朝比奈みくるのクーデター その2
部室。俺がそこに飛び込むと、すでに朝比奈さんと長門の姿があった。どうやら事態を察知した長門が朝比奈さんをここに連れてきたらしい。「あ、あの……何なんですか? 一体何が……」 終始オロオロしている彼女を見ると、どうやら説明もされていないようだ。一方の長門は黙って外を眺めていたが、やがて俺の元に駆け寄り、「事態は把握している」「ああ、いきなり俺の携帯に電話して来やがった。何が何だかさっぱりわからねえが、やばいことには違いない」 俺はそう言いながら、いらだって頭を掻き上げた。相手の目的――いや、ハルヒと朝比奈さんの命を奪うことはわかっているんだが、ここまでしてどうしてそんなことをしようとしているのかが理解できない。見たところ、雪山の遭難や以前あった未来人やら古泉と敵対している組織の連中でもなさそうだ。「あ、あのぅ……一体どうしたんですか?」 おろおろと朝比奈さんが俺に寄ってくる。どうする? 気の弱い朝比奈さんにに言えるような話ではないが、だからといって当事者に黙っておく訳にもいかない。やはり言うしかないだろう。「朝比奈さん。落ち着いて聞いてください」「は、はあ……」「攻撃予告です。さっき俺の携帯に電話がありました。昨日、地底湖で襲ってきた奴らからです。ハルヒと朝比奈さんを差し出さなければ、この学校へミサイルを撃ち込むと」「ひ、ひえっ!」 それを聞いたとたん、涙目になって腰を抜かしてしまう朝比奈さん。無理もないか。ただ、あの女ボスが【朝比奈みくる】と名乗ったことは黙っておこう。こっちを攪乱することが目的かもしれないからな。 こう話している間にさっきの電話が切れてから5分経過だ。あと5分後には予告通りならミサイルが俺たちめがけてすっ飛んでくるって事になる。どうすりゃいいんだ。「長門! いつも頼ってばかりで済まないが、なんとかできないか?」「…………」 長門はしばらく黙っていたが、やがて少しうつむき加減に、「この学校全体を攻撃から守ることはできない。介入の度合いが大きすぎる。この地域設定に不自然な情報操作痕跡を残すことになり、それによるこの惑星に済む有機生命体への影響は計り知れない。現保有の科学技術では不可能な事象を目撃することになる。さらに、昨日と同様、敵性である有機生命体への反撃も不可。情報統合思念体は彼らの排除を決して許可しない」「……今はそんな事を言っている場合じゃないだろうが!」 俺は思わず感情が高ぶり長門の肩をつかんでしまう。だが、そこではっと気がついた。彼女から出ている感情めいた雰囲気。それはいらだちだった。恐らく彼女の親玉が何らかの制限をかけているのではないか。そして、その措置に長門自身が納得していない。 俺は頭を抱えて椅子に座り、「す、すまねえ。長門が悪い訳じゃないってのに……」「いい。あなたの気持ちは十分に理解できる。今はできることをやるしかない」「そうだな……。じゃあ、今長門ができることって何だ?」「……この惑星の有機生命体にわたしが影響を与えないこと。その条件下で何ができるのか今考えている」 長門はそう言うと、いつもの自席にちょこんと座った。 と、俺は時計を確認する――げっ、予定時刻まであと10秒しかねえ。 そして、十秒後、予告時間通り俺の携帯が鳴る。俺はしばらく取るべきかどうか迷ったが、結局通話を開始する。『時間が過ぎましたが、返事を聞かせてもらいましょうか?』「…………」 俺は黙って何も言わない――いや、何も言えない。ハルヒと朝比奈さんを差し出せるわけにはいかない。即刻殺されるのは目に見えている。これが彼女たちを利用して何かをしようとしているなら、まだ時間稼ぎとして交渉に応じるという選択肢もあるのだろうが。かといって、このまま北高そのものを攻撃されれば、一体どれだけの被害をこうむるのか。想像もしたくねえ。『どうしました? 話す気がないというなら交渉拒否として攻撃を開始しますが』「待て!」 こんなところで打ち切られてたまるか。とにかく何とか時間を……「目的は何だ?」『あなたに言う必要はありません。こちらは目的を粛々と遂行するだけなので』「……あのな。いきなり昨日襲われたかと思えば、今度は他人を巻き添えにするような攻撃をするってのは、穏やかじゃない。もっと落ち着いて話せる場を持つべきだ。そうすれば、別の方法も模索できるはず」『ダメです。時間稼ぎをしようとしても同じ事』「今ここには朝比奈さんはいるがハルヒはいない! まだ登校していないんだ!午後になったら来ると言っていたから、せめてあいつが来るまで待ってくれ! これじゃ決めようがない!」