Dear My Friend 2
キョン「ういーっす……あれ、古泉オンリー?」古泉「みたいですね」キョン「長門は?」古泉「火影になられるそうです。なんでもいたくお気に召した漫画が有ったらしく」キョン「……アイツならなれそうだな。つか、チートだ。朝比奈さんは?」古泉「……出家なされました」キョン「そうか……そうだったな」古泉「あの日は四月だというのに雪が降りましたね。まぁ、済んだ事を悔やんでも仕方がありません」キョン「そう……だな。ハルヒは?」古泉「先程、用事が有るとかで書置きを残して帰って行かれましたよ」キョン「お前と二人か。色気に欠けるな」古泉「そう言わないで下さい。たまにはのんびり野球盤なんかも良いでしょう?」キョン「……それはそうと、ホワイトボードのあの『書置き』はなんて書いてあるのか、分かるか?」古泉「スワヒリ語ですからね。僕も涼宮さんに翻訳して貰わないと読めませんでした」キョン「長門以外に読めないよな……あいつも何考えてんだ?」古泉「内容は『今度こそ下らない保守はすんな』だそうです」キョン「……野球の実況でもしろ、ってかよ?」
キョン「そういやさ……」古泉「なんですか?」キョン「いや、お前も同年代だから分かると思うんだが」古泉「だから、何がでしょう? はっきりと言って貰えると助かります。それとも、言い出しづらい事でしょうか?」キョン「言い出しづらいっちゃ、そうなんだが。この部屋、女の子くさいよな」古泉「……まぁ、否定はしません」キョン「いつも、一癖も二癖も有るとは言え女が三人も集まってりゃ無理からぬ話なんだが」古泉「朝比奈さんの衣装などもハンガーに掛かっていますしね」キョン「なぁ、こう……なんってーかぶっちゃけ色々と持て余すよな?」古泉「ご安心下さい。僕もです。互いに思春期ですから、無理からぬ事かと」キョン「だよな、良かった。俺がオカしいんじゃなかったか」古泉「ええ。思春期ですから」キョン「だよな……思春期だもんな。仕方ないよな」古泉「仕方有りませんよ」キョン「ところで……思春期の『春』ってさ……」古泉「売春の『春』ですが、何か?」キョン「……今日は空が高いな……」古泉「そうですね……何かがどうにかなりそうな……そんな気にさせてくれる青空です」
キョン「なぁ、古泉……お前、童貞か?」古泉「……そう言うキョン君こそ、どうなんです?」キョン「……皆まで言わすなよ……マイフレンド」古泉「……そうですね。すいません、ディアフレンド」キョン「で、俺達の年頃の童貞ってのは、さ」古泉「其の事で頭の中が一杯でも、それで正常です。問題は有りません」キョン「だよな」古泉「そうですよ」キョン「……なんとかならんか?」古泉「直球ですね」キョン「お前ならなんとかしてくれるような、そんな気がしたんだ。空が高いからな」古泉「つまり、今日の事は願いが叶うような空が悪いんですね。理解しました」キョン「……無理か?」古泉「諦めるのは早計かと。僕の辞書に不可能の文字は有りません」キョン「流石だ、マイフレンド」古泉「平伏するのは止して下さい。僕だって只の高校生ですから」キョン「で、具体的には?」古泉「機関の資金を流用して風俗に行きましょう」キョン「……生きていて良かった……」
キョン「今日のお前は……いつにもまして輝いてるよ。その貼り付けたような笑顔が菩薩にすら見えてくる」古泉「煩悩まみれですけどね」キョン「ある意味で解脱してると言えなくもないだろ」古泉「褒め言葉と受け取っておきましょう」キョン「さて、そうと決まれば善は急げだ。行くぜ、ヌッキーランド!」古泉「ちょっと待って下さい」キョン「なんだよ、この期に及んで怖気付くな、古泉。大丈夫だ、俺がついてる」キョン「それに、相手はプロだぜ。優しく俺達の童貞を取り上げてくれるさ」古泉「問題はそこなんですよ」キョン「は?」古泉「良いですか。ここでプロの方に手ほどきを受けたとします」古泉「結果として僕らは童貞ではなくなる。それは認めましょう」古泉「しかし、童貞ではなくなってもある意味童貞のままなのにはお気付きですか?」キョン「どゆこと?」古泉「『童貞』の前に『素人』という輝かしい二文字が付属する事になるのですよ」キョン「……オウ、マイゴッデス」
