遠距離恋愛 第五章 告白
第五章 告白 ハルヒを抱き上げ、団長席に座らせ直したところで部室のドアが静かに開いた。朝比奈さんが入り口で手招きしている。長門も居るようだ。俺はハルヒを起こさないよう、静かに部室を出た。廊下にはいつもの喧噪が戻っており、ここはもはや異常空間ではない事を感じさせる。 「キョンくん、お疲れ様でした」「……現在より2分12秒前、すべての閉鎖空間の消滅を確認。またそれと前後して、この部室に展開されていた対情報シールドの消滅を確認」そうか。とりあえず世界崩壊は避けられたようだな。「……そう」俺は盛大なため息をはき出した。 「ふふっ、キョンくん?」朝比奈さんがきらきらした目で聞いてきた。「は、なんでしょう?」「どうやって涼宮さんの機嫌を直したんですか?」どうしよう?正直に伝えた方が良いんだろうが……「実は……それなんですが……」 俺は先ほどまでの経緯をかいつまんで話した。「……へたれ」「……はぁぁぁぁ………」何ですかその反応は?「ああ、そうだ。朝比奈さん。ハルヒの面倒を見てやってくれませんか?」「……キョンくん、それ本気で言ってるんですか?」目をまん丸く見開いたと思ったら、憐憫と悲しみと侮蔑の表情をまぜこぜにした視線を送ってきた。そんな天然記念物のオオサンショウウオを見るような目で見るのは止めてください。マジでへこみますから。 「何のことですか?」 「……私、帰ります。涼宮さんはお任せしました」「……帰る」って、ちょっと待って!おい!二人とも! 普段の二人からは考えられないほどの速度で、朝比奈さんと長門は俺の前から姿を消した。一人取り残された俺。どうしろってんだ、全く。自分の鞄を部室に起きっぱなしにしていたことを思い出し、再び部室に入る。ハルヒも起こさないといけないしな。 部室に入ると、ハルヒはまだ寝息を立てていた。団長机からそっとハルヒの鞄を抜き取る。 目の腫れも殆ど引いて、普段のハルヒの顔に戻っていた。しかし、なんつー復元力だ、コイツ。でも……あんな精一杯の告白を受けた後だからか、いつもよりも遙かにかわいく思えた。これが恋愛フィルターってやつらしいな。以前谷口がそんなことを言っていた気がする。もっともアイツの場合はパターンが逆だが。 さて、どうやってコイツに俺の気持ちを伝えようかね?ハルヒはハルヒらしく、真っ正面から告白してきた。俺はそれに答えなきゃならないだろう。実際この17年という長いか短いかよくわからない生涯で、告白したとかされたとかの経験は一度もない。自慢じゃないがな。だから、さっきのハルヒの告白は胸に来た。衝撃だった。情けない俺は、答えを言えずにフリーズしてしまったが、答えなんかもうとっくの昔に決まってる。 そんなことを考えながらハルヒの寝顔を見ていたら、とても幸せな気分になる。人を好きになるって言うのはこんなに良い気持ちになれるものなんだな。取り留めなくそんなことを考えていたらあっという間に時間が過ぎてしまったようだ。 さすがにもう起こさないと拙いだろう。俺は団長席で静かに寝息を立てているハルヒに声を掛けた。 「おい、ハルヒ」ぴくっと肩が動き、のろのろとハルヒが顔を上げる。 「……ふぁ、キョン……あれ?あたし……」寝ぼけ眼で周りを見渡し、はっとした顔で俺を見つめる。 「……夢……だったの?」「何のこった。それよりハルヒ、鞄持ってきてやったぞ、少しは感謝しろ。あと、ヨダレ拭け」一瞬にして夕日のように赤くなったハルヒは、バババッ!と音が鳴るような素振りで口元を拭いた。 「……この、この……バカキョン!乙女の寝顔を観察するなんて、サイテーよ!」