涼宮ハルヒの方舟 第3話
第3話 ~もう1人~
そろそろ俺達が崖から落ちてから10分程経っただろうか。朝比奈さんはまだ俺の胸に気持ち良さそうに顔をうずめていた。とても嬉しいことだがそろそろ俺たちも竹をとりに行かんとまずいな。「朝比奈さん、そろそろ行きましょう。もう時間が…って!えっ!?」「ふえっ!?どうしたんですかキョンくん?」どうしたもこうしたも手元の時計で計ってみたところ、もう集合時間まで1分をきっていた。どうやら朝比奈さんと寝転がっている内にかなりの時間が経っていたようだ。しかもここから集合場所までは俺一人で走ったとしても5分はかる。「緊急事態です朝比奈さん。もう集合時間まで1分も有りませんよ!」「ええ!!ほ、本当ですかぁ!?い、急がないとキョンくん!」「分かってますよ。行きましょう朝比奈さん。」「はい!あ、いたっ!!」「大丈夫ですか!?朝比奈さん!!」見るとなんと朝比奈さんのお美しい足に青アザが出来ており、朝比奈さんはそこを抑えてうずくまっていた。どうやら落ちたときに強く足を打ちつけてしまったらしい。くそっ!俺がしっかり守ってあげられなかっっただからだ。「あ、大丈夫ですよこれくらい。ほ、ほら…」と言って立ってみせる朝比奈さんだが、足はぷるぷる震えてるし、顔には苦悶の表情を浮かべていおり、心配させまいと強がりを言っているのは明らかだった……すみません朝比奈さん。俺が不甲斐無いばっかりに。「わ、わ、わ、な!何ですか!?キョ!キョンくん!!?」俺は朝比奈さんの背中に腕をまわし、そのまま肩を軽く掴み、さらにもう一方の空いたほうの手で両足を持って、そのまま朝比奈さんを持ち上げた。まぁつまり、俗にゆうお姫様だっことゆう体制になっていた。朝比奈さんはシャミセンを無理やり持ち上げた時のように暴れていた。しゃあない…「足怪我してるんですから、無茶しちゃだめですよ。」「で、でも…恥ずかしいよぅ…」それでもまだ少し暴れる朝比奈さん。こうなりゃ奥の手だ。「良い子ですから、暴れないでください。ね。」俺はの肩を支えていた手を朝比奈さんの頭に持っていって、そのまま頭を撫で、朝比奈さんに顔を近づけて耳元で囁いた。「ぇ?ぇ?ふぇ?………は、はい…」朝比奈さんは真っ赤になって俯いてしまったが、やっと大人しくなってくれた。
俺も落ちた時に腰を痛めていたのであまり早く動けず、結局集合場所に着いたのは集合時間をすでに10分も過ぎてからだった。あぁ…きっとハルヒのやつにとんでもなくぶちぎれられるんだろうな…そして今日の昼飯代は俺もちなんだろうな……しかしハルヒは何にも言ってこず、その上ただ俯いているだけだった。しかしハルヒの代わりに古泉と鶴屋さんが声をかけてきた。「遅かったではありませんか。それよりどうなさったんですかその体勢は。」「こらキョンく~ん!!みくるにおいたしちゃだめって言ったろ~!」とりあえず俺が朝比奈さんをお姫様だっこしているのをつっこまれた。まぁ当然だな。「ところで笹はどうしたにょろ!?」「もしや朝比奈さんがあなたの笹だとでも言うんですか?あなたもずいぶん気障になられましたね。」勝手に気障ったらしい事言い出すんじゃねぇ古泉。「さっき鶴屋さんにお会いしましたよね。実はそのすぐ後に後ろにあった崖に落ちちゃいましてね。はは…」苦笑しながら言うと、鶴屋さんは笑うのを堪えている様な顔をしていたが、それでも少し心配そうな目で朝比奈さんを見ていた。「ぁ、だ、大丈夫ですよ。キョンくんがわたしのこと抱きしめて守ってくれましたから。ちょっと足を打っちゃっただけで…」と、朝比奈さんは鶴屋さんを安心させようとして言った。少しポーっとしていたように見えたのは俺の自惚れか? その時長門が朝比奈さんを血走った目で睨んでいた様に見えたのはきっと気のせいだろう…うん!