BOYS&GIRLS
注意・Wiiゲーム『涼宮ハルヒの並列』にしか出てこないキャラクターと、リボーンの絡みを描きました。キャラクターのイメージを汚されたくないという方、クロスオーバーが苦手な方は、見る事をご遠慮ください。 なお、『涼宮ハルヒの並列』の世界観、涼宮ハルヒの憂鬱、家庭教師ヒットマンREBORN!の世界観とは何ら関係はありません。独自の設定を使用したり、変えたりしているところもあります。ご注意ください。 また、このSSに登場する三栖丸ミコトは、この後も登場させる予定です。・このSSに、涼宮ハルヒたちは登場しません。・一部それぞれの原作から逸脱している箇所があります。ご了承ください。========================================これは、SOS団が並盛町にやってくる1ヶ月前のお話。~ツナの家の中~ツナ「あれ?リボーン。どこに行くんだ?」リボーン「コーヒー屋だ。」ツナ「…ふ~ん。」リボーンがそう答えると、ツナはそれ以上彼に何もいうことはなく、その場を後にした。リボーンは家のドアを開けてそのまま外へ飛び出していった。雲一つない青空が続いている。コーヒー屋はツナの家から歩いて10分もしないところにあった。日差しの強い中、影もない。人通りの多い場所を進んだ後、細い道を進み、さらに、雑草の生えた道をも通っていった。それでも、決して目的地までは止まったりはしない。ようやくコーヒー屋についたリボーン。ドアを開くと、ドアに付いている鈴が小気味良い金属音を響かせて客の来訪を告げる。リボーンがカウンターの前に立つと、エプロンを着た女性店員が彼の方に駆けつけた。店員「いらっしゃいませ。何に致しますか。」リボーン「エスプレッソを頼む」
店員「かしこまりました。」そういうと、店員は、カップにエスプレッソを淹れて彼の前に来て、渡した。店員「どうぞ」リボーン「ありがとう。」渡した店員はその後、カウンターの方へ戻り、別の作業をし始めた。商品を受けとった後、リボーンは小さな円いテーブル席に向かい、慣れたように自分の背丈の何倍もある椅子めがけて飛び乗った。リボーンは、熱いエスプレッソを飲みながら、店の中を見渡した。その時、ピンクの飾り付きのゴムをつけたツインテールに、襟のついた白い服とロングスカートを着けた少女が円いテーブル席にひっそりと座りながら、ハムエッグとトーストを食べ、コーヒーを飲んでいるのが、彼の目に映った。その少女はどこか元気がない。目には、うっすらと涙の跡があり、頬が赤くなっているのがわかる。普通ならこんな子供相手にそこまで関心は示さない。だが店内には彼とその少女しかいなかった。そして幼い少女には不釣合いの張り詰めた表情を浮かべていたので、リボーンは少し気になりその少女に話しかけた。リボーン「おい。」少女は食べるのをやめ彼の方に振り向く。いきなり自分よりも年下であろう赤ん坊の姿をした者に声をかけられ、一瞬驚いたような表情を見せる。少女「私に何か用ですか?」リボーン「そんな表情だとせっかくのここのコーヒーの味が不味くなるぞ。どうした。」少女は視線を食べ物の方に変えて言った。少女「…あなたには関係ないでしょ。」そして彼女は、フォークを持ってまた皿の上にある料理を食べ始めた。しかし、リボーンはそんなことお構いなしに話し続ける。リボーン「お前何かあったんだろう?」少女は慌てて返事をする。少女「そ、…そんなことあるわけないでしょ!!」リボーン「ウソつくのヘタだな。全然そんなふうに見えないぞ。」すろと、フォークを持っていた少女の手が止まった。それを置き、リボーンの方に振り向いて口を開いた。少女「…聞いてくれますか?」リボーン「…ああ。」少女の名前は、三栖丸ミコト。彼女は資産家の令嬢だったらしいが、家族の事業の失敗により没落し、家族と離れ離れになってしまい、その家族を探すために、いろいろな世界を旅し、並盛町に足を運んだという。それを話し終えるとミコトは、そのままリボーンの前で泣き崩れた。恐らくこのような話を人にしたのは随分前のことなのだろう。いや、そもそもしたことがあるのだろうか。一人で抱え込んでいた思いをようやく吐き出した。