失ったもの・得たもの
なんでこんなことになっちまったのか、今はもうわからない。わかりたくもない。 ハルヒはこういった。「面白そうだから」 古泉はこういった。「涼宮さんがそう望んだので」 長門はこういった。「私はこの件に介入しない。だからあなたを助けることもしない」 朝比奈さんはこういった。「私の観察対象はあくまで涼宮さんです」 鶴屋さんも谷口も国木田も…家族でさえもはや俺にとっちゃ敵だった。四面楚歌の意味の本質を初めて理解し、同時にハルヒの力の怖さもよくわかった。まさかこんなことになるなんて、初めは誰も思っちゃいなかっただろう。気づいたらそうなってて、それはやり直しがきかないことだった。それだけのことだ。仮にやり直しがきくならば、前の俺はそのために動いたことだろう。だが今の俺はそんなことは望んじゃいない。そんなことはもうどうでもいいことだ。頭に浮かぶのは復讐、復讐、復讐…それだけだった。奴らに地獄の苦しみを与えてやりたい、それだけを望んだ。味方が誰一人いない恐怖、そんな境地にたたされたやつは沈んでいくしかないのだろう。 だがそんなことは絶対に認めない。口から出て行く煙草の煙を見つめながら俺は決めたんだ、好きに生きてやると。そう決めたとき、俺は友達という掛け替えのないものを失い…強さを得た。
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