きっとそうに決まってる!「凄いですねあなたは、落下している人間を空中で抱きしめて身を挺して守るなんて…どこのスーパーマンですかあなたは。」「いや~本当だよぉ!!凄いよキョンくん!!」「本当に格好良かったんですよんですよ、キョンくん。」「いやいやたまたまですよ。」「そうご謙遜なさらずに、そんなことが出来るのは新川さんだけだとおもっtぶふっ!!?」気になる言葉を残して突然古泉が吹っ飛びそこから長門が現れた。「………………………」長門は確かにいつもの無表情だったがその周りからは確実に殺意を更に5段階位飛び越えた様な明らかに危険な空気が漂っていた。あの~な、長門さん。いったいなな何をそんな怒ってらっっしゃるんですかぁ?思わず朝比奈さん化してしまう程長門は大迫力だった…すると突然長門は朝比奈さんに手を掲げ、例の超高速呪文を唱えだす長門。その間朝比奈さんは本気で泣いており、恐怖のあまり俺に抱きついていた。そして長門の呪文が終わった。「もう足は痛まないはず…」突然の長門の一言に呆然とする朝比奈さんと俺。成る程さっきの呪文は朝比奈さんの足の怪我を治してくれたのか。「あなたは今すぐ彼から離れるべき。」「ふぇ!?は!はいぃ!!」朝比奈さんは長門の恐怖のオーラに当てられて、慌てて俺から飛びのいた。古泉苦笑しつつもにやにや。鶴屋さん大爆笑。「ちょっとあんた達、いい加減笹を審査するわよ」さっきまでずぅぅっと黙っていたハルヒがやっと喋った。しかしやっぱりどこか気だるそうな感じだった。「ああ、そうでしたね。すいません。それでは新川さん、お願いします。」長門にぶっ飛ばされて倒れていたはずの古泉がいつのまにか俺の横に立っていた。「かしこまりました。それでは笹をお出しください。それではまず涼宮様と鶴屋様からどうぞ。」そう言われたハルヒは暫くの間ボーっとしていたが、鶴屋さんに小突かれて、はっとした様に鶴屋さんと何処からか笹を取り出した…ハルヒと鶴屋さんの笹は素人の俺から見ても素晴らしさが分かるほどの物だった。「ふむ、これは何とも素晴らしい笹ですな。実に美しい…そして何よりこのでかさ。」そうなのだハルヒたちの竹は異常なほどでかく、そのでかさは軽く15メートルはあろうという物だった。一体何処から出しやがったんだ。新川さんは表情にこそ出していなかったが、いい笹を見れて少々興奮気味だったようだ。なんだ?この人はダンボールだけでなく笹にまで精通してるのか?「あ、新川さん。」「む、そ、そうでしたな…げふん、で、では次に長門様と古泉様の竹を。」古泉に言われ、気を取り直した新川さん。そして長門が笹を取り出した。何処からともなく…「「「………????」」」………………………………………………………………すまん…素直声が出ない。それは俺だけでなく新川さんと朝比奈さんもだった。鶴屋さんはなぜか腹を抱えて笑っており、古泉はいささか引きつった笑顔だった。そこには何が現れたのか?しかしソレはあまりに形容しがたい物体だったため俺にソレのについての意見を求められてもだいぶ、とゆうかかなり困る。とゆうか本当に笹なのかこれ?なぁ…長門…とゆうかこれは何なんだ一体?さっきは形容しがたいと言ったが、あえてここは言っておいたほうが良いな。おい長門。この触手だらけの植物のようなものは何だ?どう見たって危険な生き物にしか見えないぞ。「危険ではない。これはマン○ーター。」その名前じゃ余計危険にしか聞こえんぞ長門…つーか笹じゃないだろマン○ーターは…「マン○ーター?これはマン○ーターではない。ただのでかい笹。」うそ付け!さっきまで自分で言ってたじゃねーか。