キーンコーンカーンコーン
長門以外誰もいないSOS団の部室に休み時間終了の音が鳴る。

長門 「(・・・・授業。」
長門が部屋を出ようとしたとき、一人の着物を着た少女が現れた。
長門 「・・・・・誰?」
地獄少女 「私は閻魔あい。あなたを地獄に流します・・・。」

少女がそう答えた瞬間、長門は霧の濃い薄暗い川を浮かぶ小船に乗っていた。そして少女がその小船を漕いでいた。

長門 「(・・・閉鎖空間?・・・違う。)ここは何処?」
地獄少女 「・・・ここは地獄へ通じている川。」
長門 「・・・地獄?なぜ?」

長門がそう問うと少女はスッと霧だらけの空を指差した。そこには大きな人影が映っていた。

長門 「あれは・・・私のクラスの・・・。」

そこに映っていたのは長門の担任だった。

地獄少女 「あの人の依頼で貴方を地獄に流すことになった。」
長門 「先生が・・・。」

いつも無表情な長門も驚いているようだった。

  • 数日前 -

長門はクラスメイトによく虐められていた。
何をしても抵抗しようとしない長門が憎たらしかったらしい。

女子A 「ナーガートー、アンタさー、あのSOS団とか言う奴らの仲間なんだってねー。」
女子B 「えぇー、まじでー?SOS団ってこの前バニーガールの姿でビラ巻いてた奴らのことでしょー。」
女子C 「そんな奴らの仲間なんだー。キモーい!」
男子A 「まーた始まったよ、女子の長門虐め。」
男子B 「よくやるねぇ~。」

今日も長門が数名の女子に囲まれからかわれている。

長門 「・・・・」
女子A 「・・・何か言ったらどうなのよー。」
女子B 「本ばっかり読んでんじゃねーよ!」

そう言って長門の本を取り上げた。

長門 「・・・・」
女子B 「・・・・・・何か言えよー!」
女子C 「うぜーんだよテメー!」
女子A 「何されても平気みたいな顔してんじゃねーよ!!」

ドカッドカッ
そして女子達は長門に蹴りを入れはじめた。
椅子から転げ落ちる長門。

女子A 「ギャハハハ、転がってんじゃねーよ!」
女子B 「あはは、おパンツ丸見えですよー。」
女子C 「脱がしちまおーぜ!」
男子A 「(おいおい、まじかよ!」
男子B 「(お宝映像ですかー?」
長門 「・・・・・」

そこへ先生が入ってきた。長門の担任である。
大声で騒いでいるのを注意しに来たみたいだ。

担任 「お、お前達!何をしているんだー!!」
女子A 「ヤベッ、逃げろ!」
女子B 「きゃ~。」

女子達は教室から走り去っていった。

担任 「大丈夫かっ?長門!」
長門 「・・・・平気。」
男子A 「(ちぇっ、いいとこだったのによー。」
男子B 「(まったくだ・・・。」
担任 「長門、とりあえず職員室に行こう・・・。」
長門 「・・・・・」

担任 「なんで虐められていたことを黙ってたんだ・・・。」
長門 「報告する必要が無かった。」
担任 「何を言ってるんだ、虐められるのは嫌だろう。」
長門 「・・・平気。」
担任 「む、むぅ・・・。」
長門 「・・・そろそろ戻らないと。」
担任 「あ、あぁ。そうだな・・・。本当に大丈夫か?」
長門 「・・・平気。失礼しました。」

担任 「(はぁ・・・、何で私がこんなことしなくちゃならんのだ。)」
   「(教師という立場上はあぁするしかなかったが・・・。虐めが私のクラスで起こってることが校長先生の耳に入ったら・・・。)」
   「(説教しても反省するような奴らでもないし・・・。どうしたら・・・。)」

担任は自分の先生という立場上、しかたなく長門を助けたらしい。良心などこれっぽっちもなかったのだ。

長門が教室に戻ると、長門の本がビリビリに千切られて散乱していた。

女子A 「おぃー、ながとー。これお前の本だろーが!片付けろよー!!」
女子B 「早く片付けねーと先生来ても授業始められねーだろーがー。」
女子C 「えー、私こまっちゃう~。」
女子 「ギャハハハハ!」

