第3章-8 Near face
「あれ、なにやってんだ?」
この時になって、キョン、古泉、長門、朝比奈さんが部室に入ってきた。
「なんだ、今日から出てこれるのか?」とキョンがどこか安心した様子で言った。 すると、涼宮が「特別任務は終わったの。ということで注目。こいつが生徒会長の弱点を見つけてきたわ。この功績によって、仮団員から正団員に格上げします。キョン、あんたも手柄を立てて、さっさと出世しなさい」「手柄なんぞ立ててもいいことないだろうが」ああ、やっぱ落ち着くよ。相変わらずのSOS団だ。しかし、これは一体どういうことだ?仮団員から正団員だって?古泉を見ると、相変わらずのニヤニヤ顔で俺を見ていた。
そんな時、タイミングがいいのか悪いのか、突然部室のドアが開き生徒会長が部室に入ってきた。「何を騒いでいる?ここは君たちのたまり場ではないはずだが」 会長の姿を見たとたん、涼宮の目が光った!ような気がした。「あら、これはち・て・き・な会長さんじゃない」会長は目を細めた。「何?」「わざわざ、ダテ眼鏡をしてまで頭が良さそうに見せたいのかしら?それって、知性のかけらもないって宣言してるようなもんよ。そんな努力をしないと行けないほど追い詰められているんだろうけど、自分で思っている以上に効果はないわ。まだ、ゴーグルみたいな眼鏡の方が似合うってもんよ。バスケ部に行ってもらってきなさい!」
もう全く意味がわからん。だが、よくもまあここまで暴言を吐けるもんだよ。会長、俺をにらんでも困る。暴言を吐いたのは俺じゃなくて涼宮なんだから。「どうやら、君達は私を完全に怒らせたようだ。わかった、これからは君達を叩き潰すため、手段を選ばないことにしよう。覚悟しておきたまえ」眼鏡を光らせ、ドアを勢いよく締めて帰っていった。「あいつの高い鼻を叩き折ることができるなんて、幸せだわ。いい部下を持ったもんよ。有希も胸がスーとしたでしょ」 長門は黙ったまま数ミリ首を上下させうなづいた。どうやら、涼宮と長門は生徒会長が嫌いらしいな。やっぱ、長門怒っていたんだろう。悪かった。
この後、俺達は、駅近くにあるファミレスに行き、俺の「正団員昇任祝い」とか題のついたお祝いをしてくれた。俺は久しぶりに(そんなに日は経っていないが)SOS団での時間を過ごした。生徒会とは違って、やっぱり落ち着くな。いつの間にか、SOS団が俺の居場所になっていたってわけで、すっかりこいつらに毒されていたらしい。 なぜか涼宮の策略により、キョンが全額支払いをすることになったのだが、申し訳なかったので、俺も半分出した。今日は久しぶりに気分がいいんだ、良きに計らうといい。 さて、今日のシメといこうか。古泉に直接聞かなければいけないことがある。解散になった直後に古泉を捕まえ、2人で近くにある公園に向かった。「どういうことか、説明してもらおうか」「実は、涼宮さんを退屈させないための芝居だったんです。あなたを生徒会に呼んだ日から、今回のシナリオは始まっていました」
「シナリオ?」
「僕のシナリオはこうです。あなたはSOS団を裏切り、生徒会に寝返った。当然涼宮さんは激怒します。しかし、あなたは寝返ったわけではなかった。実はSOS団のため生徒会長の弱点を探すスパイだった、というわけです」
なんてこった、どこの軍師だ?こんな、しょうもないことに俺は振り回されたってことか。結構悩んだんだぜ。「しかし、予想外でした。あなたが、生徒会に寝返ったというだけで、閉鎖空間が発生するとは思いもしませんでしたよ。それだけあなたはSOS団に馴染んでいたということです。閉鎖空間が発生した直後、あなたがスパイ活動をしていると涼宮さんに事情を話したところ、感激し、それ以来閉鎖空間は発生していません」 すっかりみんなこいつの手の上で踊らされていたってわけか。非常に腹が立つぞ。そうならそうと最初から言え。「すみません。敵を欺くにはまず味方と言いますし、全て説明していてはリアルティがなくなってしまうと思ったんです。おそらく、あなたは芝居など苦手ではないですか」 たしかにそうなのだが、他にうまい方法があったのではないのだろうか。ほんと、精神的な平穏は全くなかったんだからな。「僕も、いろいろと苦労しているんです。涼宮さんが退屈しないように、手を回すのは大変なんですよ。失敗すれば、世界が滅んでしまう。結構プレッシャーなんです。すみません、今のは愚痴です」
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