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「軽い貧血ですね、暫くこのままにしていれば意識は戻るでしょう」
ハルヒは大丈夫なんですか?

ハルヒの診察が終わり俺への診察中のことだった、若干緊張し不安気な様子を見せていたハルヒだったが
不安に耐え切れなくなったのかとうとう気を失ってしまったのだ。

「安心してください、彼女は歯科衛生士だけでなく看護師の資格も持っています」
とお母さん先生が補足する、機関の人選に抜かりはないようだった。

俺はハルヒの不安感を軽く見ていたのだろうか?
あいつの不安な気持ちに気づいてやれなかった自分がちょっと情けなかった。

「涼宮さんのことは彼女に任せてあなたはこちらへ、レントゲンを撮る必要があります」
とお母さん先生が言ってきたが俺はハルヒのそばにいてやりたかったので躊躇した。
「涼宮さんは大丈夫です、それに今回の依頼主からの伝言を伝える必要がありますが
涼宮さんがいる場所では禁じられています」
機関からの伝言ということらしい、ハルヒの事は気になったが俺はレントゲンを撮ってもらうことにした。

レントゲンの結果をパソコンで確認しながらお母さん先生は俺の診断結果を発表した。
「あなたの歯は根元から先まで異常ありません、歯茎も問題なしですね」
すいません、それは一体?
「治療の必要が無いということです、今回の治療に先立って依頼主よりいくつかの可能性を示唆されました。
その中には本人の自覚症状に関わらず問題が発見されないというケースが含まれていました。
今のあなたの状況が正にそれです」
あいつは一緒に歯医者に来て欲しいだけだったんだから、まぁそういうこともあるだろうな。
しかしそれならちゃんと歯医者について来て欲しいと頼めばいいんだが……。

「それで涼宮さんですがこちらはごく軽微な虫歯が一箇所だけです、これはちょっとだけ削る必要がありますが
今すぐに治療しなければならないというものではありません、私の契約期間はあと六週間程残っていますので
それまでであればまた日を改めてということでもかまいません」
古泉がいっていた通りの症状だな、まぁ確かにハルヒの状況を考えれば仕切りなおしというのもあるかも知れん。
というか俺に説明されも困るんだが……。

「最終的には涼宮さんが治療するかしないかを判断することになりますが
それに先立ってあなたと二人きりにして涼宮さんが相談できるようにして欲しいというのが
今のような状況に該当する場合の依頼主からの私への指示です。
我々は席を外すようにしますので涼宮さんと話をしてみてください」
あぁそういう事ですか、要は俺にハルヒを説得しろと……。
機関は他力本願過ぎないか……。

「それと今回の依頼主からの伝言です
『お二人が相談されている間はあらゆる意味においてその内容を第三者に見られたり聞かれたりすることはありません』
伝言は以上ですがよろしいですか?」
あぁ、盗聴器や隠しカメラの類いは仕掛けてないってことだな……
つーかなんで一介の高校生が歯医者に来てそんな心配をせにゃならんのだ?
あいつら機関のやることはトコトン理不尽だ。

「あぁそろそろ彼女の意識が戻るようですね」
俺はハルヒが目覚めたときに側にいてやりたかったので急いでハルヒのところに戻った。
いれかわりに歯科衛生士兼看護師さんが退室する。

「キョン……」
大丈夫かハルヒ、ちょっとした貧血だそうだ、気分はどうだ?
「多分……大丈夫」
そっか良かったな、おっとよだれが垂れてるぞ、これで拭けと俺は側にあったガーゼを渡した。
「あっありがと……気を失ってるあたしに変な事してないでしょうね」
よだれの照れ隠しなのかいきなりそんなことを言い出した。
大体変な事ってなんだ? 診療所の人だっているのだから変な事なんか出来るわけもないだろ?
「そっそう……」
んっ、なんだホントは変な事をして欲しかったのか?
「!?、そっそんな事あるわけないでしょ!」
安心しろハルヒの寝顔を見せてもらったくらいのもんだ
「ちょっと何よそれ!」
ハルヒもちょっと元気になったようだ、さてと本題だな。