古泉「もちろん、これは僕らの心理の問題です。それ以上でも以下でもありません」古泉「元々、童貞というのが心理的なものですから、別段問題は無いのかも知れません。しかし……」キョン「確かに、ちょっと嫌だな」古泉「ですよねー」キョン「初めてがスマタってのもアレだしな」古泉「すいません。こんな事になるとは露知らず。本番おkの店をリサーチしていませんでした」古泉「僕のミスですね」キョン「いや、誰も悪くないさ。悪いのは俺達の辛抱利かない愚息だ」古泉「……思春期ですから」キョン「……思春期だからな」古泉「……それで、どうします? 諦めますか? それとも素人の二文字を冠しに行きますか?」キョン「出来ればヤらせてくれて、かつ、後腐れの無い素人が居れば完璧なんだけどなー」古泉「最低ですね。しかし、同意せざるを得ない」キョン「自覚してる。だが、どうしようもないんだ。全ては性が悪い」古泉「……流石にそんな都合の良い相手を機関で用意するのは無理が有りますね……」古泉「そんな女性を用意出来る人……」キョン「居るじゃねぇか! 俺達の仲間には一人、トンデモ能力を持った万能選手が!」古泉「……キョン君、貴方が神だったのですね……」キョン「よせよ、照れるぜ、古泉」キョン&古泉「「ながエも~ん!」」ダバダバダバダバ
キョン「朝倉のダミー○ラグを造ってくれ」古泉「涼宮さんのダミープラ○を造って下さい」長門「……なぜ?」キョン「悪いが理由は明かせない。事態は一刻を争うんだ!」古泉「ええ。主に下半身的な理由で、ですが。しかし、世界崩壊の危機と言えるかも知れません」長門「……本当に?」キョン「マジもマジ。大マジだ。なぁ、古泉!」古泉「ええ。これは僕達地球人類における感情的なモノが理由なので長門さんに説明した所で理解が得られるとは思っていません」古泉「しかし……ッ」古泉「お願いします、長門さん。何も言わずに僕らを信じてくれませんか!?」キョン(ナイスだ、マイフレンド!)古泉(口から生まれて来たと言われている僕を甘く見ないで頂きたい、ディアフレンド)長門「……涼宮ハルヒの写し身に関しては使い道にもある程度の予測が付く」長門「……朝倉涼子を所望する、その理由が分からない」キョン「太ももに決まってんだろがッ!!」古泉「何叫んじゃってんですか、ディアフレンド!!」
長門「……太もも?」キョン「しまった。本音が漏れた!」古泉「お気持ちは分かりますが、どうか落ち着いて下さい、キョン君」古泉「ほら、深呼吸をしましょう。ひっひっふー」キョン「ひっひっふー」長門「……太ももとラマーズ法について説明を求める」キョン「え? 太もも? 俺、そんな事一言も言ってないぜ、長門?」古泉「そうですよ、長門さん」長門「……午後三時二十四分三十二秒を再生……『太ももに決まってんだろがッ!!』」長門「……もう一度、再生する?」キョン「くっ……なんて器用な奴だ……」古泉(ここは僕にお任せを、ディアフレンド!)古泉「良いですか、長門さん。彼が発した単語は『太もも』では有りません。そう聞こえたのも無理は有りませんが」古泉「少々、彼は興奮して言葉を噛んでしまったようです」キョン(流石だ、マイフレンド! そのままイケ!)古泉「彼はこう言ったんですよ……『不幸萌えに決まってんだろうがッ!!』と」長門「……不幸萌え?」キョン「何、俺に身に覚えの無い属性追加してくれちゃってんだよ、テメェ」古泉「……あれ?」
長門「……理解が出来ない。これが地球人類の感情?」キョン「また、俺のキャラが一つオカしくなったな」古泉「あっはっは。まぁ、良いではありませんか」長門「……?」キョン「ま、つまりだ。今回、俺達はある敵に命を狙われている」キョン(話を合わせろ、ソウルブラザー!)古泉(了解です、デスティニーチャイルド!)古泉「敵は涼宮さんの力を恐れている。そのために涼宮さんが居る前では決して僕達を襲ってくるような事は無い」キョン「更にアイツらは宇宙人に関しても同様の畏怖を抱いているらしい」古泉「今日一日さえ乗り切れば機関の力でどうとでもなる相手ですが、しかし」キョン「今日はどうしても機関の都合がつかないらしい。スポンサーとの会合らしくてな」古泉「という訳で今日を乗り切る上でどうしても」キョン「ハルヒと朝倉の、形をした人形で構わない。ソイツが必要なんだ」古泉(……シンクロ率四百%突破しましたね)キョン(今ならカイ○でさえ騙しとおせるだろうな)ざわ……ざわ……キョン「ダメか?」長門「……理解した」古泉「よっしゃ、カチューシャ吐精フラグktkr!!」キョン「何言っちゃってんだよ、テメェ!!」ボグシャァ古泉「ふんもっふ!」
長門「……カチューシャ……渡世?」古泉「カチューシャというのはとあるミサイルの愛称です。渡世とはそのままズバリですね」キョン「ま、このままだと俺達はミサイルで死んじまうらしいからな」古泉「それをどうにか回避して生き延びる事が出来る喜びが、意識せず口から漏れてしまいました」古泉「僕とした事が、お恥ずかしい限りです」長門「……そう」キョン「ま、長門も理解してくれた所で、なんだが」キョン「只の人形じゃつまら……ごふんごふん……連れて歩くにも弊害が出るよな」古泉「そう言えばそうですね。マグロじゃつまらな……げほっげほっ……少しばかり性格設定がしてあると助かりますね」長門「言いたい事は理解出来る」キョン「ま、相手を欺く上でも出来ればモデルとなったヤツの人格がインストールされてるとベストなんだが」古泉「……そんな事したらキョン君刺されません?」キョン「俺もそう思う」長門「……では、行動に禁則事項を設ける」キョン「……長門、お前は神だ」古泉「こんな身近にここまで頼りになる存在が居たなんて……」古泉「長門さん、結婚して下さい」長門「それは断る」古泉「ですよねー」
