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【第二話-12/05】
 
 ハルヒがこの地上から消えた? そう古泉から深夜に電話を
受けた。『機関』は常にハルヒを監視しているからガセなどでは
ないだろう。ハルヒに何かあったのに閉鎖空間が発生していないと
いうことは一体どういうことなんだ? そんなことを考えながら
俺は眠りについていた……
 
・・・・・・──・・・・・・  ・・・・・・──・・・・・・  ・・・・・・──・・・・・・
 
 俺は結局その晩はよく眠れなかった。というより一睡もできな
かったという方があっているかもしれない。俺はいつも通りに
学校へ向かうと、ハルヒのことは間違いであってほしいという
気持ちと共に席に着いた。結局HRまでにハルヒは現れず、また、
午前中も現れることは無かった。途中谷口が、
 
「涼宮が来てないようだが何かあったのか?」
「さあな、俺にはわからん。風邪かなんかだろ」
「その割にはお前の顔が深刻なんでな、ちょっと聞いてみただけだ」
「そうか」
 
 どうやら俺のハルヒへの心配は顔に出てしまっているらしい。まあ、
そうだろうな。急にあんなことを聞かされてはな。そして昼休みになり
俺は弁当も食べず古泉に事情を聞くべく1年9組へ向かった。と、古泉も
俺に会いに来る予定だったのか途中で顔をあわせた。
 
「大変な事態になりました」
「だろうな」
「今まで経験したことの無い事態です。上の方は”世界の終わり
がきた”と真剣に言ってますよ」
「だが、まだ世界は終わってない……この状況を打開する術が
あるっていうことだ」
「そういうことになります」
「ところで、ハルヒが消えた時の状況を知りたいのだが……」
「ああ、実はそのことであなたにお伺いしたいことがあったのです」
「なんだ?」
「あなたは昨晩10時頃涼宮さんの自宅に行かれましたか?」
「いや、俺は学校から帰った後は1度も外出していない。」
「そうですか……変ですね」
「何が変なんだ?」
「実はこっちの調べによると昨晩の10時頃、あなたが涼宮さんの
家に行き、涼宮さんと一緒にどこかに出かけたというのです」
「なんだって……」
「で、その後涼宮さんの足取りがつかめなくなりました。それで
昨日、いえ今日の夜中でしたね、あなたに何か心当たりが無いか
どうか電話で問い合わせをしたわけです」
「と、いうことは俺の偽者がハルヒを連れ去ったということか?」
「失礼かと思いますが……本当に昨晩は涼宮さんとはお会いに
なってないのですね?」
「ああ、それは間違いない。家族に聞いてもらっても分かる」
「わかりました。実は涼宮さんのご家族が捜索願を警察に提出して
いるのですが、その事情聴取の際にこの話をされたのです。ですから
本来であれば警察があなたのところに事情聴取に行くことになります
が、このままでは最悪容疑をかけられて連行される恐れがあります。
ですので、こちらのほうで警察の方はある程度抑えておきます。」
 
「そうしてもらえると助かる。今の時点で誤解から拘留なんてされたら
たまったもんじゃないからな……」
「それにしても妙なのはたとえば誘拐だとして姿を消したにせよ閉鎖空間
が発生していないのです。閉鎖空間は涼宮さんの精神と直結しています
から、何かあれば出現するはずなのですが……」
「ふむ……それは妙な話だな……」
 
 などと話しているうちに昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴った。
 
「ではまた放課後に」
「わかった」
 
 俺は古泉と別れ自分のクラスへ戻っていった。午後の授業中も
ハルヒのことを考え授業の内容など頭に入らなかった。それにしても
気になるのは俺の偽者のことだ。ハルヒに偽者と気がつかれずに、
そして一緒について行くほど安心させられる者……一体誰なんだ。
放課後になり、俺は早速部室へ向かった。部室に入るなり朝比奈
さんが俺に抱きついてきて、
 
「キョン君、涼宮さんが、涼宮さんが……」
 
 と涙をこぼしていた。
 
「落ち着いてください、朝比奈さん。ハルヒは絶対に見つかります。
いや、絶対に見つけてみせます」
「そうですよね、見つかりますよね、キョン君だったら絶対に見つけて
くれますよね」
 
 そういうと朝比奈さんは落ち着きを取り戻し、
 
「あ、お茶を入れますね」
 
 と言って離れていった。
 
「長門、古泉はまだ来てないのか?」
「まだ来てない」
 
 俺は長門にもハルヒが消えた原因を聞いてみた。
 
「私にも解らない」
 
 それが最初に出た言葉だった。
 
「涼宮ハルヒが消えたことによって情報統合思念体は絶望している。
自立進化の鍵を失ったと……」
「まだハルヒが完全にいなくなったわけじゃない!」
「でも今現在この地上に涼宮ハルヒが存在している確率はほぼ0%」
「0じゃなければきっと見つけてみせる」
「確かに。あなたなら出来るかもしれない」
「長門は今回の現象をどう見てるんだ?」
「私は新しい世界が創造され、そちらに涼宮ハルヒが移ったのでは
ないかと推測している」
「でもこの世界は終わってないだろ?」
「そこが謎。そして、涼宮ハルヒを連れ去ったあなたの偽者も謎」
「そうだ、その偽者に心当たりは無いか?」
「無い。というより私ですらその存在に気がつかなかった」
「長門でも存在に気がつかないほどのヤツなのか……」
 
