悲情
わたしにとってキョンくん、涼宮さん、古泉くんは歴史上の人物です。長門さんも似たようなもの。これからどんな事件が起きて、どんな人生を送って、どんな死に方をして、そして子孫がどうなったか。すべて記録に残った過去の出来事でしかありません。小さかったわたし。まだ何も知らなかったわたし。あまりにも能天気でした。能天気だったからこそ、あの任務に最適だった。今のわたしは色々な事を知りすぎている。知らなければ良かった事まで。未来の人間はわたしのことをどう見てるかな。現実の厳しさに翻弄された悲劇の人物あたりだと嬉しいんだけどせいぜいピエロあたりかな。たぶんわたしも未来人に操られてるんだから。その操り師もさらに未来のマリオネットで。マリオネットを操るマリオネット。本当の操り主はいったい誰なんだろう?キョンくんはわたしを嫌うだろうな。長門さんはわたしを嫌ってないかな。さすがに個人の思考・思想までは記録に残っていないからわからないけどわたしがあんなことされたらいい気はしないと思うし。ああ、あの頃に戻りたい! メイド服やバニーであたふたしていた栄光の日々!時間遡行ができるくせにもう戻れない皮肉。偉くなればすべて解決すると思っていた!みんなどこかの未来人の計算ずくの結果なんでしょうね。ドアをノックする音。心もち幼めを意識して返事をする。さあ行くわよ、朝比奈みくる。セカンドステージの幕を開けましょう。「キョンくん……久しぶり」
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