佐々木「ん?素直になる薬?」
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(その1/3)
佐々木「自白剤の類なの?」橘「い、いえ。そういうキケンなものでは……」佐々木「ふうん」橘「最近女の子の間で流行ってるんです!好きな人に告白したいけど勇気がでない、みたいな時に」佐々木「これを飲むのね」橘「そうなんです!まあ、実際はただのあめ玉なんですけど……」佐々木「プラシーボ効果というやつね、実際にそういう心理状況っていうのは、事象に少なからず影響を……」橘「あ、あの!それあげますから、使ってみてください」佐々木「え」橘「ぜひ!」佐々木「はあ、まあいいけど」橘「……うっし」佐々木「?」
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佐々木「というわけなんだ、キョン」キョン「いかにもうさんくさいものを渡されたな」佐々木「そうなんだよ、彼女はああ言ってたけど、僕はあまり信用していなくてね」佐々木「こういう非日常的を日常とする君に助言を求めに来たのさ」キョン「なんだ、バカにしてるのか」佐々木「まさか、尊敬しているんだよ」キョン「まあいいさ。経験則から言わしてもらうが、あの手の連中から貰ったものなら、下手に手を出さない方がいいな」佐々木「やはりそうかな」キョン「うちの連中にも言えることだが、何か俺たちには及びも付かないような意図を裏に隠してるんだ、いつも」佐々木「怖いなあ、まったく。くっくっ」キョン「楽しそうじゃないか」佐々木「おや、そうかい?」キョン「やれやれ」
佐々木「大体、僕は誰かさんと違ってひねくれ者でもないからね」キョン「はあ?」佐々木「自画自賛するようで、あまり気分はよろしくないけど、僕は結構自分に素直なタチだと思うんだよ」キョン「そうかい」佐々木「そもそも、用途が告白の時の背中押しとなれば、僕には全く必要がないのさ」キョン「言ってて自分で哀しくないのか、お前は」佐々木「そういう君だって、似たもの同士じゃないか」キョン「あのなあ、俺はお前と違って、出来るものなら彼女だって欲しいし、青春を謳歌したいんだよ!普通にな!」佐々木「くっくっ、そうだったね。まあ、そんなに怒らないでおくれよ」キョン「まあいいさ、お前に使うアテがないんなら、さっさと捨てちまえ」佐々木「それも悪いじゃないか」キョン「ふむ……じゃあ、今ここで飲んじまえよ」佐々木「一応用心して、救急車を呼ぶ準備だけはしておいて欲しいな」キョン「あめ玉なんだろ、ただの」佐々木「毒とも限らないさ」
佐々木「ごくん」キョン「……」佐々木「……」キョン「……」佐々木「ぐっ……ううっ……」キョン「さ、佐々木!?」佐々木「く、苦しい……」キョン「おい!?だ、大丈夫か!きゅ、救急車!119!」佐々木「……くっくっ」キョン「……え」佐々木「す、すまないね……ふふっ……心配させたみたいで……くくくっ」キョン「お、お前な!」佐々木「ちょっとからかってみたくなったのさ、君の態度があまりにもつっけんどんだったんでね」キョン「やれやれ」----
佐々木「実においしいアメだったよ」キョン「そうか、うんとまずかったらよかったんだが」佐々木「おいおい、怒らないでおくれよ」キョン「俺はこの一年間で、何が起こっても信じちまうような、純粋無垢な受容の心を身につけたんだ」佐々木「くっくっ、悪かったね、それは」キョン「お前な……」佐々木「まあでも、ほら、いつもの通り。何の変わりもない。心配してくれてありがとう」キョン「心臓に悪いから、冗談は時と場合をわきまえてくれよ、これからは」佐々木「うん、約束するよ。君に嫌われたら生きていけないからね、もう」キョン「……ん?」佐々木「え?あ、ああ……僕は友達が少ないってことだよ」キョン「あ、ああ……」佐々木「まあ、友達が少なくたって、キョンが傍にいてくれればそれで問題ないんだけど」佐々木「……!?」
