涼宮の分裂
「痛い!」 また転んでしまった。周りからの視線が更に痛い。 一体、この学校、どこまで坂を登れば着くのかしら。 私はえへへとか照れ笑いをしながら、起き上がるとまた歩き始めた。 もう、これで五度目よ。 膝小僧をさすりながら、ようやっと北高についた私は、入学式を終え。 そして、自己紹介が始まった。 適当に自己紹介を終えた、私は後ろの人が立ち上がるのをぼんやりと意識しながら。「あー、うざい奴しかいねーな」 はっ? 私は後ろを振り返った。 番長がそこにいた! ものすごく太い眉と逞しい体。 文字通り、強い男、というのを絵に描いたような男がそこに立っていた。「普通の喧嘩相手には興味ねーな。この中に宇宙人、フリーザとか? 異世界人、未来人、トランクスとか? 超能力者がいたら俺のところに来い! 相手になってやるぜ」 私は呆然として相手を見た。 それが、宇宙最強戦士、涼宮ハレルヤとの出会いだった。2
涼宮ハレルヤの特徴は、その全く学校の制服を無視した学ランみたいな軍服(確かオーブ首長国連邦の軍服で秋葉で買ったとかいってた)の胸の勲章の階級が毎日あがっていくという事だった。土曜日には幕僚長クラスになり、月曜になると佐官程度に落ちる。「あの、その胸の階級章は宇宙人対策なの?」一週間ほどたって頃、思わずニッコリ笑ってそう訊いてしまった私を後の私は責める事になる。「ほう、気づいていたか。女」ハレルヤはまんざらでもなさそうに笑うと、歯をむきだして。「名はなんという?」「キョン子」もちろん、本名じゃなかったけど、私はあだ名を答えていた。その後も、毎日のようにHR前とHR後、なんとなく、私はハレルヤと話すようになっていた。「しかし、毎日退屈だぜ。宇宙人も未来人も超能力者もこねーしよ」そんなある日、この言葉に対して、私が妙な反応をしてしまった、その事を私は後々まで後悔する事になる。「待っていちゃ駄目ないかしら? やっぱり自分から積極的にせめていくとかそういう姿勢」いきなり、ハレルヤが私のセーラーを引っ張った。「痛いわ、何をするの!」「そうだよ。待ってちゃ駄目なんだ! こちらからせめていかないとな! 作るぜ。新しい、俺のための部活をよ!」放課後、私は、部室棟に連れて行かれ、そして、文芸部と書かれた部屋に連れ込まれた。「あの私たちまだあってから一週間だし、そういう関係は早いんじゃないかと」私が俯き加減でそう言うと。「何いってんだ? 馬鹿か? 意外とその手の漫画とか熱心に読むタイプか?部活の話のために引っ張ってきたんだよ」あっそう。「ここが、俺の部活の部室に決まった」「え? でも文芸部って」私が中を見回すと、窓際に、凄い、切れるようなタイプの背が180センチくらいありそうなイケメン男子が、その容姿にふさわしい眼鏡を掛けて、本を読んで座っていた。「そこのそいつが、使って良いってさ。俺の部活のために」その男子が顔を上げると、「長門勇気」そういって、すぐまた読書に戻った。どうやら自己紹介だったみたい。「キョン子。これからお前は俺と一緒に部活をやる訳だが」「え? 確定なの? 決定な訳ですか?」「三人ではメンバー不足だろう」「あの、長門君、勝手にメンバーに入れられるんだけど」長門君はエリートサラリーマンのような氷の美貌でこちらの言葉を無視して読書にふけっている。「そこで、もう一人確保した」ドアが開いた。するといかにも気が弱そうな。男のくせにかわいいと呼称してもよいような子がそこに現れた。「あの、手紙で呼び出されたので、ここにきたんですけど、ここでよかったんですか?」「ああ、そうだ。呼び出したのは俺だ。俺が涼宮ハレルヤだ」その美少女のような容姿を持つ少年はおどおどと中に入ってくる。「今日から、お前は俺の部の部員となる」「えっと、あの、書道部に入ってるんですけど」「やめるんだな。男だったら、喧嘩部上等だろ」ハレルヤが悪魔のような笑みを浮かべる。すると、その少年が長門君を見て一瞬、目を見開いて、「あのやめるのはいいですけど。文芸部って何をするところなのか」「我が部は文芸部じゃねーよ」「え?」SOS団。それがハレルヤが作った部活の名前だった。「世界と戦う為の大いなる涼宮ハレルヤの団」の略だって。「まだ、一人ほど足りないなあ。ちょっと待ってろ」ハレルヤはそういうと出て行き、30分くらいして戻ってきた。そこには、とてもかわいい、ショットカットの妖し気な雰囲気を持った少女が立っていた。「こんにちは、古泉一姫(いつき)です」その少女はそう丁寧に挨拶すると頭を下げた。「こいつは、学生乱闘区、SUGIMAMI高校から転校して来た猛者だ」ハレルヤが紹介する。「あの入るのはいいんですけど。何をする部活なんですか?」一姫が訊いた。「よし、教えてやる。我が部の活動目的は!宇宙人や未来人や超能力者を集めて、喧嘩、戦い(バトル)を繰り広げる事だ!!」