WAWAWAな邪魔者 (キョン)
俺はキョンだ。自分で言うのもなんなんだが……本名がなぜか禁則事項になっちまう。だからキョンだ。すまんしかしなんだ?このけだるい運動会のリレーでバトン渡された直後みたい雰囲気は?…まあいい。そんな雰囲気適当にあしらって学校に行くとしよう。どの道俺はバトン持って走る気なんてさらさらないからな。 いつもの坂道を歩きながら俺は考えていた。何をかって?俺が考え悩むこと何ていえばハルヒについてに決まってるだろ。いや長門や古泉、それに朝比奈さんについて悩むことだって無いわけじゃないぜ?しかしだ。元をたどればあいつらの悩みの種は全部ハルヒに行き着いちまう。だからさっき言った通り、俺が悩むって言えばハルヒのことなんだ。不本意ながらな。 「よぉキョン。朝からどうしたよ?」「谷口か。お前こそ朝から無駄に元気だな」「なんだなんだ機嫌悪いな、別に昨日の事は気にしちゃいないぜ?お前が涼宮と付き合ってるなんて……ってこれ前にも言ったか?」「さぁな。だが谷口。これだけは言っておく。ハルヒと俺は付き合っちゃいない。第一そんな関係になろうとも思わん」 どこをどう間違えればそんな考えが浮かんでくるんだ。もしだ。もし俺があのハルヒと付き合うことがあったとするならば、その時俺の脳みそが何らかの影響で味噌になってしまったと思ってくれて構わない。 「じゃあ夕日が照らす教室で二人っきりで何してたんだよ?」 ぐっ、き、今日のおかず一つを生け贄に捧げ、黙秘権を全力で発動する。 「おかず一つか。いいだろう。それに想像するのは簡単だ」 ありがたいね。一生懸命俺の弁当を作ってくれる母に謝罪する機会を作ってくれてな。ついでに想像が簡単ってなんだ。…いや余計な詮索をすると自分の首を絞めるような気がするな。話題を変えよう。 「それよりどうしたんだ谷口?目の下に隈なんか作って」「これか?いやなんか朝になったらできててなぁ」「勝手にできるわけないだろ。遅くまで起きてなんかしてたんじゃないのか?」「いやそれが昨日はきっちり寝たはずなんだよ。嘘じゃないぞ?」 いやそこまで必死になる必要はない。それにそこまで谷口の隈に興味もない。無い無い尽くしだよ。 「そういえば昨日見た夢はかなりリアルだったんだよ。なんかな…」「なんで隈のことから夢のことになるんだよ」 他人の夢ほどつまらない話もなかろう。俺は適当に聞き流しモードで教室を目指した。だから谷口の話は微塵も聞いちゃいなかった。後になって後悔したよ。この時谷口の話をもっと真剣に聞いていればまだ心の準備というものができたのかもしれない。まあ心の準備ができたからってどうにかなるもんでもないんだがな。 教室に到着するまでの間、谷口の話をすべて上手く右から左へと受け流し俺は無意味な達成感を得ていた。我ながら本当に無意味だな、おい。 「おはようキョン。ついでに谷口」「おいおい、国木田ついでってひどくないか?」「おぅ。おはよう国木田。ひどいか?谷口はついでで十分だろ?」 そうだね。と国木田。さらにわめく谷口。まったく朝から元気で結構なことだ。まだハルヒは来てないようだ。んっ?ありゃ古泉か?こんな時間からあいつの顔を見るなんて今日は厄日かな…。ふぅ、面倒ごとが起こってなけりゃいいんだが…… 「何してるんだ古泉?ここはお前のクラスじゃないぜ。それともまたなにかあったのか?ハルヒの機嫌は直しておいたはずだが」 昨日は本当に色々あったんだが最終的にハルヒの機嫌は直ったはずだ。俺と別れた後の事はしらんがな。っと昨日のことを思い出しながら古泉に話し掛けたわけだ。珍しい事に古泉が少し動揺している。やっぱり何かあったのか? 「え、ええ。涼宮さんの精神は安定しています。まあ少し気になることがありましたが…」「はっきりせんやつだな。問題発生したなら発生したといえよ。」 ハルヒに関しての問題を俺が解決しなきゃならんのはもはや規定事項らしいからな。隠されても困る。 「今は貴方に報告するような問題は起きていません」「そうか。まあ俺が苦労するようなことがないならいいさ。ハルヒの機嫌も直ったようだし。まったく人騒がせな奴だよ」 まあ無いに越したことはない。しかしなんだ?古泉のやつもういつものにやけ顔が復活してやがる。何がそんなにうれしいんだ?っとそんなことを考えている間に俺の負担の元凶が、機嫌よさそうに現れた。 「あら古泉君。こんなとこにいるなんてめずらしいわね?キョンか私に何か用?」 ハルヒがこの様子なら問題は無さそうだな。古泉は結局気色悪い微笑を見せに来ただけかよ。 「いえ、ただの気紛れですよ。」「ふ~ん。古泉君でもそんなことあるのね。まあいいわ。」 古泉といえど人間だ。気分が変わることもあろだろう。てか言うことはそれだけかハルヒ?