「すまんな、お茶入れてやるから機嫌直せ」「あれ?みんなは?」「全員用事があって欠席だそうだ」「……ふ~~ん」 朝比奈印のお茶とは雲泥の差の味のお茶を入れ、ハルヒに手渡す。パソコンの起動を待っていたハルヒは、それを一気飲みしやがった。「マズイ!お代わり!」と言いながら湯飲みを差し出して来る。まずかったら飲まなきゃ良いのに。 「……喉が渇いてるのよ」ああ、そうかい。ネットサーフィンを始めたらしいハルヒにお代わりを注いで、団長机に置く。 さらなる注文がこないうちに、俺は自分用のお茶を持っていつもの席に移動した。告白のことを色々考えあぐねていると、ハルヒがぶつぶつと何かを呟いているのに気がついた。 「……夢?……そんなはずは……でも鞄は……」どうもハルヒは、俺への告白は夢だと思っているらしい。なんとも都合の良い記憶だこと。ハルヒがさっきのことを夢だと思っているなら、それはそれで方法はある。 「……みんなが来ないなら、アンタとここにいてもしょうがないわ。アンタの転校の件は、明日全員揃ってから話し合いましょう。じゃ、今日は解散!」パソコンの電源を落とすと、ハルヒは立ち上がった。 タイミング的にはここだろうな。いや、ここしかないだろ?鞄を掴み、スタスタと扉に向かうハルヒに、俺は声を掛けた。 「……あー、ちょっと待ってくれ」「……何よ?」脳内で必死に自分を鼓舞し、俺はハルヒの行く手を塞いだ。 「実はな、ハルヒ」「……だから何?」「転校前に、お前に相談に乗って欲しい事があるんだ」「相談?」訝しげにこちらを見るハルヒの顔。ちとアヒル口だがそんな顔も可愛いね。今更だが。 「誰にも言ってなかったが、実は俺、この高校に好きな子がいるんだ」「……え……ふ、ふ~~ん、そうなんだ」目が泳いでる。しかも、アヒルからペリカンになった。 「朴念仁のあんたがね……わからないもんだわ」「で、だ。告白も出来ないうちに転校ってのがどうも心残りでな」妙に明るい俺の口調に、ハルヒは面食らっているようだ。ハルヒは俺の顔から視線を逸らすようにして、言葉を紡ぐ。 「……さっさと告れば良いじゃない。転校まで時間ないんでしょ?」「それはそうなんだが……でもな、仮に告ってOKもらっても、すぐ転校しちゃうだろ、俺?これって結構、悲劇のシチュエーションだと思わないか?だから、告白するべきかどうか悩んでる」 「……それもそうよね。でも、その好きな子とやらがあんたを受け入れてくれるとは限らないわよ?」「ああ、その点は大丈夫。向こうの友人達から聞いたんだが、向こうも俺のことが好きなんだってさ」その瞬間、こちらを向いたハルヒの眉はつり上がっていた。不機嫌モードに突入したようだ。分かり易いねこいつは。 「じゃ、じゃあ、良いことじゃない、遠距離恋愛でも何でも勝手にすれば?あたしは関係ないから」「待てよ。話は最後まで聞け」俺の横をすり抜けようとしたハルヒの腕を掴む。 「……離しなさいよ」「何言ってるんだ、まだ相談中だぜ」「……聞きたくない」ハルヒが泣きそうになっているのは、その声で分かった。「SOS団団長様たる涼宮ハルヒは、団員その1兼雑用係の、この俺の相談を断るのか?」「でもアンタ、転校しちゃうんでしょ?……SOS団じゃなくなるじゃない」「あいにく、まだ転校してない。だからまだ俺はSOS団その1だ。違うか?」 逃げようとする素振りを見せなくなったことを確認して、俺はハルヒの手を離した。 「遠距離恋愛になることはわかっていて、それで相手が仮にOKしてくれたとしてだ。俺はその子とどういうつきあい方をすればいいと思う?」「……そうね、例えば一年間遠距離で我慢して、二人で一緒の大学に行くとかすればいいんじゃない?」