涼宮ハルヒの情熱 第4章
ゆっくりと扉を開けて俺たちは部室に戻ってきた中ではそれぞれがそれぞれの指定席に座り、…朝比奈さんは立っているのが指定に近い感じがするのだがいつもどおりの、古泉は微笑、長門は無表情、朝比奈さんは怯えた表情をしていた…あれ?いつもどおりじゃない人間が一人いるな、たまになら見るが、朝比奈さんは何に怯えているんだ?…あぁそうか、そうだよな朝比奈さんは俺にキスしたんだったそりゃ、ハルヒに何されるかわかったもんじゃないま、予想どおりといったところだろうか、ハルヒが朝比奈さんの方を向いて話し掛けた「みくるちゃん」それは普段のハルヒからは想像しがたい優しい声だったまるで母親が自分の子供をあやすようなそれでも朝比奈さんはびくっとしていたがな「ありがとう、ね」いったい、何がありがとうなんだ?誰か俺に説明してくれ…あとで古泉にでも聞くかそれを受けた朝比奈さんは溢れんばかりの満面の笑みで元気よく「はい!」とだけ言ったそのあとだが、恐らく今回は大体を知っていたであろう未来人・朝比奈さんが持っていたバスタオルで体を拭いたあとハルヒは朝比奈さんの、俺は古泉の持ってきていた着替えに着替え、団活を開始した この準備の良さをみると、古泉も知ってやがったな八つ当りとは言わないが、いつもどおり、俺は古泉とのボードゲームに連勝し、長門は本を読みふけ、朝比奈さんは給仕にいそしみ、ハルヒはネットサーフィンに興じている 対戦中、何度かハルヒと目が合ったのは心にしまっておこうやはり、いつもどおり長門が本を閉じる音で部活が終わるなんかいつもどおりの一日だったな、確かに世界は急に色を変えないよなそれが変わっていたら8割方ハルヒのせいだ部室をでたあとハルヒが手を握ってきた俺は少し慌てたがもう3人とも知っているんだろうな、と考えそのままにした5人で歩く帰り道、いつもは先頭にいるハルヒは一番後ろの俺の横で少しはにかみながら歩いている代わりに先頭を行くのはハードカバーを文庫本に持ちかえ、それを読みながら歩いている長門で、その後ろで古泉と朝比奈さんが談笑しながら歩いている幸いにも雨は止み、控えめに赤い太陽が顔を出している横を見れば顔を朱に染めたハルヒがちゃんといる俺はハルヒに耳打ちしていた「そっと抜け出さないか?二人で」ハルヒは一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに100Wの笑顔に戻すと大きく頷いた長門にはバレていただろうが、いやもしかしたら全員にバレていたかもしれない前の3人に気付かれないよう、こっそり脇道にそれたそのまま歩いて辿り着いたのは、この春休みに思い出深い、花見と、ハルヒの告白と…長門のマンションの近くの公園桜達は、すでに花びらを落とし、早くも来たるべき夏に向けて準備をしていたしかし、抜け出してきたのはいいが、いったい何をしたらいいんだろうなとりあえず、ラブラブしたらいいんだろうが、そんな経験がない俺には何をもってラブラブというのかわからん「おっ!キョン君にハルにゃんじゃないかっ!!」突如後ろから聞き慣れた元気な声が聞こえる振りむけばやはりというか鶴屋さんだった「手なんかつないじゃって、ラブラブだね!お姉さん少し羨ましいにょろよ?」ハルヒは照れている顔が真っ赤だ恐らく、冷静に観察してる俺も真っ赤だろう「ええ、付き合うことになったんです」それでも俺は某3倍早いMSのように赤いであろう顔に押さえ込まれないよう、できるだけ冷静を保って言葉を出すしかし、それも無駄な努力だったようで鶴屋さんは腹を抱えて大笑いしていた「あっはっはっは!…そんな真っ赤な顔で…ぷぷ…真面目に言われてもねぇ…はっはっは…まぁ末長くお幸せに!これは鶴にゃんからの贈り物っさ!」鶴屋さんはそう言って何かを俺の手に握らせる「ハルにゃんを泣かせたらあたしが承知しないよ~!」走りさりながら手を振る鶴屋さんを見送ったあと俺は手の中のものを確認したそれを見た俺は苦笑する以外に選択肢はなく、覗き込んできたハルヒは顔をさらに赤くしていた鶴屋さんはなぜ、こんなものを持ち歩いてあるのだろうか俺はその0.03㎜の贈り物を使う日がいつ来るか考えていた
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