女古泉'ちゃん'の憂鬱 第一話「梅しば」
「おはようございます、キョンくん」「あぁ、おはよう」無愛想ながらもきっちりと挨拶をしてくれる男子生徒、キョンくん。機関やその他大勢の場所から重要人として扱われる人。そして、叶わない僕の片思いの相手。―――お前は、涼宮ハルヒとあのアナルの美味しそうな男子を監視しろ。そんな任務があって、出会った彼。別の教室である僕達は朝出会うと廊下で手を振って分かれる。その度に後姿が、遠く感じる。そう見えても、仕方が無い。彼の前で僕はあくまで男の子だから。偽りの姿の僕。彼に恋を抱いているのは、彼の知らない僕。本来の姿。すなわち、女の子としての。見せて良いのは偽りの姿。見せては駄目なのは本来の姿。本当は逆が良い。でも、仕方ない。僕は機関の中に居るんだから。だから、遠く感じる。だから、叶わない。「・・・・・はぁ」叶うのなら、貴方に抱かれたい。そして、犯されてると思うぐらい愛されたい。だけど、出来ない。だから、僕はその寂しさを紛らわす為にやる。「マッガーレ!!」「アッー!!」「今日は、1919(いくいく)回ですよぉーー!!マッガーレェェェェーーー!!」「うそ~~~~っ!!??アッーーーー!!!!いくいく!!ンギモヂィィィイイイイイッッ!!」でも、やる度に雪のように降り積もる情けなさを感じていた。望みとやってる事がまったく真逆であるから。・・・僕、ドMだし。あ~、本当にやられ女古泉ちゃんの憂鬱 第一話「梅しば」「ふぅ・・・・・」そんな事を思いながら屋上で一人空を見上げる。SOS団の部屋から出て外の空気を吸いたくなったからだ。ぼぅ、としてただ静寂と星の瞬きだけが現存する夜。よく見れば夜の闇雲に消されかけた月も目を細めないと解らないぐらいうっすらと光っていた。「はぁ・・・。・・・ひゃっ!?」突然、首筋に冷たい何かが押し当てられて思わず悲鳴を上げる。「くくっ・・・女みたいな悲鳴上げたお前、結構面白かったぞ」彼が、キョンくんがそこに居た。悲鳴を上げた僕を嘲笑っている。馬鹿にされてると思うと、少しだけ恥ずかしくて、でも会話出来ることが嬉しい。・・・馬鹿にされるのも嬉しいのですけど・・・。「そういうの、あんまり好きじゃないですよ、僕は」もちろんこれは嘘。本当は、貴方にいじめられたい。「たまにはやり返したくもなるさ。ついでに、たまには奢ってやるさ」「ありがとうございます」でも、こうやって優しくされるのも好き。渡された缶コーヒーを開けて一口飲む。苦さが、僕を落ち着かせる。彼から貰ったせいか、いつもよりも美味しく感じる。「古泉、お前悩み事でもあるのか?」「え?」思わず、どきりとする。「なんか知らないが、お前時々悲しそうな笑顔をしてるからな」「・・・気のせいだと思いますよ」「そうか」本当は、当たってる。だけど言えるわけがない。じつは僕が女である事。貴方が好きである事なんて。だからこそ、悲しいのだなんて。仲間内にも言えないですよ。「なら良いんだが・・・ま、そりゃそうか」それに言ってしまえばなくなりそうだから。その笑顔が見れなくなりそうだから。この関係のみならず全て壊れそうだから。それだけは、嫌だ。なら友達という関係で諦めるしかない。少なくともそうすれば傍に居られるから。男友達としてであっても。いつか、涼宮さんとキョンくんが付き合う事になるまで。それは少し寂しい。ううん、凄く寂しい。だから「さて・・・そろそろ部室に戻らないとな」「そうですね・・・でも、その前に・・・・・マッガーレ!!」寂しさ逃れとさっきのコーヒー当てられて悲鳴上げた恥ずかしさの仕返しをするのだ。「油断しちまった!くっ・・・アナルだけは、アナルだけは!!アッー!!!」夜空に、キョンくんの壮大なスペックの叫び声が百獣の王のように木霊した。