標的(Target)2 対決!? ボンゴレ VS SOS団!!
(キョンサイド)並盛町に来て2日目。何事もなく穏やかに安眠を享受していた俺達なのだが、けたたましい目覚まし時計の音で夢の世界から一気に引っ張り出される。
そしてハルヒのムカつくぐらいに明朗な声が響く。
ハルヒ「さあ、みんな朝よ!! はやく起きなさい!!」ハルヒの声に、寝ぼけていた俺達の頭が覚醒していく。しかし、こいつときたら朝っぱらから、元気なことだ。夏休みだから、ゆっくり寝ようっていう考えとかはないのか。まあ、こいつには、ないだろう。こんな調子で約1ヶ月間、自分の身は持つのだろうかとしばし考える朝の一時…悲しい。
「ちゃおっス」とそこに、リボーンが現れた。みくる・古泉「おはようございます。リボーンさん」朝比奈さんと古泉は、リボーンに挨拶をし、奴も2人に挨拶をし返した。そして、リボーンはハルヒの方に視線を向け、話し出した。リボーン「よっ、ハルヒ。やけに早ぇな。」ハルヒ「おはよう、リボーン。私この街に来ていろいろとやりたいことがあって、そう考えてたらすぐに目がさめたわ!!」ハルヒはうれしそうに、リボーンと会話している。リボーン「そうか。俺も、お前らとボンゴレファミリーと親交を深めるために、いろいろと考えてるぞ。その行事を今日から行おうと思うが、大丈夫か?」ハルヒはリボーンの問いかけに、喜んで答えた。ハルヒ「ええ、いいわよ!!それで、今日は何をしようというの?」リボーン「それは、あとのお楽しみだ。」
ハルヒ「…わかったわ。期待してるわよ、リボーン!」リボーン「ああ。んじゃ、俺はツナを起こしてくるから、これから、お前らは、朝メシを作っといてくれないか?京子とハルもここに来て、一緒に料理を作るみてぇだから。」ハルヒ「ええ。」みくる「わかりました。」長門・キョン「わかった。」古泉「まかせてください。」俺たちがそう応えると、リボーンは、その場を離れた。
俺たちは、自分の周りにあるものを片付けて、すぐに、台所へ行き、朝メシ作りに取りかかった。
作ってる最中に、ツナの母親とビアンキがやってきた。奈々「あら、おはよう、みんな」ビアンキ「おはよう」ハルヒ・みくる・古泉・キョン「おはようございます。」長門「おはよう」奈々「朝から早いのね。大丈夫?手伝ったほうがいいかしら。」キョン「大丈夫ですよ。俺たちでやりますから。」ハルヒ「ツナ君のお母さんと、ビアンキは、ゆっくり休んでてください」奈々「ええっ?でもなんか、申し訳ないわ」ビアンキ「ママン、この子達がそう言ってるんだから、任せて、ゆっくりしましょう」
奈々「…そうね。わかったわ。気をつけてね」そういうと、2人はそのまま台所を後にした。
数分後。ハル・京子「おはようございます」ハルと京子が、俺たちが作業をしている台所へやってきた。
ハルヒ「おはよう!!ハル、京子!!」ハル「リボーンちゃんから話を聞いて、やってきました!!」京子「私たちも手伝います」みくる「ええ、どうぞ。大歓迎ですよ。」朝比奈さんは、笑顔を見せて2人を迎え入れた。
とそこに、寝ぼけ顔のツナが台所にやってきた。ツナ「…おはよう。ってあれ!?京子ちゃんにハル!?」寝ぼけていた頭が、一気に目覚めたような、そういう感覚があっただろう。ハルヒ「あら、ツナおはよう!!」京子「おはよう、ツナ君。」ハル「おはようございます!!」3人は、ツナに挨拶すると、黙々と作業をしていた。
(ツナサイド)びっくりしたよ。何で京子ちゃんやハルが俺の家に来てるんだよ。台所の入り口で体が固まったままそう考えてると、リボーンが現れた。リボーン「俺が呼んだんだ。」ツナ「リボーン」リボーン「この後、SOS団とボンゴレファミリーの親交を深める行事に、2人を参加させるためにな。」一体何の行事だよ。そう思ったとき、
(ハルヒ「みんな、朝ごはんできたわよ!!」)
ランボ「やっほーい、ご飯だもんね!!」イーピン「♪~」フゥ太「わ~いわ~い」涼宮さんの一言に、ランボやイーピンたちがどんどん部屋に入って行った。リボーン「んじゃ、ツナ、行くぞ。」
ツナ「え? う、うん…」リボーンの一言が気になりながらも、俺はそいつに言われるがまま、みんなのいるところへ向かった。
(キョンサイド)食事中、俺はふと思った。なんで、リボーンは、初対面の俺たちを中に招き入れてくれたのだろうか。普通は初対面の人間をそう易々と家に泊めて困らないわけがない。俺たちのことを知っていた…?いや、SOS団を知っている奴が、リボーンと会っているっていうことも無くはないはずだが、俺の知っている中で並盛に行ったやつは一人もいないだろう。あと、ハルヒがこの町にリボーンのような赤ん坊ヒットマンがいることを、どこから掴んだのかも、俺は疑問に思う。そんな疑問を抱きながら、食事しているときだ。
外から、車のブレーキ音が鳴り響き、ドアを閉める音が高らかに響く。黒スーツを付けた強面の人たちが、何十人も中に入ってきて俺たちを取り囲んでいる。ハル「は、はひ!?」俺たちの視線は、リボーンを除き、そいつらに釘付けだ。みくる「り、リボーンさん、何ですか、この人たちは…」朝比奈さんは驚いて、恐怖で、涙が出そうになりながら怯えるまなざしで、リボーンに話しかけている。しかし、そんなことを気にせず、リボーンは黙ってメシを食べ続けている。
ハルヒ「ちょ、…ちょっと何なのよ!!あんたたち!!」ハルヒは立ち上がって、そいつらを睨んでいる。
とそこに、金髪の青年が、俺達の前に現れた。
リボーン「来たか。」そうリボーンはポツリと呟いた。
ディーノ「よっ、ツナ」ツナ「ディ、ディーノさん!?」ツナはそいつを知っているみたいだ。キョン「おい、ツナ、この人は?」俺はツナを問いただすと、彼は答えた。ツナ「ディーノさんって言います。」ディーノ? 名前からして、日本人ではないらしい。リボーン「俺が紹介してやる」そういうと、黙々と飯を食べていたリボーンは、手を止め、話し出した。リボーン「SOS団のやつらは、わかんねぇみてぇだから、紹介する。ボンゴレと同盟関係にある、キャバッローネファミリーのディーノだ。」キョン「キャバッローネファミリー? じゃあ、リボーン、黒スーツの奴らは、…」ディーノ「全員俺の部下だ」俺とリボーンの話を遮断するように、そいつは俺に言った。
と今度は、ディーノの手下だろうか、スーツにメガネと口ひげをした男が現れた。ロマーリオ「お食事中申し訳ありません。SOS団と、ボンゴレの皆様。紹介遅れました。私はファミリー幹部のロマーリオと申します。」彼は、俺達に、丁寧に深くお辞儀をしながら自己紹介をしていた。紳士のような人で、結構礼儀正しいように思える。いや、そんなこと思ってる場合じゃない。キョン「……あの、……何で俺たちのこと、知ってるんですか?」リボーン「俺が教えたんだ。今日のボンゴレファミリーとSOS団の親交を深める行事に、ディーノ達も呼んだ方がいいと思ってな。」リボーンは、俺たちにそう話した。ハルヒ「…へぇ、あんたマフィアなんだ」
ハルヒはディーノをジロっとみながら、呟いている。ディーノ「なあ、リボーン、涼宮ハルヒってこいつか?」リボーン「ああ。」ディーノの質問に、リボーンは答えた。
そして、こいつは、ハルヒの方に視線を向け、手を差し出した。ディーノ「俺はディーノ。よろしくな涼宮。」ハルヒは何が何なのかわからなかったみたいだが、とりあえず自分の手を差し出し、自己紹介をした。ハルヒ「私はSOS団団長、涼宮ハルヒ。よろしく、ディーノ」ハルヒは何食わぬ顔でそいつと握手をした後、再びテーブルの方に座った。それを確認したリボーンは、言った。
リボーン「んじゃ、朝メシの続きだ。」リボーンに言われるがまま、俺たちは再び朝メシを食べ始めた。まあ、でも、なんだ。いい加減俺たちを囲んでいるスーツの男たちを何とかしてしてくれないだろうか。朝の朝食の一時、誰もが優雅に過ごしたいと願うところでこんなコワモテの男達にいられると、正直生きた心地がしないのだが…。
数分後。俺と朝比奈さんは、食器洗いなどを済ませた後、みんなが集まっている居間の方に行った。昨日の夜いたメンバーと、ディーノと、ロマーリオさんも座っており、もちろん、獄寺や山本、クローム、笹川京子の兄の了平もいる。リボーン「んじゃ、みんな集まったみてぇだから、これからについて説明する。俺たちは、今から並盛川に行く」“プルルルル…”とここで、誰かの携帯の着信音が鳴り出した。ディーノ「悪い。俺だ。気にしないで続けてくれ」そういうと、ディーノは、電話を取り、ヒソヒソ声で相手と会話している。それを気にせず、ツナは、リボーンに話しかける。
ツナ「なあ、リボーン、並盛川で何する気だ?」リボーン「それはだな…」ツナの質問にリボーンが答えようとしたときだ。
“ガシャ―――――――――――ンッ!!!!!”
