長門有希だとなぜかエラーとかバグがいっぱい発生してたんだよね。
だから以前の長門有希のデータから有機生m・・・人間と一番触れ合いやすいと思われる形で再構築されたのが
あたしなの。だから、長門有希であって長門有希ではないの。」
「それなら新しいインターフェースってのはお前で良いのか?」
「まぁそういうとなんだけどね。暗くなってきたからそろそろ帰りましょ!」
 
そんなこんなで今、長門に腕を抱かれながら帰宅中。
あの~あたってるんですけど~・・・。
 
「あててんのよ!」
 
はぁ、そうですか。
 
「なに~?やっぱりこうされるんならみくるちゃんとか涼宮さんがいいの~?」
 
いや、そういうわけでは。
 
「じゃぁ、いいでしょ!」
 
途中の分かれ道でやっと離れることができた。あぁ・・・でもあの感触も・・・
ってなに考えてんだ俺は!!
 
先が思いやられるぜ・・・。


 
学校に来て放課後まで一気に時間がすっ飛んだかと思うほど今日ほど時間の感覚が無い日はないだろう。
下らん授業中の様子がどうだなんてことはだれもが気にすることじゃないと思うが唯一言える事はなぜか
いつもより教師どもの下らん世間話が多かったことだろう。
まぁおかげで早々に朝比奈さんのいるであろう文芸部室兼SOS団部室へ向かうことができるがな。
 
文芸部室前。いつもの朝比奈ボイスを期待にドアをノックする
「は~い、どうz」
「キョーンくん待ってたよぉ!」
 
ドアを開けようと手をノブに伸ばしたとたんドアが開けられ何かが押し倒して・・・いや、体当たりしてきた。
 
「おっそいよキョンくん。待ちくたびれたー」
俺じゃなかったらいったいどうするつもりだったのだろうか。
「わざわざノックしてくれるなんてキョンくんだけでしょぉ~」
ああ、そういえば前の長門の記憶は引き継がれるのか・・・。
 
「あ、あの!キョンくん。何をしておられるんで・・・」
 
え?朝比奈さん・・・って長門!早くどいてくれ!
 
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・
 
「キョンくんお茶ですぅ。」
朝比奈さんありがとうございます。
 
「みくるちゃんあたしのもお願しま~す」
「はいはい」


 
「また新しく買ってみたお茶なんでけどどうでしょうか・・・?うまく煎れれてればいいんですが・・・。」
「もちろんおいしいですよ。」
「よかったぁ!」
 
何度か行っている気がするが朝比奈さんが煎れれば下水の水だってアルプスの天然水以上だ!
 
・・・
 
「ねぇ、なんでキョンくんはいつもみくるちゃんとか涼宮さんばっかり見てるの?」
「長門・・・?」
「みくるちゃんはずるいよ。キョンくんと仲良くなんかしちゃいけないのに。」
「長門。」
「なんでみくるちゃんは「長門!!!」
 
椅子を後ろに蹴り倒して立ち上がっていた。頭に上っていたちが一気に落ちていく。
何で長門がこんなことを言い始めたのだろうか・・・。
 
「すまん。頭を冷やしてくる。」
 
そんなことを俺は言っていた。本当はその場からすぐに逃げたいだけだった。
 
翌日から長門とはほとんど口をきかなかった。
 
だが、ある日。下駄箱に手紙が入ってた。”放課後、部活が終わったらまた文芸部室に来て。”
長門からだった。これは俺からも誤るチャンスだろうと思った。


 
微妙に悪い空気の中で部活動終了後。また文芸部室へと戻ってくる。
 
「長門・・・。」
「あのね・・・もうすぐお別れなの・・・。」
 
何を唐突に!?
 
「本当はあたしは人とうまく触れ合えるように作られたテスト用のインターフェースなの。うまくいったら
観測とテストを継続できたんだけど・・・キョンくん怒らせちゃったから・・・。失敗なの。」
「あれは俺がいけなかった。長門が何を考えていたのか分からなかった。つい頭に血が上って・・・」
「だったら・・・なんで?・・・なんであたしをもっと見てくれないの?」
 
俺の前にいる彼女の目に光る粒が浮かぶ。
長門・・・すまなかった・・・。
そういいながら俺は長門を抱いていた。
 
「キョンくんの匂い・・・。ありがとう・・・。でも、もう消えちゃうの。」
 
下を見るともう長門の足が光の粒となって消えかかっていた。あの時のあいつと同じように・・・。
 
「長門!!!!」
 
「最後に一つだけお願いしても・・・いい?」
「ああ・・・。」
 
長門は目を瞑って少し背伸びした。
 
俺は黙ってその柔らかな口に重ねる・・・









 
・・・何かがあたるような感触は無かった・・・












 
俺は・・・俺は2回も長門を・・・。








 
「わたしはここにいる。」








 
長門!?
 
俺のorz体制前に長門がいた。昔の・・・長門だ・・・。
 
「どういうことだ!?」
「テスト用が失敗という結果になった。そのため元のデータにより復元された私がいる。」
 
そうか・・・長門は無事だったのか・・・。



 
「貴方のために・・・もう少し笑えるようにする。」
 
そう言った長門は薄く微笑を浮かべていた・・・。その笑い顔にはハイテンションな長門の名残があった
ように思える。
 
あんなハイテンションな長門もよかったかな・・・。
 
---fin---

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最終更新:2020年03月15日 18:22