古畑任三郎 VS SOS団 事件編(後編)
SIDE 長門
以前撮影した映画の衣装を着て、朝比奈みくる、古泉一樹と共に寸劇をしていると、舞台袖に涼宮ハルヒ、そして彼が戻ってきた彼の方を向くと彼と目が合った。すると彼は頷いた。……成功したようだ。
生徒会長を殺害したのならば、もうこのイベントを続けることに意味はない。涼宮ハルヒもそう考えたのか、早々に結果発表へと移った。結果は、寸劇で見事に演じたということで私が優勝。……何故?参加者は文句を言っていたが、朝比奈みくるが私の頬に接吻をするのを見ると、何故か満足そうに引き上げていった。
イベントも終了し、後片付けをすましたら、ここからは私の役目となる。
ハルヒ「じゃあ、一旦解散ね。そして夜の9時、またここに来ましょう。」キョン「長門、一人で大丈夫か?」長門「……大丈夫。」古泉「警備員などに見つからないようにしてくださいね? まあ長門さんならばそんな心配はいらないだろうから。」ハルヒ「じゃあ有希!後で来るから、待っててね!」長門「コクリ」
そう、私の役目は、『待機』。私達は夜の学校でさらにすべきことがあるが、校門を乗り越えることは出来ても鍵のかかった体育館に侵入することは非常に困難。だから私が体育館に残り、時間になったら内側から鍵を開け侵入のサポートをする手筈だ。
みんなが去り、私は一人になった。今回の行動について情報統合思念体にアクセスし報告をする。……結果、今回の行動は望ましくないという返答を得た……どうして?これで私はこの事件に関しての情報操作、情報確認などが一切できなくなってしまった。
それでも私は、この行動をやめることは無い。涼宮ハルヒ、朝比奈みくる、古泉一樹、そして……彼。彼らと共通の目的に向かって行動することは、私に暖かなエラーを与えてくれる。そのためにも私は自らに与えられた役目を果たす。警備員が来ると困るため、私は身を隠し、持ってきておいた本を開いた。
SIDE キョン
夜の9時。長門を除いた俺達4人は学校の前に集まった。
ハルヒ「ここからが大事なのよ。みんな……いいわね?」
分かってるさ。ここで上手くやらなきゃわざわざ会長を呼び出したり、妙なイベントを開いた意味もなくなるからな。早速校門をよじ登って侵入する。俺、ハルヒ、古泉は軽々とよじ登ったが、朝比奈さんが登るのに手間取っていた。
ハルヒ「あーもう、掴まりなさい!」みくる「すいませーん……」
ハルヒが朝比奈さんを引っ張り上げる形で、なんとか朝比奈さんも校内に入ることが出来た。俺としては校門の前で頑張る朝比奈さんも実に和むのでながめていても良かったが、いかんせん人に見つかっては元も子も無い。俺達は体育館へ急いだ。
ドンドンドン!
体育館の扉を三回叩く。あらかじめ決めておいた合図だ。間を置かずに扉が開き、長門が顔を出した。
長門「……待っていた。」
体育館に入った俺達は、真っ先に会長を殺した部屋に向かった。その部屋では俺が殺した時そのままの姿で、会長が横たわっていた。
みくる「……。」
朝比奈さんを見ると青ざめている。無理はない。でも気味悪がっているヒマも無い。早いうちにやることをすましてしまわないと。古泉と二人で、会長の死体を持ち上げる
キョン「うっ!」
結構重いんだな……二人がかりでも。とりあえず早く目的の場所まで行かないと。体育館から離れた場所にある旧校舎の三階の、1番奥にある部屋。旧校舎用のカギは体育館に置いてあったから、楽に入れた。その部屋についた俺達は、死体を首吊り死体のように吊るした。ここは授業でも部活でも使われることはない、物置と化している部屋だ。だが掃除されてはいるだろうから、明日の掃除の時間には発見されるだろう。
そう、無駄なイベントを開いたり会長を呼び出したり、夜学校に集まって死体を移動させる理由は全てここにある。学校内で最も体育館から離れているこの場所で、『ここで』首を吊って死んだように見せかける。恐らく警察が死亡推定時刻とやらを出すだろうから、その時間最も離れた場所でイベントをしていた俺達にアリバイが出来るって寸法らしい。ハルヒと古泉で打ち合わせして作った計画だ。
さて、死体も吊るして、ようやく全てのことが終わった。今は旧校舎内を出口に向かって歩いているところである。
ハルヒ「これで終わったわね……みくるちゃん、大丈夫?」みくる「はい……」
朝比奈さんはさっきよりも更に青ざめていた。早く休んだ方がいいだろう。出口への足取りを速めようとした、まさにその時だった。
ドサッ…
ハルヒ「……今、何か聞こえなかった?」
ああ、確かに聞こえたな……なんだ?
古泉「あの部屋で、何かあったのでしょうか?」長門「………」
ハルヒ「私、見てくるわ。みんなは先に戻ってて。」
待てよハルヒ。俺も一緒に行く。古泉と長門は朝比奈さんと一緒に先に外に行ってくれ。調子悪そうだからな。
長門「わかった。……気をつけて。」
わかってるさ。さ、行くぞハルヒ。
そして俺らは、会長の死体を吊るした部屋へと戻った。すると……
ハルヒ「落ちてる……」
そう、吊るした死体が、床に落ちていたんだ。吊るしていたはずのロープは、ちぎれている。
キョン「ロープが弱かったんだな……身体を支えきれなかったか。」ハルヒ「もう今はロープ持ってないし……しょうがないわ。このままにしておきましょう。」キョン「そうだな……」
首吊りの方が自殺に見えただろうが、こうなった以上は仕方が無い。俺達はそのまま部屋を出て、旧校舎を出て、学校を出た。学校の前では古泉が立っていた。長門と朝比奈さんはいない。
古泉「お疲れ様です。どうなっていました?」キョン「ああ、ロープが切れてしまってたよ。弱かったんだろうな。 ……長門と朝比奈さんは?」古泉「朝比奈さんが調子悪そうでしたので、長門さんが家まで送りました。」キョン「そうか……。大丈夫だと良いけどな。」ハルヒ「とにかく……これで全て終わったわね。」
そう、これで終わるはずだった、俺達の計画は。だが……そう簡単に終わらせてはくれなかったのだ。
ある1人の刑事が、俺達の前に現れたからな。
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