とある古い森で
とある古い森で「はい、これは題名の通り古泉×森さんの話です。二人の関係にオリジナル設定入ってます。」「また全部が台詞ってんじゃねえだろな。」「そこは大丈夫です。」「そうか。んじゃ、スタート。」 そこはとある古い森。 の中のある小屋。 そこには、二人の男女が住んでいました。「園生、ご飯ができましたよ。」 と、喋りかけるのは幸せそうな細い目をしたなかなかのイケメンです。名を古泉一樹と言います。「持って来て~。」 と、そう甘えるのはかなりの美人です。写真集でも出せば一週間以内で重版しそうなくらいです。名を森園生と言います。 まあ、緩みきった顔で甘える姿もそれなりにくるのですが、古泉はそれも気にせず、というより毎日見てるのでそういう気も起こらないのか、普通に抱き起こします。「えっち~。えっちえっち~。」 どうやら胸を触ってしまったようです。しかし、古泉は恥ずかしがりもせず、「園生、冷めてしまいますよ。」「む~、じゃあ食べる~。」 なんなのでしょうこのベタ甘っぷりは。砂糖吐きそうです。 そんな感じの日々を過ごしていた二人に、ある日異変が起こりました。 突然古泉の中に流れ込んでくる情報。「なんだ、これ……閉鎖空間……? 涼宮ハルヒ………世界の崩壊?」「一樹、何が起こったの? 一樹?」 始まる非日常の予感。いえ、確信。「古泉一樹です。能力者です。」「森園生です。後方支援員です。」 『機関』へ入った二人。実は森さんは素手で熊を殺せるくらい強かったりします。 そうして、危険ながらも意外と充実した日々を送りつつ、「一樹、危ないっ!」「園生、ありがとう。」「あ、一樹……」「園生……」「そこのバカップル! こっちの手伝いしろよ!」 相変わらず、ベタ甘でした。「なあ。」「何でしょうか?」「もう、お腹いっぱいです。」「残念でした♪」「うう、むかついても殴る気力も無い……」 それから三年。古泉は、とある県立高校に転校することになりました。「いやー、一樹ももう高校生かあ。」「一ヶ月前からじゃないですか。しかも、転校しますしね。」「……ねぇ、そろそろ敬語やめない? 年の差なんて気にせずにさ。」「残念ながら、性分なもので。」「むぅ。」 古泉はそういうキャラなのです。もし古泉が敬語じゃなくなったらとある魔法使いになりたかった巫女さんみたく自らの無個性さにうちひしがれたことでしょう。 またある春の日。「ねぇ一樹。楽しい?」 突然、森さんが聞いてきます。「楽しいですよ。」 何のことか分からないままでも、古泉が答えます。「生きてて。」 ひどい森さんです。「急になんですか。」 あまり動じない古泉も、ある意味すごいのかもしれませんね。「だって、最近一樹忙しそうだし、休みの日はSOS団で遊んでるし、構ってくれないんだもん」 寂しかっただけですか。「ふう……」 とため息をつく古泉。そこから始まる、べったべったのあっまあま。 まず、古泉は足を開いて体育座り。森さんをその足の間に入れて、準備完了です。森さんもう逃げられません。古泉は、まず首から攻めることにしました。「い、いつきぃ、だめぇ……」 と恥らう森さん。そんな姿を見せられるともっといじめたくなるのが男の性。古泉も例外じゃありません。「園生、大丈夫です。存分に、可愛がってあげますよ。」 おもむろに、わきばらに手を這わせ、そのまま手を動かす。こしょこしょこしょこしょこしょ。「あはははっ! あひゃははひゃはひゃはは!」 それから数時間、笑い声は絶えなかったとか何とか。 ………なんで古泉なのにいい目を見るんでしょうかね。「……勘弁してください。」「止まらない止められない♪」「どこまでいったら終わりなんだ。」「どこまででしょうか?」「早くしてくれ。」 それからゆっくりと時は過ぎ、べた甘な二人はお互いを愛し続けました。 めでたしめでたし。「ってこれで終わりかーーーーーーッ!!!!!!」「そんなわけ無いでしょう。あんなフリやっておいて。では、第二部っぽいもの、スタート。」 夏休み直前のある日。 古泉が、神妙な顔をしていいました。「園生、ちょっと頼みたいことがあるのですが。」 その顔は、まるでロバに乗ったナポレオンをもとに白馬に乗っている絵を描けと言われた画家のようでした。普通に話すと、それ自体は名誉なことだけれども手段がこずるいというかなんというか。絵を描くのはいいけどロバを白馬に変えるのはちょっとなあ……みたいな尻込みのようです。「何、一樹?」 古泉は、覚悟を決めた顔で、話しました。「メイド……メイドに、なってもらえませんか……?」 壮絶な告白。相手がよく知った森さんだったからまだセーフかもしれませんが、普通はアウトです。ていうかこれでも十分アウトです。「……………………………………………………一樹って、そういう趣味………?」「違います! 違うんですよ! SOS団で合宿しましょうってことを提案して、そこでの役割ですよ!」「……ふうん。……ふぅーん。見たくないんだ。」「そんなことは無いです。見たいです。見させてください。」「ほんとにー?」「本当です。」「じゃあ、おきがえたーいむ。」「微妙にろれつまわってませんよ。」 数分後。 そうして現れたのは、一分のすきも無くメイド服を着こなした森さんでした。 その姿はまるで本職の方のように完璧に似合っています。 まるで一幅の絵のようです。「…………園生、あなた神ですか?」「あら一樹、よく分かってるじゃない。」「まあ置いといて。これは本当に似合ってますね……」「ふふん。まだまだ若いってことよ。」「その台詞が歳くってますけどね。……ギブギブ! 首はダメ!」「貸し一つね!」「結構ノリノリだったくせに……はいすいませんもう言いません。」 こうして、森メイドは誕生しました。 またある冬の日。 古泉は、少し焦った様子で森さんに電話をかけました。「何よ、一樹。不思議探索中じゃないの?」「園生……すいません。朝比奈さんが攫われました。」「……あんたがいながら何やってんのよ。」「言い訳させてもらうと、朝比奈さんと『彼』が二人でいたときに敵対勢力に攫われたようです。」「ふーん……新川ー。車出してー。」「お願いします。」 その後、古泉に対する怒りは全て敵対勢力の少女にぶつけられたとか何とか。 そういう風に、二人は過ごしていました。 突然超能力者になっても、二人の仲は変わらずに。 それは、どんなに稀有なことでしょうか。 きっと、運命とか前世からの縁とか、そういううそ臭い台詞が似合う二人は、これからも仲がいいのでしょう。 めでたしめでたし。「…………………やっと終わった………」「いやー、名作でしたねー。」「明らかに自分でつくったもの見てそういう言葉を言えるお前は凄い。」「いえ、だって、これ園…森さんが作りましたし。」「……ノンフィクション?」「……ほとんど。」「………なあ、硬くて重いもの無いか? いい具合に人を撲殺できそうなの。」「まあまあ落ち着いて。暴力は何も生み出しませんよ。だから落ち着いて。そして頼みますからその大きく振りかぶった硬くて重いものを降ろしてください!」「ゴートゥーヘル♪」「いやぁぁああああっ!!!!」「めでたし、めでたし。」「全然めでたくないですよ!」
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