長門「どんな禁則を設ければ良い?」キョン「隷属」古泉「絶対服従」キョン「変態」古泉「スキモノ」キョン「ドM」古泉「羞恥属性」キョン「放尿」古泉「孕まされて感じちゃう」キョン「後ろもおk」古泉「付属で姫的衣装もお願いします」キョン「俺はボンテージスーツだな」古泉「なんか、風俗で追加メニューを頼んでいる気分ですね」キョン「良いからこの期に思い付く限りリクエストしておけ、古泉」長門「……意味が分からない」キョン「だよな、うん」古泉「ま、普通の地球人類でも理解が有るのは少数派ですしね」
長門「この星に私が慣れていない事が問題」ペコリキョン「いやいや、長門が悪いんじゃないんだ。頭を上げてくれ」古泉「そうですよ。散々マニアックな要求をした僕達にこそ問題が有ります」長門「出来れば私にも分かる様にリクエストして欲しい」キョン「……そうだな。とりあえず、性格はモデルとなったヤツをベースにして貰って」古泉「不自然だとボロが出ますからね。相手はプロですので、そこを突かれる可能性は大いに有ります」長門「承知」キョン「だが、朝倉をベースにすると俺が指される可能性が有る。それはご遠慮願いたい」キョン「どちらかと言うと俺は挿す方が好きだからな」古泉「男なら誰でもそうでしょう?」キョン「いや、一割は逆らしい」古泉「……マジですか。おぞましい」長門「……何の話?」キョン「ああ、スマン。置いてけぼりにしちまったな」古泉「要約すると、先ず第一の規制は僕達に危害を加えない事、ですね」キョン「だな。大前提だ」長門「理解した。二人には危害を加えない」長門「他にリクエストは?」キョン「未だ追加出来るのか!?」古泉「流石は長門さんです。僕らの大切な幻想を守ってくれる」古泉「貴女は宇宙人ではありません。少なくとも僕にとっては」古泉「この穢れた地上に舞い降りた女神と言っても何の差支えも無い。長門さん、結婚して下さい」長門「生理的に無理」古泉「……生理的にと来ましたか。いくら僕でも凹みますよ?」
キョン「そうだな。第二は俺達の命令に背かない事、だな」古泉「涼宮さんをベースにしてると勝手に動き回ってしまいそうですからね」古泉「それでは盾の意味が無い。まぁ、建前ですが、盾だけに」キョン「上手い事言ったつもりか」古泉「つもりです」長門「……二人の言葉に絶対従属するコードを含ませれば良い?」キョン「それで構わん」古泉「なんでしょう……一歩づつ、しかし確実に夢への階段を上っているこの高揚感」キョン「ああ、正直これだけで写生してしまいそうだ」古泉「……僕も不覚にもエレクトしてしまっていますよ、想像だけで」キョン「俺達、思春期だもんな……」古泉「思春期ですからね……」キョン(俺の言う事に嫌がりつつも従わざるを得ない朝倉……か)古泉(想い人が他に居ながらも僕に犯される涼宮さん……ですか)キョン&古泉「「ぐへへへへ」」長門「……二人の動悸に異常が見られる」キョン「ああ……ああ。正直、命を狙われてると思ったら気が気じゃなくてな」古泉「仕方が有りません。訓練を受けている僕でさえピリピリしているのですから」キョン「だよな。スマン、古泉。顔に出てた」古泉「顔にダすのはもう少し後にしましょう、キョン君」キョン「は? 顔に出すの? 男なら全部中だろ!?」古泉「え? 中なんて一発だけで十分でしょう!?」長門(……今日はなぜか二人と話が噛み合わない……)
キョン「っと、これくらいでリクエストは良いか」古泉「ええっ!? 貴方にしては少し理想が低過ぎやしませんか?」古泉「正直、失望しましたよ、ディアフレンド」キョン「そう言うな、古泉。余りリクエストをし過ぎても長門が困るだろ?」キョン(これ以上やるとボロが出るだろうが。ここまででさえボロ出しまくりだっつーのに)古泉(それもそうですか。分かりました。僕も童貞にしては高望みし過ぎましたしね)長門「……禁則は二つで良い?」キョン「ああ、構わん。やってくれ」古泉「すいません、長門さん。変なお願いをしてしまって」長門「問題無い。貴方達は涼宮ハルヒと同じく保護対象」長門「今回の件は私に下された命令内容とも違反しない」キョン「そう言って貰えると、助かる。サンキュな、長門」長門「……いい」長門「それでは今から私は隣の部屋に行く」長門「決して覗いてはならない」長門「理解した?」キョン「おう」古泉「当然です」長門「その間、この部屋は相違空間にしておく。ミサイルが飛んで来た所で問題は無い」長門「だから、気分を落ち着けてくつろいでいて欲しい」キョン「何から何まですまんな、長門」古泉「本当に。お世話を掛けっぱなしです」長門「……では、造ってくる」キョン「頼んだぜ!」古泉「結婚して下さい」長門「……寝言は寝て言え」古泉「……酷くありません、僕の扱い!?」
