涼宮ハルヒの未練
「やれやれ」
あの言葉が愛しい
もういちど聞きたい
でももうあいつはいない
―――――――
北高を卒業、自然とSOS団は解散した。
あたりまえのことでしょうね。だって部活だもん
あたしはあたしのレベルにあった大学へ進学した。
ホントはキョンといっしょの大学に行きたかったけど
あいつは卒業とほぼ同時に田舎へ引っ越した。
おばあちゃんが亡くなったらしいわ。それでおじいちゃんひとりで可愛そうだからってキョン一家は田舎に帰った。
他の三人とは音信不通。あたしにまわりで変化したことってのは4人がいなくなった。それだけ。
それだけなんだけど、あたしにとってはそれだけなんてことばじゃ済ませられない。だってあたしはみんなの事がホントに・・・。
もうひとつ変わったような気がするのは、なんか最近おもいどおりに事が進まなくなったの。北高にいる時はなんだか自分が望む事が何気に上手くいってたような気がするの。結局宇宙人やら未来人。異世界人や超能力者が現れる事はなかったけど。
どうしてでしょうね
最初の何日かは。キョンと電話しまくったわ。
でも五日目からつながらなくなって・・・。
いったいどういうことよあたしのこと嫌いになったの??
「・・・・・」
ひとりでイライラしてひとりで虚しくなる。
SOS団があればみんなにあたることもできるのに。
何で今日あたしがなんてこんなに憂鬱かというと、今日はあたしにとっていろいろなことがあった日なの。おかげで朝から思い出し憂鬱よ。朝からそんなことができたのは、今日は大学休んだから。北高を卒業してから3年間ずっとこの日は休んで思い出し憂鬱よ。嫌になっちゃう
もうずっと会えないのかもなぁ・・・。
会いたいなぁ・・・。
もう一度聞きたい
でもあいつはいない
「・・・・っ!」
あたしは駅前で人目をはばからず叫んだ。
「団長の命令よっ!SOS団集まりなさい!」
まわりの人がかわいそうな人を見る眼であたしを見ている。
「なにしてんのよみんな!早く来なさい!」
笑っている人もいる、でも全然きにならなかった。
「遅れたら・・えぐっ・・・罰金なんだからね!」
私は泣いた。みんなが来ないことなんて知っていた。
でもわたしはみんなに会いたかった。
とくにあのアホ面に・・・。
「うわぁーーんっ・・・・!」
わたしは大声で泣き叫んだ。
「みんなぁー!!古泉君!みくるちゃん!・・えぐっ・・・キョン!」
「わかったから、もう泣くな」
「え?!」
キョンが私を抱きしめていた。
「え?!なんで・・・?なんでここにいるのよ」
「まったく・・・・あれから携帯壊れちゃってな。お前の電話番号もわからなくなっちまったんだ。それでお前をどうやって探そうかと思ってたら、駅前で泣き叫んでるバカみつけて・・」
「そうじゃない!なんでここにいるのよ」
「じいちゃんがこっちに住みたいっていいだしてな」
「じゃ、じゃぁまたキョンここに住むの?」
「いま言っただろうが。そうだ」
「うわぁーん、キョン!!えぐっ」
あたしはキョンを力の限り抱きしめた。
嬉しかった。こんなに嬉しいのはSOS団発足を思いついたとき以来よ。キョン・・・!
「ハルヒ・・」
「ん?なによ」
「俺とはまた奇跡的に会えたわけだがなぁ。残念だが他の三人は無理だろう。お前も十分わかってるはずだ」
「・・・うん。そうよね」
「さすが元SOS団団長様だ。さてこれからどう」
「おひさしぶりですね。お2人とも」
「こっ・・・古泉くん!」
「なっ・・・なんでお前がここにいやがる」
そこにはひさしぶりにみたニヤケ顔があった。古泉くんだ。
「涼宮さんの能力が復活しましてね。また僕も神人狩りの重労働なアルバイトができます」
え?なにいってんの??
「ってことは・・・」
「ええ、もうすぐ来ると思いますよ」
「あっ!」
ひさしぶりでもなんでも忘れない二人がそこにいた。
「お久しぶりですみなさん。また会えて嬉しいです」
あいかわらずのナイスバディにそれに似合わない可愛い顔。みくるちゃんだった。
「本当にっ・・・本当によかったです。またあえて・・・」
みくるちゃんは泣いていた。それ以上に私は泣いていた。
誰かがハンカチを手渡した。有希だ。
「拭いて。」
「ひさしぶりね・・」
「わたし個人としても大変嬉しく思っている」
「それより今日は七夕ですが。またみんなでなにかやりませんか」
「・・・みんな!」
あたしはみんなに抱きついた。もう絶対に・・・絶対にはなさない!
「SOS団、発進よ!!」
――――――完
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