Black Lily・第四章
翌日。「何読んでるんだ?」 休み時間にトイレから戻ると、カバーつきの文庫を読んでいた由梨が目に止まった。「解体新書」 医学書かよ。「おもしろいか?」「べつに」 そうかい……。ん、何か懐かしいやり取りだな、これ。「本、自分で買ったのか?」「姉に借りた」 何とまぁ。有希が貸したのだろうか? にしては趣味がオカルトだが。「このクラスには慣れたか?」「べつに」 こいつの口癖は「べつに」なのだろうか。中身も長門そのままかと思いきや、微かに違いがあるようだ。「あなた」 受け答え一方だった由梨が、本から目を離さずに言った。何だ?「長門有希は好き?」「なっ!」 何を言い出すんだ!? というか、話に何の脈絡もない。それもあれか、調査の一環か?「周囲の人間との関係についての理解も必要。感情と呼ばれる概念についてわたしは理解しないが、事実は把握しておく必要がある」 由梨の背中から妙なプレッシャーを感じる。ノーコメントってのはダメ……なんだろうな。
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