るろうにKYON
「ただの人間には興味ありません!この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたらあたしのところに来なさい!以上!」 唐変木な力を持つ女子高生・涼宮ハルヒによって織りなされるストーリー。『涼宮ハルヒの憂鬱』俺は一般人で、長門が宇宙人、朝比奈さんが未来人、古泉が超能力者。 今回の話は本編とは全く無関係のフィクションだ!だから設定は気にせず気楽に観てくれ! それではスタート! 明治維新から5年がたった。明治政府の発布した廃刀令により侍の数は減っていった。だが各地では明治政府に不満をもった士族たちが暴れまわり政府は手を焼いていた。 俺の名前はキョン。今は数少ない侍の一人だ。別に俺には明治政府と士族の争いにも興味はない。俺はただ平穏な場所を求めて日本中を流れている。ある村に立ち寄ったときの話だ。俺は腹が減り目の前の蕎麦屋に入った。「いらっしゃいませ~♪」そう俺を迎えてくれた女の人はこの世のものとは思えないくらい美しかった。「なににいたしますか?」蕎麦なぞいらんからあなたの名前を教えて下さい!とつい答えそうになった。「かけそば一つ」「はぁ~い」微笑んだ顔は見るだけで腹がいっぱいになるようだった。たまには目の保養も悪くないな。しばらくすると先ほどの看板娘が俺のもとに蕎麦を運んできた。「ごゆっくりどうぞ♪」ええ、あなたを眺めてられるならせいぜいゆっくり食べさせてもらいますよ。俺が蕎麦に箸をつけようとしたときいきなり怒鳴り声が聞こえた。「こんなまずいもん食えるか!!」声のする方向をみるとガラの悪そうな3人組が店の椅子を蹴飛ばしている。「や、やめて下さい!ほ、ほかのお客様もいるんです!」先ほどの可愛い看板娘が怯えながら注意している。「こんなまずい蕎麦なんて食えねえんだよ!酒持ってこいよ!」現代で言うならクレーマーってやつか、どこの時代にもいるもんだな…あ、そうだった俺は今この時代の人間って設定だ。読者のみんな、先ほどの言葉は忘れてくれ!しかし蕎麦屋に来て酒を要求なんて無茶なやつらだな。「お、お酒なんてありません!お代は結構なのでお帰り下さい。」怯えながらながらも残った力を振り絞って注意する看板娘。その姿は十分萌えに値する。だがその言い方だと相手の感情を逆なでする感じでマズくないか?案の定、ゴロツキ3人組の表情が強張る。「あん?帰れだあ?俺たち士族に向かっていい度胸してんなお姉ちゃん!」3人組は立ち上がり看板娘を睨みつける。「・・・ひっ・・」看板娘は怯えている。「うるさいわね!蕎麦くらい静かに食べなさいよ!ぶっ飛ばすわよ!」ゴロツキたちの近くにいた娘が立ち上がった。頭に変わった髪飾りをしている着物を着た娘だ。「あん?誰だてめえ!それ以上愚弄すると斬るぞ!」ゴロツキの一人が刀を抜きながら言った。「ハ、ハルヒちゃん・・・」看板娘の知り合いなのだろうか?看板娘は立ち上がった娘をなだめている。「上等よ!相手になってやるから表に出なさい!」その気の強い娘は3人にそう言うと外に出ていった。「生意気な小娘が!斬り殺してやる!」3人組は娘に続いて外に出て行った。 やれやれ、面倒事に巻き込まれるのは御免だが女の子が危ないのに助けないわけにはいかない。俺は自分の刀を手にとり外に出た。だが俺が外で見た光景は予想を大きく裏切る光景だった。 俺が見た光景…それは先ほどの娘がゴロツキの一人に馬乗りになって殴りつけてる光景だった。「うりゃ~!あたしはあんたみたいな男が大嫌いなのよ!」ゴロツキの一人を殴りつけながら騒いでいる。残りの二人は唖然とした表情だった。「ぐはっ!お、おまえら何してる?こいつを斬れ!」殴られてる男は残りの二人に助けを求めてる。なんとも情けない光景だ。「お、おう!」残った二人は刀を抜き馬乗りになってる娘に一斉に斬りかかった!「死ねー!小娘!」気がつくと俺は自分の刀を抜いてその二人に斬りかかっていた。俺も一応侍の一人だ。それなりに剣技には自信がある。刀を持った二人を一撃で倒し、先ほど馬乗りで殴られていたゴロツキに向かって切っ先を突きつけた!「峰うちにしといてやった!とっとと消えろ!」「お、覚えてやがれっ!」そんなB級漫画の雑魚キャラが言うような捨てゼリフを吐き3人組は走って逃げていった。「おとといきなさい!軟弱男!」威勢のいい娘は逃げていく3人組に笑顔で投げかけた。すると周りで見ていた町人たちが一斉に拍手を始めた。「よっ!さすがハルヒちゃん!相変わらず強いねえ!」