そんなふうにミコトはリボーンの前で涙を流し続けた。彼は、ミコトが落ち着くのを待って、彼女にティッシュと、ハンカチを渡した。ミコト「…あ、ありがとう……。」リボーン「苦労したんだな、お前。俺にはどうすることもできねえが、励ますくらいはできるぞ。」そういうと、リボーンの帽子にいつも乗っている相棒のカメレオンのレオンを手に取り、リボーン「おい」ミコト「えっ?」レオンが一瞬でラッパに変身し、ラジコン、カメラ、コップなどありとあらゆるものに変身していく姿を見て、泣き顔になっていたミコトの口から笑いがこぼれた。ミコト「ぷっ、くくっ、…あはははっ、あはははははははははっ!!面白~い!!」いつの間にか、ミコトの顔が笑いの顔になっている。彼女は腹をかかえてレオンの変身術を笑っていた。ミコト「…色々ありがとう。ところで、あなたの名前聞いてないわね。」リボーン「俺の名はリボーン。家庭(かて)教師(きょー)ヒットマンだ。」ミコト「家庭教師ヒットマン?」彼女に答えると、リボーンは、ミコトの前から何事も無かったかのように喫茶店から去ろうとするが、ミコト「待って!!」彼はミコトに呼び止められて、動きが止まり、彼女の方に振り向いた。ミコト「…お願いがあるの。」リボーン「何だ?」ミコト「……私に並盛町を案内して?」リボーンは軽く返事をした。リボーン「…ああ、いいぞ。」こうして、リボーンはミコトに並盛町を案内することにした。「今回はツケってことかしらね」二人が立ち去った後、古田香は誰もいなくなった店内で一人ぽつんと言った。店内では変わらずにアンティークなクラシックが店内に心地よく流れていた。並盛の商店街についた。リボーン「付いて来い」リボーンは人を避けながら、うまく道を通っている。体が小さいせいもあるが。しかし、多くの人のせいでもみくちゃにされるミコト。それでもリボーンは待ってくれない。ミコト「ちょっと待ってよ、リボーン」リボーンは時々塀に登りながら、前に進む。ミコトも塀に登り、前に進んだりもしたが、確実に一般住民に怒られることは目に見えてる。さらに、壁と壁の狭い間を通りながら、彼の後を追っていたが、どうしても通れず、遠回りもした。ようやく、リボーンが止まった。彼が止まったとき、ミコトは、すでに息を切らしていた。リボーン「情けねぇぞ。ミコト。こんなことぐらいで疲れやがって。」ミコト「だってあなたが変なところに行くからじゃないですか!!って、あれ?ここは?」ここは公園だった。ミコト「…なんで公園?」辺りを見渡せば、木々が生い茂り、涼しい風がミコトの頬に当たる。回りに滑り台やブランコと言った遊具の他に、小さなベンチが3つほど置かれている。気付いたら、いつの間にか、ミコトの前からリボーンがいなくなっている。心配してあたふたと周囲を見渡すミコト。ミコト「あれ?リボーン、リボーン!?」「ここだ。」ミコト「えっ?」ミコトは、リボーンの声がする方へ振り向くと、彼女の顔は、心配な顔から呆れ顔に変わった。ミコト「な、何してるんですか?」リボーンは、なぜか木の着ぐるみをつけて変装していた。リボーン「見りゃわかるだろ。木だ。」ミコト「それは、わかるけど、何で木の格好をしているのかって聞いてるんです!!」リボーン「変装は俺の正体がバレないようにするためでもあるんだ。」ミコトは左手で頭を押さえて、首をふった。リボーン「それで、ミコト。お前今からどこ行きてぇんだ?」リボーンがストレートな質問をミコトに投げかける。いつの間にか、彼の服装がいつもの服装に戻っている。ミコト「いきなりですね。ま、いいわ。そうね、…」ミコトは目を瞑りながら、腕を組み考えた。しかし、何を考えても行く場所がみつからない。ミコト「だめ、わからない」リボーン「そうか。」ミコトは、ベンチの方に視線を向けていった。ミコト「とりあえず、ベンチに座りましょう。」リボーン「ああ、そうだな。」2人はベンチに座る。ミコトはリボーンに視線を向け、いきなり、リボーンに話掛け始めた。ミコト「ねえ、ヒットマンってどういったことをするの?やっぱり殺し屋?」リボーンは答えた。リボーン「俺の場合、殺し屋だけが、仕事じゃねえ。さっきも言ってるが、家庭教師もやってるんだ」ミコト「家庭教師?」