――朝倉「(どうせ今日も返事をしてもらえないんだろうけど……これもお仕事お仕事っと)」朝倉「おはよう、涼宮さん」ハルヒ「……おはよう」朝倉「(嘘、返事があった?)」ハルヒ「……あの、朝倉さんにちょっと聞きたい事があるの」朝倉「え、なになに?」ハルヒ「あのさ、朝倉さんって……処女?」朝倉「……」ハルヒ「ごめん、変な事聞いたわね。忘れて」朝倉「え、えっと」朝倉「(おかしいなぁ……地球人ってそんな事をいきなり聞いたりするんだったっけ?)」朝倉「(でもこれは涼宮さんと親密になるチャンスよね!)」朝倉「わたしは経験無いよ。涼宮さんはどうなの?」ハルヒ「……ん~……あたしもまだ」朝倉「そうなんだ」ハルヒ「男ってさ、それって気にするのかな?」朝倉「それ……って、経験があるかどうかって事?」ハルヒ「そう」朝倉「どうかなぁ……わたしは男の子と付き合った事が無いから解らないけど、友達が言ってたには、それって面倒がられるみたいよ?」朝倉「(本当、人間って変な生き物よね)」ハルヒ「……そうなんだ」朝倉「もしかして、涼宮さん好きな人が出来たとか?」朝倉「(まあ、本当は知ってるんですけどね)」ハルヒ「ばっ! なっ! ……そ、そうなった時の為の話よ。あくまで参考に聞きたかっただけ」ハルヒ「(はぁ……何言ってるんだろう、あたし。……でも、ネットで調べる情報はあてにならないのよね)」ハルヒ「(みくるちゃんは何も知らなそうだし、有希は絶対経験ないだろうしなぁ)」朝倉「でも、そうね。焦って経験したいとは思わないけど、わたしも少しくらいは勉強しておきたいって思うかも」ハルヒ「!」ハルヒ「べ、勉強ってどんな?」朝倉「例えば……うん、友達の男の子と仮でデートしてみるとか」ハルヒ「デートぉ?!」朝倉「あくまで仮のデートよ? 仮の。男の子がどんな状況だとそうゆう事をしたくなるのとか、興味ない?」ハルヒ「す、少しくらいなら(めちゃくちゃ興味あるわよ!)」朝倉「相手がどんな時にどの程度の行動に出るのか事前に解ってたら、こちらも心の準備ができていいと思うの」ハルヒ「そ、そうね。確かに一理あるわ」朝倉「じゃあ、誰か知り合いの男の子に……」谷口「(こいこいこいこいマジでこい!)」国木田「(別に僕は呼ばれなくていいけど、谷口だけは呼ばれませんように)」朝倉「……えっと、ここで話すのもなんだし、SOS団の部室にいかない?」ハルヒ「そ、そうね(チャンス! 朝倉さんからならキョンも誘いやすいじゃない!)」谷口「ですよね~」
――部室朝倉「お邪魔しま~す……ってあれ?」ハルヒ「――みくるちゃんだけ?」みくる「あ、涼宮さんと……朝倉さん……?」ハルヒ「有希が居ないなんて珍しいわね……。みくるちゃん、キョンと古泉君知らない?」みくる「今日は見てません」ハルヒ「そう」朝倉「(えっと、キョンくんの反応はっと……あれ? 長門さんの家に居る。何で? しかも位相空間?)」朝倉「(意味が解らないけど、これは情報フレアのチャンスかも!)」みくる「あの、もしかして朝倉さんも新しくSOS団に入団されるんですか?」朝倉「え? ああ、えっと」ハルヒ「朝倉さんには名誉顧問になってもらうの。それはいいとして、みくるちゃん二人の行き先知らない?」朝倉「え? そうなの?」みくる「さぁ……聞いてません」ハルヒ「そっかぁ」朝倉「あ、あの。もしかして二人は長門さんの家に居るんじゃないかなぁ」ハルヒ「え? どうして?」朝倉「だって長門さんも居ないんでしょ? もしかしたら、長門さんが何か用事があって二人にそれを頼んだとか」朝倉「彼女、1人暮らしだから。男手が必要な時は知り合いに頼むと思うの」ハルヒ「なるほど、それはあるかもしれないわね」みくる「あの~何のお話なんでしょう」ハルヒ「ああ、みくるちゃんはいいのよ。今日はもう解散ね、また明日!」ハルヒ「さっ! 朝倉さんさっそく有希の部屋に行きましょう!」朝倉「え、あ、朝比奈さんへはそれでいいの? ってちょっと待って手を引っ張らな――」みくる「……今日も空気かぁ。ふぅ」