おい、何だかお袋と同じ事を言い出したぞ、コイツは。 「そう……だな。でもな、向こうと俺の学力差はいかんともしがたい」「何言ってるの。そんなもん一年もあればなんとか差を詰められるわよ。まああんただったら死ぬほど努力しないといけないだろうけど」これもお袋と同じ回答だ。実は気が合うんじゃないか、こいつら。う~~ん、一緒の大学か……行けたら絶対楽しいだろうな。しかし…… うんうん唸っている俺を呆れたように見ていたハルヒは、盛大にため息をついた。 「……わかったわ。最後のアンタの願い、叶えてあげる!あたしがアンタの想い人との橋渡しをしてあげる!他ならぬキョ……団員その1の頼みだもんね!」いつもより50%減、空元気の笑顔。こんな顔を見るなら、この小芝居、うたない方が良かったな。 「あたしはね、恋愛感情なんて……って、これ前に言ったわよね。でもそれが病気だったとしても、そういう目標を決めたときは有効に働くのよ。つまり、あの子と付き合いたい、一緒の学校に行きたいって気持ちが有るなら、勉強にも身が入るってもんだわ」 くるくると指を回して歩きながら説明を始める。お得意のポーズだ。「そんなもんなのか」「そんなもんよ。で、相手の志望校はどこなの?」俺は、以前聞いたハルヒの志望大学の名前を口にした。 「あら、あたしと同じじゃない……ん?この高校であたし以外にあの大学を志望するような子って……もしかしたらアンタが好きな子って有希のこと?」いきなりそこで自分を選択肢から外すか。 「違う」「……ふ~~ん。でも、あんたと有希だったらお似合いよね。いつも有希のこと気にしていたみたいだし」「だから違うって、長門じゃない」……あれ?今一瞬長門の悲しそうな顔が脳裏をよぎったぞ? 「そっか。じゃああとは阪中さん……じゃないわね。全然そんな雰囲気じゃ無いしね。特進クラスの子?」「いや」「……まさかとは思うけど、男?古泉くんとか?」「断じて違う」『おやおや、それはひどいですね』古泉のにやけ口調が脳内で再生されたが、無視。 ハルヒは部屋を歩き回るのを止め、人差し指をビシッ!と俺の鼻先に突きつけてきた。「もう、誰なのよ?教えなさい!団長命令!」「そうだなぁ……じゃあヒントを出してやるよ」「あたしに当てろっていうのね?良いわよ!超・名探偵の名は伊達じゃないから!」意味分からん。それに何だ超・名探偵って。 「ヒントその1。同学年の女生徒だ」「……ぶつわよ」これだって立派なヒントだ、お約束だがな。 「ヒントその2。美人でスタイルも良い。成績優秀、運動神経抜群だ」「へえ~~、同学年にそんな子いたかしら?う~~ん……有希じゃないのよね……鶴屋さん……は違うし」鶴屋さんは既にご卒業されているのですが?「あ、分かった。引っかけ問題とはアンタもやるわね。確かに同じ学年とは言ったけど、同じ学校とは言わなかったもんね。佐々木さんでしょ?」「なんであいつが出てくるんだ?……違う」 佐々木は、親友以外の何者でもない。ああ、そういえば引っ越しのこと伝えてなかったな。今日の夜にでも電話しておこう。 「ヒントその3。これが最後だぞ?」「う~~ん、キョンに良いようにあしらわれているような気がするわ……ちょっとムカツクかも」そりゃあ良かった……しかし、ホントに気付いてないのかこいつ。 「そいつは、俺と同じクラスで」「……え?」「1年の時も同じクラスで、しかもずっと俺の後ろの席で」「そ、それって……」「不思議大好き、宇宙時や未来人や超能力者を探してる」「……」「SOS団の団長様だ」「……バカ」「俺は、涼宮ハルヒを好きなんだ」 やっぱり恥ずかしいな、こういうのは。