ねぇ、キョン。
ねぇ、キョン、返事をして?
ねぇ、キョン・・・。
聞いて、あたしの話を聞いて。
キョン!
ねぇ、キョン。
あなたはあたしを裏切らないよね?
ハルヒの声がした。
ハルヒが俺の名前を呼んでいる。
どうしたんだハルヒ?
目を開けて起き上がると、そこは色も音も無いただ真っ黒な空間に俺は居た。
見渡すほどの広さも感じられない。ただ黒一色の空間。
足元もフワフワとして、まるで星一つ無い宇宙空間に放り出されたようだ。
俺は確かベッドで眠っていたはずだ。それがどうしてこんな場所に居るんだ?
まさか例の閉鎖空間とやらに呼ばれてしまったのだろうか。
なら、ハルヒもこの場所に居るはずだ。どこにいるんだ、ハルヒ。
「ハルヒ!」
ハルヒの名前を呼ぶ。だが返事は無い。
ハルヒの声がして、この妙な空間・・・閉鎖空間だと思ったが違うのか?
なら、例の急進派か?
「ハルヒ!おい、返事をしてくれ!ハルヒ!」
もう一度ハルヒを呼ぶ。・・・やはり、返事は無い。
キョン!
キョン!
キョン!
どうして返事をしてくれないの?
・・・・。
・・・・。
・・・。
キ ョ ン ! !
『・・・ョ・・・ン・・・・・キョ・・・・!・・・・ョ・・・』
微かに、だが確かにハルヒの声が聞こえた。やっぱりハルヒはここにいるのか?
「ハルヒーーーっ!!ハルヒ!!どこだ、おーい!!」
大声を出してハルヒの名前を呼ぶ。だが一向に返事は無い。
・・・どうなっているんだ?ハルヒじゃないなら長門、古泉の誰でも良い。返事をしてくれ。
『 キ ョ ン ! ! 』
突然、この空間全体が揺れるほど大きい声で俺の名前が叫ばれた。
実際、
ず
ず
ず
ず
ず
ず
どっ どっ どっ
と辺りが激しくゆれ出した。
ゆれ出した空間の一部が、ぐにゃりと歪む。
それはだんだんと色が付き、ますます歪みを増してゆく。
ぐにゃ
その歪みは、だんだんと、ある人間の顔を模してゆく。
「・・・ハルヒ・・・・・・・!?」
空間に浮かんだ歪みは、ハルヒの顔になった。
その顔は笑って、俺を見下ろしている。
呆然とそれを見上げていると、また空間の一部から腕が二本飛び出して俺の体を無理矢理掴んだ。
つ か ま え た ぁ ! 大 好 き よ 、 キ ョ ン !
おわり