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【第四話-12/07】
 
 どうやら今回のハルヒの失踪は単なる1つの事件では無いらしい。
ハルヒに続き朝比奈さん・長門までもこの地上から姿を消した。俺の偽者、
それが全てを握る鍵なのか? 残されたのは俺と古泉の2人。最終ター
ゲットが俺ならば次に消えるのは……
 
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 今の俺は、もはや学校に行くのは勉強のためというよりも今回の事件
を解決するための待ち合わせ場所としてしか機能していなかった。現に
午前中の授業は頭に入らず。消えていった3人のことしか頭に無かった。
授業中の合間の休み時間、谷口が俺のところへ来て話しかけてきた。
 
「涼宮は今日も休みみたいだな。何かあったんじゃないのか?」
「ああ、実は前にお前から聞かれた後解ったんだが風邪をこじらせて
しまったらしいんだ」
「へぇ……あの涼宮がねぇ……。それよりキョン、朝比奈さんも
休んでるって本当か?」
「ああ、ハルヒの風邪がうつったらしい。あの狭い部室だからな。
風邪が蔓延しても不思議じゃないだろ」
「お前は元気そうだし、移されなくてよかったな。あ、いや移された
ほうが愛情のおすそ分けか?」
「そんな愛情はごめんだ」
 
 アホの谷口はケタケタ笑いながら話していた。今俺が抱えている苦労も
知らずに…・・そうこうしているうちに昼休みになった。古泉に会おうと
したが情報収集などで忙しいのかまだ1年9組には来ておらず、しょうが
ないのでクラスに戻って弁当を食うことにした。考えたらここんところ
昼飯抜きだったな……などと考え暗い気分で弁当を食べた。
 
 午後の授業も上の空、授業中に問題をあてられたこともあったが全く
答えられなかった。まあ、成績がいいほうじゃないし教師のほうもSOS団
の面子だからしょうがないかといったような顔で許してくれたわけだが。
まあ、今回のことが無くても答えられない問題だったから結局は同じこと
だが。放課後になり、さすがに部室に古泉はくるだろうと思い部室に向かう
ことにした。部室を空けるとそこはもぬけの殻。まるで使われていない
部屋のような感じだ。俺は自分でお茶を入れるとパイプ椅子に座って今回の
ことを色々と考えていた。ふとそのときハルヒが消えた日に拾った指輪の
ことを思い出した。上着のポケットに入れていたので、取り出してみた。
そして指輪を見てみると……おかしい、確か拾った日にみたときは指輪に
ついていた宝石の色は青だった。ところが今見ている宝石の色は限りなく
真紅に近い。
 
「どうなってるんだ……色が変わるなんて。まさか温度で変わる特殊な
宝石じゃないだろうな」
 
 俺は指輪を水につけたりお湯につけたりしてみたが色は変わらなかった。
そんなことをやっているうちに古泉が部室にやってきた。
 
「遅くなりました。情報収集に追われて結局今日は授業に出られませんで
したよ」
 
 疲れ顔のスマイルで小泉が言う。
 
「ハルヒや朝比奈さん、そして長門のこと何か分かったか?」
「残念ながら収穫ゼロです。それどころか電話でお話したとおりTFEI端末が
全員地上から姿を消しています。現に喜緑江美里も学校に来ていません」
「そうか……」
「実は昨日我々が分かれた後、長門さんと2人でもう一度会い、お互いに
何かあったときのために緊急連絡装置を持ち合っていました。」
「で、お前が持っていた装置が鳴ったのが午前0時……と」
「そうです。場所は長門さんの部屋からでした」
「今回は外に連れ出していないのか」
「やはり前の2回現れたのはその存在を我々にアピールするためでしょう」
「で、その必要もなくなったから直接いったというわけか」
「でしょうね」
「実は古泉、見てもらいたいものがあるんだ」
「なんでしょう?」
「ハルヒが消えた日に拾った指輪なんだが……」
 
 そういうと俺は指輪を小泉に見せた。
 
「おや、たしか前回見たときには宝石は真っ青だったはず……」
「そうなんだ。ところがさっき思い出して見てみたらこの有様。真っ赤に
なってたんだ」
「ただ、完全に赤……というわけではなさそうですね。まだ青い部分が
かすかに残っています」
「これは今回の事件と関係があるのだろうか?」
「どうでしょう……変色する宝石なのかもしれませんし、長門さんの
話ではこの星に存在し得ない物質のようですし……」
「とりあえず遺失物として預けず俺がまだ持っていたほうがいいな」
「そのほうが懸命だと思います」
「現場百回というが……長門の家に行ってみないか?」
「そうですね。長門さんなら何か手がかりを残しているかもしれません」
「でもあそこオートロックなんだよなぁ」
「その点はご心配なく。こちらのほうで手配します」
「わかった。行こう」
 
 俺と古泉は急いで長門の家に向かった。途中古泉は電話で新川さんに
なにか指示をしていたようだ。そのおかげか、長門のマンションには
すぐ入れ、管理人から合鍵を借りることが出来た。
 
