T from K ~third chapter~ 【我慢】
・・・・・・・くん
・・・・つき・・・・くん
『一樹くん!!』
「ハッ!」
そこには目を真っ赤にした鶴屋さんがいた
『大丈夫にょろ?いきなり倒れたからさ』
「ハハ・・・大丈夫です。申し訳無いところをお見せしてしまったようです」
無理をして、いつも通り笑顔を作る
彼女に今の自分を悟られないが為に
『・・・それならいいんさ!今日は止まってくかい?一部屋位なら貸してあげれるよ?』
「いえいえ、結構ですよ。今日は帰ります ・・・・それよりも」
『ん、なんだい?』
「僕はもっと本当の貴方を知りたいです。もっと僕に頼って頂けませんか?僕なら絶対貴方の力になりますし、なってみせます!」
『・・・・・・・・』
「どうしたんですか?」
『・・・・貴方だって隠してるじゃない・・・・・本当の自分、私と居る時の笑顔は本当の貴方じゃない。
なんで・・・・なんで本当の瞳で私を見つけてくれないの?』
!?
「そ、そんなことは・・・・」
『かえって』
「い、いえ・・・ですから」
『いいから帰って!!』
「・・・はい」
彼女の言葉に気押されるままに、僕は鶴屋家を後にした
『『なんで本当の瞳で私を見つけてくれないの!?』』
彼女の言葉の意味が・・・よくわからない
確かに僕は無理に笑顔を作って接していた
しかしそれは決して本当の僕じゃないなんて事はない
僕なんだ・・・・これも本当の僕なんですよ鶴屋さん・・・・・・・・
重い足取りが、気分さえも重くする・・・
街は・・・もうすぐクリスマス、か・・・
飾り付けがとても綺麗だ
いたるところでサンタクロースや雪ダルマのオブジェが光っている
ああもうそんな時期か
そんな時期なのか・・・・
クリスマスプレゼント・・・何を渡そうかな?
キミは・・・何を渡せば喜んでくれるんだろうか?本当の笑顔で、微笑みかけてくれるのだろうか?
・・・ん?
今何かひっかからなかったか?
なんだ?
本当の笑顔?
微笑みかける?
彼女が?
いや、違う
本当の笑顔を作れなくなったのは彼女じゃなくて・・・・・・・・
グッ!!
なんだこの頭痛は・・・・
・・・・もういい
考えるのも今は憂鬱だ
帰って、寝よう・・・
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ハルヒ「ほらキョン、あの店入りましょ」
キョン「わかったから腕を引っ張るな」
ハルヒ「早く早くっ!」
キョン「やれやれ・・・それでこんな小物屋で何を探すんだ?」
ハルヒ「SOS団のみんなにプレゼントする物に決まってるじゃない!さあアンタも選びなさい」
キョン「ふう・・・お、この微笑み人形なんか古泉にそっくりじゃないか?あの営業スマイルだぜまさしくこの作り物の笑顔は」
店長「お、君 それに目をつけたのかい?」
キョン「何か知り合いにそっくりだったもんで」
店長「ほう・・・その人形には実際のモデルがいてね」
キョン「へえ・・ってことは実際にこういう人がいたんですか?」
店長「もうずっと昔の話だよ。 彼は城下町の住人でね、その町の姫に恋していた
姫との交際を許された彼だったが、その時にお互いの間に【男女の契りを交わさない】という
約束を言い渡された。姫本人からね 最初はなんてことも無かった彼も、その内どんどん
その状況が辛くなっていった。でも彼はその笑顔を守り続けたんだ
恋人に辛い自分を見せたくなかったのだろう・・・・」
キョン「それって・・・ひどい話ですね」
店長「そう、酷い話だ。しかし最後の一説にはこうあるんだよ?」
ハルヒ「キョン!!!買うもん買ったし早く帰るわよ!!」
キョン「わかったわかった。すみません話の続きは次この店にきた時にでも・・・」
店長「ああ、わかった。待ってるよ また来たまえ。それからそこの娘さんとお幸せにね」
キョン「ありがとうございます店長さん」
ハルヒ「何してるの早く行くわよキョン!!!」
キョン「わててっこら」
店長「・・・幸せそうな夜景が君たちの隣で見守ってくれている。若いとは何とも羨ましい・・・」
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