とゆうかこんな不思議丸出しみたいなもんハルヒに見せて良いのか?ん?何だ?ハルヒのやつ、どうしようもないくらいボーっとしてやがる。何なんだ一体?まあ気付いてないんならそれで良いんだが…「……審査を…」これは長門だ。「むぅ、これは難しい審査でした…しかし、今回の大会の審査対象が笹である以上!マン○ーターは審査対象とみなします。よって…涼宮様と鶴屋様の優勝でございます!」「やったにょろ~!!めがっさやったね!ハルにゃん!」飛んで跳ねて喜ぶ鶴屋さんだったが、ハルヒはなんだかいまいちの反応だった。いや、むしろ無反応に近かった。珍しい事も有るもんだな、ハルヒが勝負事に勝ったのに大喜びしないなんて。「ところでハルヒ、これからはどうするんだ?笹とってそれで解散か?」「………」話しかけたが、返事をせずにただボーっとしているだけだった。何だコイツは、いきなり無視か?「おいハル「それでは笹とり大会も終わったことですし、皆さん、昼食にしましょう!」俺がハルヒに声をかけようとしたら古泉のヤロウが割り込んで遮ってきやがった。一体何がしたいんだコイツは。しかし、俺が古泉に文句の1つでもぶつけてやろうとしたら、突然朝比奈さんがちょんっと俺の裾を引っ張って、上目遣いで俺を見上げていた。く~正直たまりません!!「キョンくん、お昼ごはんの準備をしますから、そのぉ…手伝ってくれませんか?」あなたにそんな顔で懇願されたらどんな無茶な注文だって受け付けますよ。「ふふ、ありがと。」そしておれは朝比奈さんと先に昼飯の準備(といっても昼飯自体は朝比奈さんが弁当を作ってきてくれたので折りたたみ式のテーブルと椅子を出すだけだが)をしている新川さんと鶴屋さんの所へ向かった。ふと振り返って見ると古泉は未だにボーっとしているハルヒになにやら話しかけていた。ん?長門はどうしたかって?あぁ、長門なら突然マン○ーターを引っ張って物陰に隠れたと思ったら、直後にすごい派手な音をたてだしたな…何なんだ?今度はマン○ーターと戦ってんのか、長門よ…
さて、昼飯の準備も終わってハルヒ、古泉、長門を抜いた俺たちは朝比奈さんがお作りになられた弁当をつついている。「どうですかぁ?変な味とかしませんか?」「安心してください、とてもおいしいですよ。」「本当ですかぁ?良かったぁ。」ああ、マジでうまい。この弁当こそきっと神の味という代物に違いない。と、暫くして長門が帰ってきた。ん?「おい長門。何だそれは?」長門は両手に料理の盛られた皿を持っていた。「……野菜炒め。」野菜炒め?なんだかいやな予感をひしひしと感じるんだが…「あなたは先ほどから何も食べていない。これはあなたに…」と言って長門は新川さんに野菜炒めを渡していた。「有難く戴きましょう。」と、新川さんは初孫の誕生を喜ぶ爺さんの様な顔で長門を見ながら言った。そんなとても嬉しそうな顔している新川さんを見ていると、とても長門の料理に文句なんて言えなかった。だから俺は小声で長門に聞いた。「おい長門、今度は何を入れたんだ?またミノタウロスか?」「今回はミノタウロスは使っていない。ただの豚肉…」「そうか、ところでマン○ーターはどうしたんだ?ん?野菜炒め?……おいまさか!?」「…………。」「あ!!新川さ「ぐっ!!がっ!?………ふっ…」バタッ「美味し過ぎて気絶した。」新川さんはのた打ち回った後に気絶した…朝比奈さんは半泣き状態、長門は新しい野菜炒めを取り出した。「朝比奈みくる、あなたはお弁当を作ってきた。これは私からあなたへの感謝の気持ち。あなたのはマンイーターだけでなく肉はミノタウロスを使っている。とても美味。」野菜炒めを持って本気で泣いてる朝比奈さん迫る長門。「こらこら、止めなさい長門。朝比奈さんが泣いてるじゃないか。」