Black Lily・第五章
翌日は日曜日だ。 ハルヒから何かすると聞かされてもいなかったので、その日は月に一度あるかどうかのノースケジュールデーになるはずで、昨日に続いて寝坊するつもりだったのに俺が目覚めたのは早朝だった。 「さみぃ」 放射冷却でガンガンに冷えた外気が屋内にまで到達していて、床の冷たさに俺は身を震わせた。 いくら何でも寒すぎると思いカーテンを開けると、外は灰色と白の二色世界になっていた。「雪かよ……」 天気予報に特別注意を払ったりしていなかったが、積雪は五ミリくらいには達しているようで、雪の降る日特有の静けさが街を包んでいた。「へっくしっ」 一昨日のウェイトレス朝比奈さんばりに俺はクシャミをして、窓を閉めた。 こんだけ降るのは何年ぶりだろう。このあたりはみぞれにはなっても降雪となるとそう何度もなく、まして積もることなど滅多にない。 俺は一階に下りると一瞬で外に届いた新聞を取った。……しかし寒い。 居間に戻り時計を見る。 六時八分――。 いくら何でも早起きしすぎだった。平日より一時間半も早い。どうしてこんな朝っぱらから起きちまったんだろうな。不思議とそんなに眠くないが。 新聞を広げてどこともなく紙面を眺め、何の気なしに俺はリモコンを取って電源ボタンを押した。
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