リボーン「ああ。といっても、俺は沢田綱吉、ここでは、ツナって敢えて言わせてもらう。そいつをマフィアのボスにするっていうのが、本来の俺の仕事だ。」ミコト「…マフィアのボス?」リボーン「ああ。」ミコトは驚いて言葉も出ない。ミコト「と、ところで、沢田綱吉って一体どんな子なの?」リボーン「ツナは、中学生でな。勉強もだめ、スポーツもダメ。何事にもすぐにあきらめる奴で、みんなから「ダメツナ」って呼ばれてるんだ。そのツナをボンゴレ10代目のボスにさせるために、いろいろな特訓をさせている。その特訓もすごく過激だ。」ミコト「…」ミコトは少し視線をそらす。リボーン「いきなりそんなことを言われても、まだピンとこねえよな。」ミコト「…う、うん。あ、そうだ!! ツナ君の写真とかあるんだったら、見せてよ。」ミコトは再び視線をリボーンの方に向けて話した。リボーン「いいぞ。ほら。」リボーンは彼女にツナの写った写真を渡した。彼女はその写真を見た途端、思った。ミコト「(あっ、結構かっこいいかも…)」写真を見てる途中で、リボーンに声をかけられた。リボーン「もう、いいか?」ミコト「…え!? あっ、ごめんなさい…」ミコトは慌てながら、リボーンに写真を返す。リボーン「悪いな。」ミコト「ううん、平気。ありがとう。」ミコト「…あっ、そうだ!!」ミコトはいきなり立ち上がった。リボーン「どうした。」ミコト「私、ツナ君の通う中学校を見にいきたいです!!リボーン、連れてって!!」リボーンは答えた。リボーン「ああ、いいぞ。しかし、ちょっと問題が。…まあいい。行こう」彼はひょいっとベンチから降りた。ミコト「(問題?)」リボーン「何してんだ。早く行くぞ」ミコト「え?あっ、…ま、待ってください!!」いつの間にか、リボーンは公園出口の方に立っていた。彼の声に気付いたミコトは、急いで彼の方へ走っていった。===リボーン「ここが、ツナの通う学校、並盛中だ。今日は休みだ」ミコト「(へぇ、ここが、ツナ君の通う学校か…)」ミコトはただ黙ってツナの通う中学校を眺めていた。その時だった。「君は誰だい?」一瞬、ミコトの体が膠着し、鳥肌がたった。誰かに声を掛けられたのだ。おそるおそる声の方へ振り向くと、学ランをつけ、風紀と書かれた腕章をつけ、さらには、トンファーを持って立っている男がそこにはいた。ミコトは、雲雀の獲物を捕らえたような鋭い目線に怯え、リボーンの後ろに立った。リボーン「やあ、雲雀か」雲雀「なんだ、赤ん坊か。こんなところで何をしている? それに、その女は誰だ?」リボーン「ああ、こいつは、三栖丸ミコト。たまたま並盛に来て、ぜひここについて知りたいっていうから、ここに連れてきたんだ」雲雀はミコトを、ギロッと見て、彼女に少しずつ近づいてくる。ミコト「(ひっ!)」すでに彼女の目は恐怖で涙目である。そんな彼女をよそに彼は立ち止まった。そして、言った。雲雀「僕は雲雀恭弥。よろしく」そういうと、彼は自分の手を差し伸べてきた。握手をするつもりだ。とりあえずミコトも、手を差し出し、恐怖に怯えながらも、自己紹介をする。ミコト「…み、三栖丸ミコトって…言います。……よろし…く…」数秒ほどで手を離すと、彼女は1,2歩後ずさりをする。リボーン「雲雀は、この学校の風紀委員でな、ここだけでなく、この街一体の頂点に立ち、裏社会も牛耳ってる、最強の不良だ。」ミコト「ふ、不良!?」リボーン「ああ。そうだ。」ミコトは雲雀を見るなり恐怖で言葉を失った。それを見かねたリボーンは、彼女に話した。リボーン「そんじゃ、そろそろ別のところに行くか。」落ち着きを取り戻したミコト。ミコト「え? あっ、うん…」リボーン「そういうことだ。悪いな雲雀。また逢おうな。」雲雀「そうか。またいつか君と戦えることを願っているよ」リボーンとミコトは、学校の前に立っている雲雀を後にし、別のところへ向かう。角を曲がって、2人は立ち止まった。リボーン「さて、次はどこへ行きてぇんだ?」ミコト「そうね~…、あっ!! リボーン、あなたヒットマンなんでしょう!?」リボーン「ああ、そうだ。」リボーンはすぐに答えた。ミコト「ぜひ、あなたの腕が見たい!!」リボーン「というと?」ミコト「ゲームセンターはどうでしょうか?」リボーン「ゲームセンターか。よし、いいだろ。」ミコト「うん!!」2人は、近所のゲームセンターに向かった。そして、ようやくゲームセンターに着いた。ミコト「ここですね。中に入りましょう。」2人は、ゲームセンターの中に入った。そこは、結構人が多く、射撃のゲームがなかなか見つからない。