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 俺と古泉は長門の部屋に入るとまず周囲を見回した。争った形跡など
は無く普段の部屋そのものだった。
 
「しかし、長門ほどのものが簡単にさらわれるとはな……」
「そうですね。相手は相当のものと思って間違いないでしょう」
「連れ出さなかったところをみると午前0時ギリギリに現れ、そして長門を
さらったようだな」
「連れ出さなかったのはもうひとつ理由があるのかもしれません」
「と、いうと?」
「長門さんに正体がばれる可能性があったからです」
「なるほどね。近距離ならその正体が明るみになる可能性が大きいか」
「む、見て下さい、あそこに何か紙があります」
 
 古泉が指差す方向、長門がいつも部屋にいる時の定位置に何か紙が
落ちていた。俺はその紙を拾い上げるとその紙を見た。何かが書いて
ある。
 
「これは確かに長門の字だな……」
「ええ。しかしこの意味は一体……」
 
 その紙にはこう書かれていた。
 
『彼はあなた。力』
 
「偽者は俺?」
「力……と書いた後まだ続きを書こうとしてる最中にさらわれたよう
ですね」
「しかし、既に俺の偽者ってことはわかっているからこの”彼はあなた”
という意味は何か別のもののように思える」
「そうですね。あと気になるのが”力”ですね」
「前にお前が言ってた偽者の正体は実は何かの力で出来ているとかか?」
「そうかもしれません」
「そうなると、背後には俺の偽者を作った者がいるかもしれないってことか」
「そうですね……ただ、我々の調査ではそのような組織は確認できて
いません。もっとも、個人でひっそりと事を進めていたのであればわかり
かねますが」
 
 その後も何か手がかりが無いかどうか長門の部屋をくまなく見たが、
その紙以外見つけることが出来なかった。
 
「恐らく長門さんだからこの手がかりを残せたんでしょう。僕がさらわれて
いた場合はここまで迅速に対応できません」
「これでお前がさらわれたら俺1人になっちまうな。そうなったらもう
お手上げだ」
「そんなことを言わないでください。長門さんのメッセージの”彼はあなた”
というところを期待すればあなたでないとこの事件は解決できない」
「だといいんだが……」
 
 俺と古泉はこれ以上手がかり無しとして家にもどることにした。長門の
書いた紙は『機関』で分析してもらうため古泉に預かってもらった。古泉は
このまま『機関』へ行き、そのまま午前0時を迎えるという。
 
「『機関』の建物内は厳重なセキュリティ下にあります。それに人目につく
ところで待機するようにしますので何かあればすぐに周りの人間によって
防ぐことも出来るでしょう」
「そうだな。くれぐれも気をつけてな」
「あなたもお気をつけください。では」
 
 そういって古泉と別れた。内心、長門がかなわなかった相手だ、普通の
人間にかなうはずが無い……と思った。恐らく古泉もそう思っているに
違いない。多分何かしらの手がかりを自分を犠牲にして残すつもりだろう。
そう考えながら俺は家路についた。
 
 キョンたちが長門のマンションを出るまで全身フードで覆った男がその
マンションを影から観察していた。キョンたちが帰るのを見届けると、
 
「あともう少しだな……」
 
 と言い残し姿を消した……
 
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 公園ほどの探索で無かったとはいえ俺は精神的にクタクタだった。
それでも家族に心配を悟られまいと飯や風呂など普段と変わらぬ生活を
して、寝る準備をした。それにしても”彼はあなた”とはどういう意味
なのだ? そして”力”とは? それに変色した指輪の宝石。これらは
全て点と線で結ばれているような気がする。俺は眠れず、午前0時を
待った。午前0時を過ぎた頃やはり携帯電話に電話がかかってきた。

発信者は未登録だ。早速俺は電話に出た。
 
「もしもし」
『夜分申し訳ありません。森園生でございます』
「あ、森さんお久しぶりです。森さんが電話をかけてきたということは
古泉に何かあったんですね!?」
『はい。古泉より何かあった場合すぐにあなたに連絡するようにと伝言を
受けておりましたので』
「古泉は……つれさらわれたんですね?」
『それがその…・・つれさらわれたというのは少々意味が違います』
「と、いうとどういうことですか?」
『我々は古泉を護衛し監視しておりました。そこに午前0時直前にあなた
そっくりの者が現れ、午前0時丁度に古泉と一緒に消えてしまったのです。
まさに一瞬の出来事でした』
「消えた……」
『さらにそれと同時に機関に属する超能力者全員が行方不明になりました』
「他の超能力者も……」
『引き続き捜索をしますが何か分かればお知らせします』
「わかりました。ありがとうございました」
 
 そういうと俺は電話を切った。まさに予想していた通りの展開となった。
それにしてもセキュリティの高い場所に対して楽々現れ、そして一緒に
消える……並大抵の相手じゃない。俺はそんなヤツと戦わなければ
ならないのか、1人で。俺はまるで悪夢を見ているようだ。そんな思いを
胸に疲れ果てて寝た。
 
 まさか、俺だけになるなんて……
 
 
───Missing Ring -失われる7日間- 第四話 終
 

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