キョン「お、おい……佐々木?」佐々木「(ぼ、僕は何を言って……)」キョン「おまえやっぱり、その薬で何か……」佐々木「いや、僕はなんともない!今まで通りさ!」キョン「ほんとか?」佐々木「そうとも、今まで通り君のことがだいす……わぁぁぁっ!?」キョン「!?」佐々木「あ、あはは!冗談さ!びっくりしたかい?」キョン「あのなあ……だから本当に心臓に悪いからやめろって」佐々木「そ、そうだね。気をつけるよ、じゃあね、キョン!」すたこらさっさっさーキョン「やれやれ、なんだったんだ一体」~~~~~~佐々木「はぁ……はぁ……」佐々木「これはとんでもないことになった」
~その夜・佐々木の部屋~佐々木「だいたい何だって言うんだ」佐々木「もらったのは素直になる薬のはずなのに」佐々木「あれじゃあただの男好きじゃないか……ああ、思い出しただけでも恥ずかしい」佐々木「あ、明日には薬の効果も切れていてくれないと困るな」佐々木「何せ僕の学校はただでさえ男子が多いんだし……」佐々木「ああ、憂鬱だ」~翌朝~佐々木「さて、体に変わったところもなさそうだし」佐々木「もう大丈夫かな……」とぅるるるる佐々木「ん、キョンか……」佐々木「もしもし」キョン「おお、元気そうだな」佐々木「なんだい、藪から棒に」----
キョン「いや、なんというか。昨日の去り際のお前が何だか妙な感じがしたからな」佐々木「そ、そうかな」キョン「ちょっと気になって電話したのさ。いや、なんともないならいいんだ」佐々木「まったく、心配性だね君も。でも、そういう優しい所が好きだよ」キョン「え?」佐々木「い、いや!ゆ、友人としてね!」キョン「あ、ああ、そうか」佐々木「(だめだ……全然治ってないじゃないか……)」佐々木「と、とにかく、もう切るよ」キョン「あ、なんだ。忙しかったか、悪いな」佐々木「違うよ、君の声を聞いてると、会いたくなっちゃうから」キョン「はあ?」佐々木「いやその!学校の友達とね!早く学校行きたいなあなんて!」キョン「(昨日友達少ないって言ってたなかったっけ……?)」----
佐々木「まずい」佐々木「こんな調子で学校なんかに行ったら……」佐々木「……」佐々木「こんな僕にだって、一応イメージってものがあるんだ」佐々木「うーん」佐々木「まあいいか、とりあえず登校してみて、ダメそうなら早退すればいいさ」~放課後~佐々木「……なんともなかった」佐々木「何事もなく、普通……」佐々木「朝で薬が切れたと考えるべきなのかな」佐々木「やれやれ、人騒がせなあめ玉だったよ」佐々木「くっくっくっ」キョン「あれ?佐々木じゃないか」佐々木「やあ、奇遇だね」キュン佐々木「あ、あれ……?」----
キョン「どうかしたか?」佐々木「い、いや、何も……」キョン「ははあ、さては腹が減ってるな?」佐々木「え?」キョン「俺からたかろうったってそうは行かないぞ、何せ財布がスッカラカンだからな!」佐々木「いや、誰も聞いてないんだけどね……」キョン「そ、そうか」ぐー佐々木「キョン、君、お腹が減っているのかい」キョン「……」~~~~~~佐々木「くっくっくっ」キョン「いつまで笑ってるんだよ、まったく。弁当を忘れる日だってあるだろう」佐々木「悪いね。でも、そんなにがっついてハンバーガーを頬張ることないじゃないか」
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佐々木「ハンバーガーは逃げないよ」キョン「いや、そうとも限らん」佐々木「くっくっ、君は本当に用心深くなったな」キョン「何が起きても不思議じゃないからな……がつがつ」佐々木「……」キョン「……?」佐々木「あ、ああ、ごめん。君の食べっぷりがいいから、なんだか見とれていたよ」キョン「動物園感覚か?まあおごってもらってるから文句は言わんがな」佐々木「違うよ、なんていうか、愛おしいっていうか」キョン「はあ?」佐々木「あ!?いや、だからやっぱりあれだね、動物園感覚だね、はは」キョン「お前、やっぱりなんか変じゃないか?」佐々木「き、気のせいだよ」キョン「ふむ……」じー佐々木「あう……」
(その2/3)
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