今日は恒例の不思議探索の日だ。 いつも通りというべきか、集合した後、
俺のおごりで喫茶店に行くわけだが、今日はなぜだかハルヒが上機嫌だ。
鼻歌まで歌っている。楽しそうだな、おい
「ふんふん~♪」
ったく・・・一人でほいほい歩いていきやがって、・・・おっと
「おいハルヒ、赤信号だぞ」

「ん・・・わ、わかってるわよそれくらい!」

「そうかい。それならいいがな」
全く、危なっかしいやつだな。あいつらしいっちゃあいつらしいけど。
そのまま喫茶店に入り、班分けをした。 朝比奈さん・長門・古泉ペアと俺・ハルヒペアになった。
そういやハルヒとは、あんまり組んだことなかったな。 まぁ、どうせ振り回されて終わるだけ
だろうな・・・。まあ、そんな元気満点のハルヒが良いんだがな。

「じゃあ、あたし達は北側を探索するから、古泉くんたちは南側お願いね!」

「了解しました」
「はぁ~い」
「・・・・・・」

「さぁ、行きましょうキョン!」
「ああ・・・」
そう言って、行こうとしたら
「ごゆっくり」
古泉がいつもより倍くらいのスマイルで俺に言ってきた。

「それはどういう意味だ?」
俺が多少、ムスッとした顔で言ったからだろうか、古泉は苦笑しながら答えた。
「いえ、そのままの意味ですよ。涼宮さんと楽しんできてください」
この探索のどこが楽しいのかわからんが・・・。俺は腰に手を当てて、しばらく天を仰ぎ
ため息をひとつついた。

「やれやれ・・・。わかったよ」
俺がそういうと、古泉はニカッっと白い歯を見せて笑い、では後ほどとか言って歩いていった。
さあ俺も行くか、と思い振り返えったらハルヒの声が聞こえた。

「こらー!キョン! 早く来なさい!! 30秒以内!」
おっと、団長様がお怒りだ。 
とりあえず、早くハルヒの所に行かないとな と思い、俺は小走りした。
だが、結果的にそれがあだになってしまった・・・。俺は信号を見るのを忘れて、
道路に飛び出していた。 それとほぼ同時にハルヒから声が聞こえた・・・ような気がした。

「キョン危ない!! 右!!!」

ん? 右・・・? 俺は右を見た。2mほど先には車がいた。 

その時俺は、あぁ、これからはねられるんだな・・・。
トラックじゃないから軽く済むのかな? いや、関係ないか。体とかひねったら
うまく避けられたりしないかな? とか考えていた。 しかしその考えもむなしく

  ドンッッ!!!!!

俺は映画とかでやる、ワイヤーアクションみたいに見事に吹っ飛んだ。 痛ぇ・・・。
周りの人たちがざわつきはじめていた。

「キョン!! キョン!!!」
ハルヒが向こうから走ってくるのが見える。 
あいつの前でこんな姿・・・情けないな、ははっ・・・
思考できるってことはまだ生きているんだよな・・・体、動くかな。  ・・・・・・むくり・・・・・・

うお、以外にもすんなり起き上がれた。しかし、かなりクラクラするぜ・・・。

その場で10回転してから歩いてるような感覚だった。とりあえず歩道まで歩いた。
そして電信柱に寄りかかるように座り込んだ。相当ふらついてただろうな。
俺が起き上がったからか、周りのざわつきが一層増したような気がした。そしてハルヒが来た。

「キョン!! ごめん、キョン! 
あたしが・・・あたしが早く来いなんていったばっかりに・・・うぅ・・・」
ハルヒは今にも涙がこぼれそうなくらい、目に涙が溜まっていた。
「ああ! 頭から血が・・・!」

ハルヒはそういうと、ポーチからハンカチを出して、俺の頭を拭いていた。
お前のせいでこんな姿になっちまったよ! ははは!とジョークの一つでも言って、
とりあえず大丈夫そうってことをアピールして、安心させようとしたがそんな雰囲気ではない。

「お前せいじゃないさ・・・、俺が注意して見ていなかったからだ・・・。心配すんな」
俺は努めて明るく言った。
しかし、ハルヒは泣きじゃくったままだ。
・・・なんだか瞼がすごく重くなってきた。