思わずハルヒから目を逸らしてしまった。でも、俺の本心を伝えることが出来た。とうとう……と言うより、やっと、だがな。ハルヒはと見れば、プチトマトより赤くなっていやがる。こういう所だけ見れば、普通の美少女女子高生なんだが。 「……却下……」「……何?」 おい、まさか拒否られるとは思わなかったぞ?まてまてまて、じゃあさっきのおまえの告白は何だ??もしかして夢を見ていたのは俺の方か? 「……却下だって言ってるでしょ、このバカキョン!平団員が団長に恋心抱くなんて…その、SOS団規則その3に抵触するわ!団員の恋愛禁止!」ハルヒは俺にびしっと人差し指を突きつけてきたがその顔はまだ赤いままだ。 いや、それより俺の方が問題だ。 両思いのはずなのに告白を断られたっていう混乱から抜け出せない。深刻だ。やばい。体が、小刻みにガタガタ震えているのがわかる。頬を暖かいものが伝う。涙? 「え、キョン?……その……あの……あたし本当に嬉しかったよ?」そんな俺の表情を見て、慌ててハルヒが声を掛けてきた。 ……気遣わないでくれよ、おおおおお俺はだだだだ大丈夫だ。良かったな、おまえの告白斬り伝説にもう一人、キョンっていう間抜けなあだ名の奴が加わったぜ。もういい、ほっといてくれ。 「……ねえ、キョン?」「……何だ?」いかん、声が震えてる。俺の声じゃないみたいだ。「聞いて欲しいことがあるんだ」ハルヒは俺の目を見てからそっと、俺の手を握った。 「さっき、あたし夢見てたの。キョンにあたしから告白する夢」ハルヒから俺に告白したあの時のように、真っ直ぐに俺の顔を見ながら話し始めた。 「あたしもアンタが好き。たぶん、一年生の時に、初めて話しかけてくれたときから、アンタのことが好きになってたんだと思う」「……」「だから、アンタがあたしに告ってくれたのは嬉しい。本当に嬉しい。この状況を何度夢に見たか、アンタに教えてやりたいくらい」 そこでハルヒは、手を離して後ろを向いた。 「でもね、さっきの話じゃないけど、遠距離恋愛になっちゃうんだよ?GWとか長期休みの時はともかく、簡単には会えなくなるのよ?……あたしは、そんなのはイヤ。あたしは好きな人とはいつも一緒にいたいし、デートの時は手を繋ぎたい。一緒に、同じ道を歩んでいきたい、そう思っているの。でもね……遠く離れてしまったらそれが出来ない。手を繋ぎたくても繋げない。もしかしたら……相手の心が離れていくかもしれない。そんな思いまでして……アタシがあたしでいられなくなるなら、恋愛なんかはしたくない。恋愛感情なんかは、最初から無かった方が良い。だからあたしは……アンタとは付き合えない」 ふと頭の中に『一途』という言葉が浮かんだ。そうか、こいつは、実は古風な考えを持っているんだ。そういえば、いつか古泉が言ってたな。『涼宮さんはきわめて常識的な一面を持っています』 そっか。なら俺も答えなきゃな。答えなんか、これしかないじゃないか。 「……一年だけ待ってくれないか」「……え?」「つまり、俺が頑張ってハルヒと同じ大学に合格すればその時は、晴れて付き合ってくれるって事だろ?」「……本気?」「ああ、目一杯本気さ。俺だって、これから行く見知らぬ場所よりも生まれ育ったこっちの方が良い。それにハルヒと付き合えるんなら、一年間死ぬほど勉強しておまえと同じ大学に入ってやるくらい、容易いことだ」 「本当……?嘘じゃないわよね?」「土壇場の俺の頑張りを、おまえは知ってるだろ?安心しろ、俺は絶対におまえの側に戻ってくる」 突然ハルヒが抱きついてきた。俺の胸に飛び込んできたその小さな体を、ゆっくりと抱きしめた。