せんてぃぴぃど
部室の前に、長門と朝比奈さんが座りこんでいた。しかも、二人共震えていて、朝比奈さんに至っては泣いている。「どうしたんですか!?」「キョン君…うぅぅ…」「長門、何があったんだ」「あ、あれは、ここに居るべきでない存在…」あの長門が怯えている。中に何がいるんだろうか。「あの姿は、我々を畏怖させることを狙っているとしか思えない」で、俺はそいつを退治すべく単身、部室に潜入した。ハルヒは何処へ行ったのやら…。そいつの正体は何なのか、二人は怯えていて詳細を語れない様子だった。分かっていることは、 1.朝比奈さんのメイド服から突然現れた。2.とにかく気持ち悪い。あのハルヒですら真っ青になって走り去った程。3.長門曰く、SOS団にとってとんでもなくイレギュラー因子。 以上である。長門がその存在を認めたくない程の奴を相手にしなければならないのだ。正直、(怖くて)堪りません。何か、団長の机からペタッという音がした。振り向くと、何かが机の下から這い出てくるのが見えた。その正体があのGであるならば、単なる騒ぎで済む。だが、俺の目の前に現れたのは洒落にならないヤツだった。 その名も、MU KA DE思わず「ひぃっ」という声を出してしまったではないか! 気持ち悪いので、詳しい描写は避けるが、一つ言わせてくれ、でかい! これがいきなり服から出てきたら、そりゃ朝比奈さんでなくても泣くぞ。「ふぉあっ!」しかもこいつ予想に反して動きが早い! 待て! こっちは戦闘準備が整ってないぞ! ズバァン!「誰だぁ! みくるを泣かせたのは!」ハルヒのように扉を勢い良く開けたのは、怒りに震えた鶴屋さんだった。「キョン君! まさか君じゃあないだろうねぇ?」「ち、違います…。ムカデです」鶴屋さんがこれほどまでに恐いと思ったのは初めてかもしれない。「で、そのムカデとやらはどこにいるっさ! みくるを泣かせた恨みを果たすっさ!」あの…ムカデは…足元にいるんです…。「え」鶴屋さんが硬直した。ムカデはまるで狙っているかのように(というか狙ってるようにしか見えないが)鶴屋さんに接近していた。「にゃああああああああああああ!」鶴屋さんが悲鳴を上げて部室から消え去った。 忌々しい 嗚呼忌々しい 忌々しい憎き百足に 我が天誅を(字余り) 朝比奈さんは泣き、長門は震え、鶴屋さんも絶叫し、ハルヒが真っ青になったムカデに天誅を下すべく、戦闘体制を整えた。ハルヒから支給された○ンチョールを両手に部室をくまなく探す。ハルヒは殺虫剤を買いに走ったらしいな、ご苦労様である。古泉は今頃、ムカデが原因とは知らずに神人と戦っているのだろうか。誠にご苦労様である。それにしても、あの虫野郎何処に逃げやがった…、出て来い…、今日がお前の命日だ…。全神経を視覚に集中させて見回していると、本棚の近くを這っているヤツを発見した。俺は冷静にちり取りでそいつをバケツに放り込んだ。やったぞ、遂にやったぞ! はははははははは! 笑いが止まらねぇぜ!もう容赦しねぇぇぇぇぇ! 覚悟しろよ、この虫野郎! 天誅天誅天誅天誅天誅天誅天誅天誅天誅天誅天誅天誅! いかんいかん、壊れ過ぎたな…。冷静さを取り戻すんだ俺…。キン○ョールをこれでもかという程浴びせ、遂に戦いは終わった。因みに、朝比奈さんから「キョン君の声、怖かったです…」という感想を頂いた。俺としたことが。後処理をして、みんな疲れた表情で解散した。後日、部室全体に殺虫剤が散布されたのは言うまでもないことである。 テンションを使い果たしてフラフラの状況で家に帰り、本日の戦いの疲れを癒そうとベッドに横になった時だった。悲鳴が聞こえ、妹が泣きながら入ってきた。「お、おい、どうした」「うわぁ~! キョン君! ムカデがぁ~!」で、妹は壁に背中をくっつけて座っている。そうすれば後ろを警戒する必要がないからな。なんか朝比奈さんとそっくりだな。まさかの第2ラウンドの始まりだった…。もう虫は勘弁してくれ…。
おまけ朝倉「ムカデ、節足動物門唇脚網の総称。夜行性、肉食。節の数は10~150。最大のものは 体 長 3 0 セ ン チ に達し…」長門「awful,horrible,fearful…」ガクガク朝倉「ああっ! 足元にムカデが!」長門「え? え?!」喜緑「こらこら、長門さんをいじめてはいけませんよ」長門「ううっ…………うわあああああああああん!」喜緑「よしよし」ナデナデ急進派「これが…百合…」ジュルリ朝倉「うんそれ、違う」 九曜「古来から──神の使いや──怪異なものと──された──。夏の──季語─、枕草子にも──書かれている─」天蓋「すっごーい! くーちゃん、よく出来ましたー!」九曜「暑い──放して──」モゾモゾ
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