俺が古泉で古泉が俺で…
皆の衆は今日の夕方に起きた我がSOS団の団長様、天使、置物による人格入れ替わり事件を覚えているだろうか?俺がその一件で不幸なことにしかならなかったのは言うまでもないだろう。いや、一つだけ覚えておきたいことがあったな。あの長門のオドオドしている姿(中身は朝比奈さんなのだが)は俺の頬を緩ませるには十分な力をもっていた。また見てみたいものだ。などと、回想をしている場合ではない。もしかしたら今のは現実逃避なのかもしれない。それほどまでに俺を困惑させる事態が起こっているのだから。
そう。俺は古泉と入れ替わってしまっていた。
なんだこれは。キ?「人格の入れ替わりでしょう。ちょっとしたスペクタクルですよ。」そんなことを言ってるんじゃない。どうしてお前は冷静でいられるんだ。自分に向かって言い放つ。正直気持ち悪くてしょうがない。なぜなら目の前にニヤケスマイルを放つ俺がいるのだから。忌々しい。キ?「先ほど同じような現象を見たばかりではないですか。それにこれくらいのこと、あなたならとうに慣れているものではないかと。」そのつもりだったさ。でも今回はいつものような「危機」ではない。なので恐怖は感じないが、何とも言えない「気持ち悪さ」が俺の体を支配していた。キ?「きっと一時的なものでしょう。明日の夜には戻るでしょう。」なんだと!?ということは明日一日をコレで過ごせというのか!?授業も?部活も?キ?「なんとかなるでしょう。では帰りましょうか。」あ、こら勝手に帰るんじゃねぇ!待てって!なんということだ。信じたくない事実だ。そして今の俺たちは端から見るとさぞかし滑稽だったことだろう。なぜならクールに微笑んでいる俺と、焦って何やらわめいている古泉がいるのだから。
そんな二人を物陰から覗く影が一つ…阪中「なんか今日のキョンくんはクールなのね…惚れ惚れするのね。古泉くんもなんか変なのね。古泉くんが焦ってるのを見るとなんか不安になるのね。」
今は休み時間である。俺は机に突っ伏してただただ嘆いていた。つ…つかれた……。さすがは9組だ。いつも授業を睡眠によって過ごしている俺にとって、このクラスの授業はわからないを通り越してもはや苦痛だ。そして俺はあることに気づいた。いろいろと視線を感じる。女子からも男子からも。その比率は8:2くらいだが。ヤバイ。疑われているのだろうか。いやいや、こんな非現実的なマンガのようなことを信じる一般人はいないから、きっと古泉が気になっているだけなのだろう。そりゃそうだ。古泉は机に突っ伏したりしないだろうからな。そう思って体を起こす。俺(古泉の外見をした)を見ていた女子と目が合った。その娘は顔を赤らめて目をそらした。くそ忌々しい。なぜ古泉ばかり。 やがてその娘がこっちに近づいてきた。けっこうかわいい。なんだろう。「あの…古泉くん、調子が悪いなら保健室いく?」ちょっと横を見ると、さっきまでなにやら会合を開いていた女子グループがこっちを見ている。いや、見守っているというのが正しいか。ああ、大丈夫…ですよ。くそ、ですます口調は疲れる。それにしても古泉はこんなかわいい娘に気にされているのか。まったくもってうらやま…くそ忌々しい。ああ忌々しい忌々しい。そんなことを考えながら、ふとハルヒのことが気になった。
そのころ。ハ「なんか今日のキョンって紳士的ねぇ。」キ?「俺はいつも通りだぜ?」ハ「でもいつもしかめっ面で無愛想なのにすんごい微笑んでるわね。」キ?「俺が笑ってちゃいけないのか?」ハ「まぁ…別に悪くはないけど…早く部活やりたいわね。」
国「すごいスマイルだね…」谷「そんなことより…ナンパしようぜナンパ!」国「ほぼ0%が何を言う。」
全ての授業が終わり、俺はほっと胸をなで下ろした。そして今の俺は心なしかワクワクしている。なぜなら授業中にあることを思いついたからだ。さっそく古泉(俺の外見をした)を呼び出す。ちょっと来い。キ?「おいおい、どうしたって言うんだよ古泉。」殴るぞ。
協力しろ。「協力するのはいいんですが…僕はあなたの味方ですし。それで何をするんです?」おかえしだ。「なるほど。興味深いです。実は僕も似たようなことを考えていたんですよ。」そうと決まれば話は早い。部室に行くぞ。
そう。俺たちは昨日のハルヒ達のように驚かせようとしたのだ。