・・・あう・・・人工テドドン越しに濡れてきた・・・。その後、僕たちは部室に戻った。そこでは涼宮さんが珍しく長門さんとチェスをやっていた。どう見たって勝ち目がないように思えますけどね。「あぁ!!これで三敗目・・・有希、強いわね」案の定、負けましたね。それを見て、キョンくんが言った。「ハルヒ、俺とやらないか?」「キョン相手なら負けないわよ!!」彼は凄く楽しそうだ。僕とボードゲームをやる時には退屈そうにやるのに。やっぱり、女性とやるのが楽しいのでしょうか。それとも、相手が。・・・考えるのはやめましょう。泣きそうになってしまう。ふと彼に視線を向ける。目が、合った。「・・・・・」何も言わないで目だけをこっちに向けている。ふと、にやりと笑う。視線は自信が満ちていて、まぁ見てろと言っていました。しばらくして、彼が視線をチェス盤に戻した。僕も視線をそっちに戻す。「チェックメイト」彼の発したその言葉は、静まり返った部屋に仄かに響いた。そして、「あぁぁあああ!負けた!!」そんな叫びが後続として続いた。「残念だな、ハルヒ」キョンくんは嬉しそうににんまりと笑う。「偶然よ!もう一回やりなさい!」負けず嫌いの涼宮さんが叫ぶ。「やれやれ・・・いいぜ?ただし、負けたら休日の不思議探索の奢り、遅刻してもお前な」挑戦的な口調。当然、それに乗ってくる。「上等よ!代わりに、キョンが負けたらいつもの倍奢らせるからね!!」その結果。素晴らしいぐらいあっという間の勝負だった。彼があっという間に涼宮さんのキングを追い詰めて、終わった。「嘘・・・」涼宮さんは目を丸くして、立ち上がった彼に目をやる。「キョン!まだよ!みくるちゃんと有希を負かしてみなさい!!」「はぁ・・・やれやれ。解った」彼は呆れたように苦笑いをしていました。まずは朝比奈さんとキョンくんの戦い。これは、あっという間に終わりました。そして、次です。長門さんと彼の戦い。この戦いは、何故か凄い迫力がありました。駒を動かす早さ、置く音。ルークが消え、ナイトが消え。そんな事を繰り返す。「・・・チェックメイト・・・」その言葉で、全てが終わりましたね。静まり返ってもまだ沈黙へとベクトルの方向を進ませる。誰も喋らず、吐息さえも聞こえないような無音の柩。そんな中で彼は、立ち上がった。「やれやれ・・・」誰も勝てないと思っていた最後の砦を、彼は五分掛からずに打ち落としたのです。つまりは長門さんの敗北。「約束は果たしてもらうぞ、ハルヒ」彼女は、最初呆然としていたがやがて微笑んだ。そして、飛びっきりの笑顔で言った。「解ったわよ。あんたの奢りよりもっと凄い奢りを見せてあげるんだから、覚悟しなさい!」「あぁ、楽しみにしてるぞ、ハルヒ・・・」そこでその日はお開きになりました。その帰り道。僕は、彼と肩を並べていた。「まさか、長門さんに勝ってしまうとは思いませんでした」「結果的に言えば俺の勝ちだけど、引き分けなんだよなぁ・・・ん~」そう言う彼らしくない表情を浮かべていた。勝負事に勝てば多少は機嫌良さそうな顔をするのに。とても不満げな顔でした。何か、足りてないというような。「引き分け、ですか?」「あいつらしかぬミスがあったからな・・・あれが無ければまだまだ勝負は続いたな」せっかくだしもうちょっと戦いたかった。彼はそう言って溜息をついた。空気中に白く、それは残る。「それでも、あれだけ素早くチェスの駒を動かすのは凄いですよ」そう。本当に早かった。長門さんが動かすと、キョンくんがたった二秒ほどで動かす。逆にキョンくんが動かすと、長門さんもたった二秒ほどで動かす。インターフェースと人間。個体差は歴然であるのにまったく動じていませんでした。「本気でいかないと、あいつは倒せないからな。