いきなり、ガラスの強く割れる大きな音がツナの家の中で響く。京子「え、なになに?」ハル・みくる「どこからですか!?」周囲がざわつき始めた。ツナ「一体何が起こったの!?」獄寺「10代目、落ち着いてください!!」
リボーンは呟くように言った。リボーン「ツナの部屋の方から聞こえたぞ。」彼の一言に、ツナは驚いた。ツナ「えっ!?」フゥ太「怖いよ、ツナ兄…」フゥ太は、恐怖を感じているのかツナの体にしがみついている。ハルヒやクロームたちもリボーンの一言に怯えている。獄寺「10代目!!」山本「ツナ!!」ツナは、2人の言いたいことがわかっているみたいだ。ツナ「とりあえず、俺の部屋に行ってみる」フゥ太「ツ、ツナ兄!…」ツナは、彼の腕を掴んでいたフゥ太の手を振り払い、山本、獄寺の3人で、自分の部屋へ向かった。それを見た、古泉、長門も、そして俺も立ち上がった。古泉「僕も行きます!!」長門「私も」
キョン「俺も行くぞ。ハルヒ、リボーン、後は頼んだ」ハルヒ「…え、あ!ちょ、ちょっとキョン!!」ハルヒとリボーンにそう言い残し、俺たちは、部屋から飛び出し3人の後を追った。
(ツナサイド)俺と獄寺君と山本、そして、キョンさん、長門さん、古泉さんは、俺の部屋のドアに立ち止まっていた。ツナ「開けるよ。」獄寺「10代目、お気をつけください。」山本「どんな奴がいるかわからないからな」ツナ「うん。」俺は2人にうなずくと、ドアノブの方に手をかけ、その扉を開けた。ドアを開けた瞬間、俺たちは言葉を失った。メイド服で、しゃがみこんで、伏せた状態で顔を腕でクロスさせて隠し、構えながら頭の上に白いもの被った女性がそこにいたのだ。
獄寺「下がっててください。10代目。」そういうと、獄寺君が、腕を広げ、俺の前でバリケードしている。
その時、女性が顔を上げすっと立ち上がった。ツナ「ひ、…ひいっ!!」
すると、女性がにこっと笑っていきなり俺たちに喋り出した。森「あっ、どうも、通りすがりのメイドです。」俺と獄寺君は、おもいっきり転んだ。獄寺「うそつけぇっ!!」古泉「も、…森さん!?」ツナ「えっ、古泉さん、この人知ってるんですか!?」古泉さんは、この女性を知っているみたいだ。
古泉「どうして森さんが、並盛町に!?」森「実はあなたたちが沢田家にいることを知って、彼の家に向かう途中、キャバッローネファミリーのディーノと偶然会って、一緒に連れていってもらったの」今度は獄寺君があ然とする古泉さんに話しかけている。獄寺「一体何者なんだ!?こいつは!」古泉さんは険しい表情を取りながら女性に言い放った。古泉「後で説明しますので、とりあえず森さん、靴を脱いで下に降りてください。」森「ええ。」女性は古泉さんに言われるがまま、靴を脱ぎ、そんな女性に俺は、俺たちが集まっている場所へ誘導した。
(キョンサイド)俺たち6人は、機関のメンバーの森さんを連れて、下にいるみんなのところに向かう。しかし、まあ、なんで森さんが並盛町に来たのか、俺はまだわからないが、森さんが部屋に入ると、ハルヒと朝比奈さんはものすごく驚いていた。森さんは、みんなに自己紹介をする。森「はじめまして、ボンゴレファミリーのみなさん。私は古泉の知り合いの、森園生と申します。よろしくお願いします。」ここにいるみんなが何食わぬ顔で森さんに拍手を送っていた。そうか、さっきのディーノの電話の相手は、森さんだったのか。紹介をした後、森さんは、リボーンにガラスの修繕費を渡そうとするが、リボーン「いや、いい。ガラスを割ったことぐらいで気にするな」リボーンはそのお金を受けとらなかった。いや、普通はとるべきだろう。リボーン「それよりもお前、SOS団のいる間、いろいろと作業をしてくれないか?」リボーンの問いかけに森さんは笑顔で答えた。森「はい。炊事洗濯など何でもやらせていただきます。」森さんの返事を確認した後、みんなに言った。リボーン「んじゃ、早速、並盛川へ向かうか。」リボーンの一言でみんなが立ち上がった。リボーン「んじゃ、ママン、後は頼んだ。」奈々「ええ、任せて。」ツナの母親は、リボーンの一言にそっと頷き、それを確認したリボーンは、外へ飛び出した。
(ツナサイド)いきなり窓突き破って入ってきたこの森さん、いろいろ言いたいことはあるけど、まあSOS団の知り合いみたいだし、いやでも…う~ん、よくわかんなくなってきた。そう考えながら玄関を出たときだった。
「まて、コラ!!」聞き慣れた声が、俺の耳に届いた。俺はその方向へ振り向いた。空から鷹にバンダナをつけた頭を掴まれて、迷彩服に身を包み、颯爽と俺たちの方にやってきた。
コロネロだ。
コロネロは俺たちの立っている方へ着地した。そこに、リボーンが近づいてきて、会話をし始める。リボーン「ちゃおっス」コロネロ「よっ、リボーン、今日は並盛川に行くんだな、コラ」リボーン「ああ。」コロネロは、初対面のSOS団のメンバーを見渡して、リボーンに話しかける。コロネロ「それで、こいつらは誰だ?」リボーン「こいつらは、SOS団だ。」コロネロ「SOS団?知らないな。……先行くぞ。コラ」リボーン「ああ。」コロネロは、相棒の鷹のファルコに頭を掴まれながら移動して行った。
コロネロが去った後、今度はラル・ミルチが、俺たちの所に走ってやってきた。リボーン「…ラル・ミルチ」着いた途端、息を切らしていたラルは、少し落ち着かせて、リボーンに話しかける。ラル「…はぁ、はぁ、リボーン、今日は並盛川で何をする気だ?」リボーンは答えた。リボーン「今日は、SOS団とボンゴレの親交を深めるための行事をするんだ。」ラル「SOS団?誰だそいつら。聞いたことねぇな…。まあいい、とりあえず、先に、並盛川へ向かうぞ。」リボーン「ああ。」ラルは、再び走りだし、俺たちの前から走り去った。
(キョンサイド)俺達の前に、リボーンと同じ位の身長をして、迷彩服を着た赤ん坊コロネロって奴が、ショットガンを持って、尚且つ、鷹に頭を掴まれて、登場した時は、そりゃ、驚いて、言葉も出なかった。リボーンと色は違うが、そいつは青いおしゃぶりを持ってる。一方の、ラル・ミルチという人は、女性だが、男言葉を使っている。1人称は俺と言っていた。まるで、自分のことを「僕」と使う、佐々木となんか似ているような感じを受けた。その人も、リボーンと同じようなおしゃぶりを持っている。色は違うが、果たして3人は、何か関係はあるのだろうか。
そう考えているうちに、ラル・ミルチは走って、コロネロは、鷹に頭を掴まれて飛んで行きその場を去ってしまった。それを見計らって、リボーンは、俺たちに言った。リボーン「んじゃ、俺たちも出発だ。」
そいつに言われるがまま、俺たちは駅に向かって歩きだした。
みんなが楽しそうに歩いている中、俺は、何か嫌な予感を感じた。ものすごく寒気を感じ、鳥肌が立った。その予感が数秒後、的中することとなる。
「キョン~WAWAWA」「待って、キョン」「キョン君待って~」「みくる~」聞き慣れた声が、俺の鼓膜の奥に響いた。その声を聞き逃すはずがない。俺たちはふと立ち止まり、振り向くと、
谷口に、国木田、それに俺の妹、鶴屋さんが、俺たちの所へ走ってきている。4人は、息を切らして、俺たちの前に立ち止まった。谷口「やっと捕まえたぜキョン、はぁ、はぁ…」妹「キョン君、酷いよ~、私を置いてくなんて~」妹はすでに、泣きそうである。
リボーン「キョン、お前の知り合いか?」みんなが混乱している中、リボーンからの質問に俺は答えた。キョン「ああ。」みくる「ど、どうして鶴屋さん、私達が並盛町に来てること知ってるんですか…!?」朝比奈さんが驚いた表情で、鶴屋さんの方を見ながら、彼女に質問していた。鶴屋「実は、キョン君の妹ちゃんから聞いたのさ。ハルにゃんに用があって、家に行ったらいなくて、偶然通りかかったキョン君の妹ちゃんから聞いたら、自分を置いて並盛町っていう街に行ったって怒っちゃってさ。その後、谷口君や国木田君と合流して、ここに来たっていうわけさ。でも、途中で道わからなくなったりして、めがっさ大変だったにょろ~。」 みくる「そ、…そうだったんですか…。」
