涼宮ハルヒの忍劇2・5
==剣術を極めるべく==
==更なる高見を目指すべく==
=房総の城下町=
谷口「WAWAWA忘れ物~♪」
町人A「あれは伝説の商人、谷口さんじゃ」
町人B「谷口さんだと!?あのWAWAWA忘れ物で有名な!?」
町人A「その谷口さんじゃよ!ほらあそこに!!」
谷口「WAWAWAWAWA~♪」
町人B「ほ、本当だ…生きる伝説だ…」
町人C「谷口さんじゃないか!また珍しい南蛮の商品を持ってきてくれたんだな!!」
谷口「あ~今日はどことなくWAWAWAな気分だぜ」
町人C「谷口さん!!」
谷口「WAWAWA忘れ物~うおっ!!」
沢山の町人達「谷口さん!谷口様!谷口先生!!」
谷口(すげえ人の数だ…相手にするのは大変そうだな)「すまん…ごゆっくりぃ~!!」
町人達「で、出た!伝説!!」
谷口「とりあえずこの鍵タバコをどこぞやで捌いてその金でかわいこちゃんと遊ぶかグへへへへ。WAWAWA忘れ物~おっぱいが俺を呼ぶ声がするぜぇ~い!!!」
町人「い、一刀斎先生!!」
伊藤一刀斎「何事です?」
町人「か、刀の手入れをされているところでしたか・・・た、大変失礼しました!伝説の商人、谷口様がこ、ここここここの町に!!」
伊藤一刀斎「そうですか。御報告有難う御座いました」
町人「へ、へい!では失礼い、いいい致します!!」
伊藤一刀斎「…!?」
神子上典膳「師匠、どうかされました?」
伊藤一刀斎「一瞬凄まじい殺気を背後から受けた感じがしました。気のせいならば良いのですが…」
神子上典膳「某が外を見て参ります。師匠は刀の手入れをお続け下さい」
伊藤一刀斎「御願いします。」
=山道=
房総の城下町付近
???「あの町か…」
影の軍中忍「間違いありません。あの城下町にかの高名な剣術家、伊藤一刀斎が居られるかと」
???「…時に私の剣は異形か?」
影の軍中忍「いえ、鬼道丸様の剣術は世界最高かと…」
鬼道丸「私の握る刀は三日と持たず溶けて崩れてしまう…私が望む刀を持つ者は、私に近く、私が認める者で無ければ
ならない」
影の軍中忍「剣聖・一刀斎ならば鬼道丸様が望む刀…確実に所持していられる事でしょう」
鬼道丸「言葉にするまでも無い…いざ、房総へ」
伊藤一刀斎「・・・・・気のせいでは無い!!」
町民「の、信長の軍だー!!」
町民「みんな城の中へ!!」
伊藤一刀斎「…!典膳!!典膳どこにいる!?」
キィン!
伊藤一刀斎「外か!」
神子上典膳「桜火、十文字切り!!」
キィィィィン!!
影の軍中忍「か、刀が…」
神子上典膳「そこそこ腕は立つようだが某の剣には遠く及ばない。技量の差をその目に焼き付けたのならば、この町から引き返せ!」
鬼道丸「流石は有名な剣豪、神子上典膳。だが師の一刀斎には遠く及ばない」
神子上典膳「…!! 貴公がこの軍を率いる者か、名を述べよ!」
鬼道丸「影の軍上忍、鬼道丸。一刀斎の首と剣を手に入れるべくこの地にまかり越した」
神子上典膳「!?…貴公、殲滅の剣帝か…?」
鬼道丸「そう呼ぶ者も数少なくは無い。問おう、一刀斎は何処に?」
神子上典膳「その解答を私は持ち合わせている。だが、貴公が其れを知る為には私の申し出に受けなければならない」
鬼道丸「…フ、してその申し出とは?」
神子上典膳「殲滅の剣帝、願わくば某、貴公に決闘を申し入れる!」
鬼道丸「返答を待つまでも無かろう。受けぬ事は剣術家としての恥」
神子上典膳「感謝。では行くぞ!!」
鬼道丸「師の教え、見せてみよ…神子上典膳」
町人「先生、こっちでさあ!」
伊藤一刀斎「有難う御座います。では貴方も城の中に避難を」
町人「は、はい!がんばってくだせえ!」
伊藤一刀斎「…この先か!」
鬼道丸「終幕だな」
神子上典膳「師…申し訳御座いません。某の剣…通用せず、無念…」
鬼道丸「剣術家として、誇り在る師に歓喜せよ」
=鬼道丸が刀を一線に振り下ろす瞬間=
『待ちなさい』
鬼道丸「…漸くの参上か。我馳せ参ず、と言ったところか一刀斎よ?」
伊藤一刀斎「貴方は愚か者です。」
鬼道丸「…!」
影の軍中忍「貴様…鬼道丸様に向って何と言う口の訊き方を…!」
鬼道丸「静黙せよ」
影の軍下忍「しかし…」
鬼道丸「私の声が聞こえなかったのか?」
影の軍下忍「…承知」
伊藤一刀斎「私に用が在るのならば、私だけを町外れに誘えば良い。大軍を率いて町を攻め込む必要性は皆無に等しい。貴方は愚かです。」
鬼道丸「信長様の意向を兼ねた弾圧だ。無論、目的は貴との対面」
伊藤一刀斎「広く視野を構えられぬ剣術家が、真の剣理を知る術無し…貴方は私に見合った剣術家では御座いません。」
鬼道丸「…良かろう。話は町外れで行う事としよう。引き上げるぞ」
影の軍中忍「了解しました。引き上げるぞ!!」
一刀斎、鬼道丸は町外れへ、影の軍暗殺者達は本拠へと其々が戻っていった
剣術家両名は、山道を外れ人の通らない深き森へと入って行った
鬼道丸「問おう。貴の思う真の剣理とは?」
伊藤一刀斎「無心にて、構えること」
鬼道丸「・・・・・・・無心にて・・・構える?ククククク…ハァッーハッハッハ!!!