「何故?私は感謝の気持ちを表したいだけ。」「だとしても、マンイーターなんて、人間が食べたら死んじまうだろーが。それは自分で食べなさい。」「……そう、分かった………チッ、モウスコシデジャマモノヲケセタノニ……」「ん?なんか言ったか長門。」「何も。」はぁ、危なく朝比奈さんを見殺しにしてしまうところだった…「キョンく~ん。怖かったよぉ。」あ、あぁ!朝比奈さん。そんな急に抱きつかれたら、特大のバストが……あぁ、俺もう死んでも良いや。しかし長門は俺たちのそんな様子をとんでもなく鋭い眼光で睨んでいた。そんなこんなで騒いでるうちにハルヒと古泉がやってきた。「皆、そろそろ部室に戻るわよ。」「お前は昼飯を食わんのか?」「ええ、なんか食欲がわかないから良いわ。あ、ごめんねみくるちゃん、せっかくお弁当作ってくれたのに。」「あ、気にしないで下さい。」なんとあの食欲の権化のハルヒが昼飯を抜くとは。まして朝比奈さんの弁当を食わないなんてな。何かあったのか?それともこれも七夕パワーか?とゆうかやっと返事を返すようになったか…さっきまでのシカとの嵐は何だったんだ?
「さぁみんな!この短冊にお願いを書きなさい!」部室に帰ってきた俺たちにハルヒは短冊を配り叫んだ。因みに気絶していた新川さんだが…………………それは少し時間を遡ってあの山から帰る時の事。「ところで、新川さんはどうするんだ?やっぱり担いで連れて帰ったほうが良いのか?」完全にのびちまってる新川さんを指差しながら、俺は古泉に聞いた。しかしその答えは意外なところから返ってきた。「その必要はありません。新川はこちらで連れて帰ります。」森さんである。一体いつの間に…?「僕が呼んでおいたんですよ。新川さんが倒れてしまいましたからね。」「まぁ森さんが来ること自体は別に良い。だがな…森さんの後ろにいるその人たちは一体誰だ?」そう、森さんの後ろには黒いサングラスに黒いスーツを着たいかにも怪しそうなごつい男が二人も立っていたのである。「知っていますか?世の中には知らないほうが幸せな事とゆう事も有るんですよ。」古泉はいつもの爽やかな笑顔を少し邪悪なものに変えて言った。よく見ると、森さんも満面の笑みながらもその笑顔からは邪悪なものを感じ取れた。なんだか機関がとても恐ろしい組織に思えてきたな…そうして、新川さんは二人のこわもての男たちに厳かに運ばれていき、それに森さんも付いて帰っていった。………………とゆう訳である。「ん?おいハルヒ。今年は短冊は1つだけなのか?」ハルヒが短冊を配り終わってから俺は気づいた。去年は2枚も書いたのにな。「ええそうよ。よく考えてみればこうゆうのに科学的な理論は必要無いと思うのよ。」何だかんだ言ってはいるがただ単に10何年も待ってられなくなっただけじゃねえのか?「とにかく、こーゆのは気持ちの問題なのよ!だから1つで十分なの!」「やれやれ。」「あっ、それから自分の短冊は他の皆に見せちゃ駄目だからね。その方が願いが叶いそうだわ。」そう言ってハルヒは、脚立を使ってさっき鶴屋さんととってきた巨大な笹のてっぺんに自分の短冊を括り付けた。丁度俺も書き終わったとこなのでハルヒの後に括り付ける事にした。ん?何だコイツは…呆れた事にハルヒは俺の脇から横目で俺の短冊の内容を覗き見ようとしていやがった。「おい、短冊は自分以外見ちゃいけないんじゃなかったのか?」そう言うとハルヒは一瞬だけしまったって感じの顔をしたが、すぐにまた眉毛をキュルリと吊り上げ、俺を睨みつけてきた。「何言ってんのあんた!団長には団員がどんな願いをするのかしっかり確認する義務があるのよ!」「それじゃあ、俺の願いは叶わないんじゃないのか?」「猪口才な事言ってないで今すぐ見せなさぁぁい!」