「……このバカキョン……戻ってこなかったら死刑なんだから……」小さく震える肩。ああ、コイツのためなら1年間の受験勉強なんて児戯に等しいさ。「……死刑はイヤだからな。わかったよ」 夕日が差し込む部室の中で、俺はハルヒとキスをした。 下校途中のことだ。 「……ねぇ、キョン。何時引っ越すの?」「ああ、予定では終業式が終わって1週間くらいしてからだ」「意外と遅いのね」「だが、俺はその前に向こうの高校の編入試験を受けなきゃならん。終業式が終わってから、すぐ向こうに行って試験受けて、またこっちにトンボ帰りだな」「ふ~~ん。で、受かる自信はあるの?」「何ともいえんが、公立校らしいから大丈夫さ」実はあんまり自信が無いんだがな。 その言葉を聞いたハルヒは、俺の前に回り込んだ。「キョン、あんたはその高校の成績トップクラスに入らなきゃだめよ!仮にもSOS団団員その1とあろうものが普通の成績で満足するのは無しだからね!でないと、あたしと同じ大学なんて100万年掛かっても 絶対無理だから!その高校のトップに君臨しなさい!これは団長命令よ!」いや、無理だって。今回の試験だって多分ギリギリだし。それだっておまえや長門、古泉の協力があってこそ何とかできたようなもんだ。 「何言ってんの?あたしの志望大学に現役で入ろうなんて、公立高校ならトップクラスの成績じゃないとだめなのよ?そこら辺わかってんの?」すいません、さっきの部室での誓い、撤回して良いですか?だが、そんな弱腰な台詞なぞ言えるわけもなく。 「わかったよ。せいぜい努力するさ」 ハルヒはいつもの100Wの笑顔を見せて、こう言い放った。「終業式まであんまり時間無いけど、明日からSOS団全員でアンタの勉強見てあげる。うん、決まり!」 いや、待て待て待て。俺には安息の時間はないのか?「却下。時間に余裕はないのよ。ああ、それと引っ越しの時は、勿論SOS団全員で手伝ってあげるから!あ、そうだ、鶴屋さんを呼ぶのは確定として……」おそらく引っ越し時には、俺のプライバシーが尽く白日の下に晒されるんだろうな。……と、その前に愛用のDVDと写真集を谷口あたりに預けておかなきゃな。 その夜、俺は佐々木に電話を掛けた。もちろん引っ越しの連絡をするためだ。 「珍しいな、キミから電話を掛けてくるなんて。一体どんな話で僕の好奇心を満たしてくれるのかい?それとも何か相談事かな?涼宮さんたちと喧嘩でもしたとか?」佐々木、実はな……昼間ハルヒに話したことと全く同じ事を伝える。 「……本当かい?嘘をついても許される日は、まだ先だと思っていたのだが」本当だ。学校でもそのことで一悶着有って、大変だったんだぞ。今日一日のダイジェストを佐々木に話すと、さもおかしそうに相づちを打つ。 「ふむ、なるほどね。涼宮さん相手だとキミも大変だ」まあな。それでも、ずいぶんアイツは大人しくなったんだぜ? 「それにしてもキミが転校するなんてね。正直驚いたよ……ああそうか、なるほど、うーん。もしかしたらこれが僕に取っての分岐点かもしれないんだな」は?何言ってるんだお前?一人で納得していないで、俺にも教えてくれよ。 「くくっ、いや気にしないでくれ。そうそう、キミも僕も受験生なんだから勉強を頑張らなくてはいけない。僕は、キミとまた会える日を楽しみに、日々勉強しているんだからね。じゃあ、お休み」 そう言って佐々木との電話は切れた。 くそ、訳のわからんこといいやがって。寝る前だってのに、頭が冴えてきてしまったじゃねーか。
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