機械知性体たちの即興曲 第四日目/夕
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□第四日目/夕文芸部室キョン 「じゃあ、今日はこれで帰るぞ」ハルヒ 「…………」キョン (……ハルヒの視線が痛い。やっぱりシーランド公国のせいなのか? 適当に思いついたのを言っただけなんだが……どんな国だったんだ)キョン 「じゃあ、また明日な」ハルヒ 「ええ……(有希のご両親か……ご両親ねぇ)」文芸部室前みくる 「……あ、キョンくん。ちょっと」(後ろから駆け寄ってくる)キョン 「はい? な、なんですか?」みくる 「うん。なんか今朝から、キョンくんの様子が少しおかしいから」キョン (……それほど挙動が変だったのか、俺)みくる 「長門さんもずっとお休みだし。もしかして、キョンくん、なにか大変なことになってるんじゃ……?」キョン (……すまん、長門。俺にはこの手の隠し事の演技はできないようだ……)みくる 「キョンくん?」
キョン 「そ、そんなに変でしたかね、自分。いや別に大したことがあったわけじゃ……」みくる 「……そう。ならいいんだけど」キョン 「すいません。心配かけて」みくる 「……あのね?」キョン 「はい?」みくる 「もし……もしもなんだけど。キョンくんが長門さんのことで、なにかを知っていて……」キョン 「(ドキ)」みくる 「それで、誰にも相談できない事情があって、ひとりで悩んでいるんだとしたら」キョン 「…………」みくる 「あの、わたしじゃあまり、いえ全然役に立てないかもしれないけど、でももし話すこととかでキョンくんの気が楽になるんだったら……。
なんでもいいの。どんなことでも話してくれるといいなって」キョン 「朝比奈さん……」みくる 「わたし、いつもキョンくんとか、古泉くんとか……それに長門さんもだけど、助けてもらってばかりで。 そんなわたしが、もし誰かが困ってるとしたら、なにかできないかなって……」キョン (……やっぱりそういうの、いつも悩んでいたんだろうか)キョン (そういわれると、俺だっていつも長門なんかに頼りきりだったわけなんだが……)みくる 「……あの、キョンくん?」キョン 「ありがとうございます、朝比奈さん。その言葉だけでも、充分嬉しいですよ」みくる 「……あ、良かった」キョン 「え……?」みくる 「キョンくんの笑った顔、今日はじめて見たから」キョン (……すいません。心配かけちまって)部室棟階段の踊り場 古泉 「…………なるほど」
キョン 「なんでまた酒なんて飲んでるんだ、おまえは。子供だろうが」あちゃくら 「いろいろ~……事情があって~(ヒック)……ごめんなさ~い……」キョン 「今、水を持ってきてやる。長門、喜緑さん、そっちはだいじょうぶなのか。なにがあったんだ、これ」にゃがと 「……朝倉涼子に押しつぶされた」ちみどり 「……いたたた……」キョン 「いや、押しつぶされたって、おまえらの体重でそんなことあるわけないだろ」にゃがと 「……説明するのは、ちょっと難しい」だいたい二〇分後キョン 「……朝倉の様子は少しは落ち着いたようだな」あちゃくら 「すぴー……すぴー……むにゃ」キョン 「胸元開いて水飲ませて、風を送って……これでいいのか?」にゃがと 「いい。我々は厳密には人間ではない。それほどのダメージを被っているわけではない」ちみどり 「お部屋がお酒くさいです……グスグス」キョン 「待っててください。もう少ししたら台所片付けますから。あそこ。台所にこぼれてるのは酒なのか?」にゃがと 「料理酒」キョン 「なんでまたそんなもん……」にゃがと 「説明するのは、ちょっと難しい」キョン (ああ……)
あちゃくら 「もう……飲めないぃ~……すぴー」キョン (やっぱり、今のこいつらを俺ひとりで育てるのは……)
ちみどり 「グスグス……もうこんな生活いゃあ……グスグス」
キョン (無理があるとしか思えん……)
iにゃがと 「……?(じー)」
キョン 「……すまん」にゃがと 「……? なにか?」ちみどり 「グスグス……どうしたんです? グス。改まって」キョン 「……やはり、俺ひとりでは、おまえたちを無事に育てていく自信がない」にゃがと 「育てる……?」ちみどり 「え……?」キョン 「なんとか、おまえたちが無事に元に戻るまで、俺ひとりでがんばってみようと思ったんだ。 だが、やはりそれじゃ駄目なんだ。男手ひとつで、育ち盛りの子供をなんとかできるなんて考えたのは 俺が育児を甘くみていたってことなんだ……ほんとうにすまない」にゃがと 「……? ? ?」(展開についていけてない)ちみどり 「えーと? キョンくん……? あれ? あれ?」(ちょっと焦っている)あちゃくら 「すぴー……すぴー……」(寝ている)キョン 「やっぱり駄目なんだ。無理なんだよ。こんな若造の男がひとりで、多感な時期の女の子三人も、いっぺんに面倒みるなんてのは。 甘かった。考えが甘すぎたんだ……それで、おまえたちにこんな惨めな思いを……くそ」にゃがと 「……落ち着くべき。これらの状況は我々自身が招いたことであり、あなたが責めを負うのは、違う」(焦っている)ちみどり 「ちょ……キョンくん、なんか変です。そんな、わたしたちはお礼をいいこそすれ、あなたを責めるなんて」(そうとう焦って)キョン 「……いや、いいんだ。俺は、決めたんだ」
キョン 「俺は立派に、おまえたちを育ててみせる……!」にゃがと 「……!? ……!? ……!?」 (珍しく混乱している)ちみどり (キョンくん……なにか、様子がおかしい……?)キョン 「悪い。ちょっと外に出てくる」ガチャリにゃがと 「あ……」ちみどり 「気がつきました? 長門さん。なんか突然キョンくんの様子が……」にゃがと 「……わかっている」ちみどり 「これって、あの、もしかしたら……」にゃがと 「まだ推測の域を出ない。断定はできない。だが……」あちゃくら 「……もう飲めないです~」(ムニャムニャ)ちみどり 「…………」七〇八号室の外キョン 「もしもし。すいません。はい……そうです」キョン 「実は、今日学校から帰る時に言われたことを考えていたんですが……」キョン 「(息を飲み込んで)……これから、長門のマンションに来てくれませんか、朝比奈さん。 あなたの助けが必要なんです」―第四日目/夜につづく―
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