涼宮ハルヒの忍劇12
キョン「…ん」
会長「気がついたか?」
キョン「会…長…?」
会長「そうだ。ようやく起きたようだな」
キョン「・・・・・ハッ!長門は!?ハルヒは!?朝比奈さんは!?古泉は!?」
会長「落ち着け、古泉はそこでグッスリ寝ている。他の三人は喜緑君と向こうの部屋で寝ている」
キョン「…よかった」
俺は気を失う前の状況を鮮明に思い出してみた。
確か鬼道丸とかいう奴を見た瞬間に身体が動かなくなり、相手が俺を断殺する…と思いきや気を失い目が覚めたらここに寝ていたんだな
そんなところだろう
それはともかくとして、俺達はあの状況から一体どうやって助かったんだろうか?
会長「それは私にもよく分らんのだ」
キョン「助けてくれたのは会長じゃないのか?」
会長「ふむ、私は正直もう駄目かと思った。辞世の句が頭の中で流れた程だ」
キョン「なんだと・・じゃあ一体誰が…?」
会長「其れが良く分らんのだ。いきなり白い煙が私の視界を奪い、暫くして再び辺りが確認できるようになった頃には、あの紅の男も他の黒い服の忍び達も消えていた」
喜緑さん「そうなんですよ」
キョン「喜緑さん」
喜緑さん「安心して下さい。他の子達はまだ眠ってます。貴方は早起きさんなんですよ」
キョン「はは…しかしこれからどうするかな…この刀は相変わらず鞘から抜けないんだよな」
会長「…抜けないならやはり其れなりの理由がある筈だ。何もその刀を抜く為に行う方法が一つしかないとは限らない」
キョン「どういう事です?」
会長「相模の町外れ、刀匠の小屋よりも更に町の外れに天狗の森がある。」
キョン「それはこの前に話した…」
会長「そう、古泉が説明した森だ。相模天狗の森と呼ばれ町民は誰一人近づかないが、そこに住む『相模天狗』と呼ばれる仙人に話を聞けば何か分かるかも知れない。その刀の抜き方とやらがな」
キョン「なるほど…つまりそこに行ってみるのも一つの手という訳ですね」
古泉「僕は大賛成です」
うおっ!起きてたのか古泉!
いつの間にかハルヒ達まで…
…どこかで同じようなネタをやった気がしなくも無いが、そんな事は気にしないぜ
古泉「天狗の森に住む長は法力、仙力を司ると言われています。あるいわ、その刀を仙力で抜いて貰えるかもしれません」
ハルヒ「悪くない話じゃない。行きましょうよ」
みくる「で、でも…」
ハルヒ「どうしたのよみくるちゃん?」
みくる「昔母から聞いた事があります…相模天狗の森には強力な仙力で操られている『木人』達がいるって…」
古泉「僕も聞いた事があります。腕の立つ盗賊達が、相模天狗の森に存在する【天狗の宝】を盗もうと試みるらしいですが、何人も逆に命を落とすと…そのぐらい木人達は腕が立つらしいです」
みくる「ふええ…」
長門「大丈夫…」
キョン「…何故そう言い切れるんだ?」
長門「…いっくんがいるから////」
ハルヒ「…」
古泉「…」
キョン「…」
会長「…」
喜緑「…」
みくる「・・・・・」
ハルヒ「…そ、そうよ!古泉くんだっているし、アタシもそんな木の人形なんて瞬殺してやるわ!!」
キョン「だな!俺達なら大丈夫だ」
古泉「皆で力を合わせましょう」
一同『お―――っ!!!』
ハルヒ「…はぁ」
ん?ハルヒの様子が何かおかしいな・・・
==安土城==
鬼道丸『……』
???『不服か?鬼道丸』
鬼道丸『…貴方様を否定するつもりは御座いません。ですが、その考えは理解に苦しむ』
???『フフフ…彼等にはまだ生きて貰う…私の楽しみを潰すな。影の軍上忍、鬼道丸よ』
鬼道丸『…』
???『もし、どうしても彼等を斬りたいと御前が謂うのならば、私を斬って行くが良い』
鬼道丸『…御冗談を』
==安土城==~無想の間~
夢幻坊『何故止めたか…か』