『ならば、そこにいる朝比奈みくるだけでも構いません。返事をどうぞ』「くっ……」 なんて一方的な交渉だよ。というかこれは交渉じゃなくてただの脅迫だろ。『迷っているようですね。でも、こちらも時間がありませんので攻撃を開始します。さようなら』「おい待て!」 俺が制止するのも聞かずにあの女ボス切りやがった。やっぱり最初から交渉なんてする気はねえじゃねえか。 立ち上がり、窓から外を眺める。 どうする? どうすればいい? 長門の力も借りられない。古泉は不在――こんな時にあいつどこに行きやがった。ハルヒに説明するわけにもいかない。説明しても自分の能力を自覚していない以上、どうにもならない。 苦悩するだけで時間が進んでいく。とにかく教員に話して学校から生徒を避難させるべきだ。いや無駄だ。おかしな奴と思われて無視されるか、適当な話をでっち上げて説明してもその間にミサイルが飛んでくるかもしれん。ダメか? もうダメなのか? ふと、長門が俺の方を見つめていることに気がつく。そして、言った。「一つ手がある」 言葉と一緒に指さした先。それは床に座ってオロオロしている朝比奈さんだった。 ◇◇◇◇ あたしは携帯電話を閉じる。大体の予想通りに結論を出せなかったようだ。まあいい。「やれやれ、丁寧な言葉遣いは肩がこってたまらない。次からは素で話すことにしよう」「その方が良いみたいですね」 伍長から返された言葉に違和感を覚え、辺りを見回してみると皆苦笑じみた笑みを浮かべている。全くそんなに先ほどの言葉遣いがおかしかった言うのか?「気にする必要はありません。慣れていないだけです」「そんなことまで言う必要はない」 さすがにむかっ腹が立ったので、キツめな口調でそう言った。さすがにはしゃぎすぎたと自覚したのか、周りの兵士たち一同の表情が引き締まる。「……さて」 あたしはすっと立ち上がると、「作戦を開始する。発射準備開始だ」「了解しました」 兵士たちが滑車に載せたミサイルの移動を開始する。短距離の地対地ミサイルだ。威力はさほど大きくはないが、この平和な世界において相手を驚かせるには十分すぎる。 そして、いよいよ発射準備となったとき――あたしは違和感を覚えた。兵士たちに微妙な空気が流れている。……大体予想はしていたが。「諸君、作戦開始前に少し話しておきたいことがある。集合しろ」 あたしの一声で兵士たちはずらっと取り囲むように並んだ。1人1人の表情は変わらない。だが、この中に明らかに作戦自体に不満を持っているものがいることを感じることは容易だった。「ヒトラーと呼ばれた男がいたことは知っているな?」「名前だけなら。それなりの有名人なので。しかし、かなり昔の人物ですが」 答えたのは腹心である伍長だ。彼も納得していない1人のようだ。さっきのミサイル使用云々はごまかしだな。「その男は確かに一部では優れた技術を持ってはいたが、全体から見れば不安ばかりの軍事力で、瞬く間に周辺国を制圧していった。なぜだと思う?」「…………」 一同は無言。教育が崩壊したあたしの世界では個人的な趣味でもなければ知らなくて当然だが。「当時のその世界では塹壕を掘って長期戦、ということが主流だった。だが、その男の国は長期戦など負担の大きい戦争ができるような国力など持っていなかった。そこで持ち出したのが電撃戦と無差別爆撃。電撃戦で敵の戦力を叩き、一方で一般市民を含め片っ端から破壊し、相手の戦意を奪っていく。そうして敵を短期間で屈服させていった」「しかし、彼は敗北したと聞いていますが」 どこからか飛んできた声。どうやら多少は知っている人間はいるようだな。「その通り。それらが有効なのは相手を屈服させることまでで、その後の占領統治には大きな傷を残した。確かに無差別爆撃で敵は屈服したが、一般市民レベルで反抗心が残ってしまった。皆も経験があるだろうから、その辺りは理解できるだろう?」 あたしの言葉に全員がうなずく。我々も散々敵によってその仕打ちは受けている。だからこそ、兵士たちはこの作戦に微妙な感情を見せているのかもしれない。「だが、我々の目標は朝比奈みくると涼宮ハルヒの抹殺にある。この世界の占領などは全く必要ない。ならば、その手を使わない理由はない。今最もまずいことは、両名がこの世界の人海の中に消えることだ。時間・戦力・人員の制限のある我々はそれを発見することはまず不可能。できるだけ先にこちらから仕掛け、我々の前に引きずり出す。それこそが我々の目的を達成することの早道であり、短期間の戦闘はこの世界への被害を最も小さく押さえることができる。 ――ここであたしは全員を見回し、「……だらだらと長引く戦乱が人々の心にどれだけの荒廃をもたらすのか、我々はよく理解しているはずだ。目的を達成しつつ、この世界への負担をできる限り少なくする。平和なここを破壊するのはいささか気が引けるからな」 そう。人心の腐敗、教育の破綻、土地の荒廃……それがどれだけの害悪をもたらすのかあたしはずっと見続けてきた…… あたしの演説じみた話が終わったとき、先ほどまであった兵士たちの間の微妙な空気は無くなっていた。どうやら理解させられたみたいだ。これでつつがなく作戦を遂行できる。 あたしはばっと手を挙げて、「おしゃべりはここまでだ。時間はあまり無い。作戦を開始するぞ」 兵士全員の声が飛ぶ――
