きっとまた会えるから
俺はさっき死んだ。今日は久しぶりの不思議探索の日だった。めずらしくペアになった俺とハルヒは、たまたま工事現場の横を通りかかった。それが運の尽きだった。まさか角材が落ちてくるなんてな。ハルヒに当たる筈だった角材はかばった俺の頭に直撃。そりゃもう相当痛かったな。泣き叫ぶハルヒの声と救急車のサイレンの音がぐるぐるまわり、俺は意識を失った。 そして救急車の中で俺は死んだ。だから、手術室へは行かず病院の個室に運ばれた。俺の顔には白い布がかぶせられてる。俺は今体はないが、意識はある状態だ。部屋の片隅でふわふわ浮いてみんなと自分の亡骸を見ている。こういうのを幽霊っていうのか?虚ろな目でなにかボソボソ呟いてるハルヒ。長門は俺の亡骸を見つめて動かなくなっていたひたすら泣きつづける朝比奈さん古泉も親父もオフクロも妹も泣いていた。なんだが悲しくなってきた。ここにいるのは耐えられない俺は部屋の壁を通りぬけると、近くのベンチに座ろうとした。座れない。俺は死んだんだ。改めて死を実感した俺だったが、何故かやけに落ちついていた。サッサッサッ・・・・床とスリッパがこすれる音がする。誰か来る。俺は何故か隠れようとした。ああ、そんな必要はない誰にも見えないんだから。・・・・・・長門だった。長門は俺の姿を見据えると動かなくなった。「俺がわかるのか?」コクリと頷いて見せる。俺は嬉しかった。「あなたは13時22分34秒に死亡した」「ああ。自分が死んだのはよくわかってる。さっき亡骸も見たしな」「そう」しばしの沈黙「涼宮ハルヒはまもなくこの世界を終わらせる」ハルヒが世界を終わらせる?俺が死んだからか?「そう。涼宮ハルヒはあなたの死を受け入れる事ができていない」「世界が終わるのはどうやっても防げないのか?」「情報統合思念体は決断をした。今回の事故を一切なかったことにすることに」そんなことができるのか?俺は生きかえれるのか?「あなたの死は紛れもない事実覆す事はできない」そうか。やっぱりな。じゃあなかったことにはできないんじゃないのか?「あなたのニセモノをつくりだす」
なんとなくその場に居辛くなった俺は朝比奈さんの教室に行った。そこでは深刻な顔をした朝比奈さんと鶴屋さんがいた。「最近、キョン君変なの」「キョン君が?気のせいじゃないのかい?」「ううん。涼宮さんも古泉君も言ってたの。」「へぇーどんな風に変なんだい?」「なんかキョン君だけどキョン君じゃないみたいな・・。」驚いた。朝比奈さんや古泉まで俺の異変に気づいてくれてたとは。俺は急いで長門がいるであろう部室ヘ向かった。俺は長門にハルヒ達が異変に気づいてる事を伝えた。「知っている。昨日の帰りに話してた」「何でばれたんだろうな」「仲間だから」長門の意外な発言に驚いていると長門は言った。「私は昨日一晩考えた。これで良かったのか」「よかったもなにもやむをえないじゃないか」「私の話を聞いて。ニセモノのあなたをつくりだして彼らを騙してるのは良い事なのだろうか」「それは涼宮ハルヒらにとって幸せなのだろうか。なによりあなたが幸せなのか」「そして私は気づいた。涼宮ハルヒはあなたの死を受け入れるべきだと」「しかしそれが失敗すれば・・・」「リスクを侵してでも伝えなきゃいけないことはある。死は受け入れなきゃいけないこと」「そしてあなたの未練がわかった。それは涼宮ハルヒへの告白。」俺は決心した。ホントの事を伝えようありがとう長門おまえのおかげだ。「有希、話って何?」SOS団が部室に揃った。俺が2人いるがな「話があるのは彼」長門は俺のほうを指差したが、当然見えてないわけで。「誰もいないじゃない」長門がブツブツとなにかを唱えると俺の体が具現化して行く。呆然としていたハルヒは俺の顔が見えるようになってから愕然とした。「キョン!キョンが2人?!・・・アレ、もとから居たキョンは?」