俺の治療はもう終わったんだ、後はハルヒお前だが今日はどうする? と俺はハルヒに虫歯の状況を説明した。
というわけでこのまま治療してもいいし、明日とか別の日に出直してきてもいいそうだ。
「そう……、今日じゃなくてもいいんだ、でもキョンはもう治療終わったんでしょ?
もうキョンは歯医者さんにこなくてもいいんだよね……」
そうだな……、心配するな俺について来て欲しければいつだって一緒にいってやる。どうだ明日にするか?
こいつのさびしそうな表情を見ていたら自然にそういっていた。
「そっそう、キョンがどうしてもっていうなら明日もついてきていいわよ」
トコトン意地っ張りだな、こいつは。でもハルヒは言葉とは裏腹にすごく嬉しそうだった。

あぁただななぁその前に一つ教えてくれないか、ハルヒの好きな色ってなんだ?
「えっなによそれ、さっき黄色っていったでしょ」
おいおい黄色以外でだ、俺にだけ答えさせるのは不公平だぞ。俺はさっきちゃんと答えたんだ、お前はどうなんだ?
「……何よそれ、さっぱりわかんない!」
しらばっくれるな、ちゃんと答えろ。
「あっ青よ……、これでいいでしょ」
真っ赤になってハルヒは答えた、それを聞いた俺も多分真っ赤だ。
顔を真っ赤にして俺達はお互いに見詰め合っている。やばい真っ赤なハルヒが可愛すぎる。

……ハルヒ変な事していいか?
「そっそんな事女の子に聞くもんじゃ…ないわよ……」
といいながらハルヒは目を閉じた、唇も若干アヒル気味だ。
俺はハルヒの手を握りしめ素早くあいつの唇を奪った。

二度目のキスは歯磨き粉の味がした。

ハルヒはまだ目を閉じている、俺は手を握ったままハルヒに話しかけた。
今日治療して貰おうな、明日はせっかくの休みだ二人でどこかに出かけよう。
「うっうん……、それって……デート?」
あぁいやか?初デートが歯医者じゃおかしいだろ。
だから治療は今日でデートは明日だ。
「うん、そうよね……」

今の内にと衝立越しに隣の部屋に合図を送ると治療が始まった。
治療の邪魔かと思ったがハルヒは俺の手を握ってはなさい。
問題無いかとお母さん先生に眼で確認するが流石は機関御用達の歯医者さんだ
こんな状況でもテキパキと仕事をこなしていく。

「口を大きく開けてください、ちょっとだけ削りますよ」
ハルヒが緊張しているのが俺の手に伝わって来た、俺はあいつの手を強く握り返した。
ハルヒの目は相変わらず閉じたままだ。

「はい口を漱いでください、これで終わりです」
俺はハルヒにかわり礼をいうとハルヒが椅子から降りるのを手伝った。


「キョン……今日はありがと」
んっ、あぁいいさ、帰ろうぜ送ってくぞ。
俺は後ろにハルヒを載せ自転車を走らせた。
背中に感じるハルヒの体温はやけに温かかった。


それでお前の家はホントにどっちなんだ?
「こっちよ、こっち」
あれここはさっきも通らなかったか?
あーハルヒなんだかさっきからずっと同じ場所を通っているような気がするんだが?
「えっ気のせいよ気のせい……すぐに着いたら勿体ないじゃない」
んっ今なんかいったか? 勿体無いとかなんとか
「そっ空耳じゃない? もっと早くこぎなさいよ」
そうかぁ?
「あっそこを右よ右」
さっきはここで左って言わなかったか?
「いいから黙ってこぎなさい」

つきあうようになってもこいつの尻に敷かれそうだな。
やれやれ。

-おわり
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