「発射準備整いました。いつでも行けます」 腹心の伍長の声。丘に据え付けられるように置かれている地対地ミサイル。とは言っても、使い方はほとんどロケット弾と同じだが。「攻撃用意。発射弾数は二つ。目標位置、確認」 目標は涼宮ハルヒ――いや、彼女はいないと言っていたか。朝比奈みくるのいるハイスクールだ。「目標位置確認完了。間違いありません」 部下からの返事にあたしはうなずく。そして――「――発射開始!」「一番発射――!」 伍長の言葉と同時に地対地ミサイルの一発目が発射された。爆風と熱を立ち上らせ、それは空の彼方へ消えていく―― ◇◇◇◇ 「手ってなんだ!? いや、説明は良い! とっととやってくれ!」 自分でも情けないほどの動揺しているのがわかった。いや、動揺しない方がどうかしている展開だ。見苦しい云々は勘弁してくれ。 長門はへたり込んでいる朝比奈さんを椅子に座らせると、「今からあなたに情報操作能力を一部与える。正確に言うと、こちらで限定構成された情報構築体を供与する。あなたはわたしの指示通りにそれを使えばいい」「えっ……へええっ!? あたしが長門さんみたいな事するなんて無理ですぅ!」 涙目で首を振る朝比奈さん。確かに明らかに人選ミスだ。なら俺が代わりに――「それは無理。あなたへの同様の手法は情報統合思念体によって許可されない。よって不可能。ただし、朝比奈みくるへの供与は不許可ではない」「……どうして俺がダメで朝比奈さんは良いんだ?」「それは違う。朝比奈みくるへの供与は【許可されている】のではなく、【不許可ではない】ということ。恐らく確認を行えば、朝比奈みくるへの供与も【不許可】とされるだろう。だが、ここではあえて確認はしない。確認する必要もない」 長門の口調は淡々としていたが、俺にはいらだちがこもっているように感じた。親玉の命令拒否はできない。だったら、親玉の命令の中の隙を揚げ足取りのように解釈する。こんな長門は今まで見たことはなかった。「だが……だったら、古泉ならどうだ!? ここにはいないが今すぐ電話で呼び出すぞ!」「時間がない。今は1秒でも惜しい。それにもうすでに供与した」 ふっと朝比奈さんの周辺に――何と言えば良いんだ? SF映画でよく登場する空中モニターみたいなものか?そんなものが複数出現してそれぞれが色々メータやら地図やらを表示し始めた。 朝比奈さんはきょろきょろとその空中モニターを見回しながら、「こ、これ……なんなんですかぁ?」「今からあなたがこの学校を守る。そうする以外は方法はない」「む、無理ですっ! そんなこといきなり言われてもできませんっ! 長門さん――長門さんが助けてくれないと……」「わたしはできるだけの助言を行うだけ。実行するのはあくまでもあなたの役目」 突き放しているわけではないのだろうが、長門の口調は淡々としている。一方の朝比奈さんはやはりオロオロしているだけだ。先行きが不安どころの状態ではない。「長門。俺にも説明してくれ。少しでも朝比奈さんのサポートできるようにな」「わかった」 長門は一つ一つのパネルを指さして説明を始めた。朝比奈さんも涙目ながらもそれに耳を傾ける。「今、朝比奈みくる自身に敵からの攻撃を迎撃するシステムを組み込んだ。このパネルは補助装置。どこから敵が攻撃を仕掛けて、その攻撃物質がどこにいるのか、また後何秒後にここに到達するのかを表示する」「何というか、映画とかに出てくるレーダ施設みたいだな」「このシステムはこの時代に保有されている技術を元に構築した。簡略化してあるが、基本は同じ。迎撃の方法も同様。そのため迎撃に失敗する可能性も存在している」 SFと戦争アクション映画がごっちゃまぜな展開だな、おい。「このシステムはほぼ全自動で動く。モニターに迎撃のタイミングを知らせる。あなたはそれに従って、自らの意思で引き金を引くだけ」「簡単そうだな。