「なあハルヒ・・・」
「・・・な、何?  ひっく・・・」
それはもうにこやかな顔で言ったさ。いや、これといって意味はないけれど
なぜかそういう顔になったんだよな。
「俺・・・寝ていいか?」
「!!!  だ、駄目! 絶対駄目なんだから!! まだ・・・まだあんたに話すことがいっぱい
あるんだから! それに、団長をおいていくき!?」

「なんだよ?・・・話すことって・・・今いってくれよ・・・」
なぜか俺は古泉バリのスマイルだったと思う。
「そ、それは・・・あんたの体の無事が確認できたら言うわよ・・・」
「もったいぶるなよ・・・なぁ?」
ハルヒは困ったような顔をしつつ、頬を赤くしていた。
「あ、あんたの事が・・・その・・・好きなのよ・・・! だから・・・だからいかないでよ! 
これからもっと・・・思い出・・・うぅ・・・作ろ・・・うよ。 ひっく・・・」

ハルヒは俺のことそんな風に思っていてくれたのか。 なんだか嬉しいな・・・ハハ・・・でも、
「ハルヒ、ありがとう。すごい嬉しいよ・・・でも返答は、俺が起きた後で・・・いいか・・・?
すごい・・・すごい眠いんだよ・・・」

「駄目・・・駄目!! 今じゃなきゃ嫌!! 絶対眠っちゃ駄目!!」
「大丈夫だよ・・・お前の瞼の裏にはいつも俺がいるから・・・心配すんな。
目を閉じればいつだって会えるって・・・」
「うぅ・・・バカぁ・・・」
うわ、俺くさい事いってるな・・・。
それにしても眠い・・・これって死ぬのかな・・・。でもなんだろう、
なぜだか分からんが、死ぬって気分じゃないな。もしや死ぬのは苦しいことじゃないのかな?

「ハルヒ・・・じゃあ・・・おやすm・・・」


「え・・・・・・キョン・・・?  ねえってば・・・キョン・・・ウソでしょ? 目を開けなさいよ・・・」
あたしはキョンの事を何度もゆらすが反応が全くない・・・。

「いや・・・イヤ・・・イヤイヤイヤ・・・キョンが死んだなんて・・・やめて・・・
夢なら覚めてよ・・・うぅぅ・・・誰か・・・助けてよ・・・嘘だと言って・・・ イヤァァアアァァ!!!」


BAD END...   (嘘)





「ぐー・・・ぐー・・・  」
「ひっく・・・ひっく・・・」

「ぐー・・・・ぐー・・・」
「・・・・・・え?・・・」
何か音が聞こえるわ。いびきみたいな音の様だけど・・・。 
よく聞くと、それはキョンの方から聞こえた。

「この・・・バカキョン・・・」

どうやらキョンは、本当に睡眠しているようだった。 あたしはすごい安心した。
それと同時に、なぜか多少腹がたってきた。 叩き起こしてやるわ!! と、思ったけど
今日の所はゆっくり休ませて上げることにした。 本当に良かった・・・


その後を軽く語ろうと思う。 
俺はあの後、病院まで運ばれたが、脳に異常も特に見受けられず、
打撲と擦り傷はひどいが、骨折とかも無くて、一週間ほど入院して、退院できた。

ちなみに、眠かったのは、一瞬にしてあのような出来事になって、脳に極度のストレスと
混乱が生じて、強制スリープモードになったのだろう、みたいな事を言われた。
まあ詳しくは分からんが、障害が残らなくて良かったぜ。

俺は退院した次の日、いつもより早く家を出て学校へいった。ハルヒはすでに来ていた。
そこで俺は、ハルヒを屋上の手前まで連れて行った。   さあ、言うぞ。
俺はこういう事に関しては不器用だから、うまく言えるだろうか。

長門じゃないが、うまく言語化できない、齟齬も発生するかも知れない。
・・・んなこと考えてる場合じゃないな。
ちらっとハルヒを見ると顔が赤い。無論俺もだろう。

「あのさ・・・この前のこたえだけど・・・さ」
俺は頭をぽりぽりかきながら言った。
「な、なに・・・」

そうだ、ありのまま・・・ありのままを伝えれば良いんだ!! 何も難しいことは無い!
今の気持ち、それをただ、口にするだけで良いんだ。ただそれだけだ!  ・・・行くぞ!

「俺もお前と同じ気持ちみたいだな・・・。こんな俺でよければ、よろしくたのむ。」

「・・・あ・・・あったりまえじゃない! これからはずっと一緒なんだからね!!」


  • fin-

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