朝比奈さんは、鶴屋さんの言葉に、すこし困惑していたようだ。すると、笹川京子が、俺に質問をしてきた。京子「キョンさん、この人たちは誰なんですか?」キョンさんっていう呼び方、なんか変な気もするが、まあいい。俺はみんなに、4人を紹介することにした。キョン「みんなに紹介します。俺の隣りにいるのは、谷口で、その隣りにいるのは、国木田、それに、俺の妹に、鶴…」みくる「キョン君、鶴屋さんは私が紹介します。」突然、朝比奈さんが4人を紹介している俺に割り込んできて、鶴屋さんは自分に紹介させてほしいと頼んできた。…まあいいか、朝比奈さんの一番の親友は、鶴屋さんだしな。そう思った俺は、朝比奈さんに、紹介を譲った。キョン「…わかりました。お願いします。」みくる「ありがとうございます。…紹介します。鶴屋さんです。彼女は私と同級生で一番の大親友です。」鶴屋「みんな、よろしくにょろ~」妹「よろしくね。」国木田「よろしくお願いします。」谷口「よろしくな。」4人が挨拶をした後、みんなは温かく迎えてくれた。
とここで、リボーンが突然谷口の方に来るなり話しかけてきた。リボーン「おい、谷口って言ったな。」谷口はリボーンを見るなり、指をさしながら俺に尋ねてきた。谷口「なあ、キョン、この赤ん坊誰だ?」キョン「リボーンっていうんだ。殺し屋だそうだ。」谷口「へぇ、殺し屋か。そいつはご苦労さん。…それで、俺に何の用だ。」
リボーン「…お前、ズボンのチャック開いてるぞ。」
谷口は、リボーンに言われるがまま、ズボンの方を見ると、確かに、社会のマドが全開に開いていた。クローム「きゃっ!!」ハル「はひっ!!」クロームとハルは、はずかしそうに目を覆う。谷口「うわぁっ!! いけねっ!!」国木田「何やってるんだよ、谷口」こんなところでも、やっぱバカなんだなぁこいつ。谷口「キョン、てめえ何つった!?」おっと、口にしてたらしい。キョン「いいからさっさと閉めろ。」谷口「くそ~…、後で覚えてろよ~、キョン…」谷口は急いで、ズボンのチャックを閉める。
リボーン「んじゃ、SOS団の仲間とも合流したことだし、行くぞ。」こうして仲間が増えた俺たちは、再び歩き出した。
(ツナサイド)SOS団の仲間の人たちと合流して、歩いていた俺たちだったが、白い服にロングスカートをつけ、ピンクの飾りをつけたツインテールの大人びた女性が、顔をうつむかせ、壁に背中をつけて立っていたのを目にした。
その女性は、歩いている俺たちを見るなり、急に歩いて、近づいてきた。そして、先頭を歩いていた、リボーンの前に立ち止まった。そんなリボーンは、女性をただ黙ってみてるだけだ。獄寺「おい、おまえ、何者だ?!」獄寺君は、リボーンの近くに来て、ダイナマイトを手に取り、その女性を威嚇している。でも、彼女は、そんなことを気にせず、しゃがみこんで、リボーンに話しかける。
女性「……久しぶりですね。リボーン」リボーン「ちゃおっス。」女性は、やさしい微笑みをかけながら、立ち上がって、俺たちの方へ視線を寄せる。ツナ「り、リボーン、この娘誰なの!?」獄寺「リボーンさん、この女と知り合いなんですか!?」リボーンは、何食わぬ顔で、俺と獄寺君の質問に答えた。リボーン「ああ、知ってるぞ。おそらくSOS団の奴らで、知らない奴はいないだろう。こいつは、……三栖丸ミコト。」リボーンがそういうと、突然、涼宮さんの表情が変わった。驚きを隠しきれないような顔だ。ハルヒ「ミ、……三栖丸ミコト? あなた本当にミコトなの!?」ミコト「あなたは、…涼宮さん!?それに、SOS団の皆さん!!」ミコトさんという女性も、涼宮さんの方を見るなり、いきなり表情が変わり、SOS団のメンバーに近づいている。ハルヒ「元気だった!?ミコト!!」ミコト「涼宮さんこそ!!久しぶりです…。」いつの間にか、ミコトさんのまわりには、SOS団のメンバーが集まっており、誰もが再会を喜んでいた。
ハルヒ「…どうして!?どうしてあなたが並盛に!?」リボーン「実は、お前らが来る1ヶ月前、三栖丸ミコトが、並盛に来てたんだ。SOS団のこととか、お前らが豪華客船に乗った話とかいろいろ聞かせてもらったんだ。それで、お前らを受け入れた理由は、ミコトから話を聞いたからだ」ハルヒ「そうなの?うれしい!!よかった、よかった!!ミコトと並盛町で逢えて!!…」ミコト「…い、痛い…ですよ……、涼宮……さん。」その中で涼宮さんは、再会を喜んで彼女の体を強く抱きしめ、涙を流していた。
リボーン「再会に水をさすようで悪いが、涼宮、ミコトの体を離してやれ。ミコト、ボンゴレファミリーの奴らに、自己紹介をしてくれないか?お前を知らない奴が多いからな。」涼宮さんがミコトさんから離れた後、彼女はリボーンの呼びかけに応えた。ミコト「はい。」そして、ミコトさんは、俺たちの前で、自己紹介をし始める。ミコト「初めまして。ボンゴレファミリーの皆さん。三栖丸ミコトって言います。よろしくお願いします。」
自己紹介をし終えたミコトさんに、京子ちゃんとクロームが近づき、京子「笹川京子って言います。よろしくお願いします。三栖丸さん。」そういうと、京子ちゃんはミコトさんにやさしく微笑んだ。クローム「クローム髑髏って言います。よろしくお願いします。」ミコト「こちらこそよろしくお願いします。笹川さん、クロームさん。」ミコトさんも、2人に挨拶をし返した。普段人見知りの激しいイメージのあるクロームが、自ら出て他人であるミコトさんに挨拶をしていたことはとても珍しかった。その後、みんなが、ミコトさんに挨拶をし、彼女を温かく迎えいれた。
すると、ミコトさんが、俺を見るなり、突然俺の前に立って、話しかけてきた。ミコト「あなたが、沢田綱吉君?」ツナ「は、…はい……」俺は、ただ黙って返事をするだけだ。ミコト「リボーンから活躍は聞いています。あなたにちょっとお願いがあるんです。」弱々しい声で、ミコトさんは、俺に頼んできた。ツナ「…一体何のお願いですか?」ミコト「少し目を瞑っていただけませんか?」ツナ「はぁ?」俺は、なぜ目を瞑らなきゃいけないのだろう。そう疑問に思いながらも、俺は、ミコトさんに言われるがまま、目を閉じた。突然、俺の左頬に少し生暖かい感触が伝わった。何でだろう。俺は少しずつ目を開けた。
すると、あまりの光景に、俺は驚いて言葉が出なかった。
ミコトさんが、俺の左頬に自分の唇を乗せていたのだ。俺の周囲は、驚いた目をしている。ツナ「ちょ、ちょっと何するんですか!!」俺は急いで、自分の頬を彼女の唇から離した。
初対面の人から、いきなりキスされるなんて、こんなことは、クロームの時以来だよ…。
すると、ミコトさんは、やわらかな表情を保ったまま俺に話しかける。ミコト「ツナ君、よろしくお願いします。」俺はこの人の行動に、ただ唖然とすることしかできなかった。そこに、リボーンが入ってきた。リボーン「お前、顔赤くなってるぞ。」ツナ「えっ!?…」周りを見渡すと、京子ちゃんやクロームは目を見開いていたし、ミコトさんを知っているSOS団のみなさんも、唖然としていて、驚いた表情のまま、誰も俺に言葉を発してくれなかった。すごく恥ずかしくなった俺は急いで、必死に元の表情を取り繕った。
リボーン「んじゃ、そろそろ行くか。」ハル「ちょっと待ってください!!」すると、突然、ハルが来て俺の前に立ち止まった。無言のまま、手を上に上げる。ビンタをするつもりだ。ツナ「ちょ、ちょっとハルッ!!」俺の制止を聞かずに、ついにハルはその手を振り下ろした。ツナ「う、うわああああああああぁぁぁっ!!!」俺は腕でガードしながら、一瞬まぶたを閉じる。
あれ? いつまで経っても強い衝撃を感じない…。何故だ?俺は少しずつ目を開ける。すると、あまりの光景に俺は驚いた。
ミコトさんが、振り下ろすハルの腕を、掴んでいた。ハルの手と、直撃をうける俺の頬との隙間は、わずか数ミリぐらいだ。ハル「は、はひっ!?何するんですかっ!?」
ミコト「ツナ君に暴力を振るうことは許さない。」何だこの展開は―――――――――――!!!!