それなら朝比奈さんでも大丈夫ですよ」「は、はい……そうです……ね」 空中モニターを眺めながら朝比奈さん。長門は本当にぎりぎりの事をやったようだ。敵のミサイル攻撃を防ぐ手段を構築したものの、それを長門が実行することができない。だから、引き金だけはこの中で唯一それの供与が可能である朝比奈さんに渡す。そうすれば、長門ではなく朝比奈さんが敵の攻撃を迎撃するという行為を行ったと解釈できるって事だ。相当強引だが、長門の親玉を出し抜けるってなら問題ない。「ならこっちの準備は万端だ。あとは――」「来た」 長門が指さしたと同時に、モニターが赤く染まった。警報を知らせるような【警告】というメッセージがでかでかと表示される。この大げさな表示はきっと長門が朝比奈さんにもわかるように長門が改良しているんだろうな。 ――と思いきや空中モニターが一気に消滅する。「おい! 長門消えちまったぞ!」「落ち着いて、朝比奈みくるの精神状態が混乱したため、システムの稼働ができなくなっただけ」「ふ、ふえええ……」 涙ぐむ朝比奈さん。そうか、迎撃システム自体を朝比奈さんに組み込んでいるって事は彼女の精神状態によっては、その動作が左右されるって事だな。ますます人選ミスだ。 しかし、愚痴を言っても仕方がない。「朝比奈さん! 落ち着いてください。長門が作ったものだし、サポートもしてくれます。俺も及ばずながら手伝います。だから、がんばって!」「は、はいぃぃぃ……」 か細い返事だったが、少し平常心が戻ったらしい。また空中モニターが復帰する。 再び映し出されたそれの一つには北高を中心とした地図が表示されていた。画面の左端には光点が映し出され、中心に向かって移動している。どうやらそれがミサイルって奴だと直感で理解した。「この光点が敵の攻撃。これを迎撃する。タイミングは迎撃システムが知らせてくれる。それに従えば良いだけ」「わっ、わかりましたっ!」 長門のサポートに朝比奈さんなりに気合いを込めたんだろうか、妙に渋い表情に変化させる。だが、「第2射を確認」「ま、またですかぁ~!」 朝比奈さんのびっくり仰天な声とともに空中モニターが一瞬かすむが、今度は消えるまでは行かなかった。って二発目かよ。「大丈夫。迎撃に支障はない。落ち着いて」 長門はモニターを見つめたまま、朝比奈さんの震える肩に手を置いた。 そのまま、数十秒が経過。そして、ミサイルが発射地点から北高までの距離の中間に到達したとき――長門が口を開く。「ここで迎撃」「は、はいっ! えっ……と何をすれば良いんでしょうか?」「迎撃しますって言えばいい。早く時間がない」「げ、迎撃してくださぁい!」 朝比奈さんが言ったのと同時に、学校全体に衝撃がぶつけられた。窓の外から空を眺めると、何かが煙と火を噴きながら空を飛んでいく。こりゃ、学校にいる生徒教員全体への影響大だな。学校から迎撃ミサイルっぽいものが飛んでいくのを目撃すれば、俺だって一生忘れないという自信はあるぞ。「問題ない。やったのはわたしではなく、朝比奈みくる」 長門の無感動な声。その言い方だとまるで政治家の責任のなすりつけ合い――ああ、そんなバカなことを考えている場合か。 朝比奈さんはびくびくどころか、息切れするように肩を上下させていた。くそ、黙ってみていることしかできないのが歯がゆい。 空中モニターには一発目の敵ミサイルの光点に向かって、北高から発射された迎撃ミサイルの光点が移動を始める。 俺はふと疑問が浮かび、「で、今長門は何を使ったんだ? 迎撃ミサイルっぽいものが学校から飛んでいったか」「PAC3。短距離ミサイルを迎撃した実績を持っている。今の状態では最適だと判断した」「よく知っていたな、そんな軍事兵器」「コンピュータ研から教えてもらった情報。そっちの分野が趣味の人間から教えてもらった」 あいつら……ある意味純粋無垢な長門に何を教えてやがんだ。他に珍妙な知識を教え込んでいないだろうな?普段なら抗議の一つでもしておきたいところだが、今はそのおかげで助かったから見逃してやる。 こんな話をしている間に敵ミサイルをこっちの迎撃ミサイルがお迎えだ。もうすぐ衝突する。「迎撃5秒前」 長門の言葉。もうすぐ――だが、トラブルって言うのはこういうときに起こるもんだ。「あ、ああ! 二発目が消えて!」「ロストコンタクトしただけ。今は一発目に集中して」 朝比奈さんの驚く声をたしなめる長門の口調は相当早かった。しかし、それでも間に合わなかった。空中モニターに表示されていた迎撃ミサイルの光点が消失する。一方の敵ミサイル一発目は健在だ。ほどなくして消滅していた二発目の方もモニターに再表示された。 