「ハルヒちゃんはほんとに頼りになるねえ。」いや、あんたたちも女の子に頼らないで助けてやれよ!と突っ込みたくなる。「こんなの大したことないわよ!」娘は町人たちに笑顔で応えると俺のほうを向いた。「助けてくれてありがと。一応礼言っとくわ!」「いや、いいんだよ。」「まぁあんたの助けがなくてもあんなやつらあたし一人で十分だったけどね!」娘は腕を組みながら自慢気に話す。「あんた、名前は?」「俺に名なんてないさ。まぁキョンとでも呼んでくれ。」「キョン?変な名前ね。・・・あぁ、あたしはハルヒよ!」ハルヒ…こいつはどこの時代でも同じ性格なんだな…「ハ、ハルヒちゃ~ん・・・」看板娘が今にも泣きそうな顔でハルヒに抱きついていた。ハルヒは看板娘の頭を撫でながら笑顔で対応している。「よしよし、もう大丈夫よみくるちゃん!」なるほど、看板娘の名はみくるさんと言うのか。女の子が二人で抱き合っているのは実に目の保養になる光景だ。「じゃあ俺は食べかけの蕎麦でも食べようかな。」中に入ろうとするとハルヒが話しかけてきた。「あんた流れ者?」「ああ、そうだが」「そう、あたしの家この先で宿やってるの。助けてもらったし今夜は特別にあたしのところに無料で泊めてあげるわ!」正直今の俺には助かる。宿代が浮くからな。 適当にブラブラしてるうちに辺りはすっかり暗くなっていた。「さて、そろそろ宿に向かうか・・・」先ほどの娘が無料で宿を貸してくれるらしいので俺はお言葉に甘えるため宿に向かった。「・・・ここか」宿に着き中に入ることにする。「いらっしゃーい♪」出迎えてきたのは先ほどの娘・ハルヒだ!「あっ、キョン!来たのね。」「無料なんだよな?」「もちろんよ!命の恩人からお金を取ったりしないわ!」「じゃあこちらへどうぞ。」中に案内され隅の小部屋に連れていかれた。「この部屋好きに使って頂戴!」そう言ってハルヒは戻っていった。「やれやれ」俺は部屋に腰を下ろすと辺りを見回した。部屋には女の着物などが飾ってある。散らかってるしホントに客間かどうかも怪しいもんだ。だが屋根がついてるだけマシだ。ハルヒには感謝しないといけないな。さてと、突然だがここで問題だ!俺はこのあとどうすると思う? 感の良い読者なら気づいただろう。もちろん寝るだけさ。 「ねえ、キョン!ちょっと起きて!」やかましい声で目を覚ますと目の前にはハルヒがいた。「大変なことになったのよ!みくるちゃんが!」「ん・・・どうした?」「みくるちゃんが誘拐されたの!」「なんだって!?」ハルヒの話によるとみくるさんが夜道を歩いているとき何か得体の知れない集団に拉致されたらしい。「・・・どうしよう・・・みくるちゃんになにかあったらあたし・・・」「相手には心当たりはないのか?」「みくるちゃんは可愛いから連れ去ろうと思うやつなんて沢山いるわ。」どうやらお手上げらしい。「とりあえず今知り合いの娘に頼んで調べてもらってるの。」「知り合い?」「ええ、あたしの知り合いに元・御庭番のくの一さんがいるの。」今俺たちにできることはない。とりあえずそのくの一とやらの報告を待つことにしよう。 1刻ほど経った…気がつくといつの間にか部屋の隅に黒装束の小柄な女性が立っていた。つーかいつの間に?「有希さん!」ハルヒが声を荒げる。「有希さん?知り合いか?」「さっき言ったくの一の人よ!」なるほど、確かにくの一にも見えなくはない。「有希さん。何かわかった?」更に声を荒げるハルヒにそのくの一は無表情で淡々と応える。「朝比奈みくるは現在材木問屋の古泉屋に捕らわれている。目的はおそらく朝比奈みくるそのものを手に入れることであろう。」材木問屋?古泉屋?俺にもわかるように説明してくれよ!「古泉屋の一人息子のいつきってやつがみくるちゃんのこと好きなのよ!」「だから拉致したってか?」「強引に女の子を引き込もうなんて許せないわ!」まぁあれだけ可愛いと引き込もうとする気もわからんでもない。「私の役目は終わった。失礼する。」一言そう言ってくの一は消えていった。「許せない!あたし行ってくる!」「まぁ待てよ。行ってどうするつもりだ?言って素直に返してくれるなら拉致なんてしないだろ?」「だったら実力公使よ!古泉屋の連中とバカ息子をぶん殴ってみくるちゃんをかっさらってくるわ!」「おまえ一人でか?よせよ!」「止めないでよキョン!」「止めねえよ。俺も行く!」正直面倒事は御免だが女を力づくで奪おうとする野郎は許しちゃおけねえ。「足手まといにならないでよ!」怒り顔のハルヒは今にも爆発しそうだ。「ほら!さっさと行くわよキョン!」