 そう話している時に古泉が遅れてやってきた。
 
「遅くなりました」
「何かあれからわかったか?」
「いえ……残念ながら。ただ、涼宮さんが最後に向かった場所は特定
できました」
「どこだ、そこは」
「公園です。我々がいつも行っている」
「そこに行けば何かつかめるかもしれないな……みんな行ってみよう」
「あのぅ……お茶入りましたけど……」
「あ、頂きます。話し続けていて丁度喉も乾いていたんで」
「ありがとう、キョン君……」
「ところで朝比奈さん、ハルヒが消えた件にについてなにか心当たりは
ありませんか?」
「ごめんなさい、私にも解らないです。それに、解っていたとしても
禁則事項になっているかもしれないし……」
「そうですか……」
 
 俺は朝比奈さんのお茶を一気に飲み干し、みんなが支度出来た後、
全員で公園へと向かった。
 
・・・・・・──・・・・・・  ・・・・・・──・・・・・・  ・・・・・・──・・・・・・
 
 公園についた俺たちは徹底的にハルヒに関する痕跡が無いかどうか
調べた。が、一向に手がかりと思えるようなものは無かった。
 
「手がかりなし……か」
「長門さん、この公園内で次元転送などを行った跡とか見つけること
は出来ませんか?」
「調べてみた結果そのような痕跡は見当たらなかった」
「そうですか……」
「確かに昨晩ついたような足跡がいくつかありますが、この公園から
出て行ったような痕跡は見当たりませんね」
「その足跡のなかに涼宮ハルヒが履いている靴と同様の靴の足跡が
みられる」
「じゃあ、やはりこの公園には来た、しかし移動はしていないかも
しれないってことか」
「そういうことになりますね。超能力者が一緒に空間移動などしない
限りは。しかし長門さんが言うにはその痕跡は無いということですし
……」
「超能力者がいるとすれば俺の偽者だな」
「そういうことになるでしょうね」
「しかし、現時点で情報統合思念体でも涼宮ハルヒの痕跡をこの
星のいかなる場所からも見つけることが出来ない」
「午後10時に家を出てここに来て……何時にハルヒは消えたんだ?」
「情報統合思念体に問い合わせたところ午前0時丁度」
 
 午前0時!?俺が夢でハルヒのことを見た時間だ。思い出した俺は
夢のことをみんなに話した。
 
「それって涼宮さんからのヘルプメッセージじゃないんですか?」
 
 朝比奈さんが俺に向かって言う。
 
「どうだろう……何も言ってなかった気がする」
「この星に溶け込んでいく……ですか。それなら確かに次元転送など
ではないので痕跡も残りませんが……・でも、可能なんでしょうか」
「高次元エネルギー体で無い普通の涼宮ハルヒでは不可能。また、その
ようなエネルギーに変換することも不可能」
「そうすると、ただの”ハルヒがいなくなる”という予知夢だったのか」
「どうでしょうか。恐らく涼宮さんにとってこの星で一番つながりの
深かったのはあなただったと思います。そのあなたがそのような夢を
見るという事は何らかの意味があったとみて間違いないと思います」
「意味……か」
「なんにしろ手がかりの一つではあるでしょう」
 
 その後も公園内をくまなく捜索してみたが手がかりは得られなかった。
そうこうしているうちに夜が更けていった。
 
「時間も遅くなりましたし、今日はこの辺にしましょう。後は我々の
ほうで引き続き調査しておきます」
「わたしも情報統合思念体と連絡を取りながら情報を収集する」
「ありがとう、みんな」
 
 俺たちは各自に自宅へと帰ることにした。ただ、朝比奈さんは鶴屋
さんとこのあと会う予定があるとかで鶴屋さんの家に向かっていった。
 
 SOS団の者たちが捜索をしている時、遠くから全身を覆うフードを着た
男がその様子を観察していた。その気配は誰にも悟られることも無く、
万能宇宙人の長門有希にすら気配を感じ取ることが出来なかった。男は
皆が帰るのを見届けるとその場から姿を消した……
 
・・・・・・──・・・・・・  ・・・・・・──・・・・・・  ・・・・・・──・・・・・・
 
 俺は家に帰ってくると捜索疲れでぐったりしていた。それでも飯など
を済ませると、倒れるようにベットに寝っころがった。
 
「ハルヒ……今お前は一体どこにいるんだ……」
 
 ハルヒのこと、今日の捜索のこと、昨日の夢のこと、それらを考えて
いるうちに俺はいつの間にか寝てしまっていた。寝ていると突然携帯電話
の着信音が鳴り響いた。起きて時計を見ると午前0時を過ぎた時間だった。
午前0時……嫌な予感がする。そう思いつつ電話を取った。発信者は
長門だった。
 
「もしもし、長門か。どうした」
『たった今大変なことが起きたのであなたに報告する』
「なにがあったんだ!?」
『朝比奈みくるがこの地上から姿を消した』
「なに……」
『正確には午前0時に朝比奈みくるはこの地上から姿を消した』
「ハルヒと同じ手口なのか?」
『わからない』
「そうか……わかった。また学校で話そう。たぶん既に知っているとは
思うが古泉にも連絡してやってくれ」
『わかった』
「よろしく頼む」
 
 そういうと俺は電話を切った。ハルヒに続いて朝比奈さんまでこの
地上から消えた? 何か因果関係があるのか? いったいどうなって
るんだ……そう考えながら俺は呆然としていた……
 
 いったい……何が起こっているんだ……
 
 
───Missing Ring -失われる7日間- 第二話 終
 

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