鬼道丸『あの程度の剣術家は探せば幾らでも見つかる。ましてや忍者…』
夢幻坊『【あの御方】は昔から伊賀に異常なまでの拘りがある。それも理由の中の一つだろう』
鬼道丸『……剣の腕を磨き、剣の理を一つ知る度に【あの御方】が遠くなって行く。一つの段階を越えると、一歩遠くへ行く…そんな感覚……化け物めが…』
夢幻坊『信長様が蘭丸と同様に信頼を置く男だ。おそらく剣術に於いて右に出る者は居ないだろう』
鬼道丸『・・・・・私は…全ての剣術家を越える』
==相模天狗の森、入口==
キョン「しかし近くまで来てみると一層不気味な森だな」
古泉「この森から滲み溢れる力…なるほど、確かにこれでは誰も近づきませんね。案内御苦労です。会長と喜緑さん」
会長「うむ、私達はここまでだ」
ハルヒ「一緒に来るんじゃないの!?」
喜緑さん「そうしたいのはヤマヤマなんですけど、私達もやらなきゃいけないことがあるんです」
古泉「名探し…ですか」
会長「正確には記憶探しだ。今度は安芸の方まで行ってみようと思う」
みくる「見つかるといいですね・・・記憶」
会長「一度無くしたものはそう戻らん…だが精一杯努力はしてみるさ」
そう言って微笑んだ会長の顔は男の俺から見ても格好良かった
二人は歩いて去っていった
俺達は、二人の姿が見えなくなるまで手を振り続けた
キョン「よし…行くか」
長門「…待って」
キョン「どうした長門?」
長門「…後ろから何か大きな力を感じる」
キョン「大きな力だと・・・・」
古泉「・・・どうやらあの方のよ・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・馬鹿・・・・な・・・?」
俺達が後ろを振り向くと、そこには一人の道士と思われる少女が立っていた
???「――」
ハルヒ「誰よアンタ?」
???「――九曜――」
みくる「九曜さんですかぁ?」
九曜「――こく――」
俺は色々驚いていた
まずこいつの服装だ。今までに古泉に似た服装の奴は何人か見てきたが、こいつは似てるなんてもんじゃない…そっくりだ
そして髪が異常なまでに長い…顔は美人だが…ぐへへって何を考えているんだ俺は!!
古泉「…!!」
…?
俺は古泉の異常に気がついた
爽やかなこいつらしくない汗を書き、歯をガチガチと震わせている
どうした古泉?
古泉「…森の中に逃げましょう」
…なんだって?
古泉「ですから森の中に早く行きましょう!!」
落ち着け古泉
森の中は危ないんだ。とりあえず皆の心の準備をだな
古泉『「そんなことを言ってる暇はないッッ!!!」』
とてつもなく大きな声に、俺達は驚いた
ハルヒ「ど、どうしたのよ古泉くん…?」
みくる「ふ…ふええ…?」
長門「いっくん・・?」
古泉「あれは…ヤバいんです…僕は…僕は逃げなければ!!!」
ハルヒ「ちょっとキョン!古泉くんどうしたのよ?」
キョン「俺が知るか!ただ…あいつの表情を見る限りあそこにいる九曜って奴がヤバそうって事ぐらいだ。とりあえず古泉の言う通りみんなで森に行こう」
ハルヒ「でも森の中も危険って…」
キョン「お前らしくない言葉だなハルヒ…どうしたんだ?」
ハルヒ「えっ…!?なっなんでもないのよ!そうね、いつも冷静な古泉君がこんな風になるなんて異常だし、とりあえず皆森に逃げましょう!!」
みくる「ふええええ~心の準備が」
長門「…そんなこと言っている暇はない」
みくる「…はいぃ…」
古泉「こっちです!!」
先に森の中へと走り出す古泉。
俺達もその後について行った
九曜「――逃げ――た――?――」
涼宮ハルヒの忍劇13
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