涼宮ハルヒの聖杯~第4章~
――そして夜がやってくる。「準備はいいわね、キョン?」俺とハルヒは、ついに今夜キャスターの根城である、街の神社へと攻め込む。俺達が立てた作戦は単純明快。セイバーを前に出し、キャスターの魔術を封じ、スキが出来たところをアーチャーが仕留めるというものだ。魔術に長けた英雄が割り振られるクラスであるキャスター。その魔術の威力は強力にして想像を絶するだろう。俺やハルヒじゃ、まず歯が立たない。そこで魔術耐性最強のセイバーを表に出すことで、キャスターを封じ込めるのである。ちなみに俺とハルヒは、キャスターはセイバーとアーチャーに任せ、マスターを叩く、という段取りになっている。神社へと続く長い長い階段は静まり返っている。ここ一帯は、辺りが雑木林に覆われており、頼りになる光は月明かりのみ。「いくわよ。セイバー、先頭でお願い。アーチャー、アンタは最初は後方から支援よ」ハルヒの指示を受け、セイバーが俺達の前に出る。「さあ、待ってなさいね、キャスター。アンタみたいな外道はボコボコのギッタンギッタンにしてやるんだから」その刹那――そんな気合の入るハルヒを嘲笑うかのように――暗闇に響く声。「ようこそ。私の領域(テリトリー)へ、歓迎するわ」ふと、見上げた先、遥か続く階段の中腹辺りに、それはいた。「こんばんは。キョン君も涼宮さんもはじめまして、かな?」ふわふわと宙に浮かぶ黒い物体・・・。「私がキャスターのサーヴァント――」それは・・・真っ黒なローブに身を包んだ魔女――否、俺達と同い年くらいの少女。「『朝倉涼子』よ」少女はそうして――どこかで聞き覚えのある、己の真名までも宣言した。第4章 完
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