俺はそれをのぞき込みながら、「どうなったんだ!?」「外れた。迎撃に失敗。迎撃する瞬間に制御が甘くなったことが原因」「す、すいませんんんんん……」 涙目で謝罪を口にする朝比奈さん。だが、謝るなら後でいい!「長門もう一回だ! 同じ方法で迎撃できないのか!?」「距離が近すぎる。至近距離まで引きつけ戦術高エネルギーレーザーで迎撃する」 いきなりSF臭くなったぞ。しかし、近距離でか。北高の生徒はミサイルの爆発を見て何を思うのだろう。トラウマにならなきゃ良いが。 ――それから数十秒後、敵のミサイル一発目はもう学校目前まで迫っている。教室に位置に寄っては目視できるかもしれない。 そして、長門が再び口を開く。「今、迎撃して」「迎撃っ! お願いしまぁすぅ!」 必死な朝比奈さんの声が飛んでから少しして―― さっきのPAC3発射以上の衝撃が校舎を揺るがした。窓がびりびり震え、地震か竜巻でもやってきたみたいだ。同時にどーんと腹に響く音が鼓膜を貫く。学校に当たったんじゃ――ないよな?「一発目の迎撃に成功した」「や、やりましたぁ!」 長門の言葉に、朝比奈さんがかわいらしくガッツポーズをするものの、「二発目がまだ。集中して」「あ、すいませんっ!」 そう言ってまた渋い顔に戻った。まだだ。二発目を押さえなければ何の意味もない。しかし、あっさり一発目を落とせたし、これはうまくいきそうだ。長門様々だな。 と、このタイミングで古泉の野郎が部室に登場だ。「遅れてすみません! 何かあったみたいです……が?」 言葉の最後が疑問符に変わっているのは、SFモードな朝比奈さんと長門を見てのことだろう。説明は後でしてやるから黙ってみていてくれ。 長門は朝比奈さんに顔を近づけ、「二発目はもうすぐそばまで来ている。一発目と同じ方法で迎撃する」「わ、わかりましたっ!」 すっかり二人の世界だ。ここは黙って見ておくのが賢明だな…… ◇◇◇◇ 一発目が迎撃されたと聞いたとき、あたしは驚きと平静の表裏一体の感情に見舞われた。TFEIならそのくらい当然と思いつつも、しかしそれをやってのける能力は一体どれだけのものなのかという驚きもある。『目標の建造物の数キロ手前で爆発しました。ミサイルや対空砲によるものではありません。明らかに突然空中で爆発しました。手段は不明』 弾着確認のために、目標のいる近くに配置させておいた兵士から連絡が入る。昨日こちらの銃弾を全て防いだ方法か? だが、あまりに距離が遠い。『今二発目を目視確認しました。一発目が爆発地点を通り過ぎています。何らかの防壁はなさそうですが……』 よくわからない事態だ。ま、迎撃されようがされまいがどちらにしてもこの攻撃でこちらの姿勢を伝えられる。それで十分だ。 ◇◇◇◇ 「迎撃可能距離まで到達。迎撃して」「げ、迎撃しますっ!」 朝比奈さんの声とともに、俺はまたあの迎撃の衝撃に身構えた……だが、いくら待ってもそれは来ない。「外れた。再度迎撃」「わわわかりました! 迎撃してくださいっ!」 どうやら外れたらしい。だが、まだ余裕はある。俺は再度身構えて――だが、やはり迎撃成功の衝撃は来ない。「また外れた」 長門の声には心なしかいらだちがこもっているように聞こえる。しかし、連続して失敗とは一発目が運が良かっただけか?「えっええっと……ああ! もうこんな近くに! ど、どうしたら……」「まだ余裕はある。迎撃して」 長門の冷静な声でまた朝比奈さんは迎撃するが、それも外れてしまった。やばい、もう敵のミサイルは目前だぞ!「まだ行ける。落ち着いて」「で、でででも、こんな近くに来て――ああ、どう……どうしたら」 間近に迫る脅威に朝比奈さんは完全にパニックに陥っていた。長門は何とか落ち着かせようとするが、もはや収拾がつかない。俺も朝比奈さんに駆け寄り、「落ち着いてください! もう少しだから……!」「ああ……ダメ! できない! できません! 助けてっ!」 そう朝比奈さんが俺に抱きついてきた。同時に空中モニターが全て消失する。これは……ダメなのか!? あきらめに似た感情が生まれたと思いきや、俺は突然襟首を掴まれ床に押し倒された。俺に抱きついていた朝比奈さんも同様だ。倒れたショックで閉じていた目を開けると、床に突っ伏している古泉の顔が見え、横には長門も地面に伏せている。 ――そして、轟音とともに部室の窓ガラスが透き飛び、ガラス片の混じった爆風と煙が俺の頭上と飛び越える。「きゃあああああ!」 朝比奈さんの悲鳴が俺の腹の辺りで起こった。必死に俺に抱きついて鳴き声を上げている。 それから数分間が過ぎ、衝撃と轟音が収まったのを確認してから俺はゆっくりと立ち上がった。