1%でも気を緩ませたら間違いなく負ける」「そういう問題じゃないと思うんですけどね。一手ミスをしたとは言え、長門さんを倒せたのは奇跡ですよ」「いや・・・そうでもないさ。あいつは、感情がほぼ真っ直ぐだからな。性格を考えれば簡単だ」「そんなものですか?」「そんなものだろ。まぁ、奢りは避けれるわけだし、いいかな」「そうですよ」そうだな。彼はそう言って微笑んだ。その笑顔にキュンとくる。「おっと、我が家だ・・・じゃあな」「はい、ではまた明日・・・別れ際にマッガーレ!!」「アッー!!ンギモヂィ・・・ハッ!また、中で大きく・・・アッー!!」人工デカチンは大きくしたり小さくしたりスイッチ一つなのです。今回は、勝利の褒美に二回してあげますね。・・・本当は、彼女達とやってる時の嬉しそうな顔に嫉妬してるだけなんですけどね・・・。しかも、僕を放っておくんですから。いわゆる放置プレイ・・・。でも、おかげで今人口テドドンが外れそうなぐらい濡れちゃってるんですけどね・・・。家に到着したら、まず特殊メイクを落とし、25cmのシークレットブーツを外す。そして、マジックハンド、肩パッドを外して人工テドドンを外す。ちなみにテドドンの命名は森さんにしてもらいました。最後に、変声機を外す。どこに付いてるかは秘密だよ。鏡の中の自分を見る。女の子としての自分を。本来の、彼には見せられない姿。何度見てもロリ顔の顔。ちょっとだけ膨らんだ胸と・・・あそこ。今日のことを思い出して、彼の顔を思いながら、そっと手を下にやる。「んふっ・・・ふあっ・・・」天然の放置プレイのあかげで、もう大変です。頭の中で、自分の指を彼のものに脳内変換する。「んんっ!!・・・はぁ・・・・・」絶頂と溜息。ただ、ひたすらに虚しくなった。彼を想像して、達して我に返ればこの部屋には彼が居ないのですから。今頃ご家族と仲良く食事でしょうか。と、なぁだらかぁな丘の上~ゆぅるやかぁに雪が降る~♪携帯から着信メロディーがなった。「はい、古泉です」『Hey!やっほ~い!古泉くぅ~ん!!元気かYo!!』「森さんですか・・・」『Yes-Yes-Yes!!よく解ったね、ベイビー!!』「解りますよ・・・。で、何か?」『ちょっと、新川に代わるから待っててけろ~ん♪』今何歳だっけ、森さん・・・。『うい~、古泉』「こんにちは、新川さん」『いきなりだがお前に任務が有る』「任務、ですか?」僕は、緊張した。『生徒会長のアナルを掘る』「意味が解りませんよ・・・機関じゃなくて貴方独自の作戦でしょう?」『だって、掘りたいんだも~ん☆』「死ねばいいと思います」『あ~・・・股間のオメガハイパーマックスが、あのアナルを求めている・・・!!』「・・・」『ゴホン・・・さて、本題だ』「今までのくだりはなんだったんですか?」『任務は非常に簡単だ』「スルーですか?」『明日一日、涼宮ハルヒを取り巻く環境を保護して欲しい』「保護ですか?」もうスルーされた件はどうでも良かった。『そうだ。明日、お前の学校に反機関の武装組織が向かうとの連絡が入った』「え・・・」『おそらく目的は、涼宮ハルヒかアナルの美味しそうな彼だろう。 どんな方法を使っても構わない。とにかく死守しろ』「・・・わかりました」『あと、出来たら生徒会長のアナr』ピッ。ツー、ツー、ツー。あの優しい変態おじさまめ!今度会ったらお年玉のお礼をしてやる!!「・・・」さて・・・僕に、彼が守れるだろうか。解らない。規模に寄るだろう。けれど、守れるだけ守ろう。いや、絶対に守ろう。誰にも、殺させはしない。大好きな彼を。・・・いつか、犯されるために!!いや、無理ですけどね。にはははは・・・・・はぁ・・・・・。
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