ミコト「え~っと、射撃、射撃…あっ、あった!!」ミコトがゲームセンターの中をくまなく捜索すると、ようやく、射撃ゲームを見つけた。ミコト「リボーン、見つけました!!」リボーン「ああ。じゃあ、お前と俺、早速勝負してみるか。」ミコト「うん!!」リボーンは、コイン投入口に200円玉を入れた。勝負開始!!ミコトは、モニターに映る敵に向けて、何度も発砲したが、ほとんど当たらない。それに比べてリボーンは、ヒットマンということもあってか、撃つ速さ、そして脅威の命中率だった。百発百中すべて命中。高得点を出していた。いつの間にか、リボーンの方に見物客が押し寄せていた。客A「あいつ、すげぇな」客B「本当だ、すげえ」ゲーム終了になると、得点表示板には、1000000点という表示が出た。それをみていた見物客が、驚きの声を上げながら、リボーンに向けて拍手を贈っていた。逆に、ミコトは、ディスプレイに映る敵になかなか当たらず、0点という数字をとってしまう。周囲から冷たい目で見られ、苦しみを味わうこととなる。そういうことは、彼女自身もうすうすと気付いていた。数分後、射撃ゲームの周りには、見物客はいなくなり、リボーンとミコトの2人だけになった。リボーン「おい、ミコト」ミコト「は、はいっ!!」ミコトは、いきなりリボーンからの呼びかけに驚いてしまった。リボーンはふっと笑い、彼女の目の前で口を開ける。リボーン「まだまだだな。……安心しろ。俺に勝てなかったぐらいで、お前を笑ったりするつもりはない。でも、お前、俺に負けて悔しいだろ」ミコトはリボーンの一言に、無言でただうなずくだけだった。リボーン「んじゃ、今から俺が銃の撃ち方を教えてやる。ゲームに戻れ」ミコト「…うん。」彼女はようやく言葉を発した。彼女はリボーンから銃の撃ち方を学んでいった。その時だ。彼女が、ミコト「げほっ、げほっ、…げほっ」突然咳き込んでしまい、口を手で押さえるしぐさをする。それをリボーンは心配する。リボーン「おい、お前大丈夫か?」ただごとじゃないとリボーンは気付いた。一瞬、彼女がよろつき始め、仕舞いには、ひざを床につけてしまっている。ミコト「ご、…ごめん…。私、…げほっ。げほっ。う、生まれつき、…げほっ…体が弱くて……ごめん。ちょっと休憩させ…て…。げほっ、げほっ」リボーン「ああ。とりあえず、ベンチで横になれ」ミコト「うん。げほっ、…げほっ。…」リボーンはミコトを近くのベンチへと誘導させて、彼女をベンチの上で横にさせた。しかし、それでもなお彼女の発作が止まらない。ミコト「げほっ、…げほっ…げほっ」それに見かねたリボーンはミコトにこう言った。リボーン「ちょっと、水買ってくるから、動くんじゃねぇぞ。」彼女は答えた。ミコト「わ、…わかっ…げほっ、げほっ、…」彼は少し彼女から離れ、自販機へ向かった。戻ると、彼女の発作は悪化しており、リボーンは急いで、ペットボトルの水を開け、白い錠剤と共に、それを彼女に差し出した。彼女は起き上がり、そのペットボトルをとり、咳き込みながらも錠剤と水を口に流し込んだ。すると、彼女の様子がおかしくなった。急に眠気が襲い、めまい、視界のずれが生じていた。ミコト「…リ、リボーン、…何……を…飲ま…せた…の」リボーン「安心しろ。ただの睡眠薬だ。悪いが咳止めの薬は、持ってなかった。すまねぇな。」その言葉を聞くとミコトは、そのままベンチに倒れこんだ。視界は、少しずつ暗くなり、ぼやけている。呼吸もだんだんなくなり、やがて、瞼も落ち、視界も意識も闇の中へ引きずりこまれた。リボーン「これで、静かになるだろう」そういうと、リボーンは、ベンチに飛び乗って、目を開けたまま、ミコトの隣りで眠り始めた。・・・・・・・・・数分後ミコト「う、……ん、あれ?」ミコトは目をパチクリさせながら起き上がると、すでにリボーンが彼女の目の前に立っていた。 