涼宮ハルヒの方舟 第1話
第1話 ~夢~ 「…ョン…ん……きて。…ぇ、起きて…キョ…」んん?「…起き……たら…キョンくんっ!!!」むをっ!? ズドン「朝だよ、キョンくん!!」気が付くと俺はベットからずり落ちていた。正確には落とされただが。「キョンくん起きて。遅刻しちゃうよ~」「あ、ああ。」はて?何やら妙な夢を見ていたような気がするのだが……思い出せん。「どおしたの?キョンくん、お腹痛いの?」「いや、平気だ。何ともないぞ。」 「良かったぁ。」まぁ、どうせ大したことじゃないだろう。 そして俺は、いつものように強制ハイキングコース的を、谷口と共に今日も働きアリの様にせっせと歩いていた。 しかし今日の谷口は妙に機嫌が良いな。一体どうしたんだ?鬱陶しい、あぁ鬱陶しい鬱陶しい。ナンパが失敗し過ぎてついにおかしくなったか?「何だ?気になんのかキョン?どうしてもっつーんなら教えてやらないこともないぜ。」別にお前のナンパの失敗武勇伝など古泉が1日に肩をすくめる回数より興味がない。「しょーがねーなあ。どーしても聞きたいみてーだから教えてやるよ。」何でも谷口は昨日珍しくナンパが成功し、更にその娘と意気投合して、そのまま付き合う事になったらしい。「まさか……冗談だろ…」「ま、俺は一足先に幸せを掴ませてもらうぜ。お前もいつまでも妙な部活で遊んでないで、さっさと涼宮とくっついちまった方が良いぜ。」 だから何でそこでハルヒが出てくるんだ。何度も言うがハルヒなんかより、どーせなら朝比奈さんとくっつきたいね。「だーから、お前は校内の男子生徒を全員敵に回すつもりか?俺は友達としてお前に忠告してやってんだぜ。」うるせぇよ。男子全員を敵に回そうが、俺には朝比奈さんさえ居ればそれで良いんだよ。「まっ、放課後は出来るだけ1人で居ないようにするんだな。ケケケ。」と、そうこうしている内に俺達は教室に着いた。ハルヒは2年になった今年も、背後霊よろしくといったように相変わらず俺の後ろの席に居座り続けている。そんなハルヒも最近はいつもの破天荒な考えを発揮する事なく、いつも物憂げに空を見ている。 何故我らが団長様がこんな事態に陥っているのかというと、そう。今は全国一斉七夕シーズンなのである。ちなみに今日は7月6日なので七夕は明日だ。コイツはどうせまた4年前の事でも思い出してナイーブに成っているのだろう。しかし、今年はその小鬱状態も去年より重症になっており、何と団活中まで何をするでもなくただボーっと空をみているのだ。古泉曰わくこんなことは初めての事で、機関も混乱しているらしい。「よう、おはようハルヒ。」といつもより優しめに話しかけてみる。しかし「ん…」としかハルヒは言わなかった。オイ、そんなけかよ。何か文句を言ってやろうと思ったが、チャイムがなり岡部が颯爽と入ってきてホームルームを始めたため諦めて席についた。 授業中、俺はとてつもない睡魔との戦いを強いられた。やるじゃねぇか、久々にキちまったよ。俺はすぐさま睡魔に敗北を喫する事になった。……………… はっ!!俺は今朝と同じ夢を見ていたようだ、内容は思い出せない、しかし何故か同じ夢だったとゆう事だけは分かった。何なんだ一体。「お、やっと起きやがったかキョン。」「ほんと、今日はよく寝てたね。」と、話し掛けて来たのは谷口と国木田である。あん?そんなに寝てたのか俺は。「今は何時間目だ?」「何言ってんだ、もう放課後だぜ。」なに!?俺は昼飯も食わずに1日中寝てたのか?とゆうかコイツらも何故起こしてくれんのだ。「何言ってんだよ、お前がちっとも起きなかったんじゃねえか。」 「そうだよ。キョン何しても起きなかったんだよ。」何だそりゃ?一体どこの寝キョンだそいつは。いや、俺だが。そんな事より部室へ向かわねばならんな。「じゃあなキョン。歩きながら寝んなよ。」「気を付けてね。」そして俺は部室へ向かった。しかし妙な夢を見たな、何故内容が思い出せないんだ?朝見た夢と同じだったということしか思い出せん。そんな事を考えている内に俺は部室に着いた。もう大分時間も経ってるし今日はノック無しで良いか。ガチャ入りますよ~「あ、キョン君。こんにちは」部室には俺のマイスウィートエンジェルの朝比奈さんしか居なかった。それに今日メイド服では無く、普通の制服姿だった。何か有ったのか?「他の奴らはどうしたんですか?」 「えっと、古泉くんと長門さんは今日は学校に来てないみたい。それと涼宮さんは用事が有るからって先に帰っちゃいました。」何?古泉だけならまだしも、長門まで休むとは珍しい事も有るもんだな。