chapter2
「くそっ、どうなってんだ?」なんで1時間弱で部室がこんなことになってんだ?考えられるのは、・俺が時間跳躍した?・誰かが時間平面の改変を行った?・俺が異世界に来た?まあ、こんなところだが…。どれが正解なんだ?さて、俺はいったいどれだけ疑問符を使ったかね、暇なやつは数えてくれ。あいにくだが今の俺にそんな暇は無い。「考えても分からんなら、わかりそうなやつに聞くか。」頼むから以前のハルヒ消失事件のときみたいに皆俺を知らないってのは勘弁してくれよ。俺はそんな思いを抱きつつ携帯を握った。
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「だめか…。」本命の長門のマンションにかけたら知らない人がでるし、対抗馬の古泉の携帯にかけたら圏外、大穴の朝比奈さんの携帯にかけたら『この電話番号は現在使われておりません。』だってさ。さて、残ったのは我らがSOS団のジョーカー、ハルヒだけか。とは言え、さすがに切り札を使うのは早すぎか。以前古泉が言ってたように誰かが俺に切り札を使わせるためにこんな事をしたのかもしれんしな。「何はともあれ情報収集か…。まずは皆の教室に行ってみよう。黒板に今日の日付が書いてあるだろうし、カレンダーや名簿もあるだろう。」とりあえず俺は元部室を出た。
「あっ。なるほど部室に入る前に感じた違和感はこれか。」それは気付いてみると簡単なことで、SOS団のプレート(本当は文芸部の)が無かったのだ。どうやらここでは文芸部は廃部になっているらしい。「おっと、こんなことしている場合じゃない、情報収集、情報収集っと。」
「あと行ってないのはうちのクラスだけか…。」朝比奈さん、長門、古泉のクラスを見てきて解ったのは、俺が時間跳躍したわけじゃないって事(年号も日付けも俺の記憶してたままだった)と北校にはあの宇宙人、未来人、超能力者はいないだろうって事(うちのクラス以外の2,3年の名簿を全て見たが朝日奈さん、長門、古泉、喜緑さん名前は名簿に無かった。)だ。なんで自分のクラスを後回しにしたかって?理由はいたってシンプル、ただ単にハルヒの名前の無い名簿を見るかもしれないと思うと行きづらかったんだよ。笑うなら笑え。
さてと、これがラストの名簿か…、頼むちゃんとハルヒの名前が載っててくれよ。そう願う一方で、おそらくハルヒの名前は無いだろうと俺の理性は訴えていた。俺はそんな複雑な心境の中、恐る恐る名簿を開いた。
「くそっ、やっぱり無い!」この時の俺の声は自分でも信じられないくらい焦っていた。「どうする…、どうする…。」いや、落ち着け…、名簿に名前が載って無いからと言ってあいつが存在しないことにはならないだろ、前のときみたいに別の学校に通ってるだけかもしれない。でも…、もし…そうじゃ…なかったら……。去年に似たような事を体験していたにもかかわらず、今の俺には余裕は一切無かった。やはりあいつは俺にとって無くてはならないやつらしい。気が付くと俺はあいつの携帯に電話をかけていた。
トゥルルルル トゥルルルル トゥルルルル
「あんた、誰。」それは俺が一番聞きたかったやつの声…、だけど出来れば聞きたくなかった声…、電話越しのあいつの声は入学当時や消失事件のときのように相手を突き放すような声だった。名簿にあいつの名前が無かったんだから当たり前だが、あいつは俺を知らないらしい。「えーっと…、は…、涼宮だよな。」「そうだけど。てかっ、あたしが聞いてるのに質問で返すな。」「あー…、すまん。とりあえず怪しい者じゃない。」「そー言うやつほど怪しいのよ。それと、あたしはあんたみたいなやつにかまってる暇は無いの…」まずい、電話を切られる。「電話を切る前に、一つ聞いていいか?」「何。」「4年前の七夕を覚えているか?」「はあ!?」あの時と反応が違う…、まさか、こっちのハルヒは校庭に落書きを描かなかったとかないよな…。「あの日、お前は中学校に忍び込んで校庭に白線で絵を描いたよな。」頼む…、肯定してくれ。「何のことよ、わけわかんない。」
プチ
ツー ツー
ひどい目眩がした。あまりの目眩に俺は立っていられず、床に膝をつく形になっている。「どうすればいいんだよ、いったい…。」
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その後、俺は力の入らない体を気力だけで動かし、何とか何時もの駐輪場にたどり着いた。着いたのだが、「自転車が無い。」朝停めたはずの場所はもちろん、駐輪場全体を見て回ったが、俺の自転車は見つからなかった。「仕方が無い、歩いて帰るか…。」普通なら腹を立てるところだが、今の俺にはどうでもよかった。
帰り道、俺はひどい現実喪失感に襲われつつも、今までの状況をもう一度整理することにした。今の状況的に思考を止めたくなかったからだ。
まず第一、文芸部は無くなっている。第二、俺は時間移動はしていない。第三、宇宙人、未来人、超能力者、そしてハルヒは北校には進学いていない。第四、ハルヒとの電話からさっするに、時空平面を改変したなら、 4年前の七夕以前から改変されていて、俺が異世界に来たなら、 ここは朝比奈さん達の規定事項を満たしていない世界になる。第五、何故か俺の自転車が無い。
まあ、こんなところか。じゃあいったい誰が俺をこんな状況にしたんだ?
ハルヒか?いや、これは無い。数時間前に別れたときのあいつはいつもどうりだった。
長門か?いやいや、これも無い。ハルヒ同様長門もいつもどうりだった。
天蓋領域か新たな敵キャラか?これも微妙だ。もしそんなやつらが何かしようとしてたら、長門か朝比奈さん(大)が何か警告してくれただろうしな。
「わからん事だらけだ…。」
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ガチャ
「キョン君お帰り~。どこ行ってたの?」妹よ何を言っている、学校に行ってたに決まってるだろ。「あれー?でもキョン君いつの間にお出かけしたの?ずっと上にいたと思ったけど。」何のことだ?まあいい、今はそんなことより考えることがある。俺は適当に妹をあしらって部屋に行くことにした。「変なキョン君。」
今思うとこの時には気付いてもよかったの知れない。しかし、この時の俺は気付かなかったんだなこれが。なもんだから俺は1日に2度も扉を開けることで、唖然としてしまった。部屋で何があったかって?
そこには俺と同じく唖然とした表情をした鏡でよく見るやつがいた。「「お、俺が二人…?」」 next
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