まさに猪突猛進だな… 古泉屋は予想以上にでかかった。ハルヒは門番の首筋に向かっていきなり跳び蹴りを放った。門番を気絶させると門を蹴飛ばし中に入り始めた。中に入るとハルヒの感だけを頼りに進む。しばらく進むと灯りのついた屋敷が現れた。「・・・ここね」ハルヒは躊躇なく屋敷に乗り込む。仕方ないので俺もついていったさ。 「妙だな・・・誰もいない」不気味に静まり返った屋敷内。するとハルヒが何かを見つけたように庭を指差す。「キョン!いたわ!みくるちゃんよ!」庭をみるとみくるさんとその隣に端正な顔つきの美少年がいた。「(なるほど、あいつがバカ息子ね)」ハルヒは大きく息を吸い込むとバカ息子に向かって怒鳴り始めた。「こらぁ!あんたなにやってんのよ!みくるちゃんをどうする気?」その美少年は微笑みながらこちらを向く。「おやおや、涼宮さんではありませんか。こんな時間になんのようです?」要件ならさっきハルヒが言った気がするがこいつは話を聞いてないのか?「みくるさんなら渡しませんよ。彼女は僕のものです。お帰りください。」ハルヒの顔が再び怒りに満ち溢れる。「男なら正々堂々と告白しなさい!みくるちゃんを離さないならこっちも力ずくでいくわよ!」すると向こうの屋敷から大勢の浪人が刀を手に現れた。「坊ちゃんを愚弄する不届き者め!成敗してくれるわ!」やっと俺の出番だな。本編では少ない俺の活躍をよく見ててくれ。庭に集まった浪人たちはざっと15人はいるだろう。そいつらはかけ声とともに俺に襲いかかってきた。「やれやれ」俺は刀を抜くと刃を峰にして先頭のやつに斬りかかる。襲いかかってくる浪人たちの攻撃をかわしながら俺は一人一人仕留めていく。「こらぁ!キョン!あたしのぶんも残しなさーい!」ハルヒが俺の戦闘を見ながらやじをとばす。 結局俺はハルヒのぶんも残さず全員倒してしまった。俺は一息ついて刀を納めた。「さあ、もうあんた一人よ!観念してみくるちゃんを離しなさい!」「それはどうでしょうか?」そいつは再び微笑してこちらをみる。気がつくと俺の腹に手裏剣が刺さっていた。「ぐふっ・・・誰だ!」屋根の上をみると青い髪のくの一らしき人物がこちらをみている。「体がうごかねえ。毒を盛ってやがったな!」「キョン!危ない!」ハルヒの声で上をみると先ほど屋根の上にいたくの一がいままさに俺にむかって刀を振りかざしている。だが俺の体は動かない。率直に言おう。終わったね。覚悟を決めた俺だったが相手の攻撃は俺に届かなかった。何故かって?防いでくれた人間がいたからさ。そうこの顔はさっき宿でみた無表情。「有希さん!」ハルヒがそう叫んだ。彼女は俺を一瞥して一言「心配いらない、彼女の相手は私が引き受ける。」2人のくの一は戦いながら夜の闇へと消えていった。「さぁ、今度こそあんた一人よ!みくるちゃんを離しなさい!」男に詰め寄るハルヒ。バカ息子はとうとう観念したようで両手をあげると「ふぅ・・・仕方ありませんね。降参しますよ。」すると看板娘のみくるさんがハルヒにむかって抱きつき泣き始めた。「うぇ・・・ハルヒちゃ~ん」「よしよし、みくるちゃん泣かないの!」「今回は僕の負けですがつぎは容赦しませんよ。」こんな会話を聞きながら俺の意識は徐々に遠のいていく。「キョン?しっかりして!」そう言ってハルヒは倒れた俺の手を握ってくれている。「ハルヒ・・・俺はもうだめだ・・」自分でもわかる、これは助からないと…「・っ・・キョン。ダメ・・・絶対死んじゃだめだからね・・」ハルヒが俺のために涙を流している。ハルヒでも泣くことがあるんだな。 そうして俺はとうとう力尽きた。 目が覚めるとそこは部室だった。「お目覚めですか。よく寝ていましたよ。」ん?古泉?古泉の隣には長門と朝比奈さんがいた。「俺は確か毒で・・・」「なに寝ぼけてんのよバカ!」ハルヒの声が聞こえる。目をやると団長机に足を組んだハルヒが座っている。なんだ夢か…「大体あんた部室になにしに来てんのよ!つぎから寝たら罰金だからね。」俺はハルヒを見つめる。「な、なによ?」さっきまで俺の手を握って涙を流してくれたハルヒが頭に浮かぶ。俺はつい聞いてみたくなった。「なぁハルヒ。」「・・・なによ?」「もし俺が死んだら涙を流してくれるか?」「バカらしいこと聞かないでよ!なんであんたなんかに・・・」そうだな。確かにバカらしいことを聞いた。答えはわかってるさ。ハルヒは俺のために涙を流してくれるか。その答えはあの夢の中にあったんだからな。
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