――別室長門「しまった。二人の要望に承諾してしまったが、無から何かを創り出す能力などわたしには無い」長門「これは困った」長門「――!」長門「この感覚はバックアップと涼宮ハルヒ」長門「彼女がこの部屋を突然訪れる理由……それはわからない」長門「でも、これは好機」長門「上手くいけば、あの二人の要望を叶える事ができるかもしれない」――玄関前ハルヒ「ノックしてもしも~し!」朝倉「インターホン押すね?」 ピンポーン長門「とりあえず、二人を出迎える事にする」 ガチャハルヒ「あ、有希。古泉君とキョン来てない?」長門「……(何と答えよう)」朝倉「とりあえず、あがってもいいかな?」長門「どうぞ」長門『朝倉涼子、どうして貴女がここに』朝倉『えっと、涼宮さんにつれて来られちゃって』朝倉「(これって嘘じゃないわよね)」ハルヒ「? どうしたの玄関で見詰め合っちゃって。早く中に入りましょ?」ハルヒ「おじゃましま~す――ってあれ、二人は居ないの?」朝倉「そうみたいね」朝倉「(この部屋に二人は居る、けれど位相がずれているから涼宮さんには確認はできないだけ)」朝倉『ねえ、どうして二人を隠しているの?』長門『隠しているのではない』ハルヒ「ん~困ったな……。二人に用事があったんだけど、何故か携帯も繋がらないのよ」朝倉「(涼宮さんだと、空間を超越して繋がりそうで怖いなぁ)」朝倉「(でも長門さんの様子だと二人の事は言って欲しくないみたいだし)」長門「……」朝倉「あのね? 長門さん。今日はキョンくんと古泉君に頼みたいことがあって二人を探してたのよ」長門「頼み」朝倉「そう、実は二人にちょっとした勉強のお手伝いをしてもらいたくって」ハルヒ「そっそうなのよ」長門「それは、いったいどんな内容」ハルヒ「えっと、それは本人に直接」朝倉「二人と、ちょっとデートに付き合って欲しくて」ハルヒ「ちょ、ちょっと朝倉さん!?」長門「……」長門「(これは好都合)」長門「(つまり、彼も涼宮ハルヒも、それぞれ同じ欲求をもっているのだと推測される)」長門「(ゆえに、わたしが取るべき方法は一つ)」長門「(この二人をそのまま、わたしが創った人形だと言って二人に紹介すれば事は解決する)」長門「了解した」ハルヒ「へっ?」長門「二人を連れてくるから、隣の部屋で待っていて欲しい」
キョン「落ち着いてくつろげって言われてもさァ……」古泉「落ち着ける筈が有りませんよね……」キョン「かと言ってココで一発抜いておいて賢者になってもな。無駄球は撃てん」古泉「おやおや、若いのに自信が無いんですか?」キョン「そんな訳じゃないけどな。インターバルはオカズによっては五分で十分だ」古泉「ふふっ、そう言うと思ってました」キョン「だが、薄くなるのはつまらんしな」古泉「僕としても同性がナニをしている所など見たくありません」キョン「同感だ」古泉「ま、幸いにして時間は有るようですし、ここは計画を立ててみてはいかがでしょう?」キョン「計画……ね。だが、映画を見たりといったいわゆるデートをする気は無いぞ?」古泉「僕もです。ここで言う計画とはどこのラブホテルに入るか、という事ですよ」キョン「なるほどな。しかし、金持ってきてないんだが」古泉「問題ありません。僕のバイト代を舐めないで頂きたいものですね」キョン「古泉……お前……使って良いのか?」古泉「当然です。最近、神人が出ないのはひとえに貴方の協力のおかげと言っても過言ではない」古泉「で、あるならば。僕がその恩に報いるのに何の躊躇が有るでしょうか、ディアフレンド?」キョン「……マイフレンド……っ!」古泉「あ、このラブホ良いですね」ポチポチキョン「なんて名前? 俺のケータイでも検索かけるわ」ポチポチ古泉「『桃色閉鎖空間』だそうです。駅の近くで」キョン「おお、コレかぁ」古泉「浴室がガラス張りですよ、キョン君」キョン「トイレも、だな。流石だ、マイフレンド」古泉「……さぁ、長門さんはまだでしょうか……」キョン「ドキドキしてきたぜ、主に股間が……」長門「終わった」古泉&キョン「「ひゃっほぉぉーーーぅぅぅっっっ!!!」」
長門「彼らは今日、貴方達と同じ様な理由でここに来ている」ハルヒ「つまり、模擬デートを望んでる、ってワケね!?」朝倉「凄いタイミングね……」長門「そこで私は知り合いを紹介すると言った」ハルヒ&朝倉「「ふむふむ」」長門「二人から出されたリクエストは涼宮ハルヒ似と朝倉涼子似の二名。思い当たる節に連絡をしようとした所で二人が来た」長門「グッドタイミング」ハルヒ「本当ね……まるであたしが望んだからそうなったみたいじゃない……」朝倉(間違いなくそれが原因だなんて言えない……でも言いたいなぁ)ハルヒ「でも、流石に当人だってバレちゃわない?」朝倉「そうね」長門「問題無い」ハルヒ「ちょっと有希! そりゃアイツはニブキョンだけど、そこまで気付かない程馬鹿じゃないでしょ?」朝倉(問題無いってどういう意味かしら……つまり、二人は本人でも疑問を持たない、って事よね……)長門「……良い考えが有る」ハルヒ「なになに!?」朝倉「聞いてみたいわ」長門「二人はそう言えば色々と見た目について注文を出していた」長門「それをこちらの都合の良いように解釈して化粧を施す」ハルヒ「なぁーるほどっ! さっすが有希!」朝倉「……え? そんなので騙されちゃうワケ、あの二人!?」長門「問題無いb」