ハルヒのやつさっさと机にいきやがった。もう少し話してやるのが友人としての…んっ?時間か。 「お前もそろそろ自分のクラスに戻れよ。ホームルーム始まっちまうぜ?」「了解しました。」 古泉のやつはいつもの顔で廊下を早足で駆け抜けていった。早いな。まあ古泉も遅れたくはないんだろう。……なんだ?何か、おかしい。う~む、なんだろう?まあいい。別に深く考えることでもないだろう。 「ハルヒ。古泉との会話短すぎやしないか?」「古泉君となら放課後いっぱい話せるじゃない。だからいいのよ」「そりゃあそうだが…」 ちなみにこれは俺が机に座るまでの会話だ。……まあ俺だってハルヒ関連じゃなきゃ話さないかもしれないとは思う。別にひどくはないぞ? 「それより…キョン昨日の…………え~っとや、やっぱりいいわ」 なんだ?言い淀むなんてハルヒにしてはめずらしいな。昨日……あれか?なんだよ。さんざん怒鳴り散らしたくせに。あの後俺がお前の機嫌を取るためにどれほど苦労したと思ってやがる。っと岡部の到着だ。ハルヒも何故か黙りモードに入っちまってるし。しかたない会話はここで中断だ。岡部の熱弁を適当に受け流し、授業の大半を寝て過ごした。まあそんな日もある。毎日じゃないのか?と言われたりするとそうかもしれんし、成績がどうのこうの言われるとかなり痛い。ナイフで刺されたような気分だ。だが眠いんだから仕方ない。毎日ハルヒのことで四苦八苦してるんだからこれくらいは許されるはずだよな? 「それは許されるんじゃないかな?結局後で痛い思いをするのは自分なんだからね」「国木田それ前半はいいが後半心にグサッと来るぞ」「そうかな?」 ああちなみに今は昼休み。いつものメンバーで飯を食ってるところだ。しかし国木田もズバッとくるやつだな。 「それは言えてるな。涼宮なんかに毒されるからいけないんだぜキョン」「谷口、お前にだけは言われたくない。それにお前も爆睡してただろうが!」「これだもんね。二人が成績悪いのは仕方ないってやつだよ」「「く、国木田てめぇ」」 ……やべぇ。よりにもよって谷口とハモってしまった。さてなんか忘れている気がするが忘れていたほうがいい気がするので忘れていよう。 「おいキョン。おかず一つはどうした?」「おかず?キョンとなんか約束してたの?」 ちっ、谷口のやつ覚えてやがったか。忘れていればよかったものを……。貪欲なやつめ。 「仕方ないな。どれでも取れよ。ただし一つだけだぞ」「よしよし。じゃあこの唐揚げを戴くぜ」 おい谷口…お前今日のメイン簡単に取りやがって…血も涙もない男だな。 「なんだよ?じゃあ昨日のこと話すか?」「へぇ。昨日何かあったの?僕も聞きたいな」「ちっ、わかったよ谷口。唐揚げやるからそのおしゃべりな口を塞げ」 俺が話さなくても谷口がある程度話せばそれで勘違いされるからな、たぶん。唐揚げくらい…や、安いもんだぜ。なんだよ国木田。そんな残念そうな顔をするんじゃない。 「そういえばキョン。あの~古泉とか言ったか?あいつなんで俺のことチラチラ見てたんだ?」「んっ?いつの話だ?」「今日だよ今日。朝来てただろ?」 そういえば目がチラチラ別の方に行ってたな。あの時の違和感はこれか。しかし理由は何だ?……古泉にはガチホモ疑惑がある。ということは谷口を狙ってる? 「しらんな。お前の気のせいだろ」「そうか。ならいいけどよぉ」 谷口が古泉に狙われようと俺の知ったこっちゃねぇ。まあせいぜい頑張れ谷口。その後は特に目立ったこともなく、放課後まで進んだ。げ、今日は俺が掃除の係りかよ。めんどくせぇなぁ。 「ハルヒすまんが先に行っててくれ。終わりしだいいくからよ。」「そうねぇ。まあそれでもいんだけど、今日は待っててあげるわ」「はぁ?」 何を言ってるんだこいつは?いつもならさっさと自分の作ったアジトに飛んでいくくせに。 「そんな気分なのよ。なんか文句あるの?」「いや、別に無いが」 っとそんな適当に待たせたのが俺の面倒事をさらに面倒にしてしまった原因だ。 「ほらそこまだゴミがあるわよ。あ、ここも埃が積もってるし」「ぎゃあぎゃあうるせぇ。黙って待つか、手伝うかしろよ」「嫌よ。こんな時こそSOS団雑用係りを扱き使わなきゃ」 いつも扱き使われてる気がするのは俺の気のせいか。ああ朝比奈さんのお茶を飲むにはもう少しかかりそうだ。 「さぁ。行くわよ。思った以上にかかっちゃったわね。これ以上遅れたらダメ、昨日は休みにしちゃったんだからね」「遅れた理由はお前だろう」「いいから早く行くわよ」 一通り人を働かせたらこれだ。早く朝比奈さんのお茶で癒されたい。おいハルヒ、あんまり腕を引っ張るな。腕が千切れるだろうが!?…はぁ…やれやれ 続く
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