ミコトさんはハルの腕を掴み、訴えかけるような目でギロっと、ハルの方を見ていた。
どう考えてもおかしすぎる。何でこういう展開になるのか誰かわかる奴いたら教えてくれよ…。
ハルは、自分の腕を掴むミコトさんの手を振り払い、怒りを抑えないまま、無言でみんなのところへ去って行った。そんな中、リボーンは俺たちに言った。リボーン「さてと、ミコトとも合流できたし、行くとするか。」リボーンの一言で、再びみんなが歩き出した。気まずいムードになっているような気がするのは、気のせいかな……
(キョンサイド)三栖丸さんが俺たちよりも1ヶ月先に並盛町に来てたという事実に、俺は驚いた。同時にひとつ謎が解けた。なぜ、リボーンが俺たちSOS団のことを知っているかだ。
三栖丸さんが初対面のツナにいきなり頬にキスするということが、正直、ここにいるみんな予想もしなかった。もちろん俺も含む。ハルヒや朝比奈さん、俺の妹でさえも、口をあけたまま言葉を発することもできなかった。三栖丸さんが、ツナに気があるのかどうかは、疑問だがな。でも、三栖丸さんは、豪華客船のオーナーだった伊集院泰一郎とかっていう奴と付き合ってたはずだが、どうなったんだろうか。まあいい。俺には関係ない。ひょっとすると、これは、ツナに対する三栖丸さんなりの挨拶だろう。まさしくそうだ。うん。そういうことだと思っておけ、ツナよ。と、俺は呆然とするツナに心の中でそう呟いた。谷口「なあ、キョン」キョン「何だ?」谷口「どっかのラブコメで今の展開みたいなのなかったか?」キョン「知るか」とりあえず俺は、小声で質問する谷口にそう答えてやった。
三栖丸さんと合流し、みんなと歩いていた俺だったが、頭の中で、何かモヤモヤとしたものが思い浮かんでいる。三栖丸さんのことに関して、何か大事なことを忘れているような気がする。それが、頭の中から離れない。
とりあえず、俺は、そのモヤモヤを長門に小声でこっそり訊いてみた。キョン「なあ、長門」長門「何?」無機質で淡々とした声で答える。キョン「俺、三栖丸さんのことで、何か忘れているような、こう、モヤモヤっとした感じがするんだが、お前はどうだ。」長門「ない。三栖丸ミコトとは、オーベロン号で会ったこと以外、特に変わったことはない」相変わらずの調子で長門は返した。キョン「そうか。」
その後は、特に会話をすることなく、黙々と駅まで歩く俺たちだったが、歩いて数分後、再びリボーンが立ち止まり、それに同調して俺たちも立ち止まる。俺たちの前に、膝まである黒のロングスカート、赤いポロシャツに黒いネクタイ、オレンジ色のおしゃぶりを首元につけ、髪は変わった形に束ねた大人びた女性が立ち止まっていた。リボーン「やあ」女性「久しぶり、リボーン。」リボーンは、気軽に女性に何食わぬ顔で挨拶をしている。
突然、女性が、腰を落としてリボーンの耳元で何かを話し、彼も相槌をしている。何を話しているのだろうか。すっと立ち上がると、女性は、微笑んでみんなに挨拶をし始める。女性「おはよう、みんな」全員「おはようございます」ボンゴレファミリーのみんなは知っているようだ。俺たちはこの女性を知らなかったが、みんなが挨拶をするので、とりあえずSOS団のメンバー全員、挨拶をした。
俺は、この女性のことを知らない。もちろん、SOS団のメンバーもこの人を知らない。一体誰なのか、俺は尋ねてみた。キョン「あの…あなたは?」女性は、突然俺たちの方に視線を寄せて、自己紹介をし始める。アリア「初めまして、SOS団のみんな。私はアリアって言います。よろしくね」ちょっと待て。なんで、SOS団のことをこの女性は知っているのか。
さらに、この女性の次の言葉に俺は耳を疑う。
アリア「あなたがキョン君?」キョン「……は、はい。そうですが、……」
どうしてこの人は、俺の名前を知っているのだろうか。いや正確にはちゃんとした名前ではないが、少なくとも俺が親しいと呼べる関係にある人にしか呼ばれないその名を目の前のこの女性は何故知っているのか。それだけじゃない。 アリア「あなたが、涼宮ハルヒさんね?」ハルヒ「は、はい。」アリア「それに、朝比奈みくるさんに、長門有希さん、古泉一樹君に、キョン君の妹さん。そして、鶴屋さんに谷口君に国木田君。初めまして」
初対面であるはずなのに、俺たちSOS団の仲間に一人ひとり指をさして、誰が誰なのかを当てている。何故だ? 長門と古泉以外のメンバーは面食らったような顔をする。
不審に思った俺は、この女性に疑問を投げかけた。キョン「あ、…あの~……、何で、俺たちのことを知ってるんですか?」アリア「実はね、…」アリアさんが俺の質問に答えようとしたとき、突然、三栖丸さんが、割り込むように、その人に話しかける。ミコト「あ、アリアさん、お久しぶりです!!三栖丸ミコトです!!」三栖丸さんは、この女性を知っている?アリア「あら、ミコトちゃん、久しぶりね。元気にしてた?」ミコト「はい」2人は、うれしそうに時折笑い顔を見せながら会話をしている。それを遮らせるように、今度はツナがアリアさんに話しかける。ツナ「アリアさんも、ミコトさんを知ってるんですか!?」アリア「ええ。」リボーン「アリアも、俺と一緒でミコトに会ってるんだ」キョン「つまり、1ヶ月前ってことですか?」アリア「そうよ。キョン君。」リボーン「1ヶ月前、2人で、ミコトに並盛を案内してたんだ。そのときに、アリアもミコトからお前らSOS団のことを聞かされてたんだ。」
アリア「そういうこと。」アリアさんは、俺たちにすっと笑顔を見せて、そう呟いた。アリアさんと会った俺たちは、その後、立ち止まることなく、駅にたどり着き、全員電車に乗って、川に近い駅に着いた後、また少し歩いてすぐに、並盛川に着いた。文字通り、そこは川だが、広い原っぱで挟まれた大きな川であった。その原っぱで、朝会ったコロネロと、ラル・ミルチがそこにいた。
リボーン「んじゃ、お前ら集まれ。これから、行事の説明を行う。」リボーンの一言で、俺たちはみんな彼の前に集まった。もちろん、キャバッローネファミリーのディーノと、幹部のロマーリオさん、それに、ディーノの部下も何十人もいる。そして、俺たちの前に、リボーンが立っており、彼の横に、コロネロ、ラル・ミルチ、アリアさん、森さんが並んでいる。リボーン「これから、SOS団とボンゴレファミリーの親善行事を始めるが、その前に、チームわけを行う。チームは2チーム。ツナチームとハルヒチームに分けようと思う。」ハルヒ「あ、あたし!?」リボーン「そうだ。お前がチームのボスだぞ。涼宮」ツナ「ちょっとリボーン!!いくらなんでも俺がリーダーなんて無理だよ!!」リボーン「やらねぇ前から逃げてどうする。お前はリーダーとしての自覚がねぇな。」
リボーン「まあいい。これから、コロネロとアリア、ラル、森園生と、チーム抽選を行うから、しばらく待ってろ。」そうして、待つこと10分。遂にチームのメンバー分けが決まった。
リボーン「チームが決まったぞ。ツナチームは、笹川了平、古泉一樹、クローム、谷口、国木田、鶴屋、キョンの妹、ランボ、イーピン、三栖丸ミコト、ビアンキ、以上だ。」つまり俺は、ハルヒのチームってことか。
リボーンは、ハルヒチームを紹介するようだ。
とりあえず、俺は、リボーンのチーム分けを黙って聞いておくことにした。まあ、しかし、ツナチームでSOS団のメンバーは古泉だけってなんか寂しい感じもしないこともないが、あいつはどう思っているのだろうか。リボーン「ハルヒチームは、長門有希、笹川京子、朝比奈みくる、三浦ハル、フゥ太、キョン、獄寺隼人、山本武、ディーノ、ロマーリオ。以上だ。この中で、文句ある奴はいるか?」偶然、ツナの方に視線を合わすと、何か異論を唱えたそうな顔をしていたが、突然、獄寺「ちょっとリボーンさん!!」リボーン「どうした、獄寺」獄寺がリボーンの方にやってきた。獄寺「どうして10代目と同じチームになってないんですか!!」ハル「私もです!!」今度はハルも出て来た。ハル「ハルもどうして、ツナさんと一緒じゃないんですか!!私もツナさんのチームがいいです!!」リボーンは獄寺とハルの抗議に静かに答えた。リボーン「却下。」ハル「はひっ!?」獄寺「んなっ!!…」彼のその一言の後、獄寺は無言のまま、ハルは泣く泣く俺たちのチームに戻ってきた。
待てよ。ツナチームは12人で、俺たちチームが11人。一人足りないな。キョン「なあ、リボーン」リボーン「どうした、キョン」キョン「俺たちのチーム、一人足りないんだが。」俺の問いかけに答えることなく、リボーンは喋り続ける。リボーン「んじゃ、早速始めるぞ。今からお前らは、チーム全員で宝探しをしてもらうぞ」全員「宝探し?」
リボーン「ああ。この並盛川に、こういう赤い箱が埋められている。」そう言ってリボーンが差し出したのは、小さな赤い箱だ。ミコト「それに一体、何が入っているって言うんですか?」リボーン「1000万円だ。」みくる・ハルヒ「い、…1000万円!?」ビアンキ「それって本当なの!?リボーン!!」リボーン「ああ。」ハルヒと朝比奈さん、そしてビアンキは、驚いて言葉を失った。