やれやれ、まったくコイツは…「お、そういや古泉が『涼宮さんをを嫁にくれ。』って書いてたぞ。」「えぇ!?ほ!本当に!?古泉君!」もちろん嘘だが。「い、いえ、そんな事かいてませんよ…適当なこと言わないで下さいよ。」よし、ハルヒが古泉に気をとられてる内に…俺は馬鹿でかい笹の特に笹の葉が多く茂っているところの一番奥に短冊を突っ込んだ。「ちょっとキョン!何適当な事言ってんのよ…ってあんた!短冊はどうしたのよ!まさか…もう吊るしちゃったなんて言うんじゃないでしょうね!」ああ、その通りだが。「な!?どこよ!どこに吊るしたのよ!?今すぐ取り出しなさい!」「こんなでかい笹持ってくるから見つからないんだよ。」その後もハルヒはぎゃあぎゃあ言っていたが、俺は鮮やかにその全てを無視し、朝日奈さんの煎れて下さったありがた~いお茶を堪能していた。全員が短冊を掛け終わった後に「じゃあもう今日はそのまま解散ね。」とハルヒがいった。やれやれ、やっと帰れるか…「ただしキョンとみくるちゃん。あんた達は笹とり大会でビリだったから罰ゲームよ!」はぁ、そういや最初にそんな事を言ってたな。どうせろくでもない事をさせられるんだろうな…「罰ゲームは荷物持ちよ!みくるちゃんは鶴屋さんの、キョンはあたしのを運んでもらうわよ。」何だそんな事でいいのか、確かに面倒だが定番ちゃあ定番だな。朝比奈さんもほっとした様に大きく息を吐いていた。「た・だ・し、みくるちゃん。あなたはそのメイド服のままで荷物持ちをしなさい!!」「え?え!?な!?なんでですかぁ?何でわたしだ「黙りなさいっ!」「ひぇっ!!」割合…いや、むしろかなり真剣な顔で朝比奈さんを睨むハルヒ。「何でそうなるのか自分の胸に手を当てて考えなさい!」とても困惑して、震えている朝比奈さん。そしてそれを睨むハルヒ。古泉が後ろで止めようかどうか迷っている様だった。長門でさえハルヒと朝比奈さんをじぃっと見ていた。そして暫くして朝比奈さんはハッとした様だったが直後に俯いてしまった。「おいハルヒ。あんまり朝比奈さんを脅かすなよ。泣きそうじゃねぇか。」ハルヒはそう言った俺をキッと睨んだが、暫くして俯いて何かぶつぶつつぶやき出した。「……なによ……いっつもいっつも…みくるちゃんの事ばっか………」なんだ?よく聞こえん。「なんだって?何て言ったんだ?」「何でも無いわよ!このバカキョン!!さっさと帰るわよ!荷物持ちなさい!!」と言ってハルヒは俺に荷物を押し付けて部室を早足で出てった。俺は朝日奈さんと鶴屋さんに一礼してハルヒを追いかけて部室を出て行った。「おい待てよハルヒ。」俺はハルヒに追いついて声を掛けたがハルヒは黙って俯いて歩いていたので、しょうがないので俺も黙ってついていった。
暫く歩いてハルヒは突然立ち止まった。「家…此処だから。」ハルヒはそう言って黙って俯いたまま手を差し伸べてきた。ああ荷物か…「ほらよ。」俺はハルヒに荷物をわたし、そのまま帰ろうとした。「あんた…笹とりの時にみくるちゃんと何やってたのよ。」何言ってんだコイツは。「だから、崖から落ちて動けなかったって言っただろ。」「そんな事聞いてんじゃないのよ!!!」ハルヒはぐわっと顔を上げていった。「あんた……みくるちゃんと…抱き合ってたじゃないのぉ!!」なっ!?コイツ見てやがったのか!?一体何で!?何処で!!?よく見るとハルヒの瞳からは大粒の涙が次から次から零れ落ちていた。「何なのよ!!何のつもりなの!団活中にいちゃついてんじゃないわよ!!ふざけてんじゃないわよ!!…いっつもいっつもみくるちゃんの事ばっかり…」「………」俺は何も言い返すことが出来なかった。ハルヒはさっきより更に大粒の涙をボロボロと目から零していた。