リボーン「大丈夫か?」ミコト「…は、はい。ところで、今何時ですか?」リボーンが腕時計の方に視線をそらすと、時計の針は11時55分をさしていた。もうそろそろお昼の時間である。リボーン「もうそろそろ昼か。仕方ねぇ。メシにするか。ついて来い。」ミコト「え?は、…はい。」ミコトはリボーンの言われるがまま、彼の後に付いて行った。ゲームセンターから出て歩いておよそ3分も経たないうちに、いつの間にか、結構高級そうなレストランに来てしまった2人。このレストランは4階建てになっており、周辺の駐車場には、リムジンなどの高級車がズラリと並んでいる。その店を見て、彼女はあ然としてしまう。そんな彼女をよそに、リボーンは中に入ろうとした。それをミコトが呼び止める。ミコト「ちょ、ちょっとリボーン!!」リボーンの動きが止まり、ミコトの方に視線を寄せる。リボーン「どうした?」ミコト「どうしたじゃないでしょっ!!こんな高級そうな店!!あなた入れるの!?」リボーン「安心しろ。今日は俺のおごりだ。ちゃんと金だってあるんだ。心配しないでいい。さ、中に入るぞ」そういうと、リボーンは店の扉を開き、中に入った。リボーンの言うことに疑問を抱きながらも、ミコトは、その店のドアを開けて、中に入った。入ると店の中は、それぞれ小さな個室が並び、カラオケハウスみたいな感じだ。扉を開けてすぐにあるレジの隣に、なぜか小さな売店があり、飲み物やお菓子、アイスクリーム、カップラーメン、雑貨などが置かれている。そんな店の中に驚いたミコトは、しゃがみこんで、リボーンの耳元でささやくように聞いた。ミコト「ねぇ、ここ本当にレストランなの?」リボーン「ああ。」その一言だけ喋った後、リボーンは何も語ることはなかった。とそこに、ウェイターが2人のところにやってくる。ミコトは、それを見計らって立ち上がった。ウェイター「いらっしゃいませ。何名さまでしょうか。」リボーン「2人だ。」ウェイター「かしこまりました。それでは、席にご案内します。」ウェイターは2人を席に誘導した。階段を上り、4階の方まで歩くと、赤絨毯を敷いた通路を歩いていった。通路はまるで迷路のようだ。歩いてすぐに、店員が歩くのをやめ、2人も同時に止まった。止まった場所は、赤いドアだ。何の変哲もない。ウェイター「ここが、席になります。」そういうと、ウェイターはドアの鍵を開けて、二人を小さな個室へと導いた。個室の中は、冷暖房が完備されていて、赤ワイン色のソファ。茶色のテーブルが真ん中に置かれ、見合い席になっており、そこから、道路で走っている車の景色を見ることもできる。リボーンはとびっきりおいしい料理をミコトに向けて注文した。数分後、ウェイターがやってきて、注文した料理が2人の前に。リボーンは水の入ったワイングラスを持ち、ミコトの前にかざし、彼女もグラスをかざす。 リボーン「んじゃ、乾杯だ。」ミコト「はい。」キンっとガラスとガラスがぶつかり合う心地よい音が鳴った後、昼食が始まる。料理を食べているときにリボーンから話を振ってきた。リボーン「なあ、ミコト」フォークを持って黙々と食べていたミコトの手が止まり、リボーンの方に慌てて視線を向けて返事をする。ミコト「!!…は、はい」リボーン「いきなりで悪いが、お前、今までで一番の思い出って何だ?」ミコト「思い出…ですか?」リボーン「ああ。」ミコト「そうですね。…」考えるポーズをとるミコト。ミコト「…思い出しました!!」リボーン「どんな思い出だ?」ミコト「1年前の話なんですが、ある港でSOS団という人たちと一緒に、豪華客船に乗った事が、一番の思い出です。」リボーンは眉をひそめて彼女に聞いた。リボーン「SOS団って何だ?」ミコト「はい。SOS団というのは、高校生5人組の人たち、それに他の人も合わせて、9人いました。私の唯一の友達のような存在です。その中でも、その団体の涼宮ハルヒさんという人と親しくなりました。私どうしても豪華客船に乗りたくて、でも、チケットはその時持っていませんでした。どうすればいいかわからなくなって。その時、SOS団の涼宮さんと、涼宮さんの同級生のキョン君から声を掛けられ、チケットをもらい、船に乗る事ができました。