まぁハルヒの奇行は今に始まった事じゃないが…「それじゃあ今日はもう帰りましょうか。」「ぁ、はい。」そうして朝比奈さんの帰り支度を待ち、俺達は一緒に帰った。この時点では俺も、少し変なだけで、普段の日常と何ら変わりの無いものだと思っていた。途中まで他愛の無い話をしていた俺達だったが、別れ際になって朝比奈さんは急に真剣な顔になって「キョンくん、実はキョンくんに一緒についてきて欲しいところがあるの。」 はぁ、またどうせ未来関係のお遣いなんだろうな。「今日はいつへ行くんですか?」「あ、違うの。今日は未来関係の事じゃなくてね…ぇえと……その、わたしの家に来て欲しいの。」な、何だと!?朝比奈さんの家に!?「あの、やっぱりだめですかぁ?」いえいえ、あなたのご自宅にお邪魔出来るのなら、また4前に遡れと言われても、構いませんよ。「ほんと?ありがとうキョンくん。」 そして俺は今朝比奈さんの家の前にいる。朝比奈さんは「ちょっとだけ待っててね。」と言って家に入っていってしまった。きっと部屋のかたずけでもしてるのだろう。しかしどうもおかしいな。これで家に入ったら、朝比奈さん(小)のかわりに大人版朝比奈さんが出てくるんじゃないだろうな。 ガチャ 「お待たせしましたぁ、どうぞ。」そこにいたのは俺の朝比奈さん。つまりあの小さくて可愛い方の朝比奈さん(小)だった。良かった。どうやら本当に未来絡みじゃないようだ。つまり朝比奈さんはただ俺を家に招待したかっただけらしい。しかし年頃の女の子が同年代の男を部屋に入れるってのはどうなんだ?まさか朝比奈さんは…「どうしたの?キョンくん。」はっ!どうも変な方向に考えが行ってしまっていたようだ。「い、いえ、何でもありませんよ。さぁ入りましょうか。」朝比奈さんは不思議そうな顔をしていたが俺を部屋に入れてくれた。そして俺がドアを閉めた時、それは起こった。 ポスッ へ?何だ何だ!?何が起きた!!?下を見るとなんと朝比奈さんが俺に体預け、抱きつくような体制になっていた。ま、まさか本当に朝比奈さんは…OK取り敢えず落ち着け俺。朝比奈さんにこんなことされたら応える意外の選択肢は無いだろ。「朝比奈さん。」俺は覚悟を決め、出来るだけ真剣な声で朝比奈さんの名前を呼び、朝比奈さんの両肩を掴んだ。と、その時「すぅ…すぅ…。」なっ!寝息!?朝比奈さんの顔を見てみると、それはもう天使のような可愛らしいな寝顔だった。なんと言うことだ。朝比奈さんはマジ寝していた。おいおいマジかよ、前にもこんな展開無かったか?と俺がこの状況に既視感を覚え始めた頃、「こんにちはキョンくん。」という声が家の中から聞こえてきた。 振り返ってみると、案の定そこにいたのは朝比奈さん(大)だった。「今回はどんな用ですか?朝比奈さん。」俺は朝比奈さん(小)を支えながら言った。「キョンくん最近変な夢見てない?」なっ!?「何で朝比奈さんが知ってるんですか!?」朝比奈さんは少し困ったような顔をして言った。「ごめんなさい、禁則事項なの。それでね、あなた達は近い内にまた大変なことに巻き込まれるわ。」またですか。今度は何が起こるんですか?「ごめんね、今はここまでしか言えないの。あと、あなたは今日はだけは最近のあの夢とは違う夢を見るはずです。その夢の内容だけは絶対に忘れないで。」らそれは良いんですが、すいませんが寝室は何処ですか?こっちのあなたを寝かしてあげたいので。「ふふ、そこの部屋よ。」 俺が朝比奈さん(小)をベッドに寝かすと、朝比奈さん(大)は小声で「夢のこと、忘れないで…それから、今日あなたをその子呼んだのは、本当に未来のことは無関係なの。その子はわたしが来ることは知らなかった。」と言った。俺は驚いて振り返ったが、そこにもう朝比奈さんは居なかった。 一体今度は何が起こるってゆうんだ?まさかまたハルヒとあの灰色空間にでも閉じ込められるのか?それとも新手の宇宙人どもが攻めて来るのだろうか。………それで、俺はどうすれば良いんだ?たとえ来たとしても俺に何かできるのか?そんな事を考えながら俺は帰ったら飯食って、風呂入ってすぐに眠った。 ……そこは、夜も深いある学校。そのその校庭の真ん中。そこにソイツは立っていた。ソイツは黄色のリボンを夜風になびかせながら空を見上げていた。何をするでもなくただ空を見上げていた。まるでそこに来るであろう何かが来るのを、ただひたすら待っているようにも見えた。「…………今年こそは……会えるわよね…ジョン……」 涼宮ハルヒの方舟第1話 ~夢~ <終わり>
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