キョン「さ、先ずはどっちからお披露目だ!?」古泉「ワクワクしますねぇ……」長門「どちらからが良い?」キョン「おい、マイフレンド。お前にはこれから借りを作るからな。選ぶのは当然お前の権利だ」古泉「え、良いんですか!?」キョン「当然だろ。お前はスポンサーなんだぜ?」古泉「キョン君……分かりました」古泉「では、朝倉さんからで」キョン「!? 古泉……おまえ……」古泉「僕は貴方の支え無しにはここまで来れなかった。本当に、感謝しているんですよ」古泉「どれだけ感謝しても感謝し足りないくらいに……ね」キョン「バカヤロウ。そんなのは俺も同じだ。そうだろ?」古泉「ええ。でも、貴方には少しでも恩返しがしたかった。コレは僕のエゴです」古泉「どうか、僕の余計なお世話を受け取ってやって下さい」キョン「……分かったよ」キョン「ってワケだ、長門。先ずは朝倉から頼む」長門「分かった」長門「では……カーテンオープン」
長門「朝倉涼子、出番」朝倉「んっ、分かった。それじゃ涼宮さん、先に行って来るわね」ハルヒ「うん、いってらっしゃい、朝倉さん」朝倉「なんか……私が先でちょっと申し訳無いな」ハルヒ「そんな事無いわよ。良い? 大御所は最後に出るものなの!」ハルヒ「焦らされるのは当然、って事よ。それくらい心得てないあたしじゃないわ」朝倉「くすっ。それじゃ、まるで私が前座みたいじゃない」ハルヒ「え? ううん、そういう意味で言ってるんじゃないわよ。ただ、それくらいの心構えでSOS団団長たるもの……」朝倉「良いよ、気にしてない。ただ、からかってみただけ」ハルヒ「……案外、意地悪なのね」朝倉「気に入った?」ハルヒ「当然よ。それじゃ、いってらっしゃい、朝倉」ハルヒ「……可愛いわよ、今日のアンタ。同性のあたしから見ても、ね。自信持ちなさい!」朝倉「……ありがと、涼宮さん」ハルヒ「涼宮、で良いわよ、朝倉」朝倉「……ありがと。貴女もとってもキュートよ、涼宮……さん。やっぱり『さん』付けしないと変な感じ」ハルヒ「なにそれ」長門「……そろそろ良い?」朝倉「あ、ごめんなさい、長門さん」ハルヒ「ゴメンゴメン、忘れてたわ、有希」
長門「じゃあ、こっちに来て」朝倉「えっと、今更だけど本当にこの服装で表に出るの?」長門「どうして」朝倉「だってこれってボンテージスーツって服装でしょ? こんな格好で外に出るなんて……」ハルヒ「え? それって変なの? あたしには普通にみえるけど」朝倉「(バニーガールより少しだけ変だと思うな、うん)」長門「その服装は向こうの指定。非現実的な服装だからこそ、二人もあなた達を本人だとは思わない」朝倉「……ん~何か違う気がするんだけどなぁ。あ、ところでデートの相手、涼宮さんはキョンくんでいいのよね?」ハルヒ「ふぇ?」長門「……」ハルヒ「え、あ。えっと……あ、あたしはその……」朝倉「あれ? わたし、涼宮さんはキョンくんが好きなんだと思ってたんだけど」ハルヒ「なっ! そっそんな事絶対にないわよ! そう、だからあたしは古泉君を選ぶつもり」長門「(助かった)」長門「あまり相手を待たせない方がいい」朝倉「あ、そうね。涼宮さん、お先に」ハルヒ「う……うん」朝倉「(素直じゃないなぁ……)」朝倉「じゃあね」
キョン「……古泉。俺は今、神を見ているのか?」古泉「え?」キョン「俺には今、朝倉がボンテージスーツ姿で恥らいながらも俺達を見ている様に見えるんだが」古泉「はい、僕にもそう見えています」キョン「ボンテージ朝倉、人はその様な存在を神と定義する」古泉「(とうとう神にされてしまいましたよ……朝倉さん)」朝倉「えっと……こんにちわ、キョンくんと古泉君。今日はよろしくね?」キョン「っくぅ」古泉「どうしました?」キョン「いや、今の笑顔で危なかった」長門「何が?」キョン「何が」古泉「その返答は解っていましたよ」朝倉「えっと、今日はその……」キョン「(何というふともも……ああ、ボンテージを選んだ俺は間違っていなかった)」朝倉「は、恥ずかしいからそんなに見ないで?」キョン「長門、見事だ」長門「そう」キョン「見られて興奮しながらもそれをきちんと恥ずかしがる。ここまで完璧な形でリクエストに答えてくれるとは」長門「そう」キョン「……くっ、もう我慢できん! 古泉、先にいくぞ!」朝倉「きゃっ! あの、この格好で本当に外に出るの?」キョン「ふはははははっ! いいぞ! マゾの朝倉が羞恥する姿、実に俺の趣向なじむ、なじむぞぉ!」朝倉「待って! せめてコートだけでも――」 ――バタン 古泉「影ながら健闘をお祈りしていますよ? マイフレンド」
