放課後の部室でのことだ。
俺が部室に行くと、そこには置物のように鎮座して読書する長門の姿があった。
「あれ、他には来てないのか?」
そう聞くと長門は、黒光りする瞳をこちらに向け、
僅かに首を縦に動かしただけだった。
「そ、そうか…」
正直に言おう。
俺はこの雰囲気があまり好きではない。
そりゃあ確かに、長門は役に立つし、何回も助けてもらった。
だが、やはりこの無口な有機アンドロイドと
2人きりになるというのは、慣れないものだ。
と、その時のことである。
読んでいた本をパタンと閉じた長門は、
椅子から立ち上がり、冷蔵庫の前に立った。
そして、冷蔵庫の扉をパタンと開け、
中から大きな皿を取り出し、俺の目の前に出した。
「…食べて」
「これは?」
「…プリンと呼ばれる食べ物。涼宮ハルヒによって強制的に作らされた」
「そ、そうなのか…」
あの野郎<ハルヒ>、長門にもこんなことをさせていたのか。
言わずもがな、そのプリンもやはり、『おっぱい』と呼ばれる形をしていた。
ハルヒが作ったやつよりも小ぶりだった。
俺は長門に手渡されたスプーンを持ち、
そのプリンを食べた。
ハルヒの時と同じで、このプリンもとても甘かった。