その後、谷口がリボーンに質問する。谷口「それで、制限時間ってどれくらいだ?」リボーン「最初は、10時半から1時、その後は、お昼の休憩を入れて、2時から4時半までだ」獄寺「それってリボーンさんのお金ですか!?」リボーン「ああ。」フゥ太「ハズレもあるの?」リボーン「ああ。後、1000万円は、獲ったチームで山分けだぞ」みんながざわつき始めた。そのざわつきを遮らせるように、リボーンは俺たちに言った。リボーン「スコップも人数分集めてるから、取ったらすぐに始めてもいいぞ。」ハルヒ「あたしやるわね!!リボーン」リボーン「ああ。」ハルヒはすっかりはりきっている様子である。スコップを取った後、すぐに掘り始める
リボーン「箱を見つけたら、手をあげろ。さ、始めろ」ハルヒ「さあ、あたしたちで絶対に1000万円見つけるわよ!!」ハルヒは嬉しそうにはしゃいでいる。やる気まんまんのようだ。ハルヒ「あっ、そうだ!!みんな集まって!!円陣組むわよっ!!」ハルヒの一言に、みんなが集まり円陣を組むことになった。互いに肩を組み、ひとつの円を作ったことを確認したハルヒは叫んだ。ハルヒ「いい!?何がなんでも1000万獲るわよ!!」山本「何だかすっげぇやる気感じるな」みくる「私もです~。絶対に負けられません」ハル「ハルも、三栖丸さんという人には負けたくありません!!」ああ、さっきのアレね。まだ引きずってたんだな。ハルヒ「それじゃあ、みんな行くわよ!!ファイトォォォッ!!」全員「お――――――っ!!!」とまぁ、円陣組み終わってすぐ、俺たちは、2人1組となって、それぞれ掘ることになった。それで、ペアはこうなった。ハルヒは笹川京子と、長門は獄寺と、山本はディーノとロマーリオさんの3人に、俺はというと、フゥ太とペアになった。本当は朝比奈さんと組みたかったが、朝比奈さんはハルと組んでやることになってしまった。ものすごく、残念な気もするが、仕方ないことだ。なぜなら、うちのチームリーダーのハルヒの言うことには、誰も従えなかったからだ。とりあえず、ここでは、このペアでやっていこう。そう思った俺は、フゥ太に軽く挨拶をした。キョン「……きょ、今日はよろしくな、フゥ太」すると、フゥ太は輝きを増したとびっきりの笑顔で答えた。フゥ太「うん!!よろしくね!!キョン兄」キョン兄? その呼び方なんかものすごく違和感があるんだけどな…。まあいい、子供がどう呼ぼうが、自由だしな。キョン「それで、フゥ太、これからどこ掘ろうか。なるべく、みんなが見える場所にしような」フゥ太「う~ん、…じゃあ、あっちがいい!!」そうして、指さした場所は、ツナのところだ。キョン「おいおい、あっちはツナがやってるだろう」そういうと、餌をねだる小動物のうるうるとしたような目で俺を見ている。さすがに俺は、断ることはできなかった。キョン「……わかった。じゃあ行こう」こうして俺は、フゥ太の要望でツナの近くで掘ることになった。
(ツナサイド)俺は、リボーンの言葉に疑いを持った。そんな1000万円があるなんて、嘘っぱちだよ。でも、みんながすごくやる気になってる。本当に大丈夫かな……。そう思いながら嫌々掘っていたときだ。フゥ太「ツナ兄~~~~っ!!!」フゥ太がやってきた。それに、キョンさんも一緒だ。キョン「悪いな。ツナ。邪魔して。どうしてもこいつ、お前のところに行きたいって言うこと聞かなくて」ツナ「そ、そうなんですか…」キョン「お前の邪魔にならない程度で掘っていくつもりだから、気にしなくていいからな」ツナ「は、はい」こうして、俺たち3人で適当な場所に穴を掘っていくことになった。
(キョンサイド)ツナと俺とフゥ太が、穴掘りを始めて数分後。フゥ太「赤い箱見つけたよ!!」キョン「えっ!?」掘り進めていくうちに、フゥ太は赤箱を見つけた。ハルヒ「見つけたの!?フゥ太君!!」リボーン「もう見つけたのか?」
声を聞きつけて、リボーンや俺たちのチーム全員が、フゥ太の前に集まっている。ツナのチームも気になるのか、俺たちのところに群がっている。
フゥ太「あけるよ」キョン「ああ。」そうしてフゥ太は箱を開けると、中身は――――――、
はずれと書かれた小さな紙が……。俺たち全員、落胆してしまった。フゥ太「ゴメンね。みんな…」京子「いいのよ、フゥ太君。気にしないで。ね?」悲しげな表情をするフゥ太に、笹川京子はやさしく声をかけた。ハル「ハル、残念です。1000万円かと思ってワクワクしてたのに…」ハルヒ「まあ、いいじゃない。ハル。まだ始まったばかりなんだし。さあ、みんな、戻って掘るわよ!!」山本「そうだな。まだ時間はあるしな。」ハルヒの一言で、みんなは再び作業に戻っていった。俺も、フゥ太とツナと3人で再び作業をし始める。
しかし、まあ、1000万円ってそう簡単に見つかるもんじゃないし、気にしていない。フゥ太が開けようとしたときは、自分の中では少し諦めてたしな。
(ツナサイド)フゥ太が箱を見つけたときは、ものすごくびっくりして、どきどきしてずっと見てたけど、ハズレと知ったときは、少しがっかりしたな。赤箱があるということは、本当に1000万円が埋められてる!?俺は、少し期待を膨らませながら、スコップで掘りはじめようとした。
すると…――
“ドカ――――――――――――――ンッ!!!!!!!!”谷口「ぎゃああああああああああああっっっ!!!!!!」大きな爆発音と共に、谷口さんの悲鳴が聞こえた!!俺は急いで谷口さんのところへ向かった。ツナ「んなっ!!?」現場に向かうと、俺はあまりの光景に言葉が出なかった。谷口さんが、黒こげで気を失って倒れていたのだ。現場にいたミコトさんと鶴屋さんに訊いてみた。ツナ「ミコトさん、鶴屋さん、どうして谷口さんがこんな目に遭ってるんですか…!?」ミコト「それが、谷口君、赤箱を見つけて開けた瞬間に爆発したんです!!」鶴屋「そうにょろ。急に爆発が起こって私もめがっさびっくりしたさっ!!」ツナ「ええっ!?」とここで、リボーンが現れて、俺の前でこう言い放った。
リボーン「言い忘れてたが、ただのはずれじゃつまんないと思って爆弾も入れてるんだ。他にも、手榴弾とかダイナマイトとか…」ツナ「ふざけるなよ!!1000万円見つける前に命がいくらあっても足りないよ!!」ミコト「そうですよ!!リボーン、早くこの行事中止にしてください!!そうしないと負傷者かなり増えますよ!!」俺とミコトさんの説得にリボーンは答えた。リボーン「いいじゃねえか。その方がかなりエキサイティングになるぞ。」ハルヒ「リボーンの言う通りよ」ミコト・ツナ「涼宮さん!!」俺とミコトさんの前に、突然涼宮さんがやってきた。ハルヒ「やっぱり少々のスリルがないと面白くないじゃない!!」リボーン「おっ、分かってるじゃねえか、涼宮」ハルヒ「だってこんな楽しい行事初めてよ!!リボーン、やめさせる必要ないわ!!」何言ってんのこの人―――――――!?
ビアンキ「私もリボーンと涼宮ハルヒに賛成よ」
ビアンキも俺たちの方に駆けつけ、ミコトさんと俺に話した。ツナ「ビアンキまで…」俺はビアンキの一言に言葉を失う。リボーン「もう言うことはないな?んじゃ、始めろ。前半終了まであと1時間あるからそれまで頑張れ。谷口は心配するな。キャバッローネファミリーの奴らがなんらかの応急処置はするみてぇだから」なんらかってなんだよ、なんらかって!?ハルヒ「じゃあ、リボーン、あたし続けるわね。」リボーン「ああ。ほら、ツナもミコトもさっさと戻れ」リボーンに言われて、俺とミコトさんは無言のままそれぞれ自分のところへ戻っていった。
(キョンサイド)リボーンとツナたちの会話を聞くと、赤い箱の中に爆弾も入っているという事実が。まずいな。アホの谷口はともかく、このままだったら確実に怪我人は出るぞ。しかし我らが団長涼宮ハルヒは、何とも思っていないのか。死人が出るようなところで、平気な顔をして穴を掘っているあいつを見てると、なんか疑問に思う。どうしてあいつは、こんなの楽しめるのだろうか。とりあえず、俺も注意しないとな。俺がああなる可能性もあるしな。俺は少し場所を変え、注意深く掘っていくことにした。すると、赤い箱を見つけてしまった。
俺はそれを手に取り、早速箱を開けることにした。谷口の事もあって、少し緊張しているのが自分でも分かる。心臓の音がドクンドクンと次第に大きくなっている。ただこれが恐怖によるものだけじゃなくて、自分でも心の中で興奮しているのが分かる。おそるおそるすこしずつ箱を開けると、いきなり白い煙が立ちこめるキョン「う、うわっ!!」俺は驚いてすぐにその箱を投げた。しかし、何秒経っても箱に異常はなく、俺は再び箱を取って、中身を調べた。箱の中身は―――――――――!!