??「文字通り、宇宙の運命をかけたDBばりのバトルをな」ハレルヤが両の拳を叩き付けてそう言う。その日ハレルヤはそれで帰ったけど、長門君が、帰り際に私を誘った。「えっと、マンションに誘ってくれるのは何故?」「親睦」長門君は、一室2億円はしそうなマンションの前でそう言って私を家に入れた。「ご家族の方は?」「犬の散歩」明らかな嘘だった。どう見ても、長門君一人が生活しているのは明らかだった。「嘘でしょう」長門君は無表情で私を見た。気づくと、私は布団に眠っていた。「涼宮ハレルヤは普通の人間じゃない」隣を見ると、うつぶせになって、長門君がタバコを吸っていた。え? えーーー。彼は裸だった。私は真っ赤になると、布団をめくった。予想通り、私も裸だった。そして、シーツに血がついている。「ハレルヤには、宇宙の運命を決定する力がある」けだるそうに長門君が煙りをはく。そして、彼は自分が、中央集積回路体の人間型端末だと明かすのだった。その日は、ゆらぐような気分のままマンションを出ると、家に帰ってすぐに眠り。翌日、私は北高の自分の席に座っていた。「ちょっとあんた誰よ」後ろから女の声が掛けられたので、振り返った私はびっくりした。そこには黄色いカチューシャをしたとてもかわいい女の子が腕を組んで私をにらんで座っていたからだ。「え? 誰?」私はそう聞き返していた。「私は涼宮ハルヒよ! そして、そこはキョンの席なの。あなた一体、そこで何をしているの?」その美少女はそう言うと、私に顔を近づけてきた……。11(11は無かったことになる)。直し
その後、長門君に宇宙人である事を告白されたり、一姫に超能力者である事を告白されたり、ハレルヤが退屈だというので、野球大会に向かったバスが事故で谷底に転落し、本物の大天使軍団と天国で生き返りをかけた野球の試合をしたり、色々あって、一年が過ぎていった。そんなある日。
私は北高に登校し自分の席に座っていた。「ちょっとあんた誰よ」後ろから女の声が掛けられたので、振り返った私はびっくりした。そこには黄色いカチューシャをしたとてもかわいい女の子が腕を組んで私をにらんで座っていたからだ。「え? 誰?」私はそう聞き返していた。「私は涼宮ハルヒよ! そして、そこはキョンの席なの。あなた一体、そこで何をしているの?」その美少女はそう言うと、私に顔を近づけてきた……。
その日、俺は北高ハイキングコースを歩き、自分の席についた。クラス中の奇異な目が俺を見ていたが、またハルヒがなにかやらかしたんだろう。いい加減とばっちりにもなれた。しかし、内申に響かねばいいがな。暫くすると、クラスに見慣れない女子が入って来た。とてもかわいいが、どこか妖しい魅力を備えた女だ。「あなたは誰ですか?」その女子は俺に訊いてきた。人に名前を名乗るには、まず自分から名乗るのが礼儀じゃないかな。「私は古泉一姫です」「なんだって? こいずみいつき? いつの間に女になったんだ? お前」俺は、にたにた笑っていった。また機関とやらの下らないお遊びだろうか。ああそういえば、昨日、ハルヒが、「ああ、キョンが女の子だったらいいのに! そうしたらいじり倒したいわ」とか言っていたな。俺はあくびをかみ殺して相手を見た。と、部屋の中に、背の高い、切れるビジネスマン風の、どことなく見覚えがある眼鏡美少年が入って来た。「私は長門勇気」「なんだって?」俺は眉を顰めた。そう言えば、こいつは長門にどことなく似ている。まるで兄弟のような、長門に兄がいたらこんな感じだろう。「どうやら、涼宮さんが、また何かやったようですね」いつきと名乗ったその美少女は肩をすくめてそう言った。俺は、勇気と一姫から大体の事情は聞いた。要するに、こちらの世界でのハルヒはハレルヤと言い。ある意味ハルヒよりも凄まじいとんでも野郎らしい。なにせ天国にまで行って野球をしてきたくらいだからな。それでこっちの世界での俺はキョン子といい女なようだ。
どうやら、昨日のハルヒの発言がダイレクトに反映されちまったらしいな。俺は天を仰ぐと溜息をついた。
「今、統合思念体から、別の世界のそれに連絡を取って貰っている。可能なら我々がそちらの世界にいく」ちょっとまってくれよ。男女の違いがるとはいえ、ハルヒが二人になるのか?それは勘弁して貰いたい。「それ以外、改善の方法がない、またハルヒとかいうそちらの世界の神が同じ事を願えば同じ結果になる。二人で話し合って貰うほかはない」「どちらにしろ、こうなる運命だったのかもしれませんね。何時までも、ハレルヤさんやハルヒとかいう人に真実を隠して置くこともできないでしょうし」俺は頭を抱えてしまう。これから一体、どうなるんだろう……。
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