キョン「さて、そしたら朝倉、行くか!」朝倉「え!? ちょっとっ!! 本気でこの服のままで外に出るつもり!?」キョン「無論だ」朝倉「無理。絶対無理だからっ!!」キョン「朝倉……良いか。今日の俺はお前の絶対服従権を持っている」朝倉「何、その設定!? 長門さんからはそんな事一言も聞いてないんだけど!?」キョン「おうおう。良いな、その反応。まるで本人みたいじゃねぇか」朝倉「みたいも何も本人なんだってばっ!!」キョン「へぇ、流石は長門だ。良い仕事してるなぁ」朝倉「胸とか下半身とかジロジロ見ないでよぉっ!」キョン「恥ずかしがる仕草も実に自然……あいつなら宇宙人国宝も狙えるな」朝倉「お願いだから信じてよぉっ……」キョン「しかし、残念だったな。今日のお前は何者であれ俺がお前のご主人様であるという事実は揺るがない」朝倉「お願いだから、誰か助けてぇぇ」キョン「良いか、朝倉。今からお前はその格好のままで俺と外に出るんだ。これは……」キョン「この俺の……め い れ い だ」朝倉(じゅん♪)
古泉「涼宮さん……そのゴスロリ衣装も、非常によく似合っていますよ?」ハルヒ「あ、えっと……ありがと、古泉くん」古泉「いいえ、礼を言わねばならないのはこちらです。いや、この場合は長門さんに言うべきですかね」ハルヒ「へ?」古泉「長門さん、ありがとうございます。素晴らしい出来です」ハルヒ(出来!? 出来って何よ、出来って!?)長門「私は貴方のリクエストに従っただけ」古泉「謙虚ですね。ですが、僕としてはどれだけ感謝しても足りませんよ」長門「構わない。それよりも彼は? 一緒でなくても?」古泉「ああ、それでしたら後で落ち合う事になっていますので、問題は有りません」ハルヒ(あ、いわゆるダブルデートってヤツなのね。なるほどなるほど)ハルヒ「だったら、ちゃっちゃと行くわよ、古泉君!」古泉「承知致しました、マイプリンセス」ハルヒ「さっさと行かないと、キョン達が待ってるでしょ!?」古泉「それもそうですね。では、行きましょう」長門「いってらっしゃい」ハルヒ「行ってきま~す!」古泉「では、イってきます」ハルヒ「やっぱり、初めてなんだから一対一だと緊張するわよね」ハルヒ「ダブルデートなんて考えたじゃない、古泉君!」古泉「ですね。初めてでスワッピングだなんて。彼はホンモノの変態ですよ」ハルヒ「すわっぴんぐ?」古泉「さぁ、行きましょう。時は精なり。時間は待ってはくれませんよ?」 キョン「ん~、なんだかイマイチ通行人の反応が薄いな」朝倉「それはそうよ。今、あたし達の周りには情報操作がされているもの」キョン「ん? そんなのまで長門がやってくれてるのか?」朝倉「違うわよ。やってるのは私。決まってるでしょ?」キョン「凄いな、長門は」朝倉「なんでそこで長門さんを褒めるの?」キョン「だってそうだろ。単なる人形に情報操作能力まで持たせちまうなんて」キョン「ちょいと俺は長門をみくびってたみたいだ」朝倉「……薄々感付いてたけど、本気で私を本人だと思ってないみたいね」キョン「は?」キョン(ああ、そっか。コイツは今、自分を朝倉涼子本人だと思い込まされてるのか)キョン(だったらノってやらないとな。これも一種のイメプレか)キョン「いや、そんな事は無いぜ。いくら俺が日頃から鈍い鈍いと言われていても」キョン「さすがにそろそろ理解できるってモンだ」朝倉「そっか。そうよね……うん、見くびってたのは私の方かも」朝倉「貴方の評価を少しだけだけど上方修正させて貰ったわ」キョン「ところでさ、朝倉」朝倉「何?」キョン「今の俺達は他所様には見えてないんだよな?」朝倉「見えてないと言うか、見えてはいるけど認識出来ないって所ね」キョン「なるほどなるほど」キョン(つまり、往来の真ん中でナニをやっても問題無い、ってコトだな)キョン「俺は今日ほど長門が居て良かったと思った日は無い!」朝倉「ええ!? 私じゃなくって!?」
prrr prrr古泉「あ、キョン君ですか?」キョン「おう。どうした、古泉。俺は今から始めようと思うんだが」古泉「ええ? もう、目的地に着いたんですか!?」キョン「んなわきゃねぇ」古泉「では、どういう事です? あ、公園のトイレにでも連れ込むおつもりですか?」古泉「さすがはキョン君だ。僕とは変態のレベルが違う」キョン「そんなに褒めるなよ。だが、残念ながら外れだ」古泉「え? 人目に付かない場所で早々にコトに及ぶのでは?」キョン「そんな発想しか出来ないからお前は尻が青いんだよ、サニー」古泉「すいません、精進します」キョン「いやな? この朝倉はどうも情報操作能力を持っているらしくてさ」古泉「長門さん流のサービスでしょうか。それとも彼女は完璧主義なんですかね?」キョン「その辺は分からん。ま、簡単に言うと今の俺はコトに及んでも見られながらにして通報されないワケだ」古泉「……なんと羨ましい!」キョン「ってワケで、スマンな、古泉。俺、一足先に大人の階段二段飛ばししてくるわ」古泉「くぅっ……宇宙人ならではのプレイ。御見それしました」ハルヒ&朝倉(誰と何を電話してるんだろ……?)