部屋の中は爆風でものが散乱し、飛び散った窓ガラスの破片が散らばっている。「とりあえず……終わったみたいですね」 古泉も安全だと認識したのか、すっと立ち上がる。長門も同様。だが、朝比奈さんだけは床に倒れ込んだまま、ひっくひっくとしゃくり上げるだけで動こうとはしなかった。 俺は状況を確認すべく窓から外の様子をのぞいた。学校内は大パニックになり、生徒たちが走り回っている。教員が数人集まって何か話している姿も見えた。そして、見上げるように頭を上げて――絶句した。 教室のある校舎の最上階の一部が崩壊している。恐らくそこに敵のミサイルが直撃したのだろう。そして、その周辺の窓は全て破壊され、そこから顔を出した数人の生徒たちが助けを求めていた。一人は脇に負傷した生徒を抱え、必死に救助を求めている。「……あ……あ……」 俺は呆然とうめき声を漏らすことしかできなかった―― ◇◇◇◇ ざわめきと悲鳴。助けを求める怒声。狂乱した女子生徒の姿。負傷した友人らしき人物を抱えて走る男子生徒。「……めちゃくちゃだ」 俺は自分の教室に戻って目の辺りにした光景を目に、呆然とつぶやいた。何だってんだ……何なんだよこれは。 ミサイルは自分の教室とは違う隣の校舎の屋上付近に直撃した。しかし、爆発の衝撃波の直撃を受けて、教室の窓はことごとく吹き飛び、机や椅子も散乱している。そして、ガラスの破片で傷だらけになったクラスメイト多数が息も絶え絶えにうずくまっていた。奇跡的に無事な生徒もいたが、ほとんどが混乱状態でまともに話もできない状態だ。そんな中、見慣れた顔が俺の目にとまる。谷口と国木田だった。「キョン! 良かった無事だったんだね」 国木田のうれしそうな声。だが、俺はそれに答えられなかった。その脇には大きなガラス片が足に突き刺さり、多量に出血している谷口がいたからだ。「おい……谷口! 大丈夫か!? しっかりしろよおい!」 俺は二人の元に駆け寄った。だが、谷口は全く反応せず、ぐったりとしている。「出血がひどいんだ。でも止め方もわからない。ここで救急車を待っていたら間に合わなくなるかもしれないから、何とか校舎の外まで運ぶと思う。キョンも手伝って」「ああ……」 呆然としながらも気を取り直し、谷口を抱えるのに手を貸す。そんな国木田をまねるように周辺の無傷だった生徒たちも、負傷している生徒たちに手を伸ばし始めていた。 下手なショックを与えると状態が悪化しかねないため、俺たちは慎重にゆっくりと階段を下りる。「ううっ……」 谷口がうめき声を上げて目を開けた。意識を取り戻したらしい。「おい……大丈夫か?」「ああ、身体の感覚が全然ねえけどな……生きてはいるみたいだ……」 俺の呼びかけに弱々しく答える谷口。「もうちょっとだよ。そうしたら病院に連れて行けるからがんばって」「情けねえ……わりい」「気にするな。お前のせいじゃないんだから」 言葉を交わしながら、俺たちはようやく昇降口から外に出て――唖然とした。校舎の周りには同じように負傷した生徒たちで埋め尽くされていたのだ。まるで大地震でも起きたかのような光景。俺は思わず身震いを起こした。 俺と国木田は空いている場所まで移動し、谷口を地面に寝かせる。くそ、ベッドとは言わないがせめて担架ぐらいには乗せてやりたい。 谷口は意識がもうろうとしているようで、ぼんやりと口を開く。「一体……何があったんだよ? キョン、おまえ何か知らないか……?」 谷口の言葉に国木田も同調するように俺に目を向けた。 ――視線の集中。俺はまるで責任を追及されているような感覚に陥った。この二人はあのミサイルの事なんて知らないし、そんなことなんて考えもしないだろう。だから、これは俺の単なる思いこみだ。そのはずだ。 だが……自責の念がありもしない事実を捏造し、俺を責め立てる。お前のせいだ。お前がやった。お前が朝比奈みくると涼宮ハルヒを差し出せばこんな事には――「違う!」 ……思わず声が出た。突然の叫びに、谷口と国木田の目が丸くなった。俺ははっとバカなことをしたと認識した。そして、恐る恐る二人の方に目を向ける。「キョンも混乱しているみたいだ。知っているわけがないよ、谷口」「すまねえ……変なことをきいちまった……みたいだな……」 俺の叫びに幸い二人は疑問を抱かなかったようだ。助かった……ここで本当に疑いの目を向けられれば俺はどんな行動を取っていたかわからなかった。「キョンも他に心配な人がいるでしょ? 探して来なよ。谷口は僕が面倒を見ているからさ」「……すまない。国木田、谷口を頼む」 そう言って俺はその場から離れた。ごめん、谷口、国木田。