ひまわりの咲かせかた プロローグ
「ねぇキョン、何してんの?」ベランダからハルヒが声をかけてくる。「あぁ、ひまわりが太陽の方しか向かないから、ちょっと傾けてるんだ。ほら、頭の重みで倒れそうだろ?」「本当だ」しっかしなかなか上手くいかんなぁ。「なぁ、ハルヒも下りてきて手伝ってくれないか?」「別にいいけど、完全に咲ききってからでいいんじゃない?」「ん?何かあるのか?」「咲ききってからなら常に東しか向かないから、いちいち直さなくていいわよ」「…変な花だなぁ」「面白くていいじゃない。あたしは好きよ」ま、そういうことなら咲ききってからでもいいか。「で、今日は何かすんのか?」「有希が図書館に行きたがってたし、みんなで出かけようと思うんだけど」「あとどのくらいだ?」「二時間くらいかしら」げ、すぐじゃねぇか。俺は慌てて額の汗を拭い、アパートに駆け込む。「遅れたら罰金だからねー!」「わかってるよ!」今日も普通の日常が始まる。また思わずため息がでるような、馬鹿みたいに暑い季節がやってくる。そんな俺の小さな憂鬱と、それなりに大きな高揚をよそに、ひまわりは相変わらず明後日の方向を向き続けていた。第一章につづく
このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー と 利用規約 が適用されます。
1文字以上入力してください
本文は少なくとも1文字以上必要です。
1文字以上入力してください。