ただのアイスクリームだった。白い煙の正体も、ドライアイスによるものだった。
みくる「キョン君、見つかったの?」そこに朝比奈さんとハルがかけつけてきた。キョン「いえ、アイスクリームが入ってました。朝比奈さん達はどうですか?」みくる「私は、これです。」キョン「メイド服!?」ハル「ハルのはこれです!!」キョン「なんでラジコンカー?!」朝比奈さんはメイド服を、ハルはラジコンカーをそれぞれ見つけたそうだ。
長門「私も見つけた。」と突然長門がすっと俺たちの前に現れて、差し出したのはカレーだった。長門「しかもまだ温かい」ハル「はひっ!?なんでカレーが!?」
長門「わからない。おそらくこれはリボーンの仕業に間違いはないはず。まだ温かいということは、行事が始まる前に入れられた可能性が高い。しかし、どのタイミングでカレーが入れられていたのかわからない」長門は淡々と俺たちに喋りながら、カレーを食べている。それがどこか、喜んでいるような感じに思える。
“ピ――――――ッ!!”
ここでホイッスルが鳴った。前半戦は終了ってことだな。今のところ、爆発の被害にあったのは谷口だけのようだ。
うん、あいつは大丈夫だろう、多分。よかった。それ以外に犠牲者はまだ出ていないみたいだな。俺はほっと胸を撫で下ろす。
リボーン「今から1時間休憩だ。これからバーベキューを始めるぞ。」周囲には、鉄板、ガスコンロなどが数台備わっており、いつでも始められる体勢だ。それだけじゃない。山本「おっ、すげえな。」肉や野菜などたくさんの食材が並べられている。リボーン「鉄板やガスコンロの準備は、キャバッローネファミリーの奴らが、食材の買出しは、アリアと森がやってくれたぞ。」全員「ありがとうございます!!」森・アリア「どういたしまして。」俺たちのお礼に2人は笑顔で答える。リボーン「それじゃ、早速休憩に入れ。後半の2時までは自由だからな」ランボ「ランボさん、バーベキューお腹いっぱい食べるんだもんね!!」イーピン「イーピンもイーピンも」そういうと、ランボとイーピンは走っていった。さて、俺たちも、食べるとするか。午後に向けて体力も付けておきたいところだ。
(ツナサイド)ミコト「ツナ君!!」クローム「ボス」京子ちゃんの近くに行こうとした時、ミコトさんとクロームに呼び止められた。ツナ「み、ミコトさん!!クローム!!どうしたんですか?」ミコト「…よかったら私たちと一緒に食べませんか?」ツナ「えっ!?」ハル「ツナさ~~んっ!!!」今度はハルもやってきた。ハル「ツナさん、三栖丸さんたちがいやならハルと一緒に食べませんか?」
獄寺「10代目!!こんなアホ女はほっといて、俺と一緒に食事しませんか?!今後のボンゴレの事に関していろいろ…」了平「いや、沢田!!俺とだ!!お前と一緒に食べながらボクシングについて熱く語りあいたいと思っていたところだ!!」獄寺「うぜぇぞ!!芝生頭!!お前は邪魔だ!!」了平「何だとタコ頭!!」
ああ、もう、何でこうなるのかな~…。俺、京子ちゃんと一緒に食べたいんだけどな…。キョンさんの妹さん、鶴屋さん、ビアンキと笑いながら一緒に食べている京子ちゃんの姿を見て、なんだかものすごく憂鬱を感じるのは俺だけだろうか。山本はといえば、爆発の被害にあった谷口さん、それに国木田さん、ラル、コロネロ、ランボとイーピンと一緒に集まって食事しているし、(つーか谷口さん、あんな目に会ったのに元気そうだな)フゥ太はディーノさんとその部下の人たち全員と食事している。
そして、SOS団のみなさんとリボーン、森さんとアリアさんは、揃って座りながら、バーベキューを楽しんでいる。そんなSOS団のメンバーである涼宮さんと俺が、偶然にも目があった。そして、俺の事情を知ってか知らずか涼宮さんは俺たちにこういった。ハルヒ「ねぇ、ツナ、ミコト、ハル、クローム、みんな!!ここに来てみんなで一緒に食べましょう!!ほら、京子も妹ちゃんも鶴屋さんも山本君も、みんな来なさい!!やっぱり大勢で食べたらバーベキューっておいしいでしょう!?」涼宮さんの一言で、俺たちは、SOS団の方に向かって歩いて行った。
結局、全てのメンバーが円陣を作るように座って、食事をすることになった。でも、京子ちゃんは俺ととても離れたところに座っている。
京子「あの、涼宮さん」京子ちゃんが涼宮さんに話しかけた。ハルヒ「何? 京子」
京子「そもそもSOS団って何をするところなんですか?」すると、キョンさんが涼宮さんの代わりに京子ちゃんに答える。キョン「簡単に言えば、世界にある不思議や面白いことを探して楽しもうという、サークル……みたいなものです。」京子「そうなんですか…、なんだか面白そうですね。」そういうと、京子ちゃんは、にこっと涼宮さんに笑顔を見せる。今度は、アリアさんが涼宮さんに質問をする。アリア「ねぇ、涼宮さん」涼宮さんはアリアさんの方を向いて返事をする。ハルヒ「はい、アリアさん」アリア「このSOS団っていう名称は何かの略なの?」ハルヒ「ええ。そうよ。」キョン「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団。それを略してSOS団って言うんですよ。」アリア「へぇ、そうなの。フフッ、面白いわね。」アリアさんは、キョンさんの説明に笑いをこぼした。リボーン「涼宮、俺からも聞いていいか?」今度はリボーンも涼宮さんに質問しようとする。ハルヒ「ええ、いいわよ」すると、リボーンは、突然顔を変えて、喋りだす。その顔に、俺はどこか恐怖を感じた。リボーン「お前、どこから俺の情報を知ったんだ?」涼宮さんは気にすることなく答えた。ハルヒ「実はね、私の通ってる学校の近くで、新聞が配られてたのよ。その見出しに、『並盛町に小さなヒットマンがいた!!』ってね。そこに、あんたの写った写真が、大々的に載ってたのよ。でも、人物が小さいから、本当かどうかはわからなかったけどね。」リボーン「その新聞今持ってるか?」ハルヒ「ええ。」そういうと、涼宮さんは自分のカバンから薄い新聞のような物を取り出し、それをリボーンに渡した。ハルヒ「どうぞ。」リボーン「ああ、すまねぇな」ランボ「え、何々?俺っちにも見せて見せて~」キョン妹「見せて見せて~」ビアンキ「本当にリボーンが載ってるの?」みくる「初耳です。こんな新聞があったなんて」獄寺「リボーンさん、俺にも見せてください!!」キョン「おいおい、そんな話聞いてないぞ…」森「私にも見せてちょうだい」
みんなが新聞を持つリボーンの方に押しかけている。
俺も気になって、リボーンの方に来て、新聞が見えるところに立つ。その写真には…
黒い帽子、黒いスーツ、拳銃。…それに、レオンのような生き物が、帽子の上に乗ってる。でもそれがリボーンってまだ決まったわけじゃない。いや、俺は、90%の確率でリボーンだと判断している。写真の中のそいつは、敵のようなやつを倒している。リボーンはそれを見て言葉を発した。リボーン「間違いねぇ。確かに俺だ」その一言で、全員が驚いた。ハル「はひっ!?リボーンちゃんが新聞に!?」山本「嘘だろ!?小僧が新聞に載ってる!!」コロネロ「確かにこれはリボーンに間違いねぇな、コラ」森「そうね。」ミコト「ちょっと待ってください!!これはただの合成っていうこともありえなくはないんじゃ…」
獄寺「いや、見た感じ合成じゃねぇぞ。」獄寺君は険しく真面目な顔で話した。鶴屋「じゃあ、この写真一体誰が撮ったにょろ!?」古泉「全く見当がつきませんね。」
ラル「涼宮、新聞を配っていた奴は誰か覚えているか!?」ハルヒ「それが、受け取った相手は、男だったんだけど、その人帽子で顔を隠していて、よくわからなかったわ」ラル「じゃあどういった服装だったかわかるか!?」ハルヒ「そうね、…服装は、青い服をつけてたわね、頭の上には、黒の帽子、ズボンは、…思い出した!!服と同じ青だったわ。あと、肩にかけてたカバンは黒ね。」ラル「…そうか」ラルは涼宮さんの返答を聞いた後、他に問いただしたりする事はしなかった。ツナ「でも何でリボーンの写真が」俺はわからない。誰が何のために、リボーンの写真を撮って、新聞に載せたのか。そして、涼宮さんが会ったと言った新聞配達員は一体何者だろうか。謎は深まるばかりだ。
(キョンサイド)俺はハルヒから初めてとんでもないことを聞かされた。新聞配達員の青年からリボーンの事が書かれた新聞をもらったというのだ。ただその新聞配達員の顔はうまく見れなかったというが、果たしてその配達員と俺たちSOS団、それにボンゴレファミリーは関係あるのか…
“ピ―――――――――ッ!!”リボーン「さあ、後半だ。休憩タイムは終了だ。」
とここで、休憩タイムは終わりのようだ。でも、俺は気になる。その新聞配達員の正体は一体誰なのだろうか。
そして、何のために、リボーンの写真を載せたのか…。気になってるのは、きっと俺だけじゃない。ツナや古泉、獄寺たちを見ても、気になっている様子が俺にはわかる。
疑問が頭から離れない俺だが、それを抱えたまま、シャベルで土に穴を掘る。
(ツナサイド)リボーンからの休憩終了を知らせるホイッスルが鳴り、俺たちは、再び作業を始めた。フゥ太は、俺の側を一度も離れることをせず、俺の近くで作業をしている。移動するときも一緒に歩いている。ツナ「なぁ、フゥ太、俺のそばから離れろよ。しかも、お前、涼宮さんのチームだろう」フゥ太「だって、ツナ兄と一緒にやりたいんだもん」ツナ「フゥ太…」フゥ太「ツナ兄ぃ」フゥ太は小動物のうるうるとした視線を俺に向ける。そうされたら俺はもう断れない。ツナ「わかったわかった。好きにしていいから」フゥ太「わ~いわ~い」好きにしてくれよ。やれやれ。そう思ったとき、
“ドカ――――――――――ン!!”