ごめん、学校のみんな…… ◇◇◇◇ 俺がSOS団の部室に戻ると、散乱していた部屋はある程度片づけられていた。長門と古泉がやってくれたらしい。ただ……朝比奈さんは部屋の隅で膝を抱えたまま顔を伏せていた。「校舎の方はどうでしたか?」「……思い出したくもない。ひどい有様だった」 古泉の問いかけに、俺は脱力気分に任せて椅子に座り込む。今まで変なことに巻き込まれたことは多々あった。だが、無関係な人々をこれだけ巻き込んだことは初めてだ。 片づけを終えた古泉が俺のそばに椅子を置き、顔を寄せてくる。「すみません。機関との連絡を取っていたんですが、まさかこの白昼堂々ミサイルなんていうものを学校に撃ち込んでくるとは思っていませんでした。完全な失態です。僕がもっと早く部室に駆けつけていれば……」「別にお前が謝る事じゃねえよ。それに来たからといって阻止できたともかぎらねえしな」 そうだ。古泉も長門も朝比奈さんも悪くない。悪いのはあの不謹慎にも『朝比奈みくる』を名乗った大バカ野郎だ。関係のない人間が多数いる場所のど真ん中にミサイルを撃ち込むなんて、頭がおかしいとしか思えない。絶対に許せねえ。 俺はしばらく呆然と部室内を見渡す。古泉は深刻な表情で思案しているようだった。長門はじっと外を見つめている。朝比奈さんはやっぱり部屋の隅で膝を抱えたまま―― はっと気がついた。そして、俺は手で顔を覆う。 何を考えている? 悪いのは攻撃してきた連中だ。当然だろ? だが、敵の攻撃を防げる条件はそろっていたはずだ。 だったら、なぜ防げなかった? 一番当然悪い奴は攻撃してきたあのおかしな連中だが、身近な奴にも原因がいるんじゃないのか? あそこで朝比奈さんがパニックを起こさずにきちんと敵の攻撃を迎撃できていれば……「くっ……!」 俺は苦痛で顔がゆがむほどに唇をかむ。 何をバカなこと考えている。 朝比奈さんはよくやった。一発目を見事撃ち落としたじゃないか。二発直撃していれば、これ以上の被害は確実だ。 それに普段の彼女をよく見ろ。そんなことがひょうひょうとできる人じゃない。 最初から人選ミスであることはわかっていたし、それでも朝比奈さんにやってもらうしかなかった。 大体、俺がやっていればできていたとでも言うつもりか? 自意識過剰もいい加減しろ。できるわけがない。失敗していたに決まっている。 そうだ……誰がやってもこの条件下ではできなかった。だから、唯一悪いのは攻撃をしてきた野郎ども……「バカな奴だ、俺は。怒りを誰かにぶつけたくなるわ、責任転嫁をしたくなるわ……」 俺のつぶやき。別に誰かに言ったのではなくただの独り言だったんだが、古泉の耳には届いたらしく、「……仕方ないでしょう。この惨状では」 古泉の返答に俺は答えなかった。しばらく何も考えたくない――せめて気が落ち着くまで…… だが。 あのいかれた連中には俺の神経を逆なでさせることばかりしてきやがった。 唐突になる俺の携帯電話。非通知のそれは明らかにあの女ボスのものだと何の根拠もなく確信した。 俺はしばらく取るべきかどうするか迷っていた。と、古泉が代わりに手を差し出し、「何なら僕が出ましょうか? 今のあなたには荷が重いでしょう」 自ら交渉役を買って出た。だが、古泉に押しつけるような気にはならなかった。 恐る恐る自らの手で携帯電話を開く。『こちらからのプレゼントはどうだったかな? 一つは拒絶されたみたいだが』 一方的に浴びせられる声。それは明らかに女ボスのものだったが、口調は先ほどとは異なっていた。やたらと威圧的で傲慢。バカにしやがって。 俺は嫌みの一つでも言ってやろうと思い、「さっきとはずいぶん口調が違うんだな。薄汚い本性を見せたと言ったところか?」『こちらが本来のあたしの口調だ。別にさっきまでと同じでも良かったんだが、部下に笑われてな。それはそれでおもしろくないから、普段通りに戻したわけだ』 声は女だが口調はまるで男みたいだ。あんな無差別攻撃をやらかす野郎がかわいらしくしゃべったら、それはそれで殺意が芽生えるだろうが。『で、返事を聞かせてもらおうか。悠長に交渉などする来はない。朝比奈みくる――そして、涼宮ハルヒをこちらかに引き渡すか。YESかNOで答えろ。その他の言葉など聞くつもりはない』 俺は声を詰まらせる。やはり交渉の余地はない。こいつは徹底している。よく映画に出てくる悪役のようにおしゃべりが好きなタイプではなさそうだ。冷酷に仕事をこなす。こういうのがプロなのだろう。『黙りか? ならば、再度攻撃を行うだけだ。おまえらに我々が本気であると言うことを理解してもらえるまでな。次は先ほど以上の攻撃を行う。