笑わせてくれる…攻振無き剣に強さなど在らず!!」
伊藤一刀斎「殺意籠りし不浄な剣等切れる物に非ず、強さも非ず。…何故其れが解らないのですか?」
鬼道丸「解らぬのは貴よ…殺意無き剣に勝筋等非ず!!」
伊藤一刀斎「…では貴方に之を授けよう。鬼刀、村正」
鬼道丸「噂に聞く妖刀…受取ろう。貴の手に在るとはな、探しても見つからぬ訳よ」
伊藤一刀斎「私は正宗を使用する。之は私の信ずる最高の刀で在り、真の刀だ」
鬼道丸「正宗…名刀と評されるが、川に流れる木の葉一枚すら捌けぬ完全な駄作…
無心にて構える貴には妥当な刀で在ろうがな…流石に剣聖とも成ればこうも
笑わせてくれるわ」
伊藤一刀斎「村正は真理を付かぬ刀、貴方の手元に預けるのが正しき選択でしょう。
ですが偽りの剣を捌け潰せど真の理を得し正宗を切る事は確実に不可能です」
鬼道丸「試してくれよう。貴と私の剣闘に於いてな」
伊藤一刀斎「何故気づかぬのです…戦闘に生ずる流れ、その流れを知る者こそ勝利を得る。
殺意籠りし剣に真の流れ知る術無し。怒りに、感情に身を任せた剣がどれ程
見切り易いものか…。対する者の気を肌で感じ、その刃が己が制空圏に振れし刹那、一点にて切り返す。その間無心。邪念雑念は感を鈍らせ、動きを鈍らせる…ここまで言っても、分りませんか?」
鬼道丸「剣術家たる者の思想は千差万別。私の考える剣道と貴の考える剣道は決して交わ
ることが無い。ただ目の前の宿敵を切り、己が剣筋を通すだけ。」
伊藤一刀斎「何を言っても無駄なようですね。良いでしょう、相手に成ります」
鬼道丸「炎塗れ天を突き紅蓮足る意思よ帝成る誇り偉大なる精の名に於いて、我が剣にその力を・・・・示せ!!!!」
ドンッ!!!!!
天井から落ちた炎は、鬼道丸を取り囲み一層大きく燃え上がる
其れが森の木々を巻き込みそうな程巨大化した時、大半の炎が鬼道丸の右手に持つ剣へ収束して行く。
微かな炎を身に纏い、剣を赤く染めた鬼道丸は一刀斎の正面へと歩む
伊藤一刀斎「炎の気を操りし者…ですがこの力は単なる炎氣では無い………まさか!?」
鬼道丸「そう、我が家系は代々、大炎帝の力を行使してきた。私はその力を己が剣に収束させ、更なる剣の力を…高見を目指す」
伊藤一刀斎「大炎帝の力…その剣に対する姿勢は故に、か…」
鬼道丸「始めよう」
一刀斎は剣を構える姿勢を取り目を閉じる
伊藤一刀斎(感じるのだ…敵の力を…剣の流れを…その流れを私が知る時、勝利は決する…)
鬼道丸『大炎帝…』
一刀斎『真空』
俊足にて切り込む鬼道丸
目を閉じたまま構える一刀斎
二人の制空圏が交わろうとし、鬼道丸の剣速が音を超えた刹那
==『『龍皇殲剛撃!!』』==
==『『流水一閃切り』』==
パアンッ!!!
音速は混じり…そして、弾けた
鬼道丸「・・・・・・まさか」
剣を鞘に仕舞い立ち上がる鬼道丸
鬼道丸「私以外、刹那に剣流を読む剣術家が居るとは思わなかったぞ。貴の技術は尊敬に値する。だが・・・」
伊藤一刀斎「馬鹿、な…」
鬼道丸「貴の誤認を私が正してやろう。流れを知る事は重要だ、だが其処に『己を静めたがる在る種の邪念』が存在する時、剣の流れを支配する者…そこに在るのは純粋な殺意だと言う事実をせめて脳髄に刻みこんでから彼の世へ行け」
ブシュウウウウウウウウウウウウウウウ
血しぶきを上げてその場に倒れ込む一刀斎
鬼道丸はその姿を憐れむような眼で視覚した
鬼道丸「さらばだ、剣聖・伊藤一刀斎よ」
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