船の中でいろいろなことがあって大変なこともあったけど、すごく楽しかったです。それが私の一番の思い出です。」リボーン「涼宮ハルヒ……か。その女はどういう奴か?」笑顔を浮かべながら、ミコトは応えた。ミコト「彼女は、団長と書かれた腕章を腕につけ、頭の上に黄色いカチューシャをつけてました。とてもおもしろい人でした。」リボーン「…それで、SOS団との関係は現在(いま)はどうか?」ミコト「それが、船で逢って以来これっきり…」顔を落とし、徐々に悲しい表情をするミコト。それを見たリボーンはこう返した。リボーン「いずれまた逢えるさ。SOS団に。涼宮ハルヒに。」ミコト「…ありがとう。リボーン」ミコトの表情が少しずつ笑顔に変わる。そうして、二人は再びテーブルの上の料理を食べ始めた。食事中、今度はミコトがリボーンに質問した。ミコト「ねぇ、リボーン。ツナ君ってどれくらいの敵と戦ってきたんですか?」手を休め、リボーンは答えた。リボーン「そうだな。…結構たくさんの敵と戦ってるぞ。その度にツナは強くなっているし、仲間も増えた」ミコト「その原因は何ですか?」リボーン「それは、これだ。」リボーンは彼の帽子の上に乗っているレオンをかざして、彼女に応えた。ミコト「レオン!?」リボーン「ああ。こいつから作られる『死ぬ気弾』で。」ミコト「『死ぬ気弾』って?」リボーン「こいつを撃ちこんだ後、額に死ぬ気の炎が現れて、後悔していることに対し死ぬ気で頑張らせることが出来る。まあ、敵を倒すためだけにあるわけじゃないんだけどな」ミコト「す、すごいじゃないですか!!」リボーン「ああ。だが、撃たれた奴が何も後悔してないと、死んでしまうがな。」ミコトはこの言葉を聞いて、鳥肌が立った。リボーン「安心しろ。お前に撃ったりはしない。何も後悔していない奴に撃つつもりはない。」この言葉で、ミコトの緊張は和らいだ。ミコト「話変えますけど、ツナ君の好きな食べ物って何ですか?」リボーン「そうだな…、あいつの好きなもの。……悪いな。思い出せねぇ」ミコト「……そうですか。じゃあ、好きな音楽とかは?」リボーン「あいつは、歌謡曲が好きだな。」ミコト「……そうなんですか」その後もツナのことばかり質問してくるミコトに、リボーンは、あることに気が付いた。それを彼女に口にする。リボーン「お前、まさか、ツナに惚れてるな?」彼女は、少し首を縦に振って、言った。ミコト「…リボーンにツナ君の写真を見せられて、なんかカッコイイなって思って…」ミコトの一言に、リボーンはふっと笑みをこぼし、こう返した。リボーン「だったら、お前が次に並盛に来たとき、ツナにあわせてもいいぞ。」ミコト「本当ですか!?」リボーン「ああ。」ミコト「ありがとう!!リボーン」リボーンの言葉に、ミコトはとても喜んでいた。いつの間にか、テーブルの上にあった料理は全てなくなっていた。リボーン「さて、ランチが済んだことだし何処行くか?」ミコト「そうですね~…。もうそろそろ夏が始まりますし、海に行きたいなぁ…って。……」リボーン「水着は持ってるのか?」少し間を置いて無言で表情を変え、ただ首を振るミコト。リボーン「そうか。わかった。じゃあ、デパートに行こうか」ミコト「えっ!?水着買ってくれるんですか?」嬉しさを隠せないままミコトは彼に聞いた。リボーン「いいぞ。」そう答えると、彼はそそくさと前へ歩き出し、部屋を後にする。2人はレストランを出た後、歩いてデパートに向かった。デパートは、並盛駅とほぼ近かった。デパートで買い物をした後、電車で海に向かおうと2人で約束した。ようやく着いた。店に入った途端、ミコトはふと立ち止まった。デパートの中は結構広く、人も多い。絶対に迷子になること間違いなしだ。絶対リボーンから離れないようにしよう。ミコトはそう思った。リボーン「どうしたんだ?行くぞ。」ミコト「…いえ何でも。」リボーンに促され、ミコトは再び歩き出した。衣料品売り場の方に来ると、夏物水着セールと書かれた看板が2人の目に映る。2人は、矢印の看板を頼りに、セールのコーナーに向かう。そしてそこに着いた。ここでは、いろいろな水着が至るところで販売されている。どれも夏を思わせるようなそういうものがいっぱいだった。