Black Lily・エピローグ
結論から言えば、その通りだった。翌日、長門有希の机は空席のままで、教師から海外に転校したとの通達があった。俺の耳はその情報を素通りさせた。「キョン、どういうことよ」ハルヒが珍しく神妙な調子で背中から声をかける。聞いたまんまだろ、長門は遠くに引っ越したんだ。……宇宙規模の遠いところにな。「あんた、それでいいの? どうして、どうして有希を引き止めなかったのよ」傷口に塩を塗ることを言うハルヒである。「すまんハルヒ。今日だけはほっといてくれないか」クラスの中央にほど近い長門有希の机は、春が来てあいつと同じクラスになってから、初めて空席になっていた。俺が始業ぎりぎりに来ると、いつだってそこには小柄なショートカット娘の姿があったのだ。今日だけいないのはどうしてだよ。長門由梨も来ていなかった。あいつの話ではあと少し観測が続くとか言ってた気がするが。俺は午前中何も考えない代わりに授業に集中した。入学以来一番有意義に時間を使ったかもしれない。谷口や国木田との昼食も断った。ずっと落ち込んでいるつもりはないが、今日だけはどうしても談笑できそうになかったからだ。弁当箱を開けもせず、俺は校舎内を適当にほっつき歩いた。渡り廊下から見る窓の外は曇っていて、こんな時くらい晴れてろよなと俺は心中でつぶやいた。
だよな、新団員さん。「それでは! これよりSOS団緊急ミーティングを開始します!」ハルヒの大きな声が部室に響き渡る。師走はまだ十日ばかり残っている。俺たちが本気で走り回るのは、まだまだこれからのようだ。
・・・でも、ようやく一つの懸案事項はなくなった。
これからもいろいろなことが起こるだろうけど、これからは団長を含む6人でやっていこうじゃないか。
だよな、長門?「はい、僕の勝ちです」「えぇっ! 何で今日に限って負けるの俺!」(おわり)
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