「…あんた……みくるちゃんの事………」スッ…ドサッハルヒはそこまで言うと急にそこに倒れてしまった。「な!?おい!ハルヒ!!ハルヒ!!どうしたんだ急に!!おいっ!!」「…………」しかし、ハルヒはまったく返事を返しはしなかった…「ハルヒ!ハルヒ!しっかりしろ!!くそっ!」しかし幸か不幸か此処はもうハルヒの家の前だ。俺はハルヒを抱き上げてハルヒの家のドアを開けた。…ガチャ…よかった。鍵は開いてるようだ。ハルヒの部屋は…此処か。俺はハルヒをベッドに寝かせると一息ついた。改めてハルヒの部屋を見渡してみる。ふむ、以外にも普通の部屋だな。ん?なんだこれ。ハルヒの机の上には小さな笹があり。そしてその笹には1つの短冊がぶら下がっていた。なんて書いたんだろうな。「どれどれ?うちの団長様は今年は一体何を願ってるんだろうな。」俺はそれを裏返した…「はぁ…まあそんなこったろうと思ったがな。」そこにはこう書かれていた。『ジョンに会いたい』どう考えたってこの願いは危険すぎるんじゃないか?すると突然背後から声が聞こえた。「ジョン…」な!?ハルヒ?突然ハルヒの声が聞こえ、俺はハルヒのほうを見た。しかしハルヒはまだ眠っていた。何だ…寝言かよ。「寝言なんかじゃないわ。こっちよ。」は!?その声は何故か部屋の入り口から聞こえ、当然俺は振り向いた。そこには…「何なんだよ…お前、一体何なんだよ…」そこには、もう1人…ハルヒが立っていた。
………………それは7月7日の夕方…そこはある国のある都市のあるビジネスホテルのある一室での出来事。…コンコン…「失礼します。お呼びでしょうか、森さん。」「一樹くん、今日は仕事じゃないのよ。いつもみたいに呼んでよ…」「これは失礼を、園生さん…」「一樹くん…」
部屋の奥のベッドの上で古泉と森は一緒に横になっていた。「一樹くん、ここからは仕事の話よ。」「そろそろくる頃だと思っていましたよ…どうぞ。」古泉は一瞬寂しそうな顔をしたが、森を困らせまいとすぐにもちなおした。当然森も古泉のその気持ちもわかていたし、自分も同じような気持ちであったが、仕事では仕方ないとゆう事も分かっていた。「はい、あなたに新しい任務に就いてもらいます。本来は新川に頼む予定だったのですが、知っての通り、体調が優れてはいません。」「そうですか。」この時森は気付いていなかったが、古泉はニヤリと不気味な笑みを零していた。「判りました。それで、任務の詳細は?」「はい、あなたの新しい任務は………キョン氏の暗殺です…」
涼宮ハルヒの方舟
第3話 ~もう1人~ < おわり >
~次回予告~
キョン「はい、じゃあ今回は一回目と言う事で俺が予告をするぞ。」
突然現れたもう1人のハルヒ…「『あたし』はジョンに会いたいのよ!」
そして俺の暗殺の任務を受けた古泉…「残念ですが、SOS団はもう終わりです………死んでください。」
夕方の公園で俺と並んで立つ長門…「貴方は我々の計画の邪魔……消えてもらう…」
涙にぬれる朝比奈さん…「本当はこんな事したくはないんです!!キョンくんといつまでも一緒に居たかった!!それでも…それでもわたしに禁則事項の暗示がある限り組織の指令に逆らう事は出来ないんです!!!」
果たしてもう1人のハルヒの正体とは一体、そしてSOS団の運命は… 次回『涼宮ハルヒの方舟 第4話 ~計画~』
キョン「いや~、一体どうなるんだろうな~。俺、生きてまた予告できんのかなぁ…」???「それは不可能ですよ…」キョン「な!?誰だ!お!おまえは…わ!わ!やめ……アッー」???「マッガーレ」
さて、次回の次回予告は誰がやるんだろうな…
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