長門は掃除用具入れからホウキとチリトリを出して自分の本を片付ける。
そこに担任がやって来た。

担任 「(ま、またか・・・。)な、長門、何してるんだ。」
女子A 「そいつが急に自分の本を千切ってばら撒いたんでーす。」
女子B 「そーそー。」
女子C 「ビ~ックリしたよねー。」
担任 「(嘘付け・・・。)ほら、先生が手伝ってやるから。早く片付けよう・・・。」
女子A 「ヒュー!先生かーっこいー!」
女子B 「惚れちゃいそー。」
女子C 「くすくすくす。」
担任 「(あー、鬱陶しい・・・。」


そして学校中にある噂が流れ始めた。

生徒 「ねぇねぇ、知ってる?長門とその担任が付き合ってるらしーわよ。」
生徒 「えー、それヤバクなーい?」
生徒 「あの先生ってそういう人だったんだー・・・。」

担任があまりに長門に気を使っている様を見てこんな噂が流れたのだ。

先生A 「・・・あの先生ですよ・・・。」
先生B 「そんなことする人じゃ無い様に見えるのにね。」
先生C 「人は見かけにはよらないという事ですな。」

その噂はついに先生にまで伝わってしまった。
そのことに担任は気づいていた。

担任 「(くそっ、長門の奴さえ居なければこんなことには・・・。せっかく手に入れた信頼が台無しじゃないか・・・。」
   「(長門め・・・。さっさと転校しちまえば良かったのに・・・。長門さえ居なければ・・・・。」
生徒 「ねぇねぇ、知ってる?」
生徒 「なにー?」
担任 「(また私の噂か・・・。」
生徒 「地獄通信っていうサイトがあるらしーんだ。それで0時丁度にそこに名前を書き込まれた人はこの世からいなくなっちゃうんだって!」
生徒 「ほんとにー?こわーい!」

担任 「地獄・・・通信・・・。・・ふふ、そこに長門の名前を書きこめば・・・。噂もいつか消えてくれるかもしれん・・・。」

担任は自分の家へ帰るとすぐにパソコンを起動し「地獄通信」と検索した。

担任 「これか・・・。」

カチッ
検索して出てきたサイトを開いた。

担任 「リンク・・・切れ?・・・所詮ただの噂か。人を殺めるサイトなどあるはずがない・・・。何をしているんだ私は。」
   「・・・まてよ。たしか0時丁度にと言っていたな・・・。今11時半・・・。まさかな・・・。」

担任はとりあえず0時まで待ってみた。

担任 「58秒・・・59秒・・・0時!今だ。」

カチッ
もう一度サイトを開いた
すると、「あなたの怨み、晴らします」という文と名前を書きこむ欄だけの真っ暗なサイトが現れた。

担任 「ぉ・・・おぉ。開いた・・・。あなたの怨み、晴らします?・・はは、晴らせるものなら晴らしてみろ。」

カタカタカタッ
担任は長門の名前を書き、送信した。

担任 「・・・・・・・・・何も起きないじゃないか。まさかもぅ長門は死んでいるとか?・・・そんなわけな・・・イッ!!だ、誰だ!!!」

担任の背後に着物を着た少女が立っていた。

地獄少女 「呼んだでしょ。わたしは閻魔あい。受け取りなさい」

そういうと赤い糸の結ばれたわら人形を差し出した。

地獄少女 「あなたが本当に怨みを晴らしたいと思うなら、その赤い糸を解けばいい。」
      「糸を解けば、わたしと正式に契約を交わしたことになる。怨みの相手は速やかに地獄に流されるわ。」
担任 「・・・地獄・・・か。」
地獄少女 「ただし、怨みを晴らしたらあなた自身にも代償を支払ってもらう。」
担任 「えっ・・・。」
地獄少女 「人を呪わば穴二つ。契約を交わしたら、あなたの魂も地獄に落ちる。死んだ後の話だけどね。」

次の日の休み時間
長門は誰も居ないSOS団の部室に居た。
そして担任はそれを違う部屋から覗いていた。

担任 「死んだ後のことなど、どうでもいい・・・。」
   「長門・・・。地獄で会おう・・・。フハハハ。」
休み時間終了のチャイムと同時に、担任はゆっくりと赤い糸を解いた。
長門は空に映る映像を見ながら、いつもの無表情な顔で小粒の涙を流していた。
長門 「・・・・・そうだったの。先生も私が嫌いだったのね。」
地獄少女 「・・・この怨み地獄へ流します。」

長門を乗せた小船が暗闇へと消えてゆく。


コンコン
ドアをノックする音が聞こえる。
キョン 「うぃーっす。って誰も居ないのか、長門が居ないのも珍しいな・・・。ん?この本は。」

そこには長門が最後に読んでいた本が落ちていた。


END

|