古泉「しかし、待って下さい、ディアフレンド!」キョン「ん? なんだ、マイフレンド。嫉妬か? 心配すんなよ、一通り終わったら交換だろ?」古泉「そうではありません」キョン「だったら何だ? 俺だってさっさとヤりたくてウズウズしてんだから手短に頼む」古泉「下半身が、ですか」キョン「思春期だからな」古泉「童貞ですもんね」古泉「じゃなくて、ですね……その、良いんですか?」キョン「は? 何が?」古泉「初めてがそんな変態プレイなんですよ!?」キョン「ばっちこーい!」古泉「ですよねー」ハルヒ&朝倉(電話長いなー。あ、あのお店可愛いかも……)
古泉「そうですね……分かりました。貴方の意思を尊重します」古泉「正直に言いましょう。僕は今日ほど貴方を羨ましく思った事は無い」古泉「それが貴方にストップを掛けようと、僕にさせたのかも知れません」キョン「いや、別に良いさ。男なら、それが正常な反応だ」古泉「男というか、変態ですが」キョン「なんっつーのかな。お前はまだ『変態』って言葉に関して嫌悪感を抱いちゃいないか?」古泉「え?」キョン「良いか、古泉。男はな、アニモーなんだよ。性の追求をするのは遺伝子に刻まれた当然の欲求なんだ」古泉「アニモー……」キョン「だったら、自分を受け入れてやってこそ、男として産まれた意味が有るんじゃないかと、俺はそう思う」古泉「男として……変態として……」キョン「そろそろ自分を受け入れてやれよ、古泉。ありのままの自分を」キョン「ずっと仮面を被ったままじゃ、しあわせになんかなれないぜ?」キョン「手を伸ばせよ。ほら、しあわせはすぐそこに有るじゃねぇか。今更ウダウダ言ってんじゃねぇよ、みっともねぇ」古泉「キョン君……僕は今日、男として一皮剥けた気分です……」キョン「分かってくれたか」古泉「そして、エレクトした僕の愚息はズル剥けです」キョン「心配すんなよ、日本人の七割だったかが仮性だって話だぜ?」古泉「キョン君……いえ、ディアフレンド。ありがとう。貴方が居てくれて、良かった」キョン「お互い様だ、マイフレンド!」 古泉「そういえば、キョン君、今どこです?」キョン「駅前だな。学校帰りの学生で大賑わいだ。衆人環視、ってヤツだな。コレで濡れない方が人としてどうかしてるだろ?」キョン「おっと、朝倉は厳密には人じゃなかったか」古泉「……ラブホテル、駅前でしたよね」キョン「だな」古泉「ソウルメイトとは言え、同性のそれを拝むのが初体験より先だと言うのはご遠慮願いたいのですが」キョン「そんなん言われてもな……」古泉「いえ、気持ちは分かります。と言うワケで僕はここで妥協案を提示しようと思います」キョン「妥協案?」古泉「ホテルに入ってから室内に人を入れてみてはいかがでしょう?」キョン「……なん……だと?」古泉「これならば、僕も朝倉さんの能力の恩恵に預かれる筈です。そうですね、谷口君とか適役ではないでしょうか?」古泉「先ず谷口君の身柄を移送して室内に呼び込み、その体を拘束します」古泉「その上で口と目だけは自由にさせる。コトが終わったら谷口君から記憶を奪えば一件落着です」キョン「お前ってヤツは……師匠を超えたな!」古泉「クラスメイトに見られながら犯される……しかも相手は谷口君です。これ以上の恥辱は有り得ないかと」キョン「その業、貰い受けるッ!」古泉「もちろんです。しかし、終わったら次は僕にも回して下さいね」古泉「その間、僕は本番無しで我慢していますので」キョン「任せろ、ブラザー!」古泉「では、後ほど、ホテルで会いましょう」ハルヒ&朝倉(あ、やっと終わった。なんでデートで長話とか出来るんだろ……)
キョン「スマンな、朝倉。待たせたか?」古泉「すいません、涼宮さん。お待たせしました」朝倉「……別に良いけど……電話の相手、誰だったの?」ハルヒ「デートに誘っておきながら相手を待たせるなんて罰金よ、古泉君! で、電話の相手は誰だったの?」キョン「古泉だ。デートに関してちょいと予定を確認してた」古泉「キョン君ですよ。この先の予定について、少しばかり確認をしていました」朝倉「ふぅん。それじゃ、予定は決まったのね?」キョン「おう、愉しませてやるから、今の内に期待しとけよ!」朝倉「地球人類のデートに興味なんて無いけど、今日は付き合ってあげるわ。……仕方ないから」キョン「任せとけよ。忘れられない一日にしてやるからな?」ハルヒ「え、キョン? それじゃ行き先は決まったって事?」古泉「ええ。二人は先に向かっている、との事でした。ので、現地集合ですね」ハルヒ「そっか。どこに行くの、古泉くん? 先に言っておくけど遊園地とか、そういう普通っぽいのはお断りよ?」古泉「心得ていますよ。今日ばかりは、貴女にも満足頂けると思います……ええ、心の底から、ね」
朝倉「……え?」ハルヒ「……へ?」キョン「さ、入るぞ、朝倉」古泉「では、行きましょう。キョン君も既に中でお待ちです」朝倉「……」ハルヒ「……」キョン「おい、何、固まってんだ、朝倉」古泉「おや、どうかしましたか、涼宮さん?」朝倉「……ここに……入るの? 本気で?」ハルヒ「……ここに……朝倉さんとキョンが入っていったの……? 本当に?」キョン「ああ、そうだ。ここに入るんだ」古泉「ええ。キョン君との待ち合わせ場所はこの中です。部屋番号も既に打ち合わせ済みですよ?」朝倉&ハルヒ「……ちょ、マジで?」キョン&古泉「……エラく……マジで(です)」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴキョン「あれ? 急に辺りがオカしな幾何学模様に包まれ出したな……」prrr prrr prrr prrr古泉「おや、電話だ……ん? 森さん? 今、良い所なんですけどね……」長門「私は、何も、知らない……だってばよ」
戦況報告―アフターリポート―○月×日戦死者三十一。未曾有の大敗。過去最大級の閉鎖空間及び神人の発生が原因。この直接の引き金となった構成員「古泉一樹」が最初の犠牲者。また、「神の鍵」と目される少年についてもその消息が掴めなくなっている。この事態についての情報を統合思念体の末端であるインタフェイス、個体名称「長門有希」から探ろうと試みるも尽く失敗。同じく、未来勢力である所の「朝比奈みくる」についても情報を求めたが「所詮空気です」という回答しか得られなかった。現在、機関員四十名を用いて原因の解明に当たっているが、いまだにその詳細は掴めていない。結論として今言えるのは、今後、涼宮ハルヒの近くに配置する能力者にはこれまで以上の慎重な選択が必要となるという事のみ。〆キョン「……童貞のまま死ぬとなんか妖怪になるんじゃ無かったか?」古泉「……また、このオチですか……やれやれ」
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