リボーンは、セール会場のすぐそばにある、ソファの方に指差して、ミコトに言った。リボーン「俺はここで待っとくから、見つけたら俺に声をかけろ」ミコト「わかりました。」ミコトは、早速水着を選び始めた。キュートなものに彼女はすごく心を奪われている。その中から、自分の似合いそうなものを選んでみた。そして、ようやく自分に似合う水着を見つけたら、リボーンの方へ向かった。彼はベンチの上で目を開けて、鼻ちょうちんを出しながら眠っている。そんな彼にミコトは、声をかけた。ミコト「ねえ、リボーン」鼻ちょうちんが割れ、リボーンは起き上がった。リボーン「どうした。もう決めたのか?」ミコト「はい、これです。」そういうと、ミコトは彼に水着を見せた。彼女が選んだ水着は、青Gパンのデニムを思わせるような感じのものだ。ミコト「どうでしょうか?」水着を見渡してリボーンは言った。リボーン「お前らしくていいんじゃないか?」ミコト「本当ですか?」リボーン「ああ。」ミコト「じゃあ、私これにします。」リボーン「そうか。」そう呟くとリボーンはベンチから降り、歩きだそうとした瞬間、ふと足を止め、彼女に振り向いた。リボーン「もちろん、今日一日は俺のおごりだ。この水着も買ってやる。」ミコト「…はい!!」リボーンは前へ歩きだし、ミコトも、彼の後に付いて行った。お会計を済ませ、デパートを出てすぐ、2人は駅に向かった。行く場所は並盛海岸。電車で20分くらいの距離がある。2人は、そこに行くための切符を買って、駅の階段を上った。すぐ電車が発車するアナウンスが流れている。2人は急いで電車の中に入って行った。発車に間に合った二人。電車の中はガラガラで、あまり人は多くなかった。2人は開いてる席に座り、窓越しに映る景色を眺めていた。景色を見ている内に、いつの間にか、目的地の並盛海岸に辿りつき、電車が止まった。2人は電車を出て、駅のホームの階段を下り、出口をそのまま通り、海に向かう。ようやく海に着いた。海岸には、多くの人たちが押し寄せ、日差しはまだ強い方で、海岸にある時計の時刻は、午後3時を過ぎていた。ミコトはリボーンに話しかけた。ミコト「リボーン、私水着に着替えてきます。あなたは海に入らないのですか?」リボーン「俺はいい。」ミコト「そうですか…。わかりました。着替えてきますので、ちょっと待っててくださいね。」リボーンが答えた後、ミコトは着衣室の方へ向かった。数分後リボーンに買ってもらった水着を付けて、彼の方へやってくるミコト。ミコト「あ、…あの、リボーン、ど、どうでしょうか、…水着…」リボーン「似合ってるぞ。」ミコト「本当ですか!?」リボーン「ああ。ウソはつかねぇ。そんじゃ、泳ぎに行くか。」ミコト「はい。」ミコトは笑顔で返事し、リボーンの後に付いて行き、砂浜に行ったときだ。突然、ミコトの腕に、誰かに引っ張られてるような感覚がし、後ろを振り向くと、並中ボクシング部OBの黒田エイジ、木佐貫幸郎、大倉拓哉、他に、そいつらの仲間であろうやつらが、ミコトの前に現れ、顔をニヤつかせている。こいつらはこの海岸のライフセイバーらしいが、適当な仕事しかしていない。その中で、ミコトの腕を掴んでいた黒田が不気味な笑みを浮かべながら、彼女に話しかけてきた。ミコトの体は恐怖で寒気を覚えている。黒田「…なあ、お嬢ちゃん、俺たちと一緒に遊ばない?」ミコト「…ちょ、ちょっと離してください!!…」木佐貫「いいじゃねえかよぉ、俺達とちょっと付き合えよ」大倉「悪い様にはしねぇから。」ミコト「や、やめてください!!」怖くなってミコトが手を振り払った瞬間、それが黒田の逆鱗に触れた。黒田「…てめぇ、女だからっていい気になりやがって!! お前ら、こいつボコろうぜ!!」全員「賛成!!」黒田「覚悟しろよ、このアマ」黒田率いる3人が指をならして、ミコトに近づく。さらに、その仲間だろうか。集まってミコトを取り囲む。ミコトは恐怖で、後ずさりをするが、恐怖でここを抜け出すことができない。その時だ。「やめろ」殺伐とした雰囲気の中、彼女は、声のする方へ振り向いた。声の主はリボーンだ。ミコト「リボーン!!」黒田「なんだ?このガキ、痛い目に遭いたいのか?」