メタ・ラブコメディ act.3
「そうね。午前中は一緒に回って、午後は二手に分かれることにしましょ!」 というハルヒの宣言と共に二対一×2の変則Wデートが始まった。ピッチへ向かって行くスタメンのような心境になるのはなぜだ。デートってのはこんなにがっぷり四つに組まないといけないイベントなのか? 場所は狭くなく広すぎはしない県内の遊園地である。すこぶるベタなチョイスであるが、こういうところにハルヒの普遍性が発揮されるとか古泉なら言うに違いない。 しかし真冬に遊園地ね。楽しさより寒さが先行しそうなんだが。「何言ってんのよ。ムダ口叩いてる暇があったら一つでも多くの乗り物に乗るべきよ。さぁ出陣!」 と言ってハルヒは古泉の袖を引っ張った。反対側をつまんでいるのは長門有希。「涼宮さん、すごい元気ですね」 恐縮しながら言ったのは朝比奈さんだ。ひらひらと風を受けるスカートがこの気温では心許なく見える。「何せ言いだしっぺですからね。さ、俺たちも早く追いかけないと見失っちまいます」 朝比奈さんと、上下するスペースショットを無言のまま見やっていた由梨をうながして俺たちは後を追った。 ……が、見失った。 何つう韋駄天だ。長門にハルヒに古泉か。確かにSOS団で足の速いの上から順に引き抜いたような取り合わせだもんな。出遅れた上に朝比奈さんつきのこっちは分が悪い。なので俺は携帯を取り出して早速と現在位置を確認しようとした。
このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー と 利用規約 が適用されます。
1文字以上入力してください
本文は少なくとも1文字以上必要です。
1文字以上入力してください。