セイブザ・クイーン ~第二章 土曜日~
涼宮さんと人物Aが待ち合わせしている駅前から少し離れた場所で僕らも集合しました。結局、彼は今回はお休みです。いつも何かしら事件に巻き込まれていることを考えるとたまには休みがあってもいいんでしょうね。「そうですね。よく考えるとキョンくんはなんの後ろ盾もないのにいつも頑張ってますよね。」「だからわたしが守る。」当然僕たちもですよ。長門さんには遠く及びませんが。「でも古泉くん、よく待ち合わせ場所とか時間が分かりましたね?」そこは機関の力ですよ。「「……。」」長門さんまでそんな目で見ないでください。「来た。」人物Aはなるほど、なかなかのイケメンでスタイル、ファッションもレベルが高いです。「へぇぇ、カッコいいですね。涼宮さんも美人だしお似合いのカップルに見えます。」少し胸が痛みます。今まで僕と涼宮さんがそのように評されていたんですが。「……。」長門さんはいつもの無表示で眺めていましたが「もう少し近づく。」「な、長門さん、見つかりますよ!」しかし杞憂に終わりました。涼宮さんと人物AはSOS団御用達の喫茶店に入って行ったからです。「人物Aから極微量な波動を感じた気がする。」長門さんから意外な言葉が発せられました。「本当ですか? だとしたら涼宮さんに危機が……」「今は感じない。バイト中の喜緑江美里の波動だったのかもしれない。」結局2時間ほど、涼宮さんと人物Aは喫茶店で会話をし、そのまま店を出て解散となりました。どうやらいい雰囲気だったようでもやもやします。大笑いしてる涼宮さんをみて僕の心は乱れそうです。それにしても長門さん、この不可視フィールドとやらはすごいですね。これさえあれば彼も一緒でよかったんじゃ?「涼宮ハルヒの場合、彼を感じて見抜く可能性がある。」涼宮さんならあり得ますね。ところでこの不可視フィールド、普段も使っているんですか?「……ない。」さすがに本当に嫌われそうなのでやめておきましょう。「取りあえず当面は問題がないと考えられる。」「本当にそうなんでしょうか?」「古泉一樹、あなたは何にこだわっている?」昨日と同じことをまた聞かれました。正直いうと気に入らないんですよ。人物Aが。我々が日々努力して涼宮さんの安定を維持しているところにずかずかと入ってきて涼宮さんの心中を乱そうとしている、まぁ僕の主観がほとんどですが。「あなたの役割は、涼宮ハルヒの精神安定のはず。人物Aが涼宮ハルヒの恋人に足りうる存在であるなら、 むしろ支援が必要なのでは?」長門さん?「現在、涼宮ハルヒの鍵である彼は涼宮ハルヒとの恋愛の関係までは興味がない。 涼宮ハルヒの方は恋人の関係を望んでいる節が見られるが、具体的な行動には至っていない。 そこに現れたのが人物A。情報統合思念体は今回の事象に興味を持っている。」「ということは長門さんは人物Aを応援するわけですか?」「そうではない。涼宮ハルヒと彼に危険が及ばない限りは静観。」「朝比奈さんはどうなんですか?」「特に指令はないんですが、涼宮さんとキョンくんの仲が悪くならなければいいと思います。」「それは涼宮さんと人物Aが付き合ってもかまわないということですか?」「えっと、うまく言えないんですが、いえ、うまくというか言えないんですが」『禁則』ですか。未来に至る重要な事案のようですが。「言えることは、付き合うこと自体は問題にはなりません。」「朝比奈さん自身はどう考えておられますか?」「それは涼宮さんが選ぶことであって、あたしは大きく歴史が変わらないようにするだけです。 それより古泉くんはどう考えてるんですか?」僕は……「機関としては経過観察になります。」しかし「個人的には面白くないですね。」「なら、自分の思うように動くべき。」「どういう意味でしょうか?」「例えば直接妨害で涼宮ハルヒと人物Aとの間を裂く。ただし彼女の信条からしてこの行為は推奨できない。 他にも方法はいくつか考えられる。その中であなたが思う方法を取るべき。 この際、自分本位の策でもかまわないと思う。あなたが思う、やりたい方法をとるべき。」こういうと長門さんは用は終わったかのように朝比奈さんの方を向き、「……買い物に付き合って欲しい。」「あ、え? は、はい、いいですよ。では古泉くん、また月曜に。」二人して行ってしまいました。
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