そう言いながら、黒田はリボーンの方へ視線を寄せる。リボーン「やめろっていってんだ。お前の横に付いてるそれはただの飾りか?女に手を出して。それでもお前ら男か」この言葉に、黒田が切れた。黒田「ガキが偉そうな口叩いてんじゃねぇぞ!!お前ら、やっちまえ!!」リボーン「ふん」リボーンが突然鼻で笑い出した。黒田「何がおかしいんだ!!」リボーン「悪いが、お前の仲間は全員俺がボコッといた。」黒田「うそつけ、そんなことあるわけ…」そういいながら、黒田が後ろを向いたときだ。ほぼすべての奴らが、倒れて気を失っていた。黒田「んなっ…!!」あまりの光景に、黒田は驚いて言葉も出なかった。リボーン「さあ、残りはお前だけだ。どうする?」リボーンの問いかけに、黒田は砂浜に落ちていた木材を手にし、こう答えた。黒田「お前もこの女もぶっ潰す!!うおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!」それを持ちながら、走ってどんどんリボーンの前に近づいてくる。次の瞬間、リボーンの帽子の上に乗っていたレオンが、細い棒になり、西遊記の孫悟空の如意棒のように、太く伸びて、それが黒田の腹に命中。黒田「う、うわあああああああああああああああああああっ!!!!」その後、空のかなたへ突き飛ばされた。それを見ていた客は驚きを隠せない様子で、あ然として言葉を失っていた。そんな人たちを気にせず、リボーンは、何事もなかったかのように、歩き出した。リボーン「さあ、行くぞ、ミコト」ミコト「え、うん。」戸惑いながらもミコトは、彼の言うことに従い、砂浜を歩きだし、民衆の前から姿を消した。ようやく、海の中に入る。海の水は透き通ったようなきれいな青色で、それに冷たくもなく、人が入るのに、ちょうどいい温度のようだ。リボーンは砂浜に、木陰場所を作り、彼女に言った。リボーン「んじゃ、俺はここにいてお前を見とくから、泳いでこい。」ミコト「…はい、わかりました。」そう返事すると、ミコトは海の中へと入って行った。リボーンは小さなチェアでくつろぎながら、ミコトを見ている。レオンはというと、彼の帽子の上で気持ちよさそうにお昼寝をしていた。ミコトは早速、海の中に入って行った。海の水は冷たくなく、また、太陽の暖かい光が彼女の体に降り注がれ、泳ぐには絶好のコンディションだ。彼女は、リボーンが見える範囲でもっと遠くまで泳いだ。そして、深いところになったのを確認すると、深く息を吸って潜ってみた。彼女は、少しずつ目を開ける。すると、口では表せない感動を、彼女は覚えてしまう。海の中は、きれいで色鮮やかな魚が泳ぎだし、コバルトブルーの海の中と、太陽の光が反射し、まるで芸術のようだ。それがミコトの心を奪っていく。ミコトは思った。並盛の海ってこんなにきれいなんだ、と。海の中を見て、彼女は、そろそろリボーンのいるところに戻ろうと思い、海から顔を出した。すると、突然―――。ミコト「げほっ、…げほっ、げほっ」彼女の発作が再び起こった。これが原因で彼女は、溺れ掛かっている。ミコト「り、…リボー…げほっ、リボーン!! げほっ、助け…て、げほっ」発作をこらえながら、彼女は何度もリボーンに助けを呼んだ。ミコトが海で溺れているのを見かけたリボーンは、寝ていたレオンを起こし、レオンをエンジン付きボートに変身させて、すぐに、溺れかかっている彼女の方に向かうが、ミコトは、力尽きたのか、気を失い、そのまま、深い海の底へ沈んでしまう。………………ミコトは目を覚ますと、暗闇の中に、一人立っていた。ミコト「……り、リボーン、リボーン!!! どこなの!?リボーン!!」彼女は何度もリボーンを呼び続けた。しかし、ここにリボーンはいなかった。仕方なく彼女は、適当なところまで歩いて見ることにした。歩いて数分は立った。しかし、道や建物、物体すらなく、人影もなかった。彼女は疲れたのか、その場でしゃがみこんでしまった。すると、突然。「…コ…ちゃ…!! ミ……ちゃん… ミコトちゃん!!」誰かが自分の名前を呼んでる。その声が彼女の頭の中で響いて、痛かった。
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