古泉も朝比奈さんも酷く驚いているようだ。なにが起こっているか分からない様だ「こ、こっちにいた彼は今現れた彼が現れた瞬間に消えました・・。」古泉のニヤケ顔は既に消えていた。「よお、久しぶりだな」「何いってんの・・?さっきまで一緒にいたじゃないの・・!」俺は今までのことを全て説明した。説明を聞いてたハルヒはだんだん涙目になっていき、ついにはしゃくりあげ始めた。「そういうことだ」俺は話を終えた。「何がそういうことだ!」ハルヒは泣いていた。泣きながら怒っていた。「キョン君がぁ・・・キョン君がぁ・・」朝比奈さんは泣き崩れた。「これは驚きましたね」古泉もニヤケ面はとっくに消えていた。「キョン!あんたボケっとしてるからそうなるのよ・・えぐ」俺は少し事実を曲げて伝えていた。ハルヒを助けるために死んだって部分をだ。「彼はあなたを助けるために、身代わりになった」長門が少し強めの口調で言い出した。「彼は身をていしてあなたを守った。」「おい長門・・・」「黙ってて」長門は珍しく強い口調だった。「あなたは彼の死を受け入れなければいけない」「無理よ・・・だってあたしはキョンが・・」「ハルヒ、俺の話を聞いてくれ」「お前は本当に傍若無人で、人を困らせる事ばっかりして・・・特に専らおれだったがな」「何がいいたいのよ!」「自分の決めた事は必ず曲げない身勝手な女でもあったな」「・・・何よ」「しかもワガママで無理強いはするし嫉妬深いと来た。性格のテストがあるなら赤点だな絶対」「キョン君ちょっといいすぎ・・」「でも俺はそんなお前が好きなんだ!」「キョン・・・」「理由なんてわからねぇ。恋に理由なんてないっていうからな」「なによ・・・かっこつけちゃって」
ハルヒは顔を真っ赤にして言った。「あ・・あたしも好きよ。だから、だからいかないで!」俺の体が透けてきた。「ハルヒー、俺もうダメみたいだ」俺の目からも涙が零れ落ちていた。
死にたくねぇよ。あれほど落ちついていたのが嘘
のように怖くなってきた。「さよならだな。ハルヒ・・・」「行かないでよぉ。わたしを置いていかないで!」ハルヒの目からポロポロと涙が落ちる。「あんた怖いんでしょ?あたしに隠そうたって無駄よ」「ああ、怖いさ」ハルヒは泣きながら俺を抱きしめた。「離れないで!すきっていったんだから責任とりなさいよ!」「ハルヒ、大丈夫だ。大丈夫なんだぜ」「だからなにが大丈夫なのよ!」「大丈夫」
「きっとまた会えるから」俺の体はもう上半身だけになっていた。「・・・分かったわ」ハルヒは涙を拭うといつものハイビスカスのような笑顔を見せてくれた。「あたしがそっちにいくまでまってなさいよ!女でもつくったら承知しないからね」「ああ、ひぐっ待ってるさ。何十年も何百年もな」「お前に1ついや、3つ頼みがある」「いいわ!いってみなさい」「まず、これからもSOS団を続けてくれないか?」「当たり前じゃない!永遠にSOS団はSOS団よ」そうか。よかった 俺もずっとSOS団でいたかったなぁ「言っておくけど、あんたもずっとSOS団だからね」「・・・・そうか!」俺はもう涙をこらえる事が出来なくなっていた「2つめだ。お前は俺以外の大切な人をみつけろ。あと何年もお前は生きれるんだ。ひとりじゃ抱えきれない事も必ずある」「そんな時は僕達が支えますよ」古泉が言った。古泉の顔も涙でぐちゃぐちゃになっていた。「はい。そうですよう、絶対涼宮さんから離れません!」朝比奈さんはもう涙腺が異常をきたしてるようだ。「安心して私が守る」長門の目にははっきりと決意の意思が溢れていた。そうか・・・。俺にはこんなに最高の仲間がいたんだな「だから2個目はお断りね」「そうか。最後にに3つめだ」「幸せになれよ」俺はハルヒと唇を合わせた。そして俺は霧の様に消えて行った。
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