第4章前編-6 Dark spring + Light summer = Day
家に帰ると、俺の部屋には誰もいなかった。それが普通なんだろうが、最近ナツキがいない方がめずらしい。
「なんか気になるな……」
最後に見たナツキの顔が、どうしても頭から離れない。放っておこうとも考えたのだが、そこまで薄情ではないくらい、あいつとは付き合いが長いのだ。というわけで、電話をかけることにした。何度かコールした後、電話がつながる。「よう」「うん……。電話なんてめずらしいじゃない。どうしたの?」 やっぱり声に元気がなかった。らしくねえな。「どうした元気ないな。デート、うまくいかなかったのか?」「そういうわけじゃない。楽しかったよ。けど……」「けど?」「キョン君が……、あたしの探していた憧れの人かと思ったんだけど違うみたい。あたしと会ったことないんだって」
なるほど、元気がない原因はそれか。しょうがねえな。「まあ、そう落ち込むなって。いつかきっと見つかるさ。俺がお前の想い人を探すのに、協力してやるから。ああ、もしキョンのことが気に入ったってんなら、協力は惜しまないぞ」「バカ!大きなお世話よ」ナツキは少し笑いながら言った。少しだけ、元気が出たようだ。元気がないナツキってのは、涼宮同様しっくりこない。「ありがとう」 聞こえるか、聞こえないか微妙な音量で言ったかと思うと、電話が切れた。まあ……、大丈夫だろう。さて、寝るか。 俺としては疲れただけで、このまま何事もなく終わったと思っていたんだが……、この日のことは、後に起こる2つの事件、俺とその他大勢を巻き込む、とんでもない事件の序章に過ぎなかったのだ。第5章に続く
このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー と 利用規約 が適用されます。
1文字以上入力してください
本文は少なくとも1文字以上必要です。
1文字以上入力してください。