それがどれだけの悲劇を生むか、一度その結果を見ているはずだ』 どうする? 拒否すればまた無差別攻撃を仕掛けてくるだろう。だったら、要求をのむか?バカ言え。ハルヒはわからないが、やつらは朝比奈さんを殺すと明言したんだ。できるわけがない。どうする……どうする……どうするんだよ。どうすりゃいい!? ――と、ここで突然俺の手から携帯電話が奪われた。見上げれば、古泉の手にそれがある。 そして、古泉は言った。「わかりました。そちらの要求を飲みましょう」 俺の視界が真っ赤に染まる。頭に血が上り、思考よりも身体が勝手に動いた。全く違和感もなく古泉へ殴りかかろうと…… ばしっと後ろから腕を掴まれる。振り返れば、長門が俺の腕を制止していた。そして、彼女が見せる無表情。そのサインは、『落ち着いて』。「しかし、残念ながらあなたたちの攻撃のおかげで学校は大混乱です。勝手に外に出ようとすれば、教員に止められるでしょう。またこれだけの騒ぎになっている学校の制服をきた人間がのうのうと外を出歩いている姿をさらせば、どんな人間が見ても違和感を覚えます。よってこちらからあなた達の元に移動するのは不可能ですね」『ほう。さっきの奴とは違って話がしやすそうだな。確かにこちらからもお前たちのいる場所を監視しているが、どうやらお前の言うとおり、周辺は大混乱のようだ。外に出ることは簡単ではないという話も理解できる』 古泉が受信音量を上げたおかげで、かすかながら女ボスの声を聞き取れた。「そうですね。そのためそちらから迎えに来て頂けないでしょうか? 自動車か何かできていただけば、何とか人目につかずに二人を引き渡せるでしょう」『二人? 涼宮ハルヒはそこにいないとさっきの奴は言っていたが』「先ほど登校してきたことを確認してきます。即座に捕獲してそちらに引き渡せるようにするつもりです」 ――そこでしばらく沈黙――『……わかった。こちらから出迎えよう。用意ができ次第追って連絡する』「こちらの申し出を了承して頂き感謝します」 胸くそ悪くなるような口調で古泉が感謝の言葉を述べた。『一つ確認したい』「なんでしょうか?」『さっきの奴とは違い、お前はあっさりとこちらの条件を飲んだ。理由は何だ?』 女ボスからの問いかけに古泉はしばし考える――振りだけして、「僕にとってはこの学校には、朝比奈みくると涼宮ハルヒ以上に大切な人間がいる。その人を危険にさらしてまで、二人の命を守るつもりはない。この答えでは不満ですか?」『……良い答えだ。では、また連絡する。二人をいつでも引き渡せるようにしておけ』 そこで通話終了。俺は即座に古泉に詰め寄り、「おい。どういうつもりだ? まさかお前本当に――」「……冗談を言わないでください」 古泉らしからぬドスのきいた声。俺は思わず何も言えなかった。平然といつものスマイルを浮かべているがこいつも内心はらわたが煮えくりかえっているのかもしれない。 だが、またすぐにさわやかスマイルに復帰すると、「これで時間が稼げました。今の内に学校から離れます。ここでは生徒全員が人質に取られているのと同義ですからね。機関に車を用意させました。すぐにここを出ましょう」 俺はふと思いつき、「ハルヒはどうするんだ? まだあいつは来ていないぞ」「涼宮さんならミサイル着弾の少し後に学校に来ているのを確認しています。もうすぐ部室に来られるかと」 本当に手回しの良い奴だ。今ほど機関っていう組織を感謝したことはないだろう。 古泉はふと長門の方に顔を向けると、「今の内に何点か確認させてください。攻撃してきた敵についてです。知っている範囲で良いので教えて頂けないでしょうか?」 長門はこくりとうなずくと、口を開き始めた。「現時点でわたしが把握している情報は少ない。ただ一つだけはっきりしていることがある。情報統合思念体は今回の一件をこの時間軸よりも未来の人間たちによる抗争だと認識している」「未来人だと? じゃあ、昨日俺たちをいきなり襲ってきた奴らは朝比奈さんみたいな連中と同じなのか?だが、どうしてハルヒや朝比奈さんを殺そうとする?」 俺の問いかけに長門はしばし沈黙した後、「彼ら――いや、彼女らは朝比奈みくるとは別の可能性の未来に存在する有機生命体。そして、それを率いている人物は朝比奈みくるの異時間階層同位体。朝比奈みくるの異時間同位体とは異なる個体」 長門の言葉に俺は絶句するしかなかった…… あの女ボスが未来の朝比奈さん? 一体何がどうなってやがる―― ~~その3へ~~
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