部室に着いた。準備はいいな古泉?キ?「わかったよ。どうせ拒否権は無いんだろ。」…………。俺ってそんなしゃべり方か?その問いに対して俺はスマイルで返してきた。
ドアを開ける。キ?「今日はみんな勢揃いだな。」なんて野郎だ。順応早すぎだろ。俺なんて今さら緊張してきたのに。ヤバイ、俺もあいさつしなければ。や…やぁ。どうも。ちょっとぎこちなかったか?と考えていると、ハ「どうしたの?古泉くん。ちょっと様子が変ねぇ。調子悪いの?」いえそんな事はないですよ。こんな感じか?ハ「ふーん。そう。まぁいいわ。今日の活動はねぇ…」そう言って朝比奈さんの写真を撮り始めている。くそ、いつもなら体を張って止めるところだが、今の俺は古泉だ。ハルヒの行為を全肯定するしかコマンドがない。なにやってんだ古泉。俺はいつも止めてるだろ?そんな意志を目線に込め、古泉(おれの外見をした)を見る。ややあって理解したのかのろのろと動き出す。キ?「やめろハルヒ。朝比奈さんが嫌がってるだろう?」などと言いつつ本気で止めてはいないように見える。そんなことでこの唯我独尊女がやめるわけが…ハ「しょうがないわねぇ~じゃああんたで遊んであげるわ。」なんですと!?ハルヒは俺(中身は古泉)にやたらとベタベタし始めた。くすぐったりとかいろいろ…朝比奈さんもぽーっとして見ている。長門は本から目を離さない。まさか気づいてるのか?あれ、なんだろこの寂しい感じ。古泉はいつもこんな感覚を味わっていたのだろうか。だんだんブルーになってきた…。
ハ「あ、そういえばあんた昨日はとんでもないことしようとしたわね。そうねぇ…今度はちゃんとキスしてもらおうかしらぁ~?」そう言って顔を…やめろハルヒ!!思わず叫んじまった。時すでに遅しである。ハ「どうしたの~古泉くん?何叫んでるの~?」い…いえ別に…ハルヒはニヤニヤしている。ま、まさかこいつ…!?ハ「どうしたのかしら?自分がキスされるわけじゃなのに…ねぇキョン?」今の「ねぇキョン?」は明らかに俺に向けての言葉だった。こいつ気づいてやがる!!朝比奈さんは今気づいたようで、「ふぇ~!?」とオロオロしていらっしゃる。いや~昨日のもかわいかったが、やっぱこっちのほうが…ハ「ちょっとキョン!聞いてるの!?団長を騙すなんて100年早いわ!あたしにはキョンのことがなんでもわかるんだからね!」そんな恥ずかしいことを言うんじゃない!ふと古泉(おれの外見をした)の方を見るとやんわりと微笑んでこっちを見ている。こいつ…始めからこうなるのをわかってやがったな。 くそ、俺だけバカみてぇじゃねぇか。ハ「キョン!団長を騙した罪、まことに許しがたいわ!というわけで今度の不思議探索では一日中あたしに奉仕しなさい!」わかったよ。どうせ拒否権は無いんだろ。やはり偉大なる団長様にはかなわんな…ところで古泉は同罪じゃないのか?
終わり
おまけ
高校生というのは成長期であり、新陳代謝が活発な時期でもある。つまりちゃんと風呂には入らなくてはならない。まぁ風呂は好きだ。妹も突撃してこないので、唯一俺がくつろげる場所だ。
高校生というのは思春期であり、性の興味が旺盛な時期でもある。つまり自分のと人のが気になってしょうがない。
と、いうわけでイッツショータイム。ほほぅ。古泉め、あんなハンサムな顔をしていながらなかなかのモノじゃねぇか。だが!いかにお前のが立派でも、「修学旅行では常勝無敗!」が謳い文句の俺の波動砲にはかなうまい。わははははは。
おまけ(Side:古泉)
話は「俺が古泉で古泉が俺で」の冒頭にさかのぼる。
なんだと!?ということは明日一日をコレで過ごせというのか!?授業も?部活も?キ?「なんとかなるでしょう。では帰りましょうか。」あ、こら勝手に帰るんじゃねぇ!待てって!
古泉の心の中(ぬぉぉおぉぉぉおっぉぉぉぉぉぉ!!早く帰って風呂で「マッガーレ」とか「ふんもっふ」とか「セカンドレイド」とかをしなければぁあぁっぁぁあぁぁぁぁ!!)
その日の夜、古泉の家からは「はぅ~これがキョンたんの…」とか「ああ、こんな大きいので貫かれ…」とかの怪しげな声が聞こえましたとさ。
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