ランボ「ぐぴゃあああああああぁぁぁっ!!」今度はランボが爆発の餌食に――――――!?いや、違う。ミサイル――――――ッ!?
ランボはミサイルで、空のかなたへと飛んで行ってしまった。ランボ「が・ま・ん~~~っ!!」
ミサイルが消えた後、空に小さな星が見えた。ていうか、どうやってあんなもの、箱に入れたのか、俺は全くわからない。ツナ「はぁ…」俺はふと溜息を付いたとき、
古泉「見つけましたよ!!」突然、古泉さんの声が響いた。俺たちのチーム全員、急いで古泉さんのところに駆けつける。鶴屋「見つけたにょろか!? 古泉君」古泉「はい。これです。」そう言って差し出したのは、確かに赤箱だ。
古泉「では、開けますよ」国木田「うん。」そして古泉さんが箱を開けると、中に入っていたものは、一見何の変哲もないただのコーヒー缶だった。古泉「あっ、コーヒーですか。」クローム「待ってください。そのコーヒー毒が入ってたりしたら…」ミコト「何言ってるんですか、クロームさん。全部密閉されてるんですよ。毒なんて…」古泉「そうですよ、毒なんか入ってませんよ」そういうと、古泉さんが缶のタブを開け、そのコーヒーを飲んだ瞬間、
古泉「!?」突然、吐き出し、その後バタっと倒れてしまった。鶴屋「こ、古泉くん!?」ツナ「えええええええええええええええええっ!?」国木田「まずいよ!!これ!!確実に僕たちも死ぬよ!!こんなところにいたら」ミコト「早くリボーンに事情を説明してやめさせないと!!このままじゃさっきの谷口君のようなことにもなりかねませんし!!」ツナ「はい。わかってますけど…」
アリア「大丈夫!? みんな」国木田「あっ、アリアさん!!」騒ぎを聞きつけアリアさんと森さんがやってくる。アリアさんは古泉さんの右腕を、森さんは左腕をそれぞれの自分の肩にまわし、古泉さんの体を立たせるように持ち上げる。アリア「行くわよ森さん!!」森「ええ。」そうして2人は、古泉さんを持ち上げ安全な場所へと移動させていった。
リボーン「結構楽しそうじゃねぇか。」俺たちチームの前に、再びリボーンが何食わぬ顔をしたままスタスタと現れた。ミコト「何が楽しそうですか!!リボーン!!もうやめましょう!!こんな行事!!」鶴屋「これじゃあ、他のボンゴレやSOS団のみんなの安全が保てないにょろ!!すぐやめさせるっさ!!」ツナ「ミコトさんや鶴屋さんの言う通りだよ!リボーン!!俺たちはともかくSOS団の人たちに何かあったらどうするの!!」3人で必死になってリボーンを説得しているとき、突然、獄寺「10代目ええぇえぇぇぇぇぇっ!!!!」みくる「リボーンさ~~~~~~~~んっ!!!」涼宮さんのチームである獄寺君と朝比奈さんが走って俺たちの方へ駆けつけた。リボーン「どうした。みくる。獄寺」みくる「そ、それが、…あっちで、キョン君と涼宮さんが、…」獄寺「ケンカしてるんです!!」ツナ「ええっ!?」妹「キョン君とハルにゃんがケンカ!?」ミコト「それで原因は何なのですか?獄寺君」獄寺「それがまだ原因はわかりません。とりあえず現場に来てください、リボーンさん」リボーン「ああ、わかった。」ああもう、なんでこう次から次に騒動が起きるかな~…。リボーン「んじゃ、行くぞ、ツナ」俺たちはリボーンに促されるまま、涼宮さんとキョンさんのところへ向かう。
(キョンサイド)宝探しの後半戦が始まって、早1時間半。フゥ太は、ツナが移動した瞬間、どっかへ行ってしまい、現在は俺一人。何度も掘っては箱を見つけるが、そのたびに、ガラクタのようなものしか出てこない。まあ、俺の身に危険が及ぶものはまだ見つかっていないがな。そのガラクタというのは、ぼろぞうきん、使い古しのわり箸、醤油瓶、入れ歯やら、もらっても嬉しくないものばかりだ。そろそろやめようかと諦めかけていたその時、また、赤箱を見つけてしまう俺。
俺は、この箱に最後の期待を寄せて、そのふたを開けた。すると、――――!!“金の延べ棒”が入っていたのだっ!!すごいぞ!まさか、金の延べ棒が入っているなんて!!それにかなり大きいし、重さもハンパないはずだ! 1000万円よりかは、かなりの価値があるに違いない!!早速俺はそれを持ち上げて見た…ん? あれ?意外に軽いな…。不審に思った俺はそれをくまなく見た。すると、
キョン「何だこれ」めくれるようになっている…。俺はそれをめくった瞬間、ひどく落胆する。キョン「まじかよ…」金の延べ棒と思ったものは、ただのチョコレートで、それを金の紙で包装されたものだった。
それを知った俺は、作業をやめることにして、他のやつらの様子を見に行くことにした。確か、長門は、獄寺と作業中だったようだが、あいつは何を見つけたのか、興味があるな。ちょっと見てくるか。黙々と獄寺と作業をしている長門に俺は声をかけてみた。キョン「なあ、長門」長門「何?」獄寺「あっ、どうも」キョン「2人のところはどうだ。」獄寺「それが、この人、PCゲームとフィギュアしか取らなくて…。」キョン「ってなんだこの山は!!」長門の近くには、いろいろなPCゲームが山のように詰まれている。唖然としたまま俺は、長門に聞いてみた。キョン「これ、…全部長門が見つけたのか?」長門「そう」長門は俺に答えた。これだけのソフトを見つけられること自体、1億分の1以下の確率でありえないぞ。俺は、そんな長門に、少し不気味さを感じる。
キョン「さてと…」長門と獄寺のところを見た俺、今度は、山本とディーノ、ロマーリオさんのところへ行ってみることにした。俺は作業をしているロマーリオさんに話しかけて見た。キョン「あの――、ロマーリオさんのところはどうでしょうか?」ロマーリオ「それが、赤箱を見つけて、中を開けるんですが、こんなものしか入って無くて」キョン「って武器だらけかよ!!」ロマーリオさんと山本のまわりには、手榴弾や、本物の鉄砲、拳銃などが積まれていた。キョン「……こ、これって、誰が見つけたんですか?」ロマーリオ「全てボスですよ」ボスって、ディーノが全部やったのか?
キョン「あっ、そういえば、確かディーノがいたはずだが、…」山本「ああ、あっちにいます。」そういって山本は、人指し指で、ディーノがいるところを指した。俺は、そいつのいるところへ歩いていった。
ディーノは一生懸命汗を流して、土を掘っていた。俺はディーノに声をかけてみた。キョン「なあ、ディーノ」ディーノの腕が止まる。ディーノ「どうした、キョン」キョン「あんたのところはどうだ。」彼は、再び掘り続けながら答えた。ディーノ「それが、いくら掘ってもなかなか箱が見つからないな」おいおい、さっきの手榴弾や拳銃を山のようにみつけたあんたはどうしたんだよ。そう心の中で呟いていたとき、
ディーノ「おっ、みつけたぜ。」そういって、ディーノは赤箱を見つけて、中を開けた瞬間、ディーノ「痛てててててててててて!!!」いきなり、ディーノの体が黄色い稲光に覆われて、感電している!!光が消えて、ディーノはその場にひざをつける。体から、白い煙も出ている。キョン「おい、大丈夫か!?」俺は急いでディーノの方に駆け寄る。ディーノ「―――……だ、大丈夫だ。」いや、大丈夫じゃないだろう。ディーノの異変に気付いたのか、森さんとアリアさんが駆けつけてきた。森「大丈夫!?ディーノ!!」ディーノ「へ、平気だよ、これぐらい…」
アリア「とりあえず、救護テントまで運びましょう。」そうして2人は、ディーノを救護テントへ運んで行った。
ディーノのまわりには、そいつの部下が取り囲んでいて、心配をしている様子だった。さらに、今度は、
ゴオオオオオっという強い音が鳴り、俺はその方へ振り向いて見た。すると、ランボ「ぐぴゃ~~~~~~~~っ!!!」ランボが、ロケットで飛ばされていた。それを見ていた俺は、恐怖を感じた。
これ、もうそろそろやばくないか?自分の身に危険を感じ、俺は急いで涼宮ハルヒのところへ向かう。
ハルヒは笹川京子と2人で、作業をしていた。そんなハルヒに俺は声をかける。キョン「おい、ハルヒ」京子「あっ、キョンさん」
ハルヒ「何よキョン。」キョン「もうそろそろやめにしないか?これ以上やると、俺たちの身が危ない」ハルヒは答えた。ハルヒ「嫌よ。」キョン「考えてもみやがれ。さっきの谷口の爆発といい、ディーノの感電といい、ランボが今さっきミサイルで飛ばされたことといい、ボンゴレの奴らや、俺たちのメンバーも被害に遭ってるんだぞ!!本当にこれ以上続けると、ケガどころじゃすまないぞ!!」 俺がハルヒに一生懸命説得をしている時、
(鶴屋「こ、古泉くんっ!?」)
突然、ツナチームのところがざわつき始めた。振り向くと、古泉が何かを吐いて倒れて、気を失っているのだ。
そんな姿を見ても、ハルヒは気にもとめずハルヒ「いいじゃない。メンバーの1人や2人、犠牲は付きものでしょ?たいしたことないじゃない。ほらあんたもサボってないで、自分の仕事をしなさい。」俺はこのハルヒの思いやりのない一言にさすがに切れた。
キョン「おい、ハルヒ。」ハルヒ「何よ。」ハルヒは立ち上がり、俺の方を見た瞬間、俺は拳を大きく振り上げて、思いっきりこいつの頬を殴ってやった。“バキッ!!”京子「キョンさん!!」それを見ていた笹川京子は驚いた表情を取る。だが知ったことじゃない。
殴られて倒れたハルヒは少しずつ起き上がり、俺を見上げながら叫んだ。その表情には、怒りと憎しみが同時に表れていることがわかる。ハルヒ「何するのよ!!バカキョン!!」キョン「バカはお前だ!!バカ団長!!いつもいつも相手の気持ちも考えないで人に無理難題を押し付けて!!何が、メンバーの1人や2人、犠牲は付きものだ。ふざけるのもいい加減にしろ!!」ハルヒ「何ですって!?」(ツナ『ちょっとキョンさん、涼宮さん!!何してるんですか!!』)俺たちがケンカをしていることを知ったツナやリボーンたちが、かけつけてくる。しかし、悪いな。ツナ。リボーン。さすがに俺はこのバカ団長の人を思いやらない態度にキレてるんだ。このバカの目を覚まさせないと、さらにタチが悪い。ま、治るかどうか分からんがな。
(ツナサイド)俺たちが駆けつけると、キョンさんと涼宮さんがケンカをしていた。何に対してかわからないけど、とりあえずやめさせないと。ミコト「ちょっと涼宮さん、キョン君、ケンカはやめてください!!」谷口「お前ら落ち着けって!!」妹「キョン君やめてよ~」しかし、ミコトさんや谷口さんたちの説得に、2人は耳を貸そうともしない。リボーン「そろそろ涼宮とキョンのケンカをやめさせねえと大変なことになるかもな」ツナ「無茶言うなよ、どうやって止めさせるんだよ」このままじゃヤバイ。自分でもわかってる。でも、その時、怒りを抑え切れない涼宮さんがキョンさん目掛けて拳を振りかける。その後の出来事に俺は言葉が出なかった。
キョンさんがパンチを避けようとしてしゃがみこんだ瞬間に、ケンカを止めさせようとキョンさんの後ろにいたミコトさんの頬に直撃してしまった!!
ドスッという鈍い音の後、涼宮さんは我に帰った。ハルヒ「ミ、ミコト!?ご、ゴメン!!ごめんなさい!!」涼宮さんは急いでミコトさんの頬から自分の拳を離し、ハルヒ「……だ、大丈夫!?ミコト?」心配した様子で、ミコトさんに話しかける。ミコト「……何…するんですか?」すると、どす黒い声を響かせミコトさんは、涼宮さんに目掛け、拳を振り上げた。それが彼女の頬に直撃する!!ツナ「えええええええええええええええっ!!!!?」俺はミコトさんの予想外な行動に驚いて、言葉が見つからない。涼宮さんは殴られた衝撃でふっ飛び、彼女の後ろに立っていた獄寺君にぶつかる。
ハルヒ「痛い!!」
獄寺「なっ、ちくしょう!!やりやがったな!!てめぇ!!ぶっ殺してやる!!」ツナ「ちょっと獄寺君!!」すると、獄寺君は、俺の静止を聞かずダイナマイトをミコトさんに投げつける!!さらに、朝比奈さんや鶴屋さん、谷口さんに国木田さん、京子ちゃんのお兄さんもいる。ミコト「な、なんでダイナマイト―――――ッ!!!???」みくる「あひ――――――――っ!!!!」谷口「ぎゃあああああぁぁあああああぁぁぁ!!!!!」国木田「ひいいいい、助けてぇぇえぇぇぇぇ!!!!」そしてついに爆発した。涼宮さんとキョンさんも巻き添えになってる。
白煙の中から、4人の人影が出ていた。その正体は、お兄さん、鶴屋さん、朝比奈さん、ミコトさんだ。みくる・ミコト「―――――獄寺…君、よくも、……やりましたね?」鶴屋「なめてると、ただじゃすまないにょろよ?」了平「おのれ、タコ頭!!この仕返しはきっちりさせてもらうからな!!」獄寺「うるせぇぞ、てめぇら全員皆殺しだ!!」ちょ、ちょっとヤバイよ!! このままじゃ他の人たちに危害が!!
そう焦っているうちに、突然朝比奈さんが――みくる「みくるビ――――――ム!!」ツナ「(ええええええええええええええええええええっっ!!!!!?????)」目からビームを発射させた!!どうなってんだよ、これ!!獄寺君はそのビームをうまく避けると、それが、イーピン、ビアンキ、長門さんたちのところに命中した!!と思ったら…
うまく攻撃をかわしたビアンキはショットガンを撃ち始める!!それに、長門さんも武器を持って、獄寺君たちのところへ走っている!!さらに、森さんや古泉さん、ディーノさんまでも参戦し、乱闘状態になってる!!爆発音、銃声音、怒号が飛び交う状況の中、俺の精神は少しずつ狂いはじめる。ツナ「――――は、…ははっ、はははははははははははははははっ!!!!!!…」ただ、上を向いて大声で笑うしかなかった。リボーン「結構楽しそうだな。」リボーンの言葉で俺は我に帰った。ツナ「どこがだよ!!このままじゃ全員死んじゃうよ!!マジで何とかしろよ!!リボーン!!せめて谷口さんや国木田さんだけでも救出しないと!!ラル・ミルチやコロネロまで乱闘に参加してるんだぞ!!」アリア「困ったわね。フゥ太君とキョン君の妹さんだけは、救出できたんだけど…」アリアさんがそう呟いたとき、突然京子ちゃんとハルが現れた。京子・ハル「リボーンくん。(リボーンちゃん。)」ツナ「京子ちゃん!!ハル!!」リボーン「どうした。2人とも。」乱闘している殺伐とした雰囲気の中、京子ちゃん何かを差し出しながらリボーンに答える。京子「1000万円見つけたんだけど、どうすればいいかわからなくて」リボーン「おっ、見つけたのか。」ツナ「えっ!?見つけたの!?」確かに京子ちゃんの持っていたものは、札束の入ったアタッシュケースだった。でも、京子ちゃん、こんな大金見つけたら驚いたりするはずなんだけど、なんで淡々と話すのかな…。
京子「いざ使おうとして何に使えばいいのか…」ハル「ハルも京子ちゃんと同意見です。使い道がわからないと持ってる意味もないというか…」ツナ「…そうだね」2人の言う通り、実際山分けしたとして、使い道はどうするか、全然見当がつかない。どうすればいいんだろう――――――――。
すると、ゴオオオオオっという強い音が空から聞こえてくる。俺たちが上を見ると、ランボ「ぐぴゃあああああああぁぁああああぁぁぁぁ!!!!!!!!」さっきミサイルで飛ばされていたランボがミサイルごと、俺たち3人の上に落下してくる!!ツナ「うわっ!!ど、どうしようっ!!!」まずい!!急いで京子ちゃんとハルを安全なところに…ツナ「2人とも、逃げて!!」ハル「はひっ!? ツナさん!!」そして遂に俺の上にミサイルが落下した!!ドカ――――――――――――ンッ!!!!!ツナ「うああああああああっっっっ!!!!!」……
ランボ「が・ま・ん~っ…うわあああああああああああああぁぁぁっ!!!!!」痛てて…なんとか助かった…起き上がると、ランボはすでに泣き出していた。辺りを見渡すとまだ乱闘は続いている。ところで、京子ちゃんとハルは!?京子「ツナ君~~っ!!」ハル「ツナさん!!」ツナ「2人共、大丈夫!?」ハル「ハルと京子ちゃんは大丈夫です!!」よかった…。俺はほっと胸を撫で下ろした。あれ、あそこで燃えている箱は―――ツナ「んなっ!!!」さっきのアタッシュケースがお金ごと燃えている!ツナ「そんな!!せっかくの1000万円が!!…」落胆している俺にリボーンが現れる。リボーン「いいじゃねえか。SOS団とも親交を深めることができたし。それに、この1000万円も偽札だしな。」俺はリボーンの一言に疑問を感じ、もう一度聞き返してみた。ツナ「り、…リボーン、―――お前、……今何て言った?」
リボーン「だから、偽札だ。最初から1000万円なんて、あるわけねぇだろ。」ツナ「……偽札!?!? …そ、そんな~~~っ…。」じゃあ、今まで何のために頑張ってきたんだあああああぁぁああぁぁ!!!!!!その言葉を言わないまま俺は、リボーンに怒る気力すらなく、その場でひざを付ける。結局、SOS団の人たちを巻き込んだ危険な一日は幕を閉じたのだった。
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