いつも通りの放課後。
3学期が間もなく終わろうとしているある日のこと。
俺はいつも通り、SOS団本拠地というある意味魔窟と化した文芸部室へと向かっている。
いつも通りならあいつに引っ張られるようにして部室に行ってんじゃないかとかいう、ツッコミはするな。
残念ながらハルヒは担任の岡部から呼び出しを食らっている。
進路希望に関する事なのだそうが、あいつがどんな進路希望を書いたのかだいたい想像できるし、何故呼び出されたのかも予想できる。
めずらしく熱血担任に同情してしまった。岡部も最後の最後まで災難だったな。
さて、そんなこんなで、いつも通り部室のドアをノックし魔窟にとらわれし麗しの王女の声を待つが、いっこうに朝比奈さんの返事がない。
俺は仕方がなく部室の扉をゆっくりと開く。
中にはいつも通り分厚いハードカバーの見た事のない文字で書かれた本を読んでいる長門だけがいた。
「よっ長門。お前一人だけか?」
俺はそういいながら部室に一歩中に踏み込んだ。
――――――!
その瞬間、突如としておそうめまいと混乱。まるで天地がひっくり返ったような感覚。
長門が本を放り出し驚いたような表情でこちらに向かって何かを叫んでいるようだが何を言っているのか聞き取れない。俺はその場で昏倒し倒れ込んだのだった。
………
……
…
目が覚めるとそこは文芸部室だった。
いつもと違うのはほんのすこし後頭部が軟らかい感触がするくらいか。
それもそのはず、長門が俺を抱かえ心配そうに俺を見ていた。
心配そうだというのは俺がそう読み取れたような気がしただけなので他人が見ればいつも通りの無表情に思えるんだろうがな。
「あなたが思った通り私はあなたの事を心配していた。しかし私の顔を構成する筋肉の伸縮を制御する神経伝達は行っていない。私に表情があるという事は有り得ない」
そんな、わけないだろ。
最近は困惑したり悩んだり笑ったり喜んだり悲しんだり、ちょっと怒ってみたり、そういう表情がお前にはあるように俺は見えるぜ。
ほかの野郎が見て無表情に見えても俺はそういう長門の表情がすごく可愛いと思う事もある。
俺がそう『思う』と長門の表情は少し照れたように見えた。
我ながらクサイセリフを『思って』しまったもんだ―――
って、おい!ちょっと待て!
「長門!お前俺の考えている事が判るのか?」
俺はあわてて起きあがり長門に詰め寄る。長門は僅か数ミリあごを引いてうなずいた。
つまりだな、今まで俺の考えていたことが全て筒抜けだったっていうのか?
宇宙人だからそれくらいのことは簡単にできるだろうと思っていたが、そう言うことが出来ると俺が知ってしまうと個人のプライバシーとアイディンティティの崩壊の危機
なんだ。
お前には並々ならぬ恩義がある。
だから俺の考えを読まれていたとしても俺は出来るだけ気にしないようにするが――
【そうではない。あなたの思考を明確に解読可能になったのは、あなたがこの部室を構成する空間に足を踏み入れた瞬間から。その瞬間、何らかの力が介在し、今までかろうじて保たれていた力場が崩壊した。現在のこのフィールド内に足を踏み入れた者は、すべて思考を共有する事になる。先ほどのめまいは私と意識を共有したために起こった現象。統合思念体と一部意識を共有している私の思考とあなたの意識を共有するのは好ましくない影響及ぶため私の思考をステルスモードに変換。いまのこの思考はあなたに理解できるように再変換している】
唐突に長門の思考が流れてきた。
多少理解不能なところもあったが、要約すると、部室にいる人間は全てお互いの考えが読めるって事なのか?
俺もこの空間に入り込んだ人間の思考を読むことが出来るって訳か。
しかし、長門が普段どんな事を考えているのかを知れないのはちょっぴり残念だ。
あ、いやこれも、おまえに筒抜けなわけだな?今のは忘れてくれ。
普段からそんな事は思っているわけではないからな、念のため。
とにかく下手な事を俺が考える前に、この部室から出るほうが良さそうだ。
ここから出るには普通に部室から出ればいいのか長門?
【それは不可能。ここは通常空間のように見えるが全く別の異次元空間。私の力を行使しても脱出は困難と思われる】
おいおい、冗談はよしこさん。
古泉曰くただでさえ多数の力場がせめぎ合う魔窟だったのがさらにおかしくなったのか?
しかも長門の力が及ばないくらいの魔窟に。
【元の空間からの接続は断ち切られていない。あちら側からなら容易にこの空間に進入することは可能】
じゃあ部室のドアをくぐるだけで、この異空間に入る事は出来るが出る事は出来ない一方通行の空間ということか。
【……そう】
ならば、他のメンバーが来る前にここに入り込めないようにすることの方が先決だ。
部室の入り口をふさぐなり何か対策をしないといけない。
と、そう思った時
【ど、どうしましょう~。長門さんとキョン君が見つめ合って、いい雰囲気の時にばったり出くわしちゃうなんて私って『禁則事項』で『禁則事項』すぎちゃいますぅ~『禁則事項』ものですぅ~はわわわわ~】
振り向くと、すでにメイド服に着替えている朝比奈さんが部室に一歩足を踏みれた状態で俺たちを見て固まっていた。
しまった。遅かった。
俺と長門は声を出さずに見つめ合ったまましばらく無言で意思疎通していたのだが、第三者から見れば、いい雰囲気の二人と見れなくもないかもしれない。
でもそれは誤解ですよ朝比奈さん。
「えっえっ?な、なにこれ?ななんですか?これは!?私、キョン君の考えてることが判っちゃいます!」
いえ、まあそういうことです。口で説明するのもめんどくさいのでさっきの会話をそのまま思考としてながしますので、とりあえず理解してください。
【なるほど、すごいですね。じゃあ私も今はテレパス能力を持った超能力者なんですね。なんだかちょっぴり嬉しいかな。私は何も取り柄がないですしいつまでたっても『禁則事項』ですからって、あっ!!】
「ひょっとして『禁則事項』なことも全部判っちゃうんですか?私、『禁則事項』で『禁則事項』になっちゃいますぅ。ふえぇぇ~」
朝比奈さんはそういうとガクガクとふるえはじめた。
朝比奈さん大丈夫です。
一応『禁則事項』な事は俺には『禁則事項』としか判らないようになっているみたいですよ。
どういう理屈でなっているのか判りませんが。
「そ、そうですか~、はぁ~ちょっぴり安心しました」
朝比奈さん安堵のため息を漏らす。
そう言えば、なんですでにメイド服なんですか?
さっきここに入ったときに着替え中だとかそんなことを期待しているわけではないですよ。
「ちょっと忘れ物があったから教室まで取りに行ってたんです」
その格好でですか?ああ、一般生徒たちの反応が目に浮かぶようだ。
「でも、あまり皆さん驚かれませんよ。何しろ以前バニーの格好でウロウロしましたから。あれに比べたらこの服装はまだ普通ですし」
【あー思い出しただけでも顔から火が出そうですぅ】
そう言いながら朝比奈さんは顔を真っ赤にした。
しかしなんだ、やっぱりこの人は裏表のない人だったんだなと改めて感動してしまう。
俺はてっきり「いつも胸ばかり見てんじゃねえよエロキョンが!」とか心の奥底で思っているんじゃないかと思っていたんだが……
って思っちゃまずいだろ。
朝比奈さんの顔がさらに真っ赤にそして涙目になっていく。
「私のことをそんな目で見ていたんですか?キョンくん……」
いやですからそれは、普段からそんなことをいつも思っている訳ではなくて、あなたがあまりにも純粋で心も体も乳もあの下着姿もじゃなくて、今の雑念は全て普段から思っているわけではな――
【キョンくんってやっぱりそんな目でいつも見てたんですか……】
あーだから誤解です誤解ですってそんなに変質者を見るような怯えたような目で俺を見ないで下さい!ごく一般の男子高校生の思考なんてこんなもんなんですよ。
ああ、でもその怯えきった小動物のような表情もまた可愛い――
ってなんでこう言うときに限ってそんなことばかり考えるんだ俺は!
今すぐこの脳みそを引きずり出して洗浄してやりたい――
「キョン!あんた、みくるちゃんになにをしたの!」
ひいぃ!
その声に俺たちは声にならない叫び声を上げてふり返る。
なんでこんな一番ややこしいときにこいつはいつも登場するんだ!?
「こんなに怯えちゃってるじゃない。エロキョンが何かしでかしたのね?事と次第によっちゃ、即刻死刑よ!さあ、状況を説明しなさい」
【いつもいつもあたしの気持ちも知らないで、みくるちゃんにばかりデレデレして。変態丸出しの顔でみくるちゃんに近づいているから、ついにみくるちゃんも切れちゃったのね。そうよそうに違いないわ】
ちょっと待て、誰が変態丸出しの顔をしているって?
俺はいつもそんな顔をしているのか?
【キョンくん時々鼻の下がのびてるときはありますけど……たぶんスケベ面って言うんですか?】
ぐっ、朝比奈さんがそんなことを思っていたとは、ちょっと俺ショックです。
【はわわわ、そうじゃないですぅ。涼宮さんが前にそんなこと言ってたから】
いえ、おかげで決心が付きました。
不肖私め、この度のことで朝比奈さんのために心を入れ替え、二度とハルヒにすらエロキョンなどと呼ばせないように清い心で過ごす所存でございます。
しかし、なんだ?何かがおかしい。
ハルヒの考えは俺に丸わかりだが、俺の考えがハルヒに伝わっている様子はない。
これはどういうことだ長門?
【おそらくこの空間に介在したのは涼宮ハルヒの力によるものと推測される】
つまりだな、古泉がここにいれば
『これは涼宮さんが望んでそうなったのです。涼宮さんがあなたに自分の気持ちを知って欲しかった。しかしあなたの気持ちは知りたくはないという微妙な乙女心がそうさせたのではないでしょうか?』
というような感じか。
【……そう】
まったくもって、いつも自分に都合のいい力だな。
「さーキョン!ハッキリ言いなさい!」
【あーもうなによ!今度は3人で目配せしてあたしは無視?どういう事よ一体!?】
ハルヒはいつものように腕組みで俺をにらみ付ける。
まずいな。すみません朝比奈さん、うまく口裏を合わせてもらえませんか?
「ちょっと待て、ハルヒ。なにを誤解しているのかは知らないが事情を説明しよう。先ほど朝比奈さん部室に入るときにちょっと躓いて、それを俺が紳士的に助けようとしたんだ」
「ふーんそれで?」
【どう言い訳するのか見物だわ、ふふん】
「しかし、たまたま胸に手が当たってしまい驚いた朝比奈さんが飛び退いた所に、お前が入ってきた。そう言うわけだ。単なる事故だ。しかし、事故とはいえすみませんでした、朝比奈さん。」
「あ、そうなんです。私がいつも通りドジして転んじゃって。えへへ……。あくまでも事故だから気にしてないですよキョンくん」
【キョンくんそんなウソじゃ、バレバレですぅ】
「ふーん。まあいいわ。みくるちゃんがそういってるから、そういうことにしといてあげる」
【ったく、またキョンたら適当なウソばかり。いつもあたしが気づいているの解ってないのかしら】
ああ、いつも俺のウソがばれてるってマジですか?
それならかなりまずいことになったりしていませんか?
放心状態の俺をいつものように睨み付けて団長席に座りPCを立ち上げるハルヒ。
長門はいつの間にかパイプ椅子に座り本を読み始めていた。
朝比奈さんは、【あ、そうだお茶を入れなきゃ】とか思ってパタパタとお茶の準備を始める。
なんだか落ち着かない空気が漂っている。
ハルヒはぶすっとしたままで、マウスを動かし何かパソコンを操作しはじめたようだった。
【あーもうなんだかイライラするわね。こんな時はKYONフォルダーを――】
「うおぉぉい!ちょっと待てハルヒ!」
「な、なによキョン……」
しまった。迂闊だった!
つい声を出してツッコミしてしまったが、俺がハルヒの心を読めているなんて知ったらどんな目に遭うか想像が出来る。何とかごまかせ俺!
「あ、いや。最近変なウイルスが流行っているらしいからな。パソコンを使うときは気をつけたほうがいいぞ」
「あっそう、コンピ研にウイルス対策ソフトを入れさせているから大丈夫よ。自動更新もばっちりだし」
【あーもうびっくりするじゃないバカ。とにかくKYONフォルダーを開いてと♪】
そこから何か楽しそうな鼻歌がはじまる。しかもサビの部分だけ何故か繰り返している。
朝一番に聴いた曲が何度もリフレインするってことあるだろ?おそらく今のハルヒの頭の中はそんな感じだ。
それにつられて、朝比奈さんまで歌い出す。
部室には二人の思考がデュオとなって漂いはじめたのだ。
しかし、KYONフォルダーを開いてなにをやっているんだ、ハルヒは?
俺みたいにMIKURUフォルダに朝比奈さんの写真を入れていてそれを見ているとかじゃないよな?目の前に現物がいるっていうのに。
まさか、いつの間にか隠し撮りされた俺のアラレもない姿が――
【えっ!やっぱりキョンくんあのときのMIKURUフォルダーってあたしの写真が入っていたんですか?!】
朝比奈さんが俺にお茶を出そうとしたところでだった。
あわてて落ちそうになる湯飲みを受け止める俺。
うわっ!違います誤解ですMIKURUフォルダーには――
【朝比奈みくるの写真を多数確認。DELETE実行】
ながとぉ――――!
【安心して。ゴミ箱内も消去。消去ファイル復元ソフトすら復元出来ないようHDD内
残存データも消去済み】
―――――――!
【かわりにNAGATOフォルダーをを作成、中に私おすすめの100冊の本テキストデータを生成した。読んで……】
あ、ありがとう長門……しばらく立ち直れそうにないからあとでゆっくり読ませて貰うよ。
【あーすっきりした!やっぱキョンの顔に落書きするのって最高ね♪ぷぷ、このまぬけ面。みくるちゃんや有希に見せてあげたいわ。あの無表情な有希が吹き出すかもしれないわね。でもあたしがこの写真を隠し持ってるって事がばれるのも癪だし。うーん何かいい考えがないかしら】
いやそんないい考えなんて出てこなくていいから。頼むからそのまま消去しろ。
長門、このKYONフォルダーも削除していいぞ。つーか今すぐ削除してくれ。
【……ユニーク】
うおい!まさかハルヒ作俺の顔の落書き画像を見たのか?
【……そう。先ほどから情報統合思念体を通してこの惑星に存在するネットワークに介在。この涼宮ハルヒ所有のPCをハッキング……っ】
うつむいて本を読んでいる長門が今にも吹き出しそうな顔になっているのは気のせいか?
ああ、気のせいだろう。長門が笑うなんてすごい画像なら情報統合何とか体も今頃大爆笑だろうぜ。
【少なくとも主流派には大ウケ】
いや、そんなことをいちいち報告しなくてもいい。
俺のまぬけ面も全宇宙的なんて光栄だね。ああ、死にたくなってきた。
【そんなに面白いんですか?キョンくんの写真あたしも見たいですぅ。】
朝比奈さんまで……ああ死にたい。もういい俺は十分に生きてきたと思えるようになった。
頼む長門。俺がマジで死を選ぶ前にここから抜け出せる方法はないのか?
【方法は一つある。今までこの部室内に形成されていた力場の全てをそろえ、再構成すれば再び安定した空間に戻るはず。ただ、現状では力場が一つ足りていない】
なんだその力場は?まさか、変態超能力力場とかか?
【そう、古泉一樹の力場が足りない】
やっぱりそうか。しかしあいつは何故ここに来ないんだ?
ひょっとしてどこかでこの一部始終を見ているが、自分の本心がばれたく無いから来るに来られないとかそんなんじゃないよな?
【この空間のせいで詳しいことは解らない。ただ近くに彼はいる】
あいつ、いつか本気で殴ってやる。
【そうだわ!別にこの写真がこのPC内にあってもおかしくないわね。合宿の時のデジカメデータはここに保存してあるんだし。その中から適当に使ったといえば問題はないわ。あたしがこっそり隠し撮りしたなんてバレないわよ】
言うまでもないが、しっかりバレてる。
【問題はキョンね。どうやってあいつを……ってやだ。目が合っちゃった】
あー俺もお前を見てたからな。そりゃ目も合うだろ。
不機嫌そうな顔をしてわざとらしく目を逸らしPCの画面を見るふりをしなくてもいいぞ。
「はい涼宮さんお茶です。……あっなんですかそれ?」
気が付くと朝比奈さんがハルヒの後ろからお茶を差し出していた。
普段の朝比奈さんからは考えられないようなスピードと隠密行動によりいつの間にかハルヒの背後に迫っていたのだ。
ま、まさか落書き写真を見るためかっ!?
「な、なんでもないわ。ネットで面白いってうわさの画像をダウンロードして確認してただけよ。思ったよりしょうもない画像だから消しちゃったわ」
【あ、危ないところだったわ。まさかあのみくるちゃんが後ろに来ているのに気づかないなんて。しかもせっかくの力作を消しちゃうなんて。あたしのバカバカ】
「ふえー、あたしもキョンくんの写真みたかったです。消しちゃうなんて酷いですぅ」
そう言って朝比奈さんは思わず口を押さえる。ハルヒも同時に固まった。
「み、見た?ひょっとして?見たわね……みくるちゃん」
【見てません見てません見たいけど見えなかったですって私のドジバカぁ】
朝比奈さんは口を押さえたままふるふるとクビを振って否定した。
【……涼宮ハルヒのPCに接続。再ハッキング完了。KYONフォルダー内画像データロード。メモリ内残存データ修復。私の脳内イメージと合成。画像データとして保存。デスクトップ壁紙に設定。完了】
――――!長門それはなんの真似だ!
【あなたの写真を使った面白画像を涼宮ハルヒのデスクトップに表示した。場を和ませるための緊急措置。我慢して……】
――――――※―――――――
古泉のこんちくしょう様
前略、今俺は異次元世界にいます。
目の前ではいつものSOS団の風景が広がっていますが俺は今にも自我が崩壊しそうです。
口を押さえたままの朝比奈さんの顔がタコさんのように真っ赤にふくれあがってます。
たぶん笑いをこらえるのに必死なんでしょうね。
それに気が付いたハルヒもパソコンの画面を見て、馬鹿笑いしはじめました。
長門もそんな二人をみて自分の芸術作品が認められた芸術家のようにすごく満足そうです。
あ、朝比奈さんもついに我慢出来なくなりました。
こんな大爆笑な朝比奈さんの記憶をオークションにでも掛ければかなりの値段が付けられるでしょうが、俺としましても今すぐにでもこの記憶をデリートしてやりたいです。
今の俺の現状は、いつもなら俺の置かれた立場を出来るだけ詳細にそして特に、SOS団3人の娘がこの異空間で共有している意識上で何を思っているのかを皆様にご報告したいところなのですが、そんなことをすると確実に自我が崩壊するでしょう。
仕方が無くこの程度でごまかし我慢して戴いている所です。
ここは異空間だというのに空が青いです。早くここから脱出したい。
そして今すぐお前に会いたい。
そのときは思いっきりお前を殴りつけてやりたい。
そう心から思う17歳の俺でした。
それでは、今すぐ部室にやってきて下